2022年04月14日
【文章術】『神・文章術 圧倒的な世界観で多くの人を魅了する』フミコフミオ

神・文章術 圧倒的な世界観で多くの人を魅了する
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「KADOKAWA 春の文芸書&ビジネスフェア2022」でも人気の高い文章術本。はてな界隈ではブログ記事がバズりまくるフミコフミオさんが、その執筆の秘訣を明かした作品です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
書くだけであなたも天才になれる!
誰でも、簡単に・・・
多くの人々の心を動かす文章がスラスラ書けるようになる!
自分だけの独自の世界観を演出することができる!
オリジナルな物語がつくれるようになる!
書くことであらゆる悩みを解決できる!
SNSの反応率がめちゃくちゃ上がる!
そのための技術を、これ1冊にまとめました。
中古価格に送料を加味すると、ほぼ定価並みとなりますから、このKindle版が800円弱お買い得です!

Day 148: The end of the line / Bruce Guenter
【ポイント】
■1.「書き残す」のではなく「書き捨てる」メモやノートや予定帳のように「書き残すもの」には、あとで読み返して勉強の参考にする、記憶を補塡するといった、何らかの意図と目的がある。読み返すためには、ある程度体裁を整える必要もある。
それに対して「書き捨て」は、残さないことを前提にしているので、目的や意図や必要性に縛られない。体裁を整える必要もなく、気楽に自由に書ける。むしろ、ぐちゃぐちゃでもいいくらいだ。(中略)
書き捨てはひとりカラオケだ。観客のいない、ひとりカラオケなら、音程を外そうが歌詞がめちゃくちゃだろうが自由になれる。アレンジだって自由自在。書き捨ては、ひとりカラオケと同じように、ルールや常識から逸脱して自由になれるのである。
■2.良い記録(メモ)が良い創造(文章)を生む
メモを取って「記録」することは、知識や経験を言葉によって確実なものにして、創造のための「土台」をつくることである。あるいは、小説を書く際の取材メモや創作メモのような「素材」づくりと言ったほうがイメージしやすいかもしれない。
それに対して、「文章を書くこと」は「創造」にあたる。「創造」とは、何もないところを自分の言葉で開拓していくようなものだ。だが、創造はゼロからは生まれない。「記録」という土台があってこそ「創造」はなされる。
仕事でも、顧客のニーズをまとめたメモを眺めているうちに発想が生まれて、企画や提案につながる。「メモ=記録」が正確なものでなければ、良い発想は生まれない。良い記録が良い創造を生むのである。
■3.「嫌いなもの」について書くと発見がある
「イヤなものや嫌いなものなど考えたくない」と考えてしまう状態は、思考停止である。何も得られない。僕は同じ部屋の空気を吸いたくないほど嫌いな上司について、なぜ吐き気がするほどイヤなのか、その理由を書き出していくことで、感覚ではなく理屈で、嫌いな理由を整理することができた。また、避けていた上司から、ごくまれに得るものもあった。
「性格が合わない」という理由だけで、成果を出している人の「秀でていること」を取り入れないのは大きなマイナスだと断言できる。
「嫌いなもの」を嫌いなままで終わらせない。僕らの人生は短い。触れられる資源は少ない。資源は有効に使おう。デスノートで嫌いな相手を突然死させるより、自分にとって利のある行動をさせてから死に至らせるほうが、役に立つ。
■4.初期衝動を再確認する
普通に生きていれば、慣れで、初期衝動は失われてしまう。一方、事業やスポーツで成功した人はインタビューなどで「子供の頃の夢を忘れずに結果を求めてきただけです」と、初期衝動を口にしている。その差は何だろうか。
大きな成功をつかむ人は、初期衝動や子供の頃に見た夢を、高解像度で再生できる人なのだ。彼らは脳内に高解像度で再生されたものを、自分の言葉で物語として語り、伝えることができる。
忘れてしまいがちな初期衝動だが、書くことによって再確認すれば一定の鮮度は保てる。ときどき次のようなことを書いてみよう。(1)始めたきっかけ(なぜ、いつ、どうして)
(2)はじめてうまくいったときの記憶
(3)はじめに掲げていた目標
■5.「自分が書きたいもの」を書く
「書くことが何よりも好きです」と言われると嬉しい。同じ種類の人間を発見した喜びだ。だが、よく話を聞いていくと、喜びがしぼんでしまう。なぜなら「書くことが好き」と言っている人のほとんどは、「書くこと」が好きなのではなく、書かれた文章が多くの人に読まれること、「バズること」が好きだからだ。
最初に「文章を書きたい」「物語りをしてみたい」と思ったときは、自分が書きたいものを書きたいと思ったはずだ。「書きたいから書く」は、完全にごく個人的な衝動である。できる限り、そこに他者を介在させないようにしよう。「誰かが読みたいもの」ではなく「自分が書きたいもの」を書こう。
プロでない限り、自分で書きたいものを書いて、「評価されたらラッキー、評価されなくても気にしない」。それくらいの、軽い気持ちでいたい。
【感想】
◆はてなブロガーさんや、はてなブックマーク人気エントリー(通称「ホッテントリ」)を利用している方にとっては、本書の著者であるフミコフミオさんは、説明する必要のないほど有名な人。一方、昨今の「ネット利用のほとんどがSNS」というように、ブログとは縁遠い方だと、あまりご存じないかもしれません。
私は一応ブロガーなので、結構昔から目にしていたんですが、フミコさんのブログの記事で初めて読んだのは、確かこちらだったと記憶しています。
密室にとじこめられてます - Everything you've ever Dreamed
はい、思いっきりブックマーク1000超のバズり記事ですね。
他にも、どう考えても「ネタ(フィクション)」としか思えない上司のお話で、バズりまくっていた日々が懐かしいです。
上司の言葉をまとめてみた。 - Everything you've ever Dreamed
こちらも安定のブクマ480超。
◆今般久しぶりに、バズった記事ではなくトップページからお邪魔したら、いきなりこんな記事が掲載されていました。
諸事情によりブログ更新を停止することになりそうです。 - Everything you've ever Dreamed
何かと思いきや、ガラケーが壊れてスマホに移行されたとのこと。
実は本書でも明らかにされているのですが、フミコさん、あらゆる媒体の記事をガラケーで書かれていたのだそうです(知らなんだ)。
ガラケー以外で執筆した経験がほぼないので今後どうなるか不透明な状況ですが、間違いなく以前と同じようには更新できなくなります。……ケータイ小説家かYO!!
さすがに本書では、ガラケー執筆を勧められてはいませんが、「効率よく整った文章を書く」ことを目指している類書とは、完全に一線を画していることがお分かりいただけると思います。
◆そもそも類書と異なるのは第1章からでして、章題も「『捨てる前提で書く』ことに意味がある」。
そこから抜き出した上記ポイントの1番目にもあるように、自分の想いや考えを「書き捨てる」のが、基本戦略となります。
個人的には、無理に捨てないでも段ボールにでも溜めておけばいいじゃん、と思うのですが、「残さないことを前提としている」がゆえに、自由奔放に書ける、という狙いなのでしょうね。
また、「書き捨てる」といいつつも、それとは別に記録として「メモを取る」ということも推奨(上記ポイントの2番目)。
これは第2章から引用したのですが、その後の「創造作業」のためにも「記録」することは必要なようです。
なお、その後の部分で「メモは手帳、文章は専用ノート」のように、両者で用いるツールを分けることも提案されていましたので、ご参考まで。
◆一方、上記ポイントの3番目は、第3章から抜き出したもの。
上記でも触れたように、フミコさんのブログでは、キャラが立ちまくった上司の言動に振り回されるのがお約束だったのですが、まさにその描写を続けていたことで、大きなリターンもあったと思います。
……私だったら、速攻で転職していたと思いますが。
さらに第4章では、「書けない原因と対処法について」というアドバイスが登場します。
書けない原因となる「準備不足」やら「言い訳」やら「理由」を、1つずつ潰すのも当然なのですが、興味深かったのが、上記ポイントの「初期衝動」でした。
私自身の「初期衝動」と言えば、子どもの頃から演奏したり聴いたり批評してきた音楽な気がするのですが(中1の時には音楽ネタの壁新聞を作ったこともありますw)、そういう「ハマり方」を久しぶりに思いださせてくれたのが、藤井風さんだと思う次第……。

