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2022年05月07日

【脳科学?】『最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方』工藤勇一,青砥瑞人


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最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方 (SB新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本ゴールデンウィークセール」でも人気の1冊。

「教育者」と「神経科学者」のお2人のタッグによる、パワフルな子育て本なのですが、部下のいるビジネスパーソンにとっても得るものがある作品でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
学校の当たり前を覆し、全国が注目する学校づくりを実現した麹町中の工藤校長。
手をかけるほど子供の自律を阻むというメッセージは驚きと共感を持って、多くの人に広まりました。
今回、脳神経科学の世界で注目を集める、青砥瑞人先生との、「麹町研究」によって、脳科学的にも正しい子どもの育て方があることが立証されました。
これは既存の教育の思い込みを正し、「未来の教育」を模索していくために、旗となるべき成果です。
今回、教育と脳神経科学という異ジャンルの二人が共著として、教育・学力・子育ての大誤解を解きながら、未来を創る「当事者意識のある子ども」を育てていくためにどうしていけば良いか、それをわかりやすくまとめました。
全国が注目した、麹町研究の衝撃的な中身とは?
全国の保護者・教育関係者のバイブルとなるべき1冊!

中古が値崩れ気味ですが、今回のセールのおかげでKindle版が300円弱お買い得となっています!






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【ポイント】

■1.激しく怒られるほど頭に残らない
 教育現場において子どもたちを心理的危険状態に追い込む可能性のある因子はたくさんあります。そのなかでもとくに子どもたちを心理的危険状態に「不必要に」追い込んでいる可能性の高い行為が、叱責やダメ出しでしょう。(中略)
 もし本当に子どものためを思って指導をするのであれば、子どもが大人の言葉にしっかり耳を傾け、理解し、前頭前皮質を働かせることができる心理的安全状態をちゃんと確保したほうが子どもの学びにつながる可能性が高いのです。翻ってそれは大人のストレスの軽減にもつながるのです。(中略)
 同じミスを繰り返す子どもがいたとすれば、「子どもに問題がある」と考えるのではなく、「大人がそれをどう伝えているか」にも意識を向けてみてはいかがでしょうか。


■2.子どもに自己決定を促す「3つの言葉」
 安心できる環境をつくることと、ストレスに強い脳をつくることが同時にできる、魔法のような言葉があります。麹町中学では「3つの言葉がけ」と呼んでおり、子どもに何かトラブルが起きたとき、全教員がその対応方法の指針としているものです。もちろん、保護者にもできるだけ家庭で使ってもらうよう紹介しています。
 その言葉とは以下の3つです。
1.「どうしたの?」(「なにか困ったことはあるの?」)
2.「君はどうしたいの?」(これからどうしようと考えているの?)
3.「何を支援してほしいの?」(「先生になにか支援できることはある?」)
 これは全国の学校や家庭、職場ですぐに使うことができます。


■3.課題を小分けにすることを教える
 具体的にいうと、解決したい問題があるときはその問題をできるだけ客観的、複眼的な視点から、小さな課題に分解し、書き出します。そして書き出したものをさらに、「自分の力で解決できるもの」と「解決できないもの」に切り分けます。
 そして「自分の力で解決できるもの」に関しては、これをどの順番で、どんな風にやっていくかということを考えればいい。そして、「自分で解決できないもの」に関しては、基本的に人に相談すればいいわけです。
 こうして問題を整理すると、「途方もなく大きな問題だ」と思っていたことが実はそこまでのものではないことに気づくことができます。それだけで脳にかかるストレスをかなり軽減することができます。
 課題解決の大まかな考え方を伝えるだけでも子どもたちの行動はみるみる変わります。自分には手が負えないトラブルと対面したら、友人や親や信頼できる教員に相談にいくようになります。


■4.自分と向き合う習慣がない人ほど他責になる
 メタ認知能力を高める第一のステップは、自分と向き合う機会を増やすことです。自分のことを対象化して認知する行為を専門用語で内省といいます。人は内省をする機会を持てば持つほど、脳のなかで物理的変化がおき、確固たる「自己」という情報が造形されていきます。
 本書の冒頭で工藤校長が問題提起されたように、日本の教育の最大の問題は「子どもたちの当事者意識を育む」視点が欠けていることです。
 うまくいかなかったら誰かのせいにする。
 不満があったら誰かを責める。
 責任を押し付ける対象がよくわからないときはとりあえず社会や時代のせいにする。
 このような他責の発想も結局、自分と向き合う習慣がないために、「自分の責任かもしれない」「自分にできることがあるかもしれない」といった発想が湧いてこないのです。
 他責は生まれ持った性格などではなく、単に長年の脳の使い方による「癖」です。


