【科学的自己啓発書】『幸福優位７つの法則　仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』ショーン・エイカー:マインドマップ的読書感想文

2022年06月20日

【科学的自己啓発書】『幸福優位７つの法則　仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』ショーン・エイカー

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも、個人的に読んでおきたかった1冊。

当ブログでも何冊かご紹介しているジャンルである「幸福学」の、非常にクオリティの高い作品だと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。

世界中から秀才が集うハーバード大学で学生から絶大なる人気を集める「幸福学」講座で講師を務めた著者は、厳しい競争環境でも前向きな精神状態を作り上げて抜きんでる人と、プレッシャーに負けて行き詰る人の違いはどこにあるのかを追求。
本書では、ハーバード大生や著名企業のプロフェッショナルへの実証実験を踏まえ、成功をめざしてやみくもに努力するのではなく、幸福感や楽観主義をもつことが学業、仕事での成果に、組織の生産性向上、チームワークの強化に結びつくという事実を浮かび上がらせ、その要因を幸福優位性（ハピネス・アドバンテージ）と名付け、7つの法則にまとめた。
自己啓発から組織マネジメント、教育と幅広く応用可能で示唆に富んだ一冊。

中古があまり値下がりしていないため、送料を加味するとKindle版が500円以上お買い得です！

Happiness / crdotx

【ポイント】

■1.何かを楽しみにする

　ある研究によると、お気に入りの映画を見ることを想像しただけで、脳内のエンドルフィンのレベルが27％も上がるという。何かの活動の一番楽しい部分は、多くの場合それを楽しみに待っている時間である。いますぐ休暇を取ることもできないし、友達との夕食も無理という人は、ともかく何かをカレンダーに書き出すといい。1カ月先、1年先の予定でもいい。気持ちが晴れないときにはその予定のことを考えよう。将来の楽しみを期待すると、実際にそれをするときと同じくらいに、脳の快楽中枢が活性化する。

■2.今の仕事を天職にする

　私は企業にコンサルティングをする際、社員たちに自分の「職務記述書」を書き換えることを勧める。自分の仕事を、ほかの人がぜひやりたいと応募してくるように書き表すとどうなるかを考えてもらうのである。タル・ベンシャハーはこれを「天職記述書」と呼ぶ。別に事実を曲げるわけではなく、その仕事から得られる意義を強調するのが目的である。
　次に私は、自分の人生の目標のことを考えてくださいと言う。いまの仕事は人生のより大きな目標にどうつながるだろうか。どんなささいな仕事も、それを個人的な目標や価値観と結びつければ、そこに大きな意味を持たせられることが、研究の結果分かっている。日々の仕事を個人的なビジョンと同調させれば、私たちはその仕事を天職と見ることができるようになる。

■3.「説明スタイル」を変える

「楽観的な説明スタイル」を持つ人たちは、逆境を「限定的で一時的なもの」と解釈する（それほど大したことじゃないし、すぐに回復するだろう）。一方、「悲観的な説明スタイル」を持つ人は、同じできごとを、より「大々的で永続的」だと考える（まったくひどい状況だ。もう二度とよくなることはないだろう）。(中略)
　セリグマンが前述の生命保険会社から、セールスパーソンの高い離職率という問題の解決を頼まれたとき、彼はまずセールスパーソンたちの「説明スタイル」に注目した。調査をした結果、楽観的な説明スタイルのセールスパーソンは、悲観的な人に比べ、37％も多く保険を売っており、最も楽観的な人たちと最も悲観的な人たちを比べると、なんと88％も売り上げに差があった。また楽観的な人が仕事を辞める割合は、悲観的な人の約半分だった。

■4.少しずつコントロール感覚を取り戻す

征服すべき最初の目標、つまり最初に描くべき一番小さい円は、「自己認識」である。実験によれば、ひどい落ち込みから一番早く回復する人は、自分の気持ちを認識してそれを言葉で表現できる人だという。脳をスキャンしてみると、言語情報が入ってくるとたちまちネガティブ感情が静まり、気分も改善され、決断能力が高まることが分かる。だから、気持ちを日記に書き出してもいいし、信頼できる同僚や友人に話すのもいい。感じているストレスや無力感を言葉で表現することが、コントロール感覚を取り戻す最初の一歩である。
「自己認識の円」をマスターしたら、次の目標は、状況全体のうち、どの部分が自分にコントロールできて、どの部分ができないのかを見きわめることだ。前述の上海の会社のマネジャーたちにコンサルティングを行った折、私は彼らに、ストレスのこと、日々の試練のこと、そして自分の目標などを書き出すように言った。そしてそれらを、自分がコントロールできるものとできないものに分別するのである。

