2022年01月28日
【習慣大全?】『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』ジェームズ・クリアー
ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本ビジネス書キャンペーン」の中でも人気の1冊。タイトルに「複利」とあるので、てっきり投資本かと思って何となく避けていたら、実は自己啓発書の王道まっしぐらの作品でした。
アマゾンの内容紹介から。
良い習慣を身につけるのに唯一の正しい方法などないが、本書では著者の最善の方法を紹介する。つまり、どこから始めても、また、変えたいものがなんであろうと効果のある方法である。ここで取りあげる戦略は、目標が健康、お金、生産性、人間関係、もしくはその全部でも、段階的な方法を求めている人なら、誰にでも合うはずだ。人間の行動に関するかぎり、本書はあなたのよきガイドとなるだろう。
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Small steps / Hakan Dahlstrom
【ポイント】
■1.目標を忘れて、仕組みに集中する仕組みと目標の違いはなんだろう? その区別を最初に学んだのは、コミック『ディルバート』の作者である漫画家スコット・アダムスからだった。目標は達成したい結果であり、仕組みはその結果へと導くプロセスである。・あなたがコーチなら、目標は選手権で優勝することかもしれない。その仕組みは、選手の採用方法や、アシスタントコーチの管理の仕方、練習の指導法である。(中略)どんなスポーツでも目標は最高の得点で終わることだが、試合中ずっとスコアボードをにらんでいても無意味だろう。実際に勝つには、毎日上達するしかない。三度のスーパーボウル優勝を果たしたビル・ウォルシュの言葉にあるように、「得点はなるようになる」。人生の他の面でも同じことがいえる。より良い結果を得たいなら、目標の設定は忘れよう。かわりに仕組みに集中しよう。
■2.「習慣の積み上げ」を行う
習慣の積み上げは、実行意図の特殊な形だ。新しい習慣を特定の時間や場所と組み合わせるかわりに、現在の習慣と組み合わせる。この方法は、B・J・フォッグが「小さな習慣 Tiny Habits」プログラムの一部として創案したもので、ほとんどすべての習慣の明確なきっかけとして利用できる。習慣の積み上げの公式は――「〈現在の習慣〉をしたら、〈新しい習慣〉をする」。(中略)大事なコツは、身につけたい習慣を、すでに行っている習慣と結びつけることだ。この基本的な構造をマスターしたら、小さな習慣をつなげていくことで、もっと大きな習慣の山が積み上がるようになる。すると、ひとつの行動が次の行動を招くという自然の勢いを利用することができる。
■3.「2分間ルール」に従う
小さく始めるべきだとわかっていても、つい大きく始めてしまいやすいものだ。変わりたいと夢見ているときは、どうしても興奮が抑えられず、多すぎることを早すぎる時期にしたくなる。こういう性向を和らげるのにもっとも効果的な方法は、「二分間ルール」を使うことである。これは、「新しい習慣を始めるときは、2分以内にできるものにする」というルールだ。
ほぼどんな習慣でも、2分間バージョンに縮小できる。・「毎晩寝るまえに読書する」は「1ページ読む」にこれは、習慣をできるだけ始めやすくするためのアイデアだ。1分間の瞑想や、1ページの読書、1足の靴下をたたむことなら誰にでもできる。そしてすでに述べたように、これは強力な戦術だ。いったん正しいことを始めたら、とても続けやすくなるからだ。新しい習慣が試練のように感じられるようではいけない。あとに続く行動はたいへんかもしれないが、最初の2分間は易しいものであるべきだ。あなたに必要なのは、もっと生産的な道へと導いてくれる「入り口の習慣」である。
・「ヨガを40分する」は「ヨガマットを取り出す」に(中略)
■4.習慣の履行を誓約する「習慣契約書」を作る
悪い習慣を満足できないものにする最善の方法は、その瞬間に苦痛を感じるようにすることである。習慣契約書の作成は、まさにそのとおりの明快な方法だ。
完璧な習慣契約書など作りたくないなら、アカウンタビリティー・パートナーを持つだけでも役に立つ。コメディアンのマーガレット・チョーは、毎日ジョークか歌を書いている。この「一日一曲」には友人と一緒にチャレンジしているため、お互いに責任感を持って取り組めるという。誰かに見られていると思うのは、強力な動機になり得る。(中略)
