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2022年07月10日

【情報収集】『情報を活用して、思考と行動を進化させる』田中志


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情報を活用して、思考と行動を進化させる


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「プライムデー最大70%OFF Kindle本セール」の中でも個人的に読んでみたかった1冊。

以前未読本記事で取り上げた後、1度だけ「Kindle日替わりセール」に登場して以来、やっと落ち着いて読むことができました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
現代は、情報とつきあって生きるにはとても悩ましい時代です。たくさんある情報の中からどのように必要なものを見つけ出すか、活用できるまでに至るか、という部分で工夫が必要になってきます。そこで、外資系コンサルティングファームやクリエイティブ企業、スタートアップ企業で高い成果を追求する中で活用してきた、情報収集、リサーチの知見・ノウハウを紹介していきます。仕事のさまざまな場面で使える調査のフレームワークや課題設定の方法から、今日から使える具体的な情報収集の仕方まで、実際のケーススタデイも含めつつ、活きた知識を届けます。

中古があまり値下がりしていないため、このKindle版が600円弱お買い得です!





intelligence-economique / Jean-Louis ZIMMERMANN


【ポイント】

■1.問いのないところにリサーチはない
 様々な情報を組み合わせて、クライアントの行動に対する示唆を生むことを目的とするコンサルティングファームにおける情報収集・リサーチは、すなわち分析や示唆抽出(問いに答えること)を目的にしています。そこでは「問いのないところにリサーチはない」ということを口酸っぱく説かれます。BCGの大先輩である株式会社ロジカディア代表の荘加大祐さんは、リサーチに関する記事で以下のように書かれています。
 リサーチの定義に関して、大事なポイントが1つあります。リサーチは問いに答えるための行為である、ということです。
 言い換えると、問いが無い状態で情報を集めることは「リサーチ」とは呼びません。
 たとえば、「書籍を読む」という行為はリサーチの一種ですが、これを「リサーチ」と呼んでいいのはあなたの中に「答えを出したい問い」がある場合に限ります。(中略)
 こんなことは当たり前だと思うかもしれませんが、私の経験上、リサーチが失敗する最大の原因は、問いが無いままリサーチ(っぽいこと)を始めることです。(太字は著者による)


■2.業界素人の若手コンサルがプロジェクト参画前に行う基礎づくり(抜粋)
●大型書店に行って関連書籍 10 冊一気に購入して一気読み
●業界専門誌を1年分遡って購入して流し読み(+購読登録)
●業界専門メディアの記事タイトル1年分一気読み+関連テーマ記事印刷・読み込み
●関連する業界レポートを探索して一気読み
●関連する統計・数値情報の探索
●SNS検索:Twitter、Quora、Pinterest、Facebookで文字検索をして、関連コミュニティがあれば参加
●Googleアラートで関連キーワードをセットし情報収集自動化
●業界/領域に詳しそうな知人との食事をセッティングをしていろいろヒアリング
●類似のプロジェクトをやった経験のある社内の友人・知人にメール

(詳細は本書を)


■3.SNSの中から情報を"狩る"ソーシャルハンティング調査
 では具体的に、どのようにSNS内で声を狩っていくのでしょうか。研究チームは、代表的なSNSであるTwitterに本音として表れやすい現状に対する不満・鬱憤を、WARPATHの名の下で次の7つのカテゴリーに整理することで、検索するキーワードに関する示唆を示しています。
(1)Want(欲求):〜したい、やりたい、したい、したくない、ほしい……
(2)Anti(反感):わからない、理解できない、許さない、絶許、アンチ……
(3)Request(要望):してほしい、してほしくない、助けてほしい、募集、緩募……
(4)Problem(困難):できない、難しい、やばい、無理、無理ゲー……
(5)Awful(悲観):泣く・泣いた、つらい、悲しい、怖い、罪悪感……
(6)Tired(疲弊):疲れ、疲労、しんどい、はぁ……
(7)Hate(不快):ストレス、イライラ、ハラスメント、マウント、怒り、地獄……
(詳細は本書を)


■4.視点移動瓩瞭散顱双轤廖注視、傾向、逆転の4視点〜
「選択? 凝縮? そういわれてもなかなかイメージがつかめなくて……かつ、64もあると使いこなせない」という方、わかります。なので、よりシンプルなものを持ってきました。4つの視点を行き来することでより多角的な対象理解を目指す「鳥の目・虫の目・魚の目・コウモリの目」思考です。それぞれの目が何を意味するかを考えると、
●鳥の目:鳥が空の上から地上を見つめるように、情報を俯瞰して捉える
●虫の目:小さく一歩を踏み出す虫のように、情報の細部や継ぎ目を見逃さない
●魚の目:水の流れの中で生きる魚のように、時間や集団の流れを追う
●コウモリの目:天井からぶら下がるコウモリのように、逆の視点から情報を見る
 のように、1つの視点のみだとどうしても生まれてしまう思考や情報のバイアス・盲点を、それぞれの動物が持つ視点を借りながら行き来することでなくそう、というのがこの思考法の意図です。


■5.考え抜き、自ら決断する覚悟を持つ
 市場調査やリサーチという形で関わっているプロジェクトの中でご一緒するクライアントの方で、まれに「この人は自分で考える気があるんだろうか」と感じる方がいらっしゃいます。コンサル・調査会社や部下の方々にあれも調べてほしい、これも調べてほしい、と指示を出しながら、それらがすべて揃いながら「まだ決められない。メリット・デメリットを整理してほしい」、いざメリット・デメリットを整理すると「メリット・デメリットを比べる軸を他にも考えてほしい」と、次から次に情報を要求します。
 そんな方にお会いすると、私は「この人は決断する気がないんだな」と感じます。
 決断する覚悟を持っている方は、情報収集の依頼をするときに明確な指示を出します。自分がいつまでにどんな決断をしようとしていて、それはなぜ重要で、意思決定のために最低限必要な情報はどんなもので、加えてどんなものがあると嬉しいのか、それぞれを明確に依頼として情報収集者に出し、最後にはわかったことだけではなくわからなかったことまで確認します。


