2021年12月27日
【中高年指南?】『50歳から必ずやっておくべき10のこと』『THE21』編集部 (編集)
50歳から必ずやっておくべき10のこと
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、個人的に気になっていた1冊。雑誌、月刊『THE21』において複数回行われた、「50代」や「中間管理職」をテーマにした特集からセレクトされた、27名の方々の記事によって構成された作品になります。
アマゾンではなく版元サイトから。
忙しい日々を送る一方、定年が見えてくる50代。部下の扱いから老後まで、悩みや迷いは尽きない。各分野の識者がアドバイスする。
中古が定価の2倍ほどする一方で、Kindle版は「12%OFF」とお買い得です!
【ポイント】
■1.飲み会では長居せずお金を置いて帰ろう重ねて厳しいことを言うようですが、50代とはその場にいるだけで空気を重くする存在であることを自覚しなければいけません。
例えば、会社の人たちとカラオケに行ったとき、50代の部長が「私はお先に失礼するよ」と途中で帰った途端、場の雰囲気が明るくなった。皆さんも若手の頃は、そんな経験を何度もしてきたのではないでしょうか。
たとえ嫌われるような人でなくても、いるだけで周囲に負担をかけてしまう。それが偏屈で偉そうな態度を取る50代だったら、なおさらです。
ですからこの場合は、1曲歌ったらマイクを手放し、テーブルに1万円札でも置いて、「あとは皆で楽しくやって」とサッサと退出するくらいでいい。それが50代からの振る舞いです。(齋藤孝)
■2.アドラー心理学で部下を褒めてはいけない理由
アドラー心理学が「褒めてはいけない」と考えるのは、褒めることで部下を動かそうとすると、部下は常に上司の評価を気にし、褒められるために行動するようになるからです。褒められないことについては、そこに解決すべき課題があったとしても、取り組もうとしません。
日頃から上司に勇気づけられている部下は、「私は物事を成し遂げるために、最後まで頑張ることができる」といった自己有能感や、「私は自分のことは自分で決めることができている」という自己決定感が 育まれます。
すると、上司に評価されるかどうかではなく、自己決定した目標に対して、自分の意思で 自らエンジンをかけて行動することができるようになります。
その結果、困難を克服し、チームの仲間や顧客に貢献できたら、それがまた大きな喜びとなり、困難に立ち向かうためのエネルギーがさらに充足されていくのです。(小倉広)
■3.プレイヤーとしての筋肉を鍛えることをおろそかにしない
知らぬ間に、不自由な働き方にとらわれている50代は多い。自律的な働き方を取り戻すにはどうすればいいのか。パッと思いつくのは、独立や転職だろう。しかし、前川氏は安易な独立や転職は勧めない。転職や独立に軸足を移すにせよ、今の組織に残るにせよ、ある「覚悟」が必要になると指摘する。
「大企業ミドルは、マネージャーとして部下に指示するか、取引先に発注するスタイルが一般的です。しかし、ミドルからの転職先はほぼ中小企業になります。中小企業ではミドルでもプレイヤーとして働くことが一般的です。つまり、転職先で再び一人のプレイヤーとして最前線で働くことを求められるケースが多い。プレイヤーとしての筋肉を鍛えることをおろそかにしていると、『口ばかり偉そうで、手を動かせない』と周りから敬遠されることになります」(前川孝雄)
■4.脚のトレーニングで糖尿病を防ぐ
現在の糖尿病人口は1000万人超ですが、実はそれを上回る、1320万人もの「隠れ糖尿病」の人がいるとも言われています。
この糖尿病の予防に、なぜトレーニングが役立つのかと言うと、血液中の糖の約75%が筋肉で消費されるからです。
筋肉には 白筋(速筋線維)と赤筋(遅筋線維)があり、より多くの糖を消費するのは赤筋です。この赤筋が多いのは、太もも周りをはじめとした下半身。ですから、筋肉の中でも、脚のトレーニングが特に効果的なのです。
ボディメイクなどのために、これまで熱心に腹筋を鍛えてきた方は、これからはその時間を少し減らして、脚のトレーニングにも充てましょう。(中野ジェームズ修一)
■5.コミュニケーションのコツは「挨拶」と「おばちゃん化」
会社にいれば、自分から話しかけなくても周囲が話しかけ、報告もしてくれます。でも、「半径3メートルの世界」は違う。自分から積極的に話しかけることが大事です。
1つ目のコツは「自分から挨拶すること」。「そんな簡単なこと?」と思うかもしれませんが、ポイントは「自分から」というところ。なぜなら、50代は新しい場や教室で静かに座っているだけで、「偉そう」に見られてしまうこともあるからです。そこで自分から「おはようございます」と挨拶するだけで、距離が縮まり、偉ぶっていない人だと思われます。
2つ目は「おばちゃんになれ」です。会社の中では「無駄話をしない」「論理的に話す」が常識ですが、社会では一緒にいることが目的だから、論理的でなくていいし、どんどん無駄話をすればいいのです。大事なのは、どんな話題にも「うん、うん」と頷くこと。「否定」は不要です。困ったら「へえ、すごいですね」「そうなんだ」でいいと思います。(河合薫)
