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2021年10月18日

【論理的?】『なぜロジカルな人はメンタルが強いのか? 現代最強雀士が教える確率思考』小林剛


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なぜロジカルな人はメンタルが強いのか? 現代最強雀士が教える確率思考


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった自己啓発本。

帯にあるように藤田晋さんが推薦し、土井英司さんがメルマガで「ワクワクしながら読んだ」と言われていた作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
100万人が視聴する麻雀の頂点「Mリーグ」でチームを優勝に導いた「鋼のメンタル」が、今すぐ心を強くする“考え方"を伝授!

中古価格が定価の2倍以上しますから、お得なKindle版がオススメです!






Mahjong / VilleHoo


【ポイント】

■1.ミスを後悔する人は、自分を「過大評価」している
 ちなみに、私はミスをしたときに、自分に腹を立てる気持ちは起こりません。
 なぜなら、「頻繁にミスをする」ところまでが自分の実力だと思っているからです。
 もし「普段しないミスをしてしまった……」と腹を立てているなら、「自分をミスをしない人間だ」と過大評価しています。もちろん、ミスの頻度には個人差があると思いますが、そのミスの発生頻度も含めたところまでが実力だと認識すべきです。
 これは学校の勉強にも似ているかもしれません。
 練習問題のときからよく間違えていたのに、試験の結果が悪かったことだけ取り上げて「あ〜俺は本番に弱い」「ツイてない」と嘆くのはおかしいと思うのです。
 私自身、学校のテストでは、ミスが非常に多い学生でした。今思うと、そこから自分のミスに慣れてしまったのかもしれないですね。


■2.選択肢の「メリット」と「デメリット」を考える
 メリットとデメリットの根拠をできるだけたくさん考え、両方ありうることを知ったうえでとったアクションならば、デメリットのほうの結果が現れたとしても、それは想定内なので動揺することはありません。
 野球にたとえてみましょう。キャッチャーがピッチャーに対し、次に内角高めか、外角低めか、どちらのコースに投げさせるか迷ったとします。内角高めなら、長打のリスクを承知で三振を取りにいくのでしょう。外角低めなら、長打のリスクを避けつつも、ゴロでランナーが進むことは許容する、といった考え方になります。
 三振狙いで内角高めに投げさせて、長打を打たれたのなら、それは想定の範囲内です。メリットとデメリットを把握したうえで選択した配球で打たれたら、それはもう仕方ありません。嘆く必要は、まったくないのです。(中略)
 このように、考えうる選択肢すべてのメリット、デメリットを事前にいくつも考えておく作業は、ピンチにも動じない思考訓練になります。
 選択肢と根拠をたくさん持っていればいるほど、あなたは強くなれるでしょう。


■3.「理不尽」は存在しない
 あまり出くわさない、低い確率で起こる事象が起こり続けることを「理不尽だ」「確率の偏りが起こった」と表現をすることがありますが、これは間違いです。
 当然、発生する確率が高い事象、低い事象というものは存在します。また、ときによって、発生する確率の低い事象が繰り返し起こることもあります。
 しかしこれは、「結果の偏り」であって、「確率の偏り」ではありません。
 すべての事象は0%≦X≦100%の確率の中で起こっており、その確率で「ありうることが起こり続けている」だけなのです。
 たとえば同じ人が4回連続でアガったとします。皆さんは「こんなことありえない!」などと言うわけですが、4局やって同じ人が4局アガる確率は256分の1ですし、4人のいずれかが4回連続でアガる確率は64分の1になるわけです。さらに、10局のうちどこか4局で連続してアガる確率になると、さらに高まります。
 こうした確率の低いことが起きて「理不尽だ」と嘆いたりしますが、実際には理不尽でもなんでもなく、ただ起こるべきことが一定の確率で起きているだけなのです。


■4.独立した事象の間に因果関係はない
 たとえばプロ野球の巨人対阪神の3連戦で、阪神が初戦を勝ったとしましょう。だからといって、2戦目、3戦目に阪神が勝つ確率が高まるわけではありません。(中略)
 これは、サイコロを転がしているのと同じです。
 何度転がそうが、それぞれの目が出る確率はいつも6分の1です。仮に同じ目が続いて出たとしても、次にその目が出る確率が上がったり、下がったりするようなことはありません。
 1回1回の「サイコロを振る」という行為の間には、因果関係がないからです。これを統計の世界では「独立した事象」などといいます。  
 たまたま悪い偶然が繰り返し起こる、あるいはよい偶然が繰り返し起こる。これは確率的にはわずかであっても、起こりうる現象です。
 起こった「結果」が偏ったとしても、それは過去の出来事であって、この先の現象を予定するものではありません。
 そのようなもののために、強気になりすぎたり、逆に弱気になりすぎてしまって、ベストな選択がとれないようでは、ビジネスでも人生でも、勝利は遠のきます。
 ですから、どんな結果が起ころうが、心を揺らす必要はないのです。それを理解したときに、きっとあなたのメンタルは強くなるのだと思います。


■5.「51対49」の「51」を選び続ける者が勝つ
 今の自分の力では50対50に見えるけど、実際は51対49かもしれない。
 そういう不確定な選択肢の優劣を見極め、よりベストな選択を繰り返していくのが麻雀です。
 51対49だと判断したものが、実際には49対51だったとして、それに気づかずに負けてしまうこともあるでしょう。それがそのときの実力にすぎません。
 当然ながら、51を選んだからといって、49よりもよい結果になるとは限りません。30を選んだ人に負けてしまうことも、十分にあり得ます。
 あくまで、「よりよい結果になる確率の高い選択をしよう」という話です。
 したがって、そこで出てきた結果というのは、あくまで偶然の結果です。コントロールできませんから、後悔するべきものではありません。(中略)
 51対49の差は、たった2しかありません。でも100回重ねていけば、5100対4900になり、200もの差になるわけです。200もの差があれば、中長期的に望む結果を出せる可能性は劇的に高まるでしょう。
 これは麻雀に限りません。ビジネスやスポーツで結果を出している人も、この2を積み重ねた人なのだろうと、私は思います。