■5.「20秒ルール」で生活習慣を作る

　ここで私がやったことは単に、「望ましい」行動を、「最も抵抗の少ない道」にしたことだ。ギターの練習を避けるよりも、ギターを取り上げて練習する方が、エネルギーも努力も少なかったのである。私はこれを「20秒ルール」と呼ぶ。変化のための障壁をわずか20秒下げただけで、新しい生活習慣を作ることができた。実際には、20秒よりももっと大きな違いが必要なこともあるし、もっと少なくてもすむこともある。しかしこの戦略そのものは、あらゆる場面に応用が利く。取り入れたいと思う習慣の「活性化エネルギー」を下げ、避けたいと思う習慣の「活性化エネルギー」を上げればいいのである。望ましい行動の「活性化エネルギー」をできるだけ下げるか、なくしてしまえば、よい方向の変化をスタートさせることができる。

【感想】

◆冒頭でも触れたように、昨今の「幸福学」関連の書籍の、基となっているかのような作品でした。

今回上記では引用しなかったものの、この手の作品によく出てくるような実験がいくつも紹介されているのですが、それはおそらく本書の方が先だった可能性が大。

実際、アマゾンでの評価が現時点で450件を超えており、その平均が「4.3」なのですから、かなりのものだと思います。

そして本書の中心となるのが、タイトルにもある「幸福優位７つの法則」。

下記目次に法則名だけ記しましたが、アマゾンの単行本のページの方では、簡単な解説も付されていますから、こちらもぜひご確認ください。

……おなじみいらすとやさんのイラストを、アマゾンの「出版社より」のページでフル活用しているのは、初めて見ましたが。

◆さて、上記ポイントの1番目は、その法則の1番目の「ハピネス・アドバンテージ」からのもの。

ここではいわゆる「ポジティブシンキング」の効能が掘り下げられており、「どうすればそのようなマインドセットを生じさせられるか」のTIPSの1つとして、この「何かを楽しみにする」が紹介されていました。

これは確かに同意してくださる方も多そうですし、私自身、何かしらのイベントや、好きなアーチストの新譜発売等で、気分が良くなりますから、激しく納得。

またここでは他にも、「瞑想」や「他人に親切にする」といった比較的有名なTIPSが登場しています。

続く法則の2番目からは、上記ポイントの2番目の「天職」のお話をセレクト。

結局、今の仕事をどう捉えるかによって、幸福度が変わってきますから、ここで挙げている「天職記述書」は、ぜひ試してみていただきたいところです。

◆また、1つ飛んだ法則の4番目から抜き出したのが、上記ポイントの3番目の「説明スタイル」のお話。

ここで出てくる生命保険会社とはメットライフ社のことであり、会社は「説明スタイル」のテストに基づいて特別セールスチームを編成し、好成績を挙げたそうです。

さらにメットライフ社はこの「説明スタイル」を採用基準に導入し、業界の一般的なテストで不合格でも、「説明スタイル」の評価テストでよい成績であれば、その候補者を採用したのだとか。

その結果、わずか2、3年でメットライフ社の離職率は急低下し、市場シェアは50％近く上昇した。

これは凄い……。

◆一方、法則の5番目では、上記ポイントの4番目の「言語化」のお話が印象的でした。

確かに類書でも、もやもやした時には紙にでもノートにでも書き出すよう、言われていますよね。

さらに、コントロールできるか否かで分類するのも、おなじみのTIPSかと。

……ただ、上記でも触れたように、もともとは本書が初っ端の可能性もあると思います。

そして最後の「20秒ルール」は、法則の6番目のタイトルそのもの。

やはり習慣を考える場合において、やめたい習慣のハードルを上げたり、続けたい習慣のハードルを下げたり、というのは王道的なTIPSと言えるでしょう。

私もついつい食べたくなるスナック菓子は、まず目に触れないようにしていますし、いちいち立ち上がって取りにいかないといけないようにしております（小市民ですが）。

仕事も人生も充実させたい方なら必読の1冊！