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2021年11月16日

【自己啓発】『60歳からの教科書 お金・家族・死のルール』藤原和博


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60歳からの教科書 お金・家族・死のルール (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、つい先日発売されたばかりである藤原和博さんの新刊。

Kindle化されていなかったため、未読本記事では見送ったのですが、電子化にともない、晴れて読ませていただきました。

アマゾンの内容紹介から。
60歳は、「第二の成人」。
人生100年時代を生き抜く自己希少化のススメ。
「朝礼だけの学校」校長・藤原和博の極意がここに!
60歳からの自由時間は8万時間をラクに超える。
どう使うかは、あなた次第。
まずは、自分の希少性に気づくことから始めよう。
成熟社会をとことん自分らしく生き抜くフジハラ式大人の教科書!

版元が朝日新聞出版さんだけあって、Kindle版は「29%OFF」とセール並みのお買い得価格となっています!





【ポイント】

■1.「三点魔法陣」を描く
 文字通りこれは、3つの点で描く魔法陣です。
 キャリアを掛け合わせて魔法陣の面積を最大限に大きくし、100万人に1人の「希少性」を目指してもらう方法です。(中略)
 たとえば、一点目で「経理」を、二点目で「財務」をマスターしたのち、関連会社の経理部門に行くとします。残念ながら、それでは魔法陣の面積は広がりません。三点目がそれまでの一点、二点と近いためです。
 三角形の面積は、「底辺」掛ける「高さ」割る2で数値化されます。いうまでもなく高さの数値が高いと、面積は大きくなります。今から振り返ると、30代後半から40代後半までの10年ほど、私はこの底辺の数値を活かす高さを求めて自分の可能性を模索していたのです。(中略)
 転機は47歳で訪れます。東京都では義務教育初の「民間校長」という道が開け、私は「これだ!」と、このチャンスをつかみに行きました。(中略)
 1万時間、校長職に没頭し、私は「100人に1人の校長」を目指しました。こうして自分の「三点魔法陣」ができあがったのです。


■2.人生の方向性を確かめる「報酬マトリクス」
 右側は、「経済的価値」を重視する価値軸。金銭的な報酬をどれくらい重視するかを可視化させます。左側は、「経済以外の価値」を重視する価値観。家族や友人、個人的に興味関心のある活動や社会貢献をどれほど重視するかを可視化させます。(中略)
 今度は縦軸を見てみましょう。
 上部は、組織的な力を志向する「権力志向」です。サラリーマン的な志向ですね。企業や組織内で昇進し、予算や人事権を得て権力を掌中にしたいなら上に行くべきです。けっして悪い意味ではありません。組織とともに自己実現する生き方です。それに対して下部は、個人的な力の充実を志向する「プロ志向」です。技術志向とも職人志向とも言えるでしょう。組織を離れて個人になっても、働き続ける志向性です。
 今あなたはどこにいますか? そしてこれから、どこを目指しますか?


■3.「ベクトルの和の関係」を築く
 先述のように、ベクトルとはそれぞれの人間の「生きるエネルギーの強さと方向」を表しています。「ベクトルの和の関係」は、あなたと家族を含む他者が、もともと違う動機づけで事に向かっているのが前提です。
 あなたと相手のそれぞれが、特有の向きと強さの「エネルギーの矢」を持っている。その違いを初めから認め合った上で共通のゴールを目指すとき、「ベクトルの和」が役に立ちます。
 人間2人の異なるベクトルから得られる「対角線」は、両者にとって新たな「共通のゴール」となり得ます。その対角線の先を目指すことに両者が合意できれば、1人でゴールを目指すよりも、より大きな成果が得られるはず。2本のベクトルを足した対角線は、合成する前の2辺よりも長くなるからです。


■4.コミュニティで裾野を広げる
 さっそく、実践に移りましょう。
「連邦型エネルギーカーブ」で人生に大きな山をいくつも描くために必要な土台は、いったい何でしょう。
 それはずばり、「裾野の広さ」です。(中略)
 では、裾野はどうやってつくるのか。
 一番の近道が、本業とは別のコミュニティに参加して、そこで得た知識や人間関係を育てていくことです。自分の興味・関心領域に近く、自分のことをほぼ無条件で受け入れてくれるコミュニティを探すこと。それがコツになります。
 コミュニティに受け入れられるか、コミュニティを仲間とともに創り上げていくことで、連峰型エネルギーカーブを生み出す裾野が築かれていきます。


■5.貢献することで自立できる
 自立とは文字通り、「自分で立つ」ことです。経済的な自立、精神的な自立、社会的な自立。もちろん全部揃うことが望ましいのですが、中学生や高校生では、経済的に自立することは困難です。衣食住の面倒を親に見てもらわざるを得ない時期ですが、それでも中学、高校の時期から「自立の精神」を自分自身で育てていくことは大切なことでしょう。
 そのためには何より、貢献すること。難しいことをする必要はありません。たとえば、隣の子が消しゴムを落としたら、拾って渡してあげるのだって立派な貢献です。授業中、先生が話したことについて、率先して質問することも貢献に他なりません。
 まずは、自分の隣の人や目の前の一人に貢献する。次にその場にいる複数の人たち、そして自分が所属するコミュニティ……と貢献の範囲を広げていくうちに、「地震があったときには自分たちがお年寄りの安否確認を手伝えないか」、「地域の消防団に協力することができるかもしれない」といった地域社会への貢献までもが視野に入ってきます。


