2022年08月17日
【セルフマネジメント?】『部下は動かすな。』大平信孝

部下は動かすな。
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本夏のビッグセール」における注目作。タイトルの印象に反して、「自分こそが変わろう」というテーマの作品でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「部下が主体的に動いてくれない」「チームがうまくいかない」と嘆くリーダーは多い。
鍵となるのは「部下を動かそう、組織を変えようとするのではなく、リーダー自身が変わること」。
「うまく伝えて人を動かす」ではなく「このリーダーのためなら動ける」というチームが一番強い。そのための方法こそ著者が研修で伝えている「リーダーのセルフマネジメント」。
どんなビジョン(思い)を持って、そのためにどういう言葉で話し・伝え、日々の行動をしているのか。それらが一貫性を持ったとき、人は勝手に動き出す。
リーダーのためのセルフマネジメント法によって、自分も組織も変わる。
送料を加算した中古よりは、こちらのKindle版が700円弱お得な計算です!

workshop gestione stress / Luigi Mengato
【ポイント】
■1.うまくいかないチームがやっている3つのこと(1)相手のことも、自分のことも知らないチームをうまくマネジメントできていないリーダーの傾向のひとつが、部下の現状、部下を取り巻く環境、部下一人ひとり違う個性・強み・コンディションへの理解不足です。部下の状況が掴めていないのに、上司側の要求を一方的に投げつけるだけで終わってしまっています。(2)強いチームの真似をして、無理やり強くしようとするうまくいかないチームは、「強いチームの真似をする」傾向があります。強いチームというと聞こえがいいかもしれませんが、流行りのマネジメントや組織論を振りかざし、チームをまとめようとしがちです。(3)「ダメ出し」中心のリーダーシップ3つ目は、「ダメ出し」中心のコミュニケーションになっていることです。(詳細は本書を)
なぜ「ダメ出し」がいけないのか?
それは、部下は「機械」ではなく、感情を持った「人間」だからです。
■2.セルフマネジメントシートの書き方
まずは、「気になっていること」「やるべきこと」「やりたいこと」を紙に書き出しましょう。
この3つに分けて書き出すだけで、頭は整理され、ある程度「自分の現在を知る」ことができます。(中略)
ステップ2は、「自分が書き出したこと」を改めて眺めます。 客観的に眺めてみて、「気づいたこと・感じたこと」を書き出していきます。(中略)
ステップ3は、書き出したことに対して、ひとつずつ「本当はどうしたい?」と問いかけ、理想の状態を書き出していきます。(中略)
ステップ4は、理想に近づくためのアクションプラン(取り組み内容)を書き出していきます。一度、思考や視野を広げたあとにアクションプランを考えることで、アイデアも出やすくなります。
■3.「自己否定をやめる」1分間エクササイズ
「今の自分・現状」でも、「少しでもできていること」「ちょっとでもうまくいっていること」「感謝したいこと」はどんなこと、と問いかけます。
「ほかには?」「あとは?」とたて続けに1分間聞き続けます。(中略)
自己否定(自分なんてダメだ、無理)の状態から、いきなり自己肯定(自分はできる!)の状態になることはできません。無理して、上辺だけ自己肯定を実践しても、「やっぱり自分はダメなんだ」と、すぐに自己否定に戻ってしまいます。 自己否定が強いときは、まずは「自己受容」(自分と仲良くなること)を目指しましょう。
■4.「キャッチボール」で信頼関係を作る3ステップ
(1)「相手の興味関心」に関心を持つ具体的には、相手の興味や関心があることを見つけたら、その話を徹底的に聞くことです。すると、相手は「受け入れてもらえた」ことで安心して心を開き、話を聞いてくれた相手を信頼し始めるのです。(2)共通点を見つける次に、自分と相手との間に共通点を見つけましょう。(3)できていることを「承認」する
共通点を見つけることは、部下との信頼関係を築く最も強力な方法のひとつです。
好きなことや趣味の共通点が見つかると、部下との距離が一気に縮まります。
人は自分と似たところがある相手に対して親しみを覚え、安心感・信頼感を持つからです。承認は、無理に感情を込めたり、おだてたり、称賛する必要もありません。
部下をよく観察して「できているところ」を見つけてシンプルに「これはできているよ」と「事実を指摘」するだけです。
■5.たった一言で部下のモチベーションは上がる
逆に言えば、うまくいくチームのリーダーは、「アクション」だけでなく「リアクション」も大切にしています。たとえば、部下から「報告・連絡・相談、質問、提案」などがあったとき、対応が上手なのです。「言いにくいことを言ってくれてありがとう!」など、たった一言だけでも、リアクションを返しているのです。それだけで、