MUSICA(ムジカ) 2022年 05月号
◆また第5章では、今まで「書き捨て」てきたことで構築された世界観を「物語る」手順が指南されています。
量も増えて「400字程度」と、ちょっとしたボリュームに。
ここらでやっと(?)書き出しやら構成について、結構丁寧に言及されていますので、ぜひお目通しください。
ただし、ちょっと意外だったのが、上記ポイントの5番目にあるように「バズりは狙わない」「自分が書きたいものを書く」というスタンスだったこと。
これだけバズりまくっているフミコさんに「バズったのは結果論」と言われてしまうと、返す言葉もございません(涙目)。
なお、巻末では「学習小説」全9話が収録されており、ここでの解説やQ&A形式で、さらに理解が深まる仕様になっていますから、こちらもお忘れなく。
トップブロガーのスキルを学ぶべし!

神・文章術 圧倒的な世界観で多くの人を魅了する
第1章 「捨てる前提で書く」ことに意味がある
第2章 書くだけであなたも天才になれる
第3章 圧倒的な世界観で多くの人を魅了する書き方・伝え方
第4章 書けない原因と対処法について
第5章 「物語る」という行為は人生に何をもたらすのか
第6章 書かずにいられなくなる仕組みづくり
実践編 学習小説「書くか、くたばるか」
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【スゴ本】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎(2011年09月09日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話
おなじみのシリーズからの脳ネタ本は、Kindle版が500円弱お得。

学校では教えてくれないアーティストのなり方
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【編集後記2】
◆昨日も触れましたが、改めて1日集計後の「Kindle本 科学・テクノロジーセール」の講談社分で人気が高かったのは、この辺の作品でした。
算法勝負! 「江戸の数学」に挑戦 どこまで解ける? 「算額」28題 (ブルーバックス)

オリンピックに勝つ物理学 「摩擦」と「抵抗」に勝機を見出せ! (ブルーバックス)

日本の深海 資源と生物のフロンティア (ブルーバックス)

エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング (KSスポーツ医科学書)
よろしければ、ご参考まで!

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