【感想】

◆昨日の集中力本とは打って変わって、各章ごとのテーマがシンプルな作品でした。

それらをポイントとして抜き出しましたから、それらをご覧いただければ、本書を俯瞰できる仕様。

たとえば第1章ならば、上記ポイントの1番目「三点魔法陣」が主たるテーマです。

なお、この「異なるキャリアを掛け合わせて希少性を持たせる」やり方は、著者の藤原さんの著作ではおなじみのお話。

古くはこの本でもテーマになっていましたっけ。

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藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

参考記事:【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(2013年09月01日)

ただし以前は、「点と点の距離」から面積に言及することはなかったハズなので、理論もバージョンアップした模様。

私も全部の藤原さんの作品を読んでいるわけではないものの、この件の著作を未読の方や、旧理論をご存じの方にとっても、有意義なお話だと思います。


◆続く第2章のテーマは、章題にある「お金」のお話を発展させた「報酬マトリクス」。

そこで上記ポイントの2番目では、その概要部分を引用してみました……って文章で読んでも今ひとつ分かりにくいですよね。

そこで本書内にあった図をExcelで再現(クリックすると拡大します)。

報酬マトリクス














これを簡単にまとめると、
A「力」を武器に生きる。
B「技」を武器に生きる。
C「つながり」を武器に生きる。
D「好き」を武器に生きる。
となるワケですね(詳細は本書を)。


◆一方第3章では、「家族」がテーマ。

藤原さんいわく、人と人との付き合いには、大きく分けて3つの状態があるのだそうです。
1 あなたと相手のベクトルが「向き合っている関係」
2 あなたと相手のベクトルが、同じ方向を向いている「横に並ぶ関係」
3 あなたと相手のベクトルが、違う方向を向きながらも、協力して何かを成し遂げようと試みる「ベクトルの和を求める関係」
たとえば結婚してすぐの夫婦であれば、対話が多いでしょうから1の関係で、子どもができて、同じ目標(中学受験等)に立ち向かっているのが2の関係。

そして同じ目標がないような場合に目指すべきが、上記ポイントの「ベクトルの和の関係」になります。

文中に「対角線」とあるように、本書内でも平行四辺形が描かれ、その対角線上に「共通のゴール」があるのですが、その辺は描かなくてもお分かりになると思いますので割愛。

なおこれは、個人間の目標だけでなく、個人と会社との関係においても言えることなので、どう活用するかは本書にてご確認ください。


◆また第4章では「死」が扱われているのですが、ここで中心となるのが「人生のエネルギーカーブ」のお話です。

実は「人生のエネルギーカーブ」でググったところ、藤原さんのお話ばかり出てくるので、これはどうも藤原さんのオリジナルの模様(違ったらごめんなさい)。

たとえばこんな風に簡潔にまとめてあるサイトがあるのですが。

人生のエネルギーカーブの話 | ノムコム60→

いずれにせよ、明治時代を生きた世代と、昭和・平成を生きた世代とでは、平均寿命が20年以上違います。

さらに、令和になると明治時代とは下手したら寿命が倍違うわけですから、人生のピークも複数あるはず。

そこで描かれるのが、上記ポイントの4番目にある「連邦型エネルギーカーブ」です。

ここではさらに、その裾野の広げ方について触れられており、どうやら「本業とは別のコミュニティに参加する」ことが大事なよう。

私も今まで、「クラブコミュニティ」「読書コミュニティ」とコミュニティを転々として、今は「藤井風コミュニティ」にいますけど、今後はどうなることやら……。


◆そして最後の第5章では、まさに章題である「自立貢献」がテーマになっています。

なんでもこれは、藤原さんが杉並区立和田中学校の校長時代に掲げていた、教育目標だったとのこと。

今まであまり、藤原さんのその時代のお話を読んでこなかったのですが、学校の中だけでなく、地域に密着した活動も色々と行われてきたんですね……。

詳細は本書をお読みいただくとして、「土曜寺子屋」ですとか「よのなか科」といった活動は、本書で初めて知りました。

また、海外の学校づくりにまで参加されたり、その活動を行う事業の主催者を応援したり等々、できることは多々あるのだと改めて感じた次第。


中高年以降の人生を充実させるために!

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60歳からの教科書 お金・家族・死のルール (朝日新書)
第1章 希少性――自分を「レア化」する
第2章 お金――自分の「物語」を豊かにする道具
第3章 家族――無限の「ベクトル」合わせ
第4章 死――死に方を決める「連峰型エネルギーカーブ」
第5章 自立貢献――貢献せよ、さらば自立せん


【関連記事】

【働き方】『藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方』藤原和博(2015年12月28日)

【キャリア】『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(2013年09月01日)

【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)

【全世代必読?】『40歳からの会社に頼らない働き方』柳川範之(2013年12月07日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記】

◆うっかり触れ忘れておりましたが、先日の「ぴっかぴか小デジ!感謝祭」の記事で人気があったのはこの辺の作品でした(順不同)。

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