2022年04月21日
【品格?】『品格の教科書』山本由紀子
品格の教科書
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「サンマーク出版50周年セール」からのマナー本。意外とお求めいただいていることに気がつき、私もさっそく読んでみました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
履物の脱ぎ方、座り方、手土産、食事の仕方……
ちょっとした歴史や由来を知ることで、「なぜそれをするのか」がわかるので覚えられ、忘れません。また、とっさのことにも応用がきくようになります。
さらに、脈々と受け継がれてきた作法やしきたりの裏側にある「美意識」を知ることで、背筋がスッと伸び、しぐさが変わっていくことでしょう。
すると、自ずと品格が醸し出されていくのです。
創業132年の呉服屋を営む著者による「一生ものの知識」を、本書で学んでいきましょう。
もともとこのKindle版が「10%OFF」のお値段でしたから、「50%ポイント還元」とあわせて600円以上お買い得となります!
Tea ceremony instruments / ai3310X
【ポイント】
■1.おじぎは対等であることを認め合う儀式「日本人だけがペコペコと頭を下げる姿は卑屈に見える」
外国の人たちが握手を交わす中、こう言われることがあります。
本来は、外国人が握手をするのも、日本人がおじぎをするのも同じ意味です。
外国人が握手するときは、右手を預けることで相手への敵意がないことを表します。同様におじぎも、体でもっとも重要な部分である頭を下げることでそれを示します。
外国の挨拶が握手やハグなのに対して、日本でおじぎが挨拶になったのは高温多湿で、特に夏場はベタベタし、体を触れ合うのは互いに不快感を抱きかねないためだといわれています。離れたままでできるおじぎが挨拶になったのは、日本だけでなく、高温多湿の東南アジアの国々でも同じです。
すぐに慣れ慣れしく寄って行かないで、相手も自分も独立した人間でありお互いに対等であることを認め合おうとするひとつの儀式なのです。
■2.後ろ向きに靴を脱ぐのがマナー違反である2つの理由
よく見受けられるのが、玄関でくるっと向き直って靴を脱ぐ様です。
履物を 揃えて、つま先を入り口の方へ向けるのは一見丁寧な脱ぎ方に思えます。それがマナー違反である理由は2つあります。
ひとつには、後ろ向きになったとき、家の方にお尻を向けることになるからです。2つめには、足先でチョッチョッと靴を揃えるのはみっともない光景だからです。誰に対して失礼というわけではないですが、確かに見苦しいです。
つま先が室内、かかとが入り口の方を向いている状態、つまり「脱いだまま家へ上がる」の形がマナーになったのは茶道の影響によるものです。
脱ぐときはまず両足を揃えてつま先を家の中に向けて脱ぎます。
そして、上がってから相手にお尻を向けないよう体をやや斜めにして、つま先を外に揃え、邪魔にならないところに置きます。
■3.右を上にすることが、物を包むときの作法
白い和紙で品物を包むことには、その品物自体を「清める」意味があります。
そして、風呂敷で包むことは「大切な品物です」ということを表しています。
そのために、和紙にも風呂敷にも包み方に作法があります。
重ね合わせたときに、必ず向かって右が上にくるように包むのです。
人に着物を着せていると考えればわかりやすいでしょう。左右を逆にして着物を着せるのは「左前」といい、死去された人に着物を着せるときの作法です。ですから、これをひとつ間違えるとお祝いの品でも不幸の品になってしまうのです。
菓子箱などを包装紙で包み、セロハンテープで留めるときも、必ず向かって右が上にこなければいけません。近頃はそんなことにおかまいなく包まれるお店があり、驚くこともしばしばです。
■4.出迎えよりも見送りに心遣いする
禅の言葉に「出迎え三歩、見送り七歩」という表現があります。
出迎えよりも、見送りに心遣いをしっかりしなさいということです。(中略)
私の呉服店でも、できるだけみなでお客様を外までお見送りすることにしています。というのも、名残惜しくてみなが外まで付いて行ってしまうからです。大抵はきちんとおじぎをした後、手を振っています。
あるとき、初めてのお客様がニコニコして親しげに来店されました。「なぜ当店へ来てくださったのですか?」と聞いたところ答えは意外なことでした。
「この店って何? 見送っている人たちがフレンドリーで、一度入ってみたかったんです」と言われました。お店の前を車で通る度に、よくお客様を見送っている場面を見ていたそうです。思いもしないところで気持ちが伝わっていたのだとびっくりしました。
■5.夫婦間でも感謝を伝え合う
知り合っただけでも奇跡のように「ありがたい」ことなのに、夫婦として生活を共にする人との縁は深い関係です。強い絆で結ばれた運命共同体です。
初めて会ったときの情景を思い出してお互いの人格を認め合えば、感謝したり反省したりするきっかけにもなります。感謝する理由が見つからないのは、見つけられない自分の過ちです。
「ありがとう」は言われる側だけでなく、言っている本人も心地よい気分になるという不思議な力をもっています。常に顔を合わせている夫婦だからこそ、原点に返って「ありがとう」の気持ちを言葉にして伝え合うことは重要です。
一番身近な夫婦の間で、日々きちんと感謝の気持ちを伝えることで、社会においても良い人間関係を長く保てるようになるのだと思うのです。
【感想】
◆なかなか読みごたえがあるマナー本でした。本書が類書と大きく異なる点は、冒頭の内容紹介でも触れられているように、そのマナーの歴史や由来にまで言及していること。
もちろん相手からしてみれば、目に映る所作は同じなのですが、行う側からすると、その背景まで理解していることで、忘れなかったり、応用が効いたりするワケです。
たとえば上記ポイントの1番目のお辞儀は、握手同様に「相手への敵意がないこと」を表すため、と考えれば何らおかしくはありません。
ただしコメツキバッタのようにペコペコと頭を下げるのは、当然ですけどNG!
