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2022年02月08日

【勉強の本質?】『灘校と西大和学園で教え子500人以上を東大合格させたキムタツの「東大に入る子」が実践する勉強の真実』木村達哉


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灘校と西大和学園で教え子500人以上を東大合格させたキムタツの「東大に入る子」が実践する勉強の真実 (角川書店単行本)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA春の2000冊フェア」の中でも、個人的に読んでみたかった子育て系勉強本。

中学受験を控えた小学生から、大学受験を目指す高校生までのお子さんを持つ親御さんにとって、幅広く役に立つ作品でした。

アマゾンの内容紹介から。
勉強の意味を知り、正しい勉強のやり方を知っていれば、どんな子でも東大は合格できる!
難関大学合格のために欠かせない「勉強体質」を家庭でいかにつくるか。
灘校の名物教師として、多くの生徒、そして全国の教師たちから信頼を集めるキムタツが、父母向けに伝授します。
教え子の成功例・失敗例エピソードも豊富に収録。

中古は値崩れしていますが、送料を考えるとこのKindle版がお買い得です!






Study hard / bartosz.maciejewski


【ポイント】

■1.ゲームやSNSをコントロールする
 子どもにとっても大人にとっても、勉強は自己の甘えとの闘いです。だからそれをコントロールできないのであれば、ゲームは最初からやめておくか、始めてしまったなら、どうコントロールするかを考える必要があると思います。それはSNSも同じです。
 灘校のような超進学校の生徒たちも、ゲームにハマって抜け出せない子はかなり多く存在します。逆に言えば、成績を伸ばしている生徒たちは、そこに手を出していないか、あるいは手を出していてもコントロールができている子です。(中略)
だから、私は生徒に伝えています。「自分の人生で何が大事か」「20〜30年後にどういう人になっていたいのか」を問いかけます。 池上 彰氏や佐藤 優氏のような知的な大人になりたいか、自分の進みたい大学に進んで自分の生きたい人生を生きる大人になりたいか、それともいつまでもゲームから抜け出せず朝からスマホをだらだらと触っているような大人になりたいか、自分で考えて行動してみろと話をしています。


■2.勉強体質と記憶体質を身につける
 勉強体質というのは、自分で楽しいことや新しいことに出会うと、調べてみようかな、知っておこうかなという気持ちになる体質です。そして自分のレベルを少しでも上げたいと思う体質のことを指します。多くの大人は持っているものですが、しかし持っていない人もかなりたくさんおられます。(中略)
 また自分で調べていくうちに、「あ、これは覚えておいたほうが後で役に立ちそうだな」「知らなかったこの話は覚えておこう」と考えるのが記憶体質です。
 この体質を小さい頃に身につけていると、思春期で多少やる気がなくなったとしても、知りたいことを知ろうとする、行ったことのないところへ行こうとする、覚えていないことを覚えておこうとする、学んだことのないことを学んでみようとする気持ちが脳に染みついているので、勉強を本格的に始めると強いのです。


■3.復習をしっかりやる
 予習より復習のほうが大切です。何よりも復習が大事です。成績を伸ばすのは復習です。
 授業で聞いた内容は、一度聞いてなんとなく理解はしても、まだ脳には刷り込まれていません。それを家に帰って何度も繰り返して読んだり、解いたりすることで定着していくのです。復習をしない授業は、忘れ去られてしまいます。
 復習のポイントは、すぐやること。習ったことを完全に忘れ去る前に、もう一度脳に出会わせることです。(中略)
授業を受けた当日や翌日に復習すれば、「ああ、そういえばこんなこと先生言ってたな、あんなつまらない冗談も言ってたわ」とリアルに思い出せる情報が多くなります。それが復習です。脳に刷り込むために行うのです。
 授業を大事にするとは、復習することです。予習はするならすればいいとは思いますが、しかし必須ではありません。必須なのは復習のほうです。


■4.勉強は声を出しながら
 勉強するとき、声を出していますか。まぁいろんなタイプの人がいますから、もしかしたら灘校の生徒たちだけかもしれませんが、成績の良い子ほど声を出すように思います。これは暗記という点からすれば当然のことなのです。(中略)
 覚えたい対象があるときに、それにアクセスする道筋は多いほうが定着しやすくなります。『ユメタン』を作ったときに茂木健一郎さんの本を読み、脳科学について勉強をしましたが、「全部の器官をフル動員」させ、目で見て、口で発声して、耳で聞き、手で書く。これを自分の脳に刷り込むイメージで行うと効果的で覚えやすいと書いてありました。
 確かにその4つのアクセスで覚えている生徒は、暗記が上手です。下手な生徒は目だけで覚えようとします。情報源に対して1つや2つのアクセス数しかないよりは、3つか4つあるほうが確実に覚えるスピードは速くなりますし、忘れにくくなります。暗記といったどうしても時間が必要な勉強、そして重要な勉強は、効率良く行いたいですよね。


■5.理由を考える習慣を身につける
 どんなことでもいいのです。理由を考える習慣を身につけてみませんか。家の近くのラーメン屋さんがはやっているとして、どうしてはやっているんでしょう。美味しいから? 駅から住宅街への動線上にあるから? でも同じ条件で同じように美味しいラーメン屋がはやっていないかもしれませんね。それは本や漫画やゲームソフトなどでも同じです。どうしてこれは売れているんだろう。どうしてこれは売れていないんだろう。そういったことを考えます。そして自分なりの答え(仮説)をいくつか出します。
 推論から仮説を立てたら、次は実証へと向かわねばなりません。考えたことが正しいかどうかのチェックをするのです。そのためにはさまざまな知識が必要ですし、新しい情報を得なければなりません。最終的な答えはきっとこれだというところまで、考えたうえで調べてみます。家族でやると習慣になります。


