2021年12月08日
【思考術】『エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する』グレッグ・マキューン

エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった思考術本。当ブログでも人気が高かった『エッセンシャル思考』の著者である、グレッグ・マキューンの最新作です。
アマゾンの内容紹介から。
40万部突破「エッセンシャル思考」の第2弾!
ダニエル・ピンク、カル・ニューポート、イヴ・ロドスキー、アリアナ・ハフィントンが絶賛!
「無駄な努力を0%にして成果を100%にする方法!」
中古が4000円以上していますから、「10%OFF」のKindle版がオススメです!

Resolutions. / mt 23
【ポイント】
■1.最小努力の法則「どうすればもっとも困難に食べ物を手に入れられるか?」と考えていたら、十分な食べ物を手に入れることはできない。「いちばん難しいやり方で家をつくろう」と考えていたら、家が完成する前に厳しい自然にやられてしまう。
もっとも少ない努力で成果を出そうとする傾向が、ヒトという種の生存を可能にしてきたのだ。
こうした自然の傾向にあらがうのをやめて、それを強みに変えてみたらどうだろう?
「困難な仕事をなんとしてもやり遂げてみせるぞ」と意気込む代わりに、「どうやったらこの仕事がもっと楽になるか?」と考えてみるのだ。
頑張らないことを選ぶのは、居心地が悪いかもしれない。手抜きしているようで、気まずく感じるかもしれない。全力で頑張ることに慣れすぎているからだ。
頑張ることがよいことだという価値観は、無意識のレベルで私たちの心に刷り込まれている。楽をするのが後ろめたく感じるほどに、努力の価値は過大評価されている。
■2.やらないことを極限まで増やす
アジャイルソフトウェア開発宣言は、ソフトウェア開発の無駄や難解な部分をなくし、効率的によりよいソフトウェアをつくるための原則をまとめた文書である。
その原則のひとつは、「シンプルさ(やらないことを最大限に増やす技術)が本質だ」。
ソフトウェア開発の目的は顧客のために価値を創造することだが、より少ないコードと機能で実現できるのであれば、絶対にそうすべきなのだ。
この原則はソフトウェア開発だけでなく、日常のあらゆるプロセスに適用できる。
「やらないことを最大限に増やす」にはどうするか、を考えればいい。
言い換えれば、最終的な目標が何であれ、価値を生みだすステップだけに集中すべきだということだ。無駄な手順には機会コストがかかる。本質的でないステップを取り除けば、そのぶん本質的なことに使える時間やエネルギー、脳のリソースが増える。
実際にやってみると、一見複雑に見えるタスクが、わずか数ステップで達成できることに驚くだろう。
■3.上限と下限を設定する
どんなに周到な計画を立てていても、思わぬ邪魔は入るものだ。
午前中はデスクワークをしようと思っていたのに、気がつけばミーティングしかしていない。仕事に集中する時間をカレンダーに記入していたのに、子どもが泣きだして仕事にならない。
なんとか進捗を取り戻そうと週末まで必死に働くが、かえって仕事の質は低下し、罪悪感が増し、自信を失ってしまう。
それよりも、もっと簡単な方法がある。上限と下限を設定すればいいのだ。 「X以上、Y以下」というシンプルなルールを設定し、必ずその範囲に収めよう。
適切な範囲を見つければ、安定したペースで前進することができる。
下限は、モチベーションを維持できる程度には高く、予想外のトラブルが起こっても達成できる程度の低さにしよう。
上限は、順調に進んでいると感じられるくらいには高く、しかし疲れてしまわない程度の低さにしよう。リズムに乗れば、作業は流れるように進みだし、エフォートレスな行動が実現できる。
■4.日々のタスクを自動化する
2012年、旅行予約サイトのエクスペディアは、自社サイトで予約をした100人のうち58人がカスタマーサービスに電話をかけてくることに気づいた。相談内容でもっとも多いのは「旅程表をもう一度送ってほしい」というものだった。
その数は年間約2000万件。オーストラリアに住むすべての人が毎年同社に電話をするのと同じくらいの数だ。(中略)
そこでエクスペディアでは、自動応答システムを導入し、顧客自身がウェブサイト上で簡単に旅程表にアクセスできるようにした。前もっていくらかの時間と労力を費やす必要はあったが、この一度のアクションの結果、それ以降の電話件数は43%削減された。
自動化による時間とコストの削減効果は非常に大きかったため、エクスペディアは機械学習とAIを活用したセルフサービス機能を次々と展開し、顧客の多様なニーズに応えている。カスタマー・エクスペリエンス部門を統括するライアン・オニールは、最終的にはカスタマーサービスの90〜95%が完全に自動化されるだろうと予想している。
■5.時間管理のロングテール
なぜ多くの人は、問題を必要以上に長く我慢してしまうのだろうか。それは問題を解決するよりも、ごまかすほうが手軽だからだ。ジョンにとっては30秒間ガチャガチャとやるほうが、引き出しの中を精査して問題の原因を調べるよりも手軽だったわけだ。
だが長期的な視点で見ると、計算結果が変わってくる。今日も明日も、その先何百日も同じ問題に悩まされることを考えれば、一度だけ手間をかけて根本的に解決したほうがずっとコストが低い。長期的には、きちんと直したほうが絶対にお得なのだ。
たった2分間の努力で、将来の何百もの不満を防ぐことができるのだから、圧倒的な利益率である。
これを私は「時間管理のロングテール」と呼んでいる。ロングテールの視点で時間を投資すれば、長い期間にわたって持続的な利益を得ることができる。
【感想】
◆冒頭でも触れたように、本書の著者であるグレッグ・マキューンは、かつて『エッセンシャル思考』を書いたことで知られる人です。
エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
参考記事:【本質主義】『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』グレッグ・マキューン(2014年11月20日)
当ブログでも、セールのたびに人気の高かったこの本。
日付を見たら、もう7年も前に出版されていたんですね。
その『エッセンシャル思考』と今回の『エフォートレス思考』の関係について、著者であるマキューンは、「大きな石理論」を用いて説明しています。
いわく、「大きな石理論」を実践したのが『エッセンシャル思考』であるのに対して、そもそも大きな石が多すぎる場合に対応するのが『エフォートレス思考』である、と。
そして本書『エフォートレス思考』は、下記目次にあるように「精神」「行動」「しくみ化」の3つパートから構成されています。
◆その「精神」のパートから抜き出したのが、上記ポイントの1番目。
これは第1章からのものであり、まさに「エフォートレス思考」の根幹を構成しています。
「頑張れば何とかなる」というのは、「頑張り」を評価しがちな日本人にとっては当たり前とも言える考え方でした。
ゆえに「努力の価値は過大評価されている」という最後の一節は、こうした根性論が好きな方にとっては、まさにパラダイムシフトと言えるかもしれません。
なお、このパートにおける、休息や睡眠の重要性については、『エッセンシャル思考』でもうたわれていましたっけ。
◆続く2番目のパートでは、具体的な「行動」についての言及が。
上記ポイントの2番目の「アジャイルソフトウェア開発宣言」は、私は初めて知りましたが、その筋では有名なものらしく。
ただし引用内にもあるように、この原則は「ソフトウェア開発だけでなく、日常のあらゆるプロセスに適用できる」のだそうです。
本書曰く、複雑なものを簡単にするのではなく、ゼロからスタートして「最低限必要なステップは何か」を考えよ、と。
実際、マキューンはゲストとの対談をポッドキャストとして立ち上げた際、当初15あったステップをいったんゼロにし、「最低限必要なステップは何か」を考えたところ、たった2つで事足りたそうです。
◆また、同じ「行動」からは、上記ポイントの3番目の「上限と下限を設定する」というTIPSも参考になりました。
おなじみ「VUCA」の状況下における考え方の1つが、「ゆっくりはスムーズで、スムーズは速い」というもの。
これは、ゆっくり進めば、ものごとはスムーズになり、ものごとがスムーズであれば、より速く動ける、という意味です。
ただし、ゆっくりしすぎても行き詰ったり、リズムを失ってしまいますから、上限と下限を設定して、その範囲内で進めばよい、というワケです。
調子が良いと、ついつい多めにやったり、やりたくないときは全くやらなかったりする人は、ぜひ取り入れていただきたいところ。
◆さらに3番目のパートでは、その行動を「しくみ化」することの重要性が強調されていました。
たとえば上記ポイントの4番目の「自動化」。
いまや、ネットでの問い合わせの多くが、チャットボットで対応されているのは、皆さまご存じのとおりです。
さらに最後のポイントにある「時間管理のロングテール」は、「最小の時間で解決できる、最大のイライラを見つけること」がキモ。
これは私自身は結構よく行っており、たとえば自宅の台所で、流しの下に付けた吸盤式のタオルハンガーが頻繁に落ちていたのを、タオルを直接、扉の取手に通すことにして解決したことがあります。
確かに、落ちてもその都度拾って、また付ける行為自体は大したことではなくとも、長い目で見たら、結構な手間が節約されたのではないか、と。
……この能力が、もっと仕事でも発揮できたらいいのですがw
最小の努力で、最大の成果をあげるために読むべし!