■5.能動的に学習する「単元テストの再テスト制」
 とくに子どもたちの学習意欲を掻き立てる効果が高いのが単元テストの再テスト制です。テストを受けるかどうかは完全に任意で、再テストを受けたら2回目の点数が成績になる仕組みになっています。すると子どもたちの頭のなかで何が起きるかいうと、クラスメイトに勝つか負けるかの発想から、1回目のテストを受けた自分に勝ちたいと発想が変わるのです。
 1回目が不本意な結果だと自分の課題を解決しようという意思が働き、わからないものをわかるようにするためにはどうしたらいいかといろいろ考え、友達に聞いたり、インターネットで調べたり、教員に聞いたり、図書館に行ったりと自分なりに試行錯誤をはじめます。もちろんその間、教員からこれをしろ、あれをしろの指示は一切ありません。


【感想】

◆著者のお一人である工藤先生が、最初に校長となって活躍されたのが「麹町中学」という中学校だったこともあり、ムスコが中学生の我が家としても、非常にためになる作品でした。

さらに今年から大学生になったムスメも、ムスコ同様に「自律している」とは言い難く、少々育て方を間違ったかな、と思う次第。

特にムスコの場合、中学受験を塾と親がフルに面倒を見たこともあり、自分でスケジューリングしたり、手順を考えることが未だに苦手です。

かといって、学校の定期試験の勉強まで、親が口を出すのはどうかと思い、本人に任せていたら常時低空飛行という(ダメじゃん)。

さすがに私は、上記ポイントの1番目のように「激しく怒る」ようなことはしませんが、話していても「他責」になりがちなので、こちらとしても「カチン」とくるのですが。

なお、「前頭前皮質を働かせることができる心理的安全状態をちゃんと確保」とあるように、本書ではもう一人の著者である青砥瑞人さんが、脳科学的な観点からも言及されており、その点でもポイントは高いです。


◆また、本書のキモである「3つの言葉がけ」を示したのが上記ポイントの2番目。

これらは内容紹介にもないので、伏字にするか迷ったのですが、アマゾンのトップレビューにしっかり載せられていたので、ここでも引用させてもらいました。

もっとも、この「3つの言葉」を形式的に押さえてもダメで、これらがどのような意図を持ち、どのような留意点があるかを知っておく必要はあるでしょう。

……そのためには、本書を読んでいただくのが一番なのですが(アサマシ)。

さらに本書では、この「3つの言葉」を使ったことによる「実際の変化」の事例も紹介されており、納得感大!

さっそく我が家でも、次回の定期試験でムスコが撃沈した際に用いてみたいと思います(撃沈前提)。


◆一方、子どもが問題解決しようとして、「自分で解決するのが難しい」と思った場合に伝授したいのが、上記ポイントの3番目。

ただし、この「小分けにする」「自分できるものとできないものに区別する」というTIPS自体は、類書で目にしたことはあると思います。

とはいえ、それらを子どもにやらせる、ということは、私自身、考えたことがありませんでした。

……だってこれって、結構ロジカルな思考が必要な気がしません?

また、自分で解決できないものは、友人や親、先生等に相談するというのも、そこまで細分化して考えた上でのことなら、尋ねやすいと思います。


◆そして当ブログでも何度か登場したことのある「メタ認知」能力を高めるために有益なのが、「自分と向き合う」こと。

それについて言及しているのが、上記ポイントの4番目です。

実はここで挙げられている「他責」の例で、ちらほらムスコが思い浮かんで、少々ウツになりました。

ただし、こうした発言があるたびに、親としてもガツンと否定していたのも良くなかったと、本書を読んで反省したワタクシ。

こういう場合は、上記の「言葉がけ」を用いて、本人に当事者意識を持たせるべきでした。

なお、割愛しましたが、本書によるとメタ認知を鍛える理想のテーマは「葛藤」と「夢」だそうです(詳細は本書を)。


◆また、上記ポイントの5番目の「単元テストの再テスト制」は、工藤先生が麹町中学で実践して効果があったもの。

他人ではなく「過去の自分に勝ちたい」という意欲は、ある意味「自分を俯瞰する」ことですから、メタ認知能力向上につながるのも納得です。

さらには、分からないところを他人に聞いたり、友達と相談したり、といういい機会にもなるかと。
多くの子どもにとってはそれ自体が異質な体験であり、もしそこで問題が解決できれば、「困ったときは人に聞けばいいんだ」とひとつ学ぶことができます。
実際、麹町中学では、3年にもなると先生が何も言わなくてもみんな勝手に学び合う環境に変わるのだそうです。

なお、冒頭で触れたように、本書は子育て本でありながら、部下の指導にも使えること必至。

脳科学的な観点からの指摘もあり、科学的自己啓発書好きの方にも、満足いただけると思います。


お子さんや部下のいらっしゃる方なら必読の1冊!

B08XQJ82FV
最新の脳研究でわかった! 自律する子の育て方 (SB新書)
序 章 いま、教育現場で何がおきているのか/工藤勇一
第1章 心理的安全性とは何か/青砥瑞人
第2章 子どもが安心できる環境をつくる/工藤勇一
第3章 メタ認知とは何か/青砥瑞人
第4章 子どものメタ認知能力を鍛える方法/工藤勇一


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ

まさに今日ご紹介した作品にあわせたかのような子育て本。

中古が値崩れしてますが、ギリギリでKindle版の方がお求めやすくなっています。


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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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