【感想】

◆一昨年に中学受験を終えたムスコを持つ私にとっては、非常に納得のいく内容の作品でした。

思わずハイライトも引きまくり。

特に木村さんがかつて勤められた灘高のような、中高一貫校にお子さんが通われている方にとっては、色々と悩みが解決するかもしれません。

たとえば上記ポイントの1番目のゲームやSNSの件は、このくらいの年頃の子どもにとっては、一番の関心ごとかと。

実際、昨年オンラインでムスコの学校の父母会が開かれた際、PTAの会長さんの15分くらいの話のうち、8割以上がスマホ絡みの内容で占められていました。

特に今は授業がフルリモートになったこともあり、家にいるムスコを見ていると、テレビと食事と勉強のとき以外は、常時スマホを触りまくり。

その分、何か本でも読んでもらえないかと思っていたのですが、ここで述べられているように、一度将来どうなりたいのか問うてみたいと思います。


◆また、上記ポイントの2番目に挙げられている「勉強体質」と「記憶体質」というのは、本書の重要なキーワードでした(何度も登場しています)。

とりあえず親が「勉強しなさい」とハッパをかけるのはNGであり、このような体質を身につけさせることが大事である、とのこと。

ところが実際は、多くのお子さんが有名塾に押し込まれて、自分の意志とは関係なく、システマティックに勉強させられて進学していますから、これらの体質が身についていないことが大半みたいです。

ウチのムスコももちろん違っていて、「勉強しないと赤点になるから」的にイヤイヤやってる感じ。

これもまた「自分のやりたいこと」や「進みたい道」でもあれば、違うのでしょうけど、まだそこまでは考えられないお子さんがほとんどでしょうから、本書でも「勉強する環境を整える」ことが、親の役目であると指摘されています。

……確かに子どもに「スマホやるな」と言いつつ、親がスマホ触りまくっていたら、子どもだって腑に落ちないですよね。


◆ちなみに本書はあまり勉強に関してテクニカルな話は出てこないものの、上記ポイントの3番目にあるように「復習の重要性」はうたわれていました。

これはもう、ありとあらゆる勉強本でも言われていることではあるんですが、灘校レベルでもそうなのか、と分かってちょっと安心。

中でも特に大事なのが、ここでも触れられているように「すぐやること」でしょうか。

リモート授業になる前に、私もムスコに、帰りの電車ではその日の復習をするように言ってたんですが、多分帰りは友達と一緒でしょうから、難しいんでしょうね。

ただ、自分の親が口うるさく言うより、灘校の先生が書いた本書を見せたら、変わってくるかもしれません。


◆同じく勉強テクに触れているのが、上記ポイントの4番目。

なんでも木村先生の授業では、さぁ英単語を覚えようとなると、生徒さんたちも慣れたもので、先生がが何も言わなくても、クラス中がいっせいにぶつぶつと英単語をつぶやきはじめたのだとか。
ひとクラスに55人ほどいますので、それはもう教室が賑やかになります。一人ひとりが自分のペースで単語を読み上げていくのです。中学1年生からそのスタイルを続けているので、高校から入学してきた新入生は、最初はその光景に圧倒されます。「なんでこの人たち、こんなに声出しているんだ」と。でも自然と同じようにぶつぶつとつぶやき始めるようになりますが。なぜなら、それがもっとも覚えやすいとわかるからです。
また、英単語を覚える際には、時間を区切って記憶するのだそうで、目安は10単語1分。

これは灘校だからではなくて、偏差値40くらいの学校でもそのくらいの時間で覚えられる、とのことです。

もちろんこのペースで100単語を10分で覚えても、あっと言う間に忘れてしまいますが、そうしたら、翌日もまた同じように繰り返せばOK(上記ポイントの3番目にあるように復習が大事)!

また、このように「かける時間を考えて勉強する」のは、英語に限らず他の科目でも大切なようなので、これまたムスコに伝えておきたいと思います。


◆なお、最後のポイントの「理由を考える習慣を身につける」というTIPSを読んで、ムスコの保育園時代のあるお友達を思い出しました。

その子は何かあるとすぐに「どうして? なんで?」と理由を尋ねてくる子で、私も保育園の授業参観のときに質問攻めにあった記憶が。

その子のお母さんに言わせると「毎日こうだと気が狂いそうになる」そうなのですが、結局あの鉄緑会の某指定校に合格したのだとか。

こういうお子さんは、自然に「なんで?」という習慣が身についていますけど、普通は親が「どうしてだと思う?」と問わなくてはなりません。

私もスマホばかり見ているムスコに、もうちょっと考える習慣を身につけさせなければ、と深く反省した次第。


中学生の子を持つ親として、色々と考えさせられた作品でした!

B091JXM9M1
灘校と西大和学園で教え子500人以上を東大合格させたキムタツの「東大に入る子」が実践する勉強の真実 (角川書店単行本)
第1章 勉強し続ける子の親とは
第2章 早期教育・お受験の落とし穴
第3章 成績が上がる子・下がる子
第4章 学び続ける力を
第5章 Q&A


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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