【感想】
◆さすがに27人もの専門家が登場するだけあって、盛り沢山な作品でした。その専門家の皆さんのお名前と、それぞれのテーマは、アマゾンの「出版社からのコメント」欄に列挙されているのでここでは割愛。
一応上記ポイントの5人以外で、当ブログでもなじみ深い方を挙げておくと、出口治明さん、伊庭正康さん、大塚寿さん、楠木新さん、楠木新さんあたりでしょうか。
こうした方々のお話を、全部で10の章にカテゴライズしており、本のタイトルにある「10のこと」というのは、おそらくここから来ているのだと思います。
単純計算でも、1人当たり10ページ弱程度(扉ページ等除いて)はあるわけですから、「10のこと」というのが単純なTIPSの数ではないことは明らかですし。
◆さて、その10の章のそれぞれのテーマは、下記目次にあるとおり。
50歳を迎えたビジネスパーソンにとって、いずれも重要なものばかりです。
たとえば上記ポイントの1番目の齋藤孝さんの「耳イタイ」お話は、第1章の「今こそ『仕事観』を変えよう!」からのもの。
齋藤先生は他にも「雑用やクレーム対応こそ進んで引き受けよう」ですとか、「雑談上手を目指そう」(アニメを観てその決めセリフを大学の授業で口にして笑いを取っているそう)といった、実践的なアドバイスをされていました。
また、佐々木常夫さんの「若いときは大きな夢を、50代は『手が届く夢』を」というお話も身に沁みたワタクシ。
◆続く第2章と第3章は割愛して(すいません)、第4章から抜き出したのが、上記ポイントの2番目の小倉広さんのアドラー心理学のお話です。
本書では一覧表で整理されているのですが、アドラー心理学では相手を「褒める」のではなく「勇気づける」のだそう。
この第4章は部下育成がテーマだけあって、50代という部下がいるであろう年齢層の方には、ぜひお読みいただきたいところです。
また、さらに1つ飛んだ第6章では、年齢的に切実な「転職・独立・起業」がテーマ。
上記ポイントの3番目の前川孝雄さんのお話は、転職の際に意識したいTIPSなのですが、それ以外にも前川さん、タイトルに「50歳からの」と入った新書を、本書の版元であるPHP研究所さんから3冊も出していますからねぇ……。
おそらく当ブログの読者さんにとっては3冊ともおなじみだと思うので、この章では黒田真行さんの「社外でも通用するポータブルスキル」のお話(図解があったので割愛)に注目していただけたら、と。
◆さらに1つ飛んだ第8章からは「お金」「健康」「孤独」といった、仕事以外のテーマが登場します。
このうち「お金」については、第8章にて大江英樹さんがお話されているのですが、つい先日この本をご紹介したばかりなので割愛。
となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」 (朝日新書)
参考記事:【投資】『となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」』大江英樹(2021年12月20日)
また第9章では、白澤卓二さんが健康面から、上記ポイントの4番目にあるように中野ジェームズ修一さんが運動面からアドバイスされています。
実際、ここで触れられているように、私の父は怪我をして歩かなくなってから糖尿病が悪化したので、声を大にして注意喚起したい次第。
◆そして「孤独」をテーマにした第10章からは、最後のポイントを抜き出しました。
特に定年後、会社に行かなくなった男性は、女性に比べると人間関係の構築が難しそうですから、このポイントの5番目のアドバイスを実践していただきたく。
ただ、私は自宅マンションのエレベーターで誰かと一緒になったら、「おやすみなさい」等、自分から声をかけているのですが、以前まで住んでいたマンションに比べると、他の住民の皆さんが声掛けなれてないのが気になると言いますか(地域性の問題?)。
また「無駄話」も、自分の話したいことだけ話したり、他人の話を遮ったり否定していたら、それこそ「面倒なオッサン」になりかねませんのでご注意を。
いずれにせよ本書は、各テーマをそこまで深掘りはしていないものの、「広く浅く」知識を仕入れたり、各専門家の皆さんの著作を選ぶ際に参考にする際には、非常に便利だと思います。
中高年のビジネスパーソンなら要チェックな1冊!
50歳から必ずやっておくべき10のこと
第1章 今こそ「仕事観」を変えよう!
第2章 リーダーとしてチームを導こう
第3章 部下に仕事を任せよう
第4章 部下を育成しよう
第5章 人生後半戦のキャリアを見直そう
第6章 転職・独立・起業についても考えてみよう
第7章 会社の外での活動を始めよう
第8章 定年後の「お金」に備えよう
第9章 定年後の「健康」に備えよう
第10章 定年後の「孤独」に備えよう
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【編集後記】
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