【感想】

◆著者の田中さんはBCGご出身というだけあって、かなり「ガチ」な情報収集本でした。

もっとも情報収集も目的によって区分されるわけで、ただ何となく情報を集める場合もあれば、コンサルの場合だとクライアントからのキチンとしたリクエストがあります。

このうち後者に関して触れているのが、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目。

これは引用部分にもあるように、株式会社ロジカディア代表の荘加大祐さんのお言葉なのですが、荘加さんいわく「問いを立てずにリサーチを始めると、いつの間にか『情報を集めること』自体が目的化して、延々とリサーチを続けるハメになる」のだそうです。

また、本書のテーマとは異なるので、深掘りはされてないのですが、「問い」について理解を深めたい方には、田中さんがこちらの作品をオススメされていましたのでご参考まで。

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問いの立て方 (ちくま新書)


◆さて、1つ飛んだ第3章の初っ端で紹介されているのが、上記ポイントの2番目の「コンサル流の基盤づくり」。

よく、新しいテーマを学習する際に「関連書籍を10冊読む」なんて話がありましたが、さすが本職はそんなものでは済みませんでした。

しかも関連書籍は序の口に過ぎず、それ以外にも出てくる出てくる、こんなに幅広く目を通すなんて、なかなかできるものではありませぬ(だからこその高いフィーなんでしょうが)。

そしてこの第3章では、これらの項目それぞれについて、しっかりページを割いて解説してくれています。

……正直、ここからの抜粋だけでも1本記事が書けたようなw

また、引用した以外でも、YouTube等の動画共有サイトで調べる、というTIPSも目からウロコでした。

今までもGoogleやTwitterでの検索方法は意識したことがありましたが、YouTubeも検索用語の入れ方次第では、ビジネスでも結構使えそうな予感……。


◆一方上記ポイントの3番目の「ソーシャルハンティング調査」は、第4章からのもの。

前段を割愛したため、いきなり「研究チーム」なんてフレーズが出てきているものの、これはこの調査手法を企業広報戦略研究所と電通パブリックリレーションズが共同で研究しているからになります。

また、ここでは手法の概略だけ抜き出したため、よく分からないと思いますが、この研究チームは実際に「グラノーラ」をテーマにソーシャルハンティングを行ったのだとか。

例えば
「Problem=困難」のキーワードと掛け合わせることで「おなかが弱い、あるいは冬の朝は寒いから冷たい牛乳と一緒に食べられない」「温かい牛乳をかけて食べる」といった「食べ方の工夫」に関する投稿を発見
したり、
「適正量ではないが、どんぶりいっぱいのグラノーラでおなかを満たしたい」という「どんぶりグラノーラ」に関する投稿も発見
したのだそう。

さらにこの章では、アンケート(インタビュー)調査の手順や注意点等にも触れられていますから、業務上実施する必要がある方は、目を通しておくと良いかもしれません。

……「原則、意見ではなくて●●を聞く」なんて、知りませんでしたよ(ネタバレ自重)。


◆同じく上記ポイントの4番目でも、引用部分で「64もあると使いこなせない」という一節が出ており、こちらも説明不足で申し訳ございません。

これは第5章から抜き出したお話なのですが、松岡正剛さんの『知の編集術』等の著作に登場する「64編集技法」を指しています。

4061494856
知の編集術 (講談社現代新書)

「鳥の目」「虫の目」「魚の目」は聞いた事がありましたが、「コウモリの目」というのは初めてかも。

また、この章では他にも「アニマルシンキング」や「シックスハットシンキング」、さらには「SF思考」なんてアプローチ法も紹介されていましたから、興味のある方は要チェックで。

そして1つ飛んだ第7章から引用したのが、上記ポイントの5番目のお話です。

実際、情報収集をすればするほど、わからないことの総量は増えていきますから、そこで情報に埋もれてしまうのか、覚悟を決めて踏み出すかの分かれ道なんですね。

なお、飛ばした第6章は、本書のTIPSを実践した3つのケーススタディになりますから、こちらもぜひご確認を。


まさに「情報を活用して、思考と行動を進化させる」1冊です!

B093G5GKFF
情報を活用して、思考と行動を進化させる
第1章 全ては価値ある思考を生むために
第2章 情報収集のための基本フレームワーク
第3章 基盤をつくる:知識の網を持つ
第4章 インテリジェンス創出前半:目的に沿ったデータを集める
第5章 インテリジェンス創出後半:データから思考を生み出す
第6章 リサーチケーススタディ
第7章 情報をもとに想像し、思い切って捨てる


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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愚管抄 全現代語訳 (講談社学術文庫)

当ブログ初登場となる日本史本は、中古が定価を超えていますから、Kindle版が900円以上お買い得。

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図解 モチベーション大百科

モチベーションの大全本とも言える本書は、中古の方が100円強お得なので、一応ご留意ください。


【編集後記2】

◆一昨日の【最大70%OFF】「プライムデー最大70%OFF Kindle本セール」のプレジデント社分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B081ZZ6XLQ
一倉定の社長学――伝説の経営コンサルタント

B08BZ9VY5J
危険人物をリーダーに選ばないためにできること――ナルシストとソシオパスの見分け方

B08PZ9HRJM
ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す

B00JUDYNSS
年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用とイノベーションの都市経済学

よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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