2022年04月04日
【勉強法】『元バカによるバカのための勉強100カ条!』でんがん
元バカによるバカのための勉強100カ条!
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった勉強本。著者のでんがんさんは「チャンネル登録者数170万人超の人気理系YouTuber」というと何となく軽そう(?)ですが、「大阪大学基礎工学部卒」の方ですから、とても「バカ」とは言えないと思います(だから「元」が付いている模様)。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
勉強が苦手な人のための、一発逆転できる超勉強法を初公開!
わずか1年間で偏差値が40から70に上がった著者がかつての自分と同じ、愛すべき「バカ」のために、「バカなりに考える勉強法」について、100箇条の形式で解説します。
受験生から学び直しの社会人まで必読の1冊!
中古が定価の倍以上しますから、私は当然Kindle版で読みました!
Study study. / morrisjoyce
【ポイント】
■1.知識の「伏線回収」をする要因はいろいろと挙げられますが、僕の場合、今まで公式や知識を「点」で覚えていたものがすべて「線」でつながったのが、数カ月での成績急上昇につながったと思われます。
例えるなら、映画を観ているときに、当初は意味不明な登場人物について、後々の伏線回収で「そういうことか」と理解できる感覚に近いです。最初はバラバラに見えていた登場人物の関係性が1つの線でつながり、「そういうことか!」と納得するときは、映画を観ていても、特に楽しい瞬間ですよね。成績が伸びていない人は、過去の「知識」の本当の意味を伏線回収できていないということです。(中略)
成績に低迷期が存在するのは、知識がまだ「点」の段階だからです。
つまり、公式をただ暗記するだけの勉強を続けていては、知識は点のままになり、成績は上がらないということです。
■2.成果につなげるためにアウトプットする
学生時代、僕はある有名講師の英語の授業を受けました。その授業の「前置詞」の解説が本当に素晴らしく目から鱗で、僕は前置詞を完全に理解できたと思いました。
ところが、いざ試験で前置詞の問題が出されると、授業を受ける前と比べて、さほど正答率が上がっていないのです。バカな僕は、「あの先生の授業を受けたのに、いったいなぜだ!?」と、途方に暮れた記憶があります。この原因は、ただのアウトプット不足です。インプットだけでは、その知識が脳の中に入ったとしても整理されていないのです。
自分で「こういうことじゃないか?」と調べて書き出してみたり、人にその知識を説明してみたりというアウトプットをすることで、脳の中で知識が整理され、少しずつ「できる」に変わっていくのです。
インプットだけでは、頭の中がまだ整理されてないカオスな状態なのです。カオスを脱却し、脳を整理された状態にするには、アウトプットの過程が欠かせません。
■3.単語の暗記は2、3日空けて反復する
最初は、とにかく500個すべてにザッと目を通すことを優先します。
そして、2〜3日後に、もう一度この500個に目を通すようにするのです。
2、3日という期間について、「期間を空けず、毎日やったほうがいいのでは?」と、思った人がいるかもしれません。僕の経験上、少し期間を空けたほうが効果的だと考えています。なぜなら、単語に毎日触れ合うと、短期記憶になりやすいと思うからです。
高校生のとき、僕は毎日英単語を覚えようとしていましたが、どれだけ頑張っても、1週間くらいしかもたない記憶、いわゆる短期記憶になってしまっていました。
直前のことよりも、少し昔のことを思い出すほうが、長期記憶になりやすいと僕は思っています。これは間隔反復と呼ばれていて、ある研究では、単語のような非常に多くの事柄を記憶する場合に有効だそうです。なので、単語の暗記については2、3日空けて反復する方法をオススメしたいと思います(間隔は1週間ほど空けてもよいですが、ここでは時間が限られている受験を想定して2、3日としました)。
■4.模試でペンが止まった所に印をつける
たとえば、英語の長文を読んでいて、ピタッと手が止まる瞬間があります。
そのとき、「単語」がわからなくてつまずいたのか、それとも「文法」がわからなかったのか、「文の解釈」ができなかったのか、などと原因を考えることが大切です。(中略)
なるべく素早く印をつけるため、僕は次のような工夫をしていました。
「単語がわからなかったら1番」
「文法がわからなかったら2番」
「解釈がわからなかったら3番」
このように、あらかじめ「わからなかったケース」ごとに番号を決めておくだけで、試験中の時間をほとんど失うことなく、問題用紙に印がつけられます。
これだけで、復習が相当やりやすくなります。模試が終わって、問題用紙を復習教材として使う際、このメモに基づけば効率的に復習できます。
■5.参考書と問題集の選び方
受験に限った話をすれば、「インプット」に使う参考書は、教科書だけでいいと僕は思っています。
なぜなら、学校の教科書は、受験においては必須の基礎ばかりだからです。
教科書であれば、分厚い参考書よりも薄めのものが多いので、取り組みやすいと思います。
『チャート式』のような分厚い参考書を使うときは、「辞書」代わりにするのがオススメです。
数学でわからない問題があったり、同系統のパターンの問題を知りたかったりするときに、『チャート式』にあたって、自分がほしい情報だけを読むという要領で使うと有効活用できると思います。(中略)