1回でいいので、しっかり頭を下げることが大事です。
ちなみに昨今のコロナの感染のことを考えれば、握手よりもお辞儀の方が安全だったりしますよね。
◆同じく上記ポイントの2番目の「後ろ向きに靴を脱ぐ」というのは、実は私はやってしまっていました(いい年こいて)。
むしろ、靴を靴箱にしまうような場合(外食や旅館等)だと、いずれにせよ靴を手にする必要があるので、正面から脱いでいましたけど、そのまま靴を並べて置く場合は、後ろ向きに脱いでいた次第。
また、手で揃えるときにも、引用したように「相手にお尻を向けないよう」にするのがミソです。
ただし例外があって、それが「トイレのスリッパ」。
スリッパを揃えて置くためにも次に履く人のためにも、不浄のトイレのスリッパには、手を触れず後ろ向きに脱ぐのが作法となりました。逆に言うと、同じことを玄関で行うと、「ここはトイレだ」というのに等しくなりますから、くれぐれも訪問先の玄関等ではご注意ください。
◆さらにまったく知らなかったのが、上記ポイントの3番目の「物を包むときの作法」です。
「右前」「左前」の知識はありましたけど、まさか物を包むときにまで、それを意識しなくてはならなかったとは。
幸い、買い物をした物を店員さんに包んでもらうことはあっても、自分で物をイチから包むことはほぼなかったので、ボロを出さずに済んでいたという……。
何かをプレゼントをするのに自分でラッピングする際にも、ラッピングペーパーではなくて、ラッピング袋を多用していたのが良かったです。
なお、これは物を包むだけでなく、同じ理由で店のガラス戸や建具も必ず右を上にしてはめるのだそう。
覚えておくと、どちらの扉を先に閉じたらいいのか間違えずに済みますね。
◆一方、上記ポイントの4番目の「見送り」のお話は、しっかり行うお店とそうでないお店が分かれそうです。
さすがに著者の山本さんのお店のように、通行人が気になるくらい、しっかり見送るお店は少ないと思いますが、ある程度以上のお値段のお店は、おしなべて実践している感じ。
また、お店によっては、店の出口まで買った品物を持ってきて、店を出る際に渡してくれたりします。
私も行きつけのお店で、そういうところがあるものの、背中に視線は感じるし、下手に振り替えると、お互い会釈しなくてはならない気がして、できるだけ早く角を曲がるようにしてます(小心者)。
なお、本来は振り返って、一礼をするのがマナーなんですけどね。
◆実はこの辺までで、まだ本書の半分くらいでした。
第3章では食事の際のマナーが細かく載せられているのですが、特にお箸の扱い方はマナー本でも詳しいので割愛。
お蕎麦をすする音も、日本では「あり」とされていますが、私は学生時代に短期留学先の英国のカフェで、一瞬気を抜いてコーヒーをすすったところ、店内のほぼ全員がこちらを見たというトラウマがあって、それ以来うまくすすることができません。
いえ、物理的にすすること自体はできるのですが、誰かに見られている気がして味わえなくなるという(自室で一人で食べているときは大丈夫ですが)。
また、第4章から抜き出した上記ポイントの5番目は、日頃から心がけたいことです。
実際、ウチはヨメが私以上に仕事が忙しいのに、料理は全部やってくれていますから、感謝することしきり。
この第4章は自己啓発的なお話が多く、この辺も単なるマナー本とは一線を画しているため、当ブログの読者さん向きだと思います。
創業132年の呉服屋さんだからこそ語れる内容の1冊!
品格の教科書
1章 しぐさの品格
2章 お付き合いの品格
3章 食の品格
4章 人生の品格
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【編集後記】
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