2022年03月17日
【中高年必読?】『人事の超プロが教える 会社員 50歳からの生き残り戦略』西尾 太
人事の超プロが教える 会社員 50歳からの生き残り戦略 (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で注目を集めていた1冊。現在の日本においてボリューム層となりつつある、「50代」のビジネスパーソンの働き方について指南した作品です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は「50代社員に関する意識調査」の結果をふまえたうえで、50代の強みを分析。必須となるコミュニケーションの知識や、転職・独立しても困らない「年収を維持・向上する力」などを解説する。
巻末に、「これだけはやめよう」「これをやってみよう」チェックリストも収録。
中古価格が定価を上回っていますから、「13%OFF」のKindle版がオススメです!
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【ポイント】
■1.パフォーマンスより年収が高い人は危ない次に、20〜40代の人たちに「あなたの職場における50代の社員の給料は、仕事の成果と比べて、適正だと思いますか。」と聞いてみました。また、50代の社員100名にも、同じ質問をしてみました。
50代社員の給料は、仕事の成果と比べて「低いと思う」と答えた20〜40代の回答は、10.3%。一方、50代は38.0%。仕事の成果と比べて「自分の給料は低い」と考えている50代が約4倍もいることになります。これは危険ですよ。
また、50代社員の給料は仕事の成果と比べて「高いと思う」と答えた20〜40代の回答が22.7%なのに対して、50代で「高い」と答えた割合は半分以下の9.0%。50代の給与を仕事の成果と比べて「高い」と考えている20〜40代と、「低い」と考えている50代の認識のズレが浮き彫りとなる結果になりました。
■2.キャリアの棚卸しをする
50代になったら、キャリアの棚卸しが必要です。
これまでの仕事を振り返り、自分は何が得意なのか、何が苦手なのか、「できることリスト」と「苦手なことリスト」を書き出してみましょう。
考えるだけでなく、書くことが大事です。人間は書くことによって脳にインプットされ、明確に認識できます。たとえ自己評価が低い人であっても、20年、30年と働いてきたのですから、得意なことは絶対にあるはずです。「自分にできることは何だろう」「若い人に教えられることは何だろう」と考えて、改めて言葉にしてみてください。
苦手なことを認識することによって、努力して克服するなり、致命傷にならないレベルまで身につけるなり、具体的な行動に移すことができます。
「得意なこと」と「苦手なこと」を示してくれれば、周囲も「じゃあ、これお願いします」と言えますし、本当に苦手なことなら頼みません。それによって社内のポジションや職場における役割を明確にすることができます。
■3.管理職として優れている人の8つの行動
次に調査したのは、「どのようにしたら偉大なマネージャーが育つか」。研究チームは、毎年の従業員アンケート、業績評価、Great Managers Awardsのノミネートなど、社内データを分析した結果、組織内の管理職として優れている人に共通する8つの特徴を見つけ出しました。◎組織内の管理職として優れている人を特徴づける共通の8つの行動
1 よき指導者である
2 チームに権限を委譲し、細かいところまで管理しない
3 チームメンバーの成功と個々人の幸せに関心を示す
4 生産的であり、結果重視である
5 コミュニケーションをとる能力が高い
6 チームメンバーのキャリアの開発を手助けする
7 チームに対して明確なビジョンを持っている
8 チームに助言を与える重要な技術スキルを持つ (「Google:マネージャはやはり重要な存在である」)
■4.話が長いのはNG
若手にアドバイスするときの大事なポイントは、短く伝えることです。話が長いのは、若い世代とのコミュニケーションにおいては絶対にNGです。
だらだら長く話すのは、ビジネスコミュニケーションで最もダメな行為のひとつですが、若手は特にアレルギーが強いです。話がちょっとでも長くなると「あの人、話が長いよね」「コミュニケーションスキルが低いよね」となり、聞いてすらもらえなくなります。
できれば60秒、長くても90秒です。
人間が集中力を持続して話を聞いていられる時間は、70秒程度と言われています。それ以上の時間をかけると長く感じ、それ以下だと物足りなく感じるのです。
60秒、90秒というと短く感じるかもしれませんが、就活における自己PRも60秒や90秒が推奨されています。ニュース番組のストレートニュースも、ほとんどが60秒か90秒の長さにまとめられているといいます。物事を伝えるには、実は十分な時間なのです。
■5.転職の際には数年単位で何をしたいか具体的にイメージする
転職の面接で「定年まで頑張りたいです」「長く働きたいです」といった抽象的な志望動機しか言えない人がなぜ活躍しないのかというと、そこに自分の意志がないからです。
会社に入りさえすれば、どうにかなると考えている。何か仕事が与えられ、安定的に仕事ができて、安定的に暮らせるんじゃないか。そういう思いが「できる限り長く働きたいです」「最後の転職にしたいです」といった言葉に表れるのだと思います。
それは「会社は社員にできるだけ長く働いてほしいと思っている」という考えが前提になっているからでしょう。もちろん3ヶ月や6ヶ月で辞めてしまう人は、会社としては困ります。でも実際には「3年、5年ぐらいで成果を上げてほしい」と考えている会社も多いのです。「定年まで働きます」という人が欲しいわけではないんですね。