エフォートレス思考 努力を最小化して成果を最大化する
Prologue エフォートレス思考とは
PART1 エフォートレスな精神
第1章 INVERT 頑張れば成果が出るとはかぎらない
第2章 ENJOY 「我慢」を「楽しい」に変える
第3章 RELEASE 頭の中の不要品を手放す
第4章 REST 「休み」で脳をリセットする
第5章 NOTICE 今、この瞬間にフォーカスする
PART2 エフォートレスな行動
第6章 DEFINE ゴールを明確にイメージする
第7章 START はじめの一歩を身軽に踏みだす
第8章 SIMPLIFY 手順を限界まで減らす
第9章 PROGRESS よい失敗を積み重ねる
第10章 PACE 早く着くために、ゆっくり進む
PART3 エフォートレスのしくみ化
第11章 LEARN 一生モノの知識を身につける
第12章 LIFT いちばんシンプルに伝える
第13章 AUTOMATE 勝手に回る「しくみ」をつくる
第14章 TRUST 不信のコストを削減する
第15章 PREVENT 問題が起こる前に解決する
Epilogue エフォートレス思考を生きる
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
週刊東洋経済 2021/9/4号
週刊東洋経済のベンチャー特集号なのですが、ちょうど「Kindle本冬のキャンペーン」の対象ということで「50%ポイント還元」となった結果、実質「99円」のKindle版が700円弱お得。

企画
43評価の平均が「4.5」という人気企画本は、Kindle版が1100円弱お得な計算です!
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本冬のキャンペーン」の光文社分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。
ロシアン・ルーレットは逃がさない〜プーチンが仕掛ける暗殺プログラムと新たな戦争〜

「孤独」という生き方〜「ありのままの自分」でいることのできる、自分だけの居場所を求めて〜 (光文社新書)

教養としてのロック名曲ベスト100 (光文社新書)

マンガでわかるパーソナリティ障害〜もっと楽に人とつながるためのヒント〜
ちょっと変わったラインナップですが、ご参考まで!

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