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2022年01月08日

【勉強法】『UCLAで学んだ「超高速」勉強法』児玉光雄


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UCLAで学んだ「超高速」勉強法 (青春新書INTELLIGENCE 642)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて一番人気だった1冊。

昨今の科学的自己啓発書の流れを汲んだかのように、エビデンスベースで書かれた勉強本です。

アマゾンの内容紹介から。
国民栄誉賞棋士・井山裕太九段推薦の書! 英語が得意でなかったにもかかわらずUCLA大学院に留学し、さまざまな工夫・試行錯誤を経て、「超高速」勉強法を確立。優秀な成績で卒業後は、臨床スポーツ心理学者として、多くのアスリートや棋士のメンタルカウセリングを行ったり、ビジネスパーソンや子どもの能力開発を行ったりするなど、多方面で活躍する著者。そんな著者が、自ら実践している、大脳生理学、心理学、スポーツ科学…を総合した、短期間で能力・スキルを高め、思った通りの成果を出すための、大人向けの効率的な勉強法を紹介する一冊。

昨日やっと配信されたKindle版は、「9%OFF」とお買い得になっています!






Study / tamckile


【ポイント】

■1.記憶をする際の主役は「画像」
 いずれにしても、脳が画像記憶に適している器官である以上、文字ではなく画像で記憶するほうが長期記憶として安定化させるには都合が良いのです。
 実際、ウィスコンシン大学の調査でも、子どもたちが英単語を覚える時、言葉に映像を組み合わせると記憶の保持率が2倍高まることが判明しています。例えば、「自動車(Automobile)」という英単語だけでなく、自動車の画像をその言葉の上に描くことにより、長期記憶として定着しやすくなるのです。
 英語のスペルを記憶する時も、紛らわしい英単語は画像記憶を介して記憶すれば、間違いを防止できます。例えば、フロリダ(Florida)を記憶するとき、「Frorida」や、「Frolida」といったスペリングミスを引き起こしがちです。しかし、この英単語を画像記憶として認識すると間違えることが断然少なくなります。
 あるいは、歴史上の人物で、フランシスコ・ザビエルや徳川家康は、文字だけでなく、その肖像画で記憶しているからこそ、記憶にしっかり定着しているはずです。


■2.アウトプットとフィードバックを繰り返す
 ビョーク博士は、セントルイス・ワシントン大学のヘンリー・ローディガー博士が行った実験についても、高速学習において大きな意味を持つと言っています。
 ローディガー博士の実験とは、学生を2つのグループに分けて博物学の学習をさせたもの。グループAは論文を4回読み、グループBは論文を1回読んでからテストを3回行いました。その後、両グループにテストを行ったところ、グループBの点数はグループAよりも50%も高かったのです。
 この実験からわかることは、読んで覚える(インプット)だけではなく、実際に行動を起こす。つまり、入力をしたら、それを頻繁に出力(アウトプット)することが大事である、という事実です。
 結論です。どんな分野においても、あなたが学習速度を高めてすごいスキルを身につけたかったら、とっかかりは小さな目標設定からスタートし、それをクリアしたら、やや実現が厳しいレベルの目標を設定し直してください。そして、実際に行動を起こし(アウトプットし)、たくさんミスをして、それをフィードバックし、絶え間ない反復練習を繰り返すのです。


■3.睡眠前30分は余計な情報を入れない
 勉強を終えた睡眠前は、息抜きとしてテレビやスマホを見る人が多いかもしれませんが、これは記憶定着の観点からすると良くありません。
 睡眠前に学習した後、そのまま眠るとその情報が整理され、長期記憶として残る確率が高まることがわかっています。例えば、睡眠前の学習に関するこんな実験があります。
 被験者を2つのグループに分け、どちらにも夜間に勉強してもらい、眠るまでの2時間、グループAは「何もしない」、そしてグループBには「映画の観賞」をしてもらいました。
 翌日、学習した内容をテストしたところ、「映画を観る群」であるグループBは、「何もしない群」であるグループAよりも成績が悪かったのです。記憶を安定したものにするには、学習後、睡眠まであまり余計な情報を脳に入れないほうがいいのです。