問題集は、様々な問題のパターンが載っていて量をこなせる「分厚い問題集」よりも、問題が厳選された「薄めの問題集」を徹底的にやるほうが効果的だというのが僕の考えです。
なぜなら、厳選された30問が載っている薄い問題集を5回やるほうが、150問掲載された分厚い問題集をやるよりも、心理的な負担が軽いので継続しやすいからです。
【感想】
◆正直、タイトルでちょっと引いていた(?)ので、実際に読者の皆さんの反応がよくなければ、読まなかったかもしれない作品でした。しかし、無料サンプルで読んだ範囲で、「これはいける」と判断。
実際、内容的には大学受験にやや注力している部分はありますが、おおむね良質な勉強本と言えると思います。
ちなみに、100カ条のそれぞれの頭に★が付いていて、★3つは「全員に読んでほしい(でんがん流勉強法の核になる話)」、2つは「受験生や学生に読んでほしい(勉強・受験の細かいテクニック論)」、1つは「社会人や就活生に読んでほしい(マインド面や人生全般に通じる話)」と区分されているという。
ただし上記ポイントで言うと、2番目を除いてすべて★2つのテクニック論に終始してしまったのは、当ブログというか私自身の趣向なんですが。
◆また、本書で個人的に惹かれたのが、著者のでんがんさんの言語化能力や比喩能力です。
たとえば上記ポイントの1番目の「伏線回収」という表現は、私自身、ストーンと腑に落ちました。
確かに暗記した単なる知識や情報に過ぎなかったものが、使えるものになるのは、こういう瞬間だったと自分でも思います。
同じようなたとえ(?)として、「ドラクエのようなRPGで宝箱を見つけたら、とりあえずとっておく」という話も割愛した中にありました。
これは、「何に使うか分からない知識もとっておく」ということであり、受験では活かせなくとも、その後の人生において何かしら使えるシーンがあるかもしれません(それこそ「コネクティング・ザ・ドッツ」ですね)。
◆一方、上記ポイントの2番目のアウトプットの重要性は、類書でも力説されているお話です。
個人的にはベストのアウトプットは受験(模試等を含む)だと思いますが、ここにあるように、書き出してみたり、人に説明することでも、十分効果はあるかと。
同様に上記ポイントの3番目の「記憶するための反復」も、王道ではあります。
ただし、数は別としても「500個に目を通す」というのは、あまり見かけない方法ですし、さらに、毎日暗記しようとすると「短期記憶になる」というのは知りませんでした。
私だったら、「100個ずつ覚えて、その日のうちにテスト」を5日連続でやり、6日目からは、間違えたやつだけで2周目を回す……みたいなやり方でやってましたけど、これだと個数が少ない分、間はさらに空いてましたね。
でも、引用部分の最後に「1週間ほど空けてもよい」とあったので、結果オーライで。
いずれにせよ、これから暗記される方は、とりあえず本書のやり方を試してみていただけたら、と思います。
◆さらに上記ポイントの4番目の、模試で問題に印を付けるというのは、私はムスコに口を酸っぱくして言ってたのですが、最後までできませんでした。
確かに、模試によっては問題が回収されてしまう(他の日に同じ試験を行う等のため)ので、その場合はできませんでしたけど、これをやっておくと、模試の復習の精度が非常に高まります。
また割愛したお話でも「模試の復習はできる限り早く」とあるのですが、同じくそれも復習の質を上げるために他なりません。
特に、プロセスが大事な問題は、模試の帰りにカフェに立ち寄って復習するくらい、1分1秒でも早く行うようにするのが理想です。結局、模試は模試であって、そこでの成績に一喜一憂するよりも、本番に向けて実力を高めなければなりませんから、たとえ時間がギチギチでも、印付けにはこだわっていただきたいところです。
そうでないと、模試でせっかく気づいた自分の弱点を放置してしまうことになります。
◆なお、上記ポイントの5番目の教材の選び方についても、納得できるもの。
受験でなくとも「基本書は薄いもの」と社会人の学習でも言われていますしね。
また、「分厚い参考書は辞書代わり」と言われていますから、むしろ「辞書代わり」という視点で参考書を選ぶと良いかもしれません。
ところで引用部分で『チャート式』と出てきましたが、本書の第4章は「科目別勉強法」ということで、主に大学受験用となっています。
ここだけは高校生(やその親御さん)以外の方には活用できませんが、本書はおおむね納得できる内容と言えるかと。
残り95カ条については、本書にてご確認ください!
元バカによるバカのための勉強100カ条!
第1章 勉強とはなにか?
第2章 勉強の仕方
第3章 目標や計画の立て方
第4章 科目別勉強法
第5章 塾・参考書との付き合い方
第6章 受験の仕方
第7章 日常生活の過ごし方
第8章 モチベーションの上げ方
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。こども地政学 なぜ地政学が必要なのかがわかる本
今まで漠然と「戦争」をとらえていたムスコも、昨今の世界情勢を鑑みるに興味を持ってきたので、この本も勧めてみたいところ。
中古が定価を大きく上回りますから、Kindle版が900円弱お得な計算です!
ご声援ありがとうございました!
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