2022年04月11日
【経営】『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』永井孝尚

世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA 春の文芸書&ビジネスフェア2022」の中でも、個人的に読みたかった1冊。過去2冊もレビュー済みである、おなじみ永井孝尚さんの「必読書50冊を1冊にまとめてみた」シリーズの3冊目になります。
アマゾンの内容紹介から。
●10万部突破のベストセラー『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』の第3弾●内容:ドラッカーやポーターといった古典・著名学者が登場。書籍も『プロフェッショナルマネジャー』『現代の経営』『ザ・ゴール』といった定番書から『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』『OKR』といった最新理論まで網羅●マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)、ラリー・ペイジ(Google創設者)、ベン・ホロイッツなど起業家からビルゲイツなどの名経営者も推薦する書籍を紹介。
中古がほとんど値下がりしていませんから、このKindle版が900円弱お買い得です!

sketchnote project management / Luigi Mengato
【ポイント】
■1.組織と相性がいいマネジャーを選ぶマネジャーと組織には相性がある。これは夫婦の相性と同じだ。私にとっての最高の伴侶が、あなたにとっても最高の伴侶とは限らない。ミンツバーグは「いい妻」「いい夫」というものはなく、「いい夫婦」しか存在しないのと同様に、マネジャーと組織の関係も、互いの相性が大事だと言う。どんな状況でも「いいマネジャー」というものは存在しない。
いいマネジャーとは、その組織で必要なスタイルを実践できる人物だ。組織環境と相性がいいマネジャーを選ぶべきだ。
マネジャーの実像
■2.副業でうまくいきそうならフルタイム起業
世界最先端の経営学では、ハイブリッド起業の研究も進んでいる。本書では、スウェーデンで1994年にハイテク産業に就職した20〜50歳の男性4万4613人の行動を追跡したデータを統計分析し、検証した研究を紹介している。7年後に起業したのは5%弱の2191人。うち966人が会社を辞めないハイブリッド起業。残り1225人はフルタイム起業だったが、このうち2割はハイブリッド起業経由。つまりハイブリッド起業が過半数だった。
ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学
■3.心理的安全性のない組織は「沈黙」する
心理的安全性が低い組織で黙ってしまう人間の本能は、こんな言葉にも表現されている。「沈黙していたために解雇された人は、これまで一人もいない」
これは、人の上に立つ人にぜひ覚えておいてほしい。大事な場面で社員が意見を言えない状況は、見た目ではわからない。外から見えないから、マネジャーは軌道修正できない。だから、VWのような大問題が起こる。
これは見方を変えると、隠れたチャンスでもある。心理的安全性が低い業界は、心理的に安全な職場にすれば圧倒的な優位に立てる可能性があるのだ。
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
■4.無形資産は「長期停滞」と「格差拡大」を招く
無形資産で莫大な売上と利益をあげる企業は、勝者総取り状態だ。GAFAは無形資産をスケーラブルに増やし、スピルオーバーで他社の無形資産を模倣し、シナジーでさまざまな無形資産を組み合わせて価値を生み出す。実に投資効率が高い。一方でデジタルに疎い企業は真逆である。スピルオーバーの能力がなく、投資しようにもできない。勝ち組と負け組が二極化して投資の低調と低金利が続き、経済の長期低迷が続いている。
無形資産が経済を支配する―資本のない資本主義の正体
■5.理想のリーダーシップ像はない
本書によると、「あるべきリーダーの姿」を考えること自体が大間違い。そんなものがあれば、リーダーを目指す人はその姿を再現しようと頑張る羽目に陥るが、周囲は本能的に「それって、演技でしょ?」と見抜く。実際この半世紀、リーダーシップの研究者は1000以上の調査研究で「あるべきリーダーの姿」を探ったが、理想のリーダーシップ像を突き止めた研究はひとつもない。本書の執筆陣もリーダー125人を調査したが、共通の特徴・特性・スキルは何ひとつ見いだせなかったという。
ハーバード・ビジネス・レビュー[EIシリーズ] オーセンティック・リーダーシップ――EI:エモーショナル・インテリジェンス・シリーズ
【感想】
◆過去2冊同様、相変わらず濃厚な内容のブックガイドでした。ただ、過去2冊と若干異なるのが、今まではタイトルが「世界のエリートが学んでいる〜」だったのが、今回は「世界の起業家が学んでいる〜」になったこと。
もっとも書籍のタイトルは、著者さんではなく版元サイドが付けることがほとんどなので、この辺は「経営」というテーマからの流れ(?)だと思います。
とにかくMBAの授業で取り扱われるような、「王道」や「古典」的な作品がほとんどですし、全50冊、いずれも読んでおくのにこしたことはない名著ぞろいという。
ちなみに巻末には、過去2冊で取り扱った作品の一覧も、寸評とともに掲載されているのもポイント高し!
これらはすべて、かぶらないようにセレクトされていますから、シリーズとしては全50冊のブックガイドということになります。
◆また、冒頭の内容紹介でもあったように、今回も著名起業家や経営者が推薦する書籍が多々。
それにメディアも加えたところで、どんな感じかいくつかご紹介してみますと……。