■4.記憶力を強化する「瞬間見開きトレーニング」
 1日置いて入力した情報や知識を出力する。いくら時間をかけて入力しても、情報の出力作業を怠ると、その情報の多くは自然消滅する運命にあります。
 専用ノートを作って、なぐり書きでもいいので、とにかくアウトプットをする習慣をつけてください。私は今でも、本を読んで貴重な情報を得たら、翌日、ノートやメモ用紙にそれを要約して書き出すようにしています。
 私は「瞬間見開きトレーニング」を開発して多くのビジネスパーソンや学生さんに活用してもらっています。
 やり方は簡単です。本を用意して適当なページを開きます。見開きの2ページを見る時間は10秒。そこに出ている単語をできるだけたくさん記憶しましょう。そして、10秒経過したら本を閉じて、メモ用紙に記憶した単語を書き出すのです。
 最初は2、3個しか書き出せなかったりしますが、このトレーニングを行ううちに短期記憶の限界である9個の単語を書き出すことができるようになります。入力した情報の長期記憶化を促進し、高速学習を可能にするトレーニングとして、広くおすすめします。


■5.時間を浪費しないためには環境作りが重要
 ここで行動パターンに関するある実験をご紹介しましょう。
 グループAには、すぐに食べられるようにむき出しでクッキーが入っている箱が渡されました。グループBには、1枚1枚個包装されているクッキーが入った箱が渡されました。
 その結果、グループAは平均して6日間でクッキーを完食しましたが、グループBは24日間かかったのです。この実験結果から、「私たちはすぐ行動を起こせる状況では率先して行動に移し、行動に移すのに面倒なことがある場合は、これを避ける習性がある」ということがわかります。つまり、時間を浪費しないためにも、環境作りがとても重要だということです。
 例えば、あなたにも、スマホのゲームについ熱中してしまい、やるべき仕事や勉強の時間が十分に取れなくなった、といった経験があるのではないでしょうか。私はゲームを楽しむことを否定しません。重要なのは、ゲームを楽しむ時間を設定して、それ以外の時間はゲームができない環境にしてしまうことです。


【感想】

◆今まで勉強本が登場する際、何度か言及したことがあるのですが、基本的に勉強本というのは、大きく分けて3つのパターンに分かれると思います。
A:著者が塾講師や家庭教師等で、指導経験に基づく内容
B:著者が有名大学卒業生でほぼ自分の経験のみに基づく内容
C:実験、研究、論文等の内容に基づく内容
もちろんABCは2つないしは3つとも重複しているケースがほとんどですし、また、AやBのケースで今まで意識していなかったものの、書籍を書くに当たって後付け的にCを述べることもあるかと。

そして本書は基本的にはCをベースとしつつ、実は児玉先生、京大工学部卒ですし(知りませんでした!)、そもそもUCLAの大学院を優秀な成績で卒業しているのだそうですから、Bをも兼ねています。

ただ、どうしてもCの研究等は、海外の有名なエビデンスを皆使いますから、類書との差別化が難しいんですよね……。

結果、本書のTIPSも類書で読んだものがチラホラありましたから、あらかじめご了承いただきたく。

ただ、そのネタかぶりを補えるだけの手数の多さが、本書の魅力でもあります。


◆まず上記ポイントの1番目は、第1章の「最短の時間で最大の成果をあげるUCLA流」から抜き出したもの。

ご存じのように、他には書いたり、聴いたり、といった手法があるのですが、「高速」にこだわるのであれば、画像で記憶するのが一番効率的でしょう。

私の場合はさらに、色も多用し、同じ語句や文章を同じ色でマーキングしたりして、税理士試験の理論を暗記したのですが、正直この辺は人それぞれだと思います。

……ぶっちゃけ私以外に、そんな風に理論暗記している人は、他に見たことがないので、これが正解だ、というツモリもありませんが。

また、本書の第5章では「自分の記憶タイプを知っておく」と題して、「画像型」「文字・数字型」「聴覚型」のどれに該当するかのチェック法がありますから、お試しアレ。

以前類書で、「画像型」が一番多い、と読んだ記憶がありますが、私自身、倍速で録音したものを歩きながら聴いていたりしましたから、使えるものは何でも使うのが良いのではないかと。


◆また、第2章から抜き出した上記ポイントの2番目のお話も、類書でもいわれていたハズです。

ここでは「INPUT:4&OUTPUT:0」と「INPUT:1&OUTPUT:3」の比較でしたが、実際にどの割合が一番効果的なのか?