長く働くことは結果であって目的ではない。活躍する人なら、会社は「まだいてください」と言いますし、そうでなければ「そろそろいいんじゃないですか」となります。
【感想】
◆私たち50代の人間にとっては、非常に切実な内容の作品でした。たまたま私は、ずいぶん前に会社員生活を離脱しているからまだいいものの、もし会社にいたら、冷や汗タラタラもの。
特に初っ端の第1章における「50代社員に関する意識調査」については、正直、自分が20代だった頃の、50代に関するある種の想いが反映されている感じがしました。
まさに上記ポイントの1番目の「パフォーマンスより年収が高い」50代が、自分の周りにもいらした記憶が。
この辺は当時の私が、本当の業務内容が分かってなかった部分はありますが、実際、好景気だった頃は、残業もせずにフラフラ飲みに行ってる中高年というのは、日常風景だったワケでして。
それが不景気の今だと、たとえ会社が黒字でもリストラ等の対象になる次第。
もちろん掲載されている数値は現在のものですけど、他にもセクハラまがいの発言やら、デジタルツールへの後ろ向きな対応等々、実際にグラフ等で明示されると、耳イタイ方はいらっしゃるのではないでしょうか。
◆そこで第2章で提案されているのが、上記ポイントの2番目にある「キャリアの棚卸し」。
前述の意識調査の声でも、「何ができるのかわからない50代」が「困る」という声が多数あったのだそうです。
要は「これだったら、あの人にお願いしよう」という存在にならなければ、先行きが危うい次第。
ただし、苦手なことを逆手にとって「俺はできないからやらない」という開き直りはNGです。
会社が求めているのは、「成長と変化」であり、時代や社会の流れとともに、社員に求められるものも常に変わっていくワケで、それは50代であっても同じこと。
新しいこと、知らないこと、やったことのないことを最初から拒むのではなく、「ああ、それはやったことないけど、わかった。ちょっとやってみるわ」と言える。柔軟な発想と、フットワークの軽い行動ができる50代を目指しましょう。実際、こういう前向きな50代は、アンケートを見ても若い層からの評価が高いようですしね。
◆なお、50代といえば普通は管理職ということで、上記ポイントの3番目の「管理職として優れている人の8つの行動」は、第3章の「50代の強みを考えよう」から抜き出しました。
ちなみにこれは、引用部分の最後にあるようにあのGoogleにおける社内データに基づくもの。
その前段として、そもそもGoogleでは「従業員にとってマネージャーは必要ない」という見解から、2002年にマネージャーのいないフラットな組織に変えたのだそうです。
ところが、この実験は失敗に。
従業員は、基本的な質問やニーズへの回答、キャリアアドバイスなどの重要な部分の指導をマネージャーに求めていたことがわかったのです。結果、Googleは2ヶ月後に基にもどしたのだとか。
それでも6年後の2008年に再度同じ実験をしたものの、これまた失敗に終わり、最終的には「マネージャーは必要である」という結論に達しました。
この2回の失敗を踏まえた上での「8つの特徴」だと思うと、説得力もひとしおかと。
◆続く第4章では「50代のコミュニケーション」がテーマです。
上記ポイントの4番目の「話が長いのはNG」というのは、まさに若かった頃の私が感じていたことそのものでした。
特に飲み会等でお酒が入ると、話がエンドレスになる課長さんがいて、非常にツラかった思い出が……。
逆に若い世代の声は、次の一言に集約されるとのこと。
「受信型になる。話を聞いてあげる。これに尽きる」たまたま私は部下がいない働き方をしていますが、これは子育ても同じでしょうから、ムスコにアドバイスする際には気をつけたいと思います。
求めてもいない説教をしない。余計なお節介を焼かない。そういうコミュニケーションであれば、特に「うざい」とは思わない、ということです。
◆なお、ここまでは今いる社内での立ち振る舞いのお話でしたが、第5章からは転職をも考慮したお話が。
特に第5章の「キャリアステップを5つの等級で示したモデル」では、それぞれの等級別に「チームワーク」「伝達力」「共感力」といった「ビジネスにおける欠かせない行動(コンピテンシー)」が明示されていますので、ぜひご確認を。
……なるほど最上級の5等級になると年収1000万円以上が目指せるワケですな。
さらに第6章では「中長期的なビジョンとプラン」がテーマに。
上記ポイントの5番目にあるように、転職の面接でも、漠然と「長く働きたい」というのではなく、一定の期間を意識した働き方をするべきでしょう。
ここにあるように、「長く働くことは結果であって目的ではない」という指摘はごもっともなこと。
中高年なら読んでおくべき1冊です!
人事の超プロが教える 会社員 50歳からの生き残り戦略 (PHPビジネス新書)
第1章 現実を見よう 「50代社員に関する意識調査」結果報告
第2章 人事部長として困る50代、ありがたい50代
第3章 50代の強みを考えよう
第4章 50代のコミュニケーション
第5章 転職しても困らない年収を維持・向上させる力
第6章 中長期的なビジョンとプランを持とう
第7章 まだまだこれから、楽しい人生が待っている
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【編集後記】
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