【感想】

◆かなり久々の麻雀関係の作品でした。

と言いますか、そもそも麻雀打ちの方で自己啓発書を書かれる方、といったら、おなじみ"雀鬼"桜井章一さんくらいで、それ以外の方が書かれたとしても、まず麻雀の専門書くらいではないか、と。

そしてその桜井さんとほぼ「真逆」な麻雀の打ち方をされているのが、本書の著者である小林剛さんらしく。

つまり、桜井さんが麻雀を打つ上で、昔から言われているような「ツキ」や「流れ」を大切にするのに対して、小林さんはそれらを一切無視しているワケです。

実際小林さんは、出版社の企画で桜井さんと対談したことがあったのだそうですが、長時間の対談でも最後まで考え方の溝は埋まらなかったのだとか。

……まぁ本書でも、従来の「ツキ」や「流れ」を重視する打ち方を「オカルト的」「オカルト派」と呼んでいるくらいですから、上記で挙げたポイントのような考え方だと、それらは相入れられないでしょうね。


◆対して、小林さんの打ち方は本書のタイトルにもあるように「ロジカル」。

そのベースにあるのは「確率論」と言ってもいいと思います。

そもそも麻雀は、他のボードゲームである囲碁や将棋と違って、「運」の占める割合が非常に大きいもの(それだけに、「ツキ」や「流れ」を重視してきたのですが)。

ただし、それが100回、1000回と回数を重ねると、コインの表と裏が出る確率が50%に収束していくように、「正しい打ち方をする方が勝つ」ようになります。

そこで上記ポイントの5番目にあるように、たとえ運に左右されることがあっても、「よりよい結果になる確率の高い選択をしよう」と言われている次第。

確かにこの考え方は、麻雀のみならずビジネスにも通じるものと言えるでしょう。


◆また、ビジネスに通じると言えば、上記ポイントの1番目の「ミス」のお話も同様です。

そもそもビジネスにせよスポーツにせよ、本番を平常心で行える方がマレ。

どんなに大事な場面(生死を賭けたり等)でも、普段と変わらないパフォーマンスができるのは、下記のような物語の主人公くらいです。

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アカギ 36―闇に降り立った天才 (近代麻雀コミックス)

それを踏まえた上でのパフォーマンスができるよう、事前に準備したり練習を重ねることを、ビジネス書でもうたっているのですが、ここで指摘されているように「過大評価」という考え方もなるほど確かに。

また、「事前に準備」という意味では、上記ポイントの2番目にある「メリットとデメリットの根拠を考える」のも同様です。

ビジネスにおいても、盲目的に1つの考えに囚われることなく、複数の選択肢と、そのメリットとデメリットを事前に検討しておくことは大切かと。

ちなみに、ここでは野球の例が出ていますが、本書では麻雀を知らない方のために野球の例が多く登場していますので、あらかじめご留意ください。


◆一方、上記ポイントの3番目を読んだ方の多くが「ブラックスワン」を思い浮かべるかもしれません。

ブラック・スワン理論 - Wikipedia

確率的には低いとはいえ、一定の割合で起こりうるものではありますから、それを「理不尽」と呼ぶのは間違っている、と。

そりゃ、理屈ではそうなんですけど、感情的には納得しかねますよね(小並感)。

一方、上記ポイントの4番目は、まさに「ツキ」や「流れ」を否定する考え方です。

これは麻雀のみならず、普通に私たちの日常生活やビジネスでも起こりうること。

つまり、事前の結果が良かったら「ツイてる」、悪かったら「ツイてない」と考えて、その行為をしたりしなかったり、あるいはやり方を選んだりしていることは、結構あると思います。

もちろん、中には1つ成功したことで、強気に判断した結果、それが当たることはあるかもしれませんが、それぞれの事象が独立しているならば、それらは本来関係ないこと。

それを理解した上で、「ベストな選択」を取ることができるようにしたいものです。


◆なお、本書の最終章は、こうした小林さんの考え方が生まれるに至った、幼少期から現在までを振り返るパートなので割愛。

また、その前の第4章も、前半で控えていた分(?)麻雀の役名が多めに出てきて、麻雀が分からない人には分からない部分がちらほらあったためパスしました。

もっとも土井英司さんがメルマガで
事例が麻雀なので、麻雀をやらない土井には若干理解できないところもありましたが、原理原則は、たとえ麻雀がわからなくても理解できると思います。
と言われていましたが、まさにその通り。

実際本書は、麻雀の牌の図が1つも出てこない仕様になっていますから、麻雀を知らない方でもとっつきやすいと思います。

もちろん、私のように麻雀の経験者なら、より一層腑に落ちることは間違いなし。


論理的に考えることがお好きな方なら要チェックです!

486410803X
なぜロジカルな人はメンタルが強いのか? 現代最強雀士が教える確率思考
第1章 鋼のメンタルは「思考法」から生まれる
第2章 「ストーリー」に逃げない者だけが勝つ
第3章 好き嫌いを排除し「損か得か」で考えろ
第4章 疑い深い人だけが「本質」に近づく
第5章 鋼のメンタルができるまで


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【棋士の思考法?】『直感力』羽生善治(2012年11月07日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記】

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