これに関しても、本書の第5章によると「インプットとアウトプットの黄金比率は3対7から4対6の間」なのだそうです。

一方、第3章からの上記ポイントの3番目のお話は、ウチのムスコにもキツく言っておきたいもの。

寝る前にテレビやパソコンでアニメを観たり、スマホをいじったりというのが止められません。

本書でも「特にスマホを扱うことは最悪」と言われていますから、資格試験を目指すビジネスパーソンはご注意ください。


◆なお、上記ポイントの4番目も同じ第3章からなのですが、このトレーニングは児玉先生独自のものでしょう。

実はこのトレーニングは特にフォーマットを必要としないものの、本書には独自のフォーマットがいくつも収録され、それを用いたトレーニングも紹介されていました。

……画像が引用できないので、ご紹介できないのが残念ですが。

この辺のフォーマットを用いたワーク等は、表紙で本書を推奨している井山さんほか、児玉先生が多くの方のメンタルカウンセラーをなさっているのが大きいのだと思います。

また、最後のポイントは「モチベーション」をテーマにした第4章から引用しました。

この手の物理的な制約を設けるお話は、「自制心」とも関わってくるもの。

可能なものに対して「我慢」を強いて、自制心を消費するよりは、物理的にできなくしてしまう方が理にかなっていると言えるかと。


数多くの勉強法から、自分に合ったものを選ぶべし!

4413046420
UCLAで学んだ「超高速」勉強法 (青春新書INTELLIGENCE 642)
第1章 最短の時間で最大の成果をあげるUCLA流
第2章 これが科学的データに裏づけられた「超高速」勉強法
第3章 「超高速」勉強法を可能にするための実践ノウハウ
第4章 「モチベーション」を維持し、「効率」を上げる秘訣
第5章 いくつになっても「記憶力」はスキルで高められる
第6章 スポーツ上達の科学を「超高速」勉強法に生かす


【参考文献】

◆本書の巻末に「おもな参考文献」として当ブログでレビュー済みの作品が何冊か挙がっていましたから、それらをご紹介しておきます(レビューしてない方がはるかに多いです)。

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天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる ミエリン増強で脅威の成長率 (フェニックスシリーズ)

参考記事:【上達の秘訣!?】『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる ミエリン増強で脅威の成長率』ダニエル・コイル(2019年07月07日)

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究極の鍛錬

参考記事:一流職人もびっくり 驚愕の『究極の鍛錬』(2012年06月13日)

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超一流になるのは才能か努力か?

参考記事:【「1万時間の法則」の真実】『超一流になるのは才能か努力か?』アンダース・エリクソン,ロバート・プール(2016年08月05日)

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マインドセット「やればできる! 」の研究

参考記事:【オススメ!】『マインドセット: 「やればできる!」の研究』キャロル・S. ドゥエック(2016年01月18日)

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元祖プロ・コーチが教える 育てる技術

参考記事:【名著復活】『元祖プロ・コーチが教える 育てる技術』ジョン・ウッデン,スティーブ・ジェイミソン(2014年02月03日)

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天才! 成功する人々の法則

参考記事:【勝間さん激賞!】「天才!成功する人々の法則」がいよいよ発売へ!(2009年05月13日)

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天才たちの日課

参考記事:【習慣】『天才たちの日課』メイソン・カリー(2017年06月28日)

……7冊全部翻訳本なんですが、いずれも中古がそこそこ高いのでちょっとびっくりしました。


【関連記事】

【勉強法】『勉強の技術 すべての努力を成果に変える科学的学習の極意』児玉光雄(2015年11月25日)

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【スゴ本!】『ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』鈴木 祐(2019年09月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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