「早速の報告、助かったよ」(中略)「早めに相談や報告をしてよかった。何かあったらまた相談や報告をしよう」など、部下が前向きになり、チームとして機能するきっかけを掴めるのです。
「この人は、自分のことをわかってくれている」
「(提案が採用されるかは別として)自分の提案をちゃんと聞いてくれた。また提案してみよう」
【感想】
◆非常にロジカルな作品でした。上記ポイントのいくつかで箇条書きが用いられているように、本書は全体としても箇条書きが多め。
結果、こちらとしても読みやすかったのですが、いざまとめようとすると、やたらと量がかさばってしまい、かといって割愛し過ぎると意味が通じなくなるというジレンマに陥りました。
……てっきりコンサルさん系の方かと思ったのですが、アマゾンの著者情報を見る限りそういうわけではなさそうですね。
もちろん、普通に読んで実践するのなら、まったく問題のないお話ですからご安心ください。
◆さて、本書は第1章にて、マネジメントの不備による「強くならないチーム」の問題点を掘り下げています。
その典型的な例が、上記ポイントの1番目にある「うまくいかないチームがやっている3つのこと」。
(2)の「強いチームの真似」(3)の「ダメ出し」がいずれも良くないのは何となくわかりますが、(1)の「相手(部下)や自分のことを知る」というは、あまりなじみがないかもしれません。
そこで読んでいただきたいのが、第2章の「『自分を知る』セルフマネジメント入門」です。
ここでは、「自分を知る」ためのTIPSがいくつも紹介されているのですが、その1つが上記ポイントの2番目の「セルフマネジメントシート」。
一見箇条書きではないように見えますが、実際には4つのステップに分かれており、結果大半がカットされていますので、詳細は本書にてご確認を。
◆一方第3章では、実際に行うエクササイズが多々。
その1つが上記ポイントの3番目の、「『自己否定をやめる』1分間エクササイズ」です。
ちなみに最後の「自己受容」とは、「できてもできなくても、ありのままの自分を受け入れる」こと。
ただし、「ありのままの自分」をどうしても受け入れられなかったり、受け入れることに抵抗を感じたりすることもある場合には、「自分のいいところ」「できているところ」を見つけることで、受け入れやすくなるのだそうです。
なお、本書では続いて「『自己受容をする』1分間エクササイズ」が紹介されていますから、実践する際には続けてどうぞ。
他にもこの第3章では、振り返りのメソッドや「口癖」のマネジメント等、ハイライトを引きまくったのに割愛せざるを得なかったTIPSが多くて忍びなかったワタクシ……。
◆そして第4章では、いよいよ部下に対するマネジメントについて言及されています。
上記ポイントの4番目では、3つのステップで信頼関係を獲得する手順が登場。
ここで個人的に興味深かったのが、(1)の「『相手の興味関心』に関心を持つ」でした。
要は相手自体に関心を持つのではなく、「相手の興味関心」がターゲットになるワケです。
パンダであれば、パンダ自体をじーっと観察するのではなく、パンダの食べている笹や遊んでいるおもちゃに注目すればいいのです。これは結構目からウロコでした。
なお、最後のポイントの5番目は、第5章の「リーダーシップを発揮する」からのもの。
実際、うまくいかないチームのリーダーに共通することは、「上司側の『リアクション』が薄いこと」だそうですから、こまめにリアクションしていくべきでしょう。
私も本書の教えを子育てに応用していきたいと思います。
「セルフマネジメント」のスキルを身につけるために読むべし!

部下は動かすな。
第1章 なぜ御社のチームは強くならないのか?
第2章 「自分を知る」セルフマネジメント入門
第3章 「セルフリーダーシップ」 を発揮する方法
第4章 「相手を知る」コミュニケーションマネジメント
第5章 リーダーシップを発揮する
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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【編集後記2】
◆一昨日の「早川書房 夏の大感謝セール」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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参考記事:【スゴ本!】『決定力! :正解を導く4つのプロセス』チップ・ハース,ダン・ハース(2013年09月20日)

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