このプロセスを自動化することもできる。コロラド州ボールダーの起業家トーマス・フランクは、毎朝5時55分に起きる。もし起きていなかったら、設定したツイートが自動的に投稿される。「6時10分なのに、まだ起きてないのは、ぼくが怠け者だからだ! ペイパルで5ドル送るから返信してよ(5人まで)。ただし、目覚まし時計が壊れてないならね」
■5.「ゴルディロックスの原理」で「フロー」に入る
ゴルディロックスの原理とは、人は現在の能力ぎりぎりの仕事をするときに、最高のモチベーションを得られるというものだ。難しすぎてはいけない。易しすぎてもいけない。ちょうどいい難しさである。
マーティンのコメディーでの経歴は、ゴルディロックスの原理を実践したすばらしい例といえるだろう。毎年、彼はコメディーの演目を広げていった。ただし、1分か2分だけだ。つねに新しいネタを加えたが、必ず笑いがとれるジョークもいくつか残しておいた。やる気を保つのに十分な成功と、努力を続けるのに十分な失敗があった。
新しい習慣を始めるときに大事なのは、調子の悪いときでも続けられるよう、できるだけ易しい行動にすることだ。これは、行動変化の第三の法則で詳しく述べたとおりだ。
ただし、いったん習慣ができたら、少しずつ前進しつづけることが大切だ。この小さな改善や新しい挑戦が、あなたを夢中にさせつづける。そして、ゴルディロックスのゾーンにぴったりはまれば、「フロー」の状態になれるだろう。
【感想】
◆冒頭で触れたように、いかにも「ザ・自己啓発書」とでも言うような、王道的作品でした。実際、類書で述べられているTIPSもところどころで登場しており、それらの影響も感じた次第。
ちなみに、当ブログでもご紹介済みのこの本ですとか。
習慣の力 The Power of Habit
参考記事:【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)
去年になって翻訳されたこの本辺りは、本書内でも紹介されています。
Tiny Habits: The Small Changes That Change Everything (English Edition)
また、たまたま上記の翻訳本とタイトルが同じであるこの本も近い感じ。
小さな習慣
参考記事:【目標達成】『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ(2017年05月26日)
これらの作品がお好きな方なら、本書はツボだと思います。
◆さて、本書は下記目次でもご覧いただけるように、全部で20も章があるため、内容的にも飛び飛びでご紹介しなくてはなりません。
たとえば上記ポイントの1番目は、第1章から引用したもの。
よく何らかの目標を立てて満足してしまう人がいますが、ここにもあるように、「目標よりも仕組みを考える」ことが重要です。
実はこの部分に続いて、目標主義の問題点が4つ挙げられているのですが、その1番目の「勝者も敗者も目標は同じ」にはこんな一節が。
目標設定は、生存バイアス〔生き残ったもののみを評価する偏った見方のこと〕の影響をとても受けやすい。わたしたちは最後に勝った人、つまり勝者に注目し、野心的な目標が成功をもたらしたと錯覚する。そして、同じ目標を持っていた他の人たちが全員負けたことを見過ごしてしまう。なるほど、確かに。
◆また、上記ポイントの2番目は、少し飛んだ第5章から引用しました。
この「習慣の積み上げ」なるTIPSは、この本でもおなじみである「if-thenプランニング」とほぼ同じではないか、と。
やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学
参考記事:【科学的自己啓発書】『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2017年07月01日)
と言いますか、何らかの習慣を定着させるには、この「if-thenプランニング」はかなり強力であり、他にも紹介している作品を当ブログでは何冊かレビューしているくらいですから、むしろ本書のテーマ的には避けられないものだと思います。
一方、第13章から抜き出したのが、上記ポイントの3番目の「2分間ルール」。
習慣を小さく始めることは、多くの本で言及されているものの、具体的に定量化したのは、本書が初めてではないでしょうか。
◆また、上記ポイントの4番目の「習慣契約書」のお話は、第17章からのもの。
こうした「縛り」を作ることも、習慣の定着化には必要なようです。
また、後半の自動化の部分で思い出したのが、こちらの作品。
ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣
参考記事:【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)
原題が『Carrots and Sticks』(アメと鞭)というだけあって、どのような「縛り」を設定すると良いかが詳しく書かれています。
面白かったのが、契約を守れなかった場合に小切手を送る相手が、気に入った慈善団体よりも、気に入らない慈善団体(「ジョージ・W・ブッシュ大統領図書館」等)の方が効果が高かったとのこと。
もちろん、上記ポイントのように、Twitterのフォロワーに現金を送るシステムなら、フォロワーが増えるメリットがありそうです。
◆そして上記ポイントの5番目の「ゴルディロックスの原理」は、第19章から引用しました。
今まで「ゴルディロックス効果」というのは、いわゆる「松竹梅メソッド」(3つあると真ん中を選ぶ)のことかと思っていましたが、厳密には「ちょうどよい程度」という意味であり、もうちょっと広い概念だったんですね。
ゴルディロックスの原理 - Wikipedia
なるほど、このように適切な負荷をかけていくことによって、高パフォーマンスが発揮できるようになるのだな、と。
いずれにせよ本書は、過去に出ている「習慣」をテーマにした作品の「総本山」ともいえるもの。
上記で挙げた本を1冊も読んだことがない方はもちろん、読んだことがある方にも、改めて目を通していただきたい1冊でした。
習慣を定着させ、成功するために読むべし!
ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
基本 〜なぜ小さな変化が大きな違いをもたらすのか
第1章 最小習慣の驚くべき力
第2章 習慣がアイデンティティーを形成する(逆もまた真なり)
第3章 シンプルな四つのステップで良い習慣を身につける
第一の法則 〜はっきりさせる
第4章 人は正しく見ていない
第5章 新しい習慣を始める最善の方法
第6章 モチベーションを過大評価せず、環境を重視する
第7章 自制心を保つコツ
第二の法則 〜魅力的にする
第8章 習慣を魅力的にする方法
第9章 習慣作りにおける家族と友人の役割
第10章 悪い習慣を見つけて直す方法
第三の法則 〜易しくする
第11章 ゆっくり歩もう、でも後退してはいけない
第12章 最少努力の法則
第13章 二分間ルールで先延ばしをやめる方法
第14章 良い習慣を必然にし、悪い習慣を不可能にする方法
第四の法則 〜満足できるものにする
第15章 行動変化の大原則
第16章 良い習慣を毎日続ける方法
第17章 見張ってくれる人がいればすべてが変わる
さらなる戦略 〜改善するだけでなく、本物になるには
第18章 才能の真実(遺伝子が関係するときと、そうでないとき)
第19章 ゴルディロックスの原理――生活や仕事でモチベーションを保つ方法
第20章 良い習慣のマイナス面
【関連記事】
【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)【目標達成】『小さな習慣』スティーヴン・ガイズ(2017年05月26日)
【科学的自己啓発書】『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2017年07月01日)
【実践!】「脳が教える! 1つの習慣」ロバート・マウラー(著),本田直之(監修)(2008年07月06日)
【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ
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なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか―――「ナルシスト」という病
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【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本ビジネス書キャンペーン」の複数版元分の記事で人気が高かったのは、この辺りの作品でした(順不同)。その話し方では軽すぎます!
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戦略的思考をどう実践するか エール大学式「ゲーム理論」の活用法
よろしければご参考まで!
ご声援ありがとうございました!
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