HIGH OUTPUT MANAGEMENT
起業家のベン・ホロウィッツは、本書の序文で「私の起業当時、シリコンバレーのリーダーたちは争って本書を読んでいた」と書いているし、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグも「私のマネジメントスタイルをつくる上で本書は大いに役立った」と述べている。

学習する組織 ― システム思考で未来を創造する
『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌は「この75年間でマネジメントに最も影響を与えた本の一冊」に本書を選出。米国アマゾンでも高評価の書評が多い。本書が広く支持されている証しである。

破天荒!!―サウスウエスト航空 驚愕の経営
エクセレント・カンパニー』(英治出版)の著者であるトム・ピーターズは、序文で「今年ビジネス書を1冊しか読む暇がない人には、ぜひ本書を推薦したい」と書いている。

米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方
米国のアマゾンで書評数4000件のベストセラーであり、米国の日刊紙『USAトゥデイ』では「最高のビジネス書 12 冊の中の1冊」と高く評価されている。
……何やらこういうのだけご紹介した方が、喜ばれそうな悪寒(涙目)。
◆なお、本書は下記目次にあるように「経営と組織」「仕組み」「人材」「お金」「リーダーシップ」「 社会と未来。」と全6章から構成。
この記事では、最後の第6章以外の各章から悩んだ上で1冊を選び、その中から一部分を抜き出して、上記でポイントとしてご紹介しています。
また形式的には、永井さんが選んだこの50冊について、エッセンスが抽出されており、多忙なビジネスパーソンのために「仕事でどう活かせるか」「わかりやすさ」「おもしろさ」の3点を重視しているとのこと。
ただでさえ濃縮された内容から、勝手に抜き出すのも忍びないのですが、こちらとしては対象となる作品のタイトルや書影も含めてご紹介する関係上、文章部分もいつもよりやや短くなっています。
結果、前後がなくて分かりにくい部分もあるのはお許しを(たとえば上記ポイントの2番目にある「ハイブリッド起業」とは、本業の傍らに起業することで、俗にいう副業になります)。
◆また、少ないながらも、当ブログでレビュー済みの作品を挙げておくと、今回はこんな感じでした。

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
参考記事:【失敗?】『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』マシュー・サイド(2016年12月28日)

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
参考記事:【スゴ本!】「はじめの一歩を踏み出そう」マイケル・E・ガーバー(2008年09月10日)

やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
参考記事:【グリット?】『やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』アンジェラ・ダックワース(2016年09月12日)

座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」 (角川新書)
参考記事:【名著解説】『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』出口治明(2020年09月18日)
……過去2冊よりもやや少なめですけど、テーマが「経営」ですから、致し方ないですね。
◆もちろん、本書を読んだからといって、扱われている各作品を読んだことにはなりませんが、だいたいの「アタリ」を付けることは十分可能だと思います。
とにかく経営本は厚い作品が多いですから、ハズすとひどい目に合うワケで。
何せ400ページ超とか当たり前の世界ですし、この本とかは極端ですが、659ページもあるという。

競争優位の戦略―いかに高業績を持続させるか
いずれにせよ、今後Kindleセールに本書収録の作品があれば、本書を片手に吟味することも可能です。
私もKindleセールで見かけた作品については、改めて本書や過去2冊を合わせて検討したいな、と思う次第。
当ブログの読者さんなら要チェックの1冊です!

世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた
第1章 経営と組織
第2章 仕組み
第3章 人材
第4章 お金
第5章 リーダーシップ
第6章 社会と未来
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【仮説検証】『売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証(PDCA)』永井孝尚(2019年02月11日
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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中古でマンションをお考えの方なら要チェックな1冊は、中古が値崩れしていますが、送料を加味すればKindle版がお買い得。

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【編集後記2】
◆一昨日の「KADOKAWA 春の文芸書&ビジネスフェア2022」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた

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よろしければご参考まで!

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