2021年10月08日
【Q&A】『ヒト モノ カネ すべてうまくいく会社をつくる 短パン社長のお悩み相談室』奥ノ谷圭祐

ヒト モノ カネ すべてうまくいく会社をつくる 短パン社長のお悩み相談室
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「ニコニコカドカワ祭り2021」における人気作。著者の奥ノ谷さんは、社長自らSNSを活用して、自社の売り上げを伸ばしてらっしゃるユニークな社長さんです。
アマゾンの内容紹介から。
「ビリギャル」の坪田信貴氏推薦! 「社員も子どもも、会社も家族もリーダー次第。短パン社長は最高のリーダーです。」
うまくいってる社長が、経営者やフリーランスの悩み、解決します!
コロナウイルスの影響によって起こるであろう消費の滞りで、これから売上を見込める明るい要素はそれほど多くありません。
また、常にヒト・モノ・カネなど、社長の悩みはつきません。
こんな世の中で常に攻め続けている短パン社長こと奥ノ谷圭祐氏に、社長のよくある悩みや、変な悩みを聞いてみました。
真摯な、そして明快な短パン社長の回答に、読むだけで働く意欲が湧いてくるはずです。
中古が値崩れしていますが、送料を考慮するとKindle版がお得となります!

Shorts #cayl / CAYL_PHOTO
【ポイント】
■1.「うちにはなかなか優秀な人材が応募してきません」こういうことを言う経営者、多いですよね。
「じゃあ、あなたの会社にとって、優秀な人ってどんな人?」と尋ねると、だいたい「そりゃあ仕事ができて、気が利いて、自分で仕事をつくれる人ですよ」とか答えるけど、全然具体的じゃない。「自分の会社にとって優秀な人」について深く考えたことがないんだと思う。(中略)
成績表ではわからないものがあるんです。
優秀でない人というのはいない。全員どこかは優秀……というか、いいところはあるんです。自分の会社にとって優秀であればいいのであって、一般的に優秀である必要はない。
それを見いだせないのは、経営者の人を見る目がないということ。
要は優秀な経営者がいないだけです。「優秀な人が来ない」って言う前に、経営者は、自分が優秀かどうかを考えてみたほうがいいかも。
■2.「若い社員が思ったように育ちません」
「社員が育たないのは、経営者に責任がある」
ボクはそう思っています。会社が育っていないから社員も育たない。経営者や上司が、社員1人1人の好きなこと、得意なことを見抜いておらず、そこを生かす仕事を与えていないんじゃないかと思います。
最初は「これやって」と与えられた仕事でも、その人なりにやりがいを見つけ、責任感を持って、精いっぱい働いたときに、社会人として成長していくはずです。
だから社長は「君にはこういう責任があるんですよ」ということを、社員にちゃんと伝えないといけない。
絶対ダメなのが「失敗してもいいからやってみて」と言うこと。
失敗してもいい仕事は、どうでもいい仕事です。どうでもいい仕事には、責任感なんか持てない。人が成長できるのは、責任感を背負って仕事をしたときだけです。
■3.「会社をうまく動かしていくために一番大切なこととは?」
田: 真面目にやることかな。「人をだまさない」とか「自分だけ得しない」とか、小学校の道徳の教科書に載っているようなこと。でも、簡単そうで実行するとなると難しい。僕も20代のころはできなかったな。(中略)
会社で商品に不良が出たとき「お客さんは気づかないから、そのまま売っちゃおう」って会社、実は多いと思う。つくり直したらお金が余計にかかるわけだから。(中略)
真面目にやれば、会社が必ず大きくなるわけじゃないかもしれないけれど、少なくとも困っているときに、誰かに助けてもらえる会社になる。たとえば、何でも会社の経費で買って、ブランド時計を身に着けて、高級車を乗り回している社長が経営危機に陥ったとする。普段何でも経費で落としているのに、そんなときだけお金がないと言っても、銀行もまわりも助けてはくれないでしょう。真面目にやるってことは、意外と難しいってことですよ。信頼は、今日明日でつくれるものじゃないから。
■4.「お客さんから細かい要望が来ますが、全部に応えていくべきでしょうか?」
お客さんからの「商品をこうしてほしい」という要望に応えていくと、商品のコンセプトがブレまくる。日本人は人がよくて優しいから、要望があると応えてあげたいって思ってしまう。でも、それもほどほどにすることです。だってその要望に応えることが、会社の発展につながるかなんてわからないのだから。
100人買ってくれて、1人からクレームが来ると、そっちに目が行く。言葉が激しかったりすると時間もとられてしまう。1人の意見に対応することは、何も言わずに満足してくれている99人を、場合によっては裏切ることになる。
お客さんは甘やかさず、対等な関係であることが大切です。
■5.「従業員にノルマを課してもいいでしょうか?」
昔はオフィスの壁に営業成績のグラフが貼り出してあったけど、今もあれをやっていたら、「まじヤバい」ってボクは思ってしまう。ノルマは評価と連動するものだし、達成できなければ社員のプレッシャーになる。そういう状態が発奮材料になる人と、そうでない人がいる。だって実績が挙げられない人は地獄ですよ。(中略)
ノルマを課して他人と競わせるのではなく、一人ずつ個人のノルマを与えてあげたほうがいい。力量に見合ったものを設定してあげて、過去の自分と競わせるんです。
目標を示すなら、売上とか数字ではないものにするのがいいかもしれない。その代わり、達成したかどうかしっかり見てあげることが必要。できてなかったら、リーダーにそのことについての分析をさせること。なぜできなかったかの理由を明らかにすることは必要です。
【感想】
◆読み始めてから気が付いたのですが、この本、普通の「お悩み相談室」とは少々違います。というのも「お悩み」の中身が、「経営層絡み」なのがほとんどであり、普通の会社員の「お悩み」ではありません。
今さらですが、冒頭の内容紹介を良く見ると、「経営者やフリーランスの悩み」とあって、なるほど納得。
まずはそこをご留意いただければ、と思う次第です。
もっとも、経営本を読むのが経営者だけではないように、いずれ起業したり、独立される方にとっては良いシミュレーションになるかも。
または、ご自身の会社の経営層の方針に疑問があっても、本書で晴れるかもしれません。
◆さて、本書の構成を見ていくと、下記目次にもあるように、「ヒト」「モノ」「カネ」というように、3つの章に分かれています。
ただしボリューム的には、第1章の「ヒト」が約半分を占めているという。
実際、「お悩み」の中身を見ていくと、「中小企業あるある」のようで、顧問先のほぼすべてが中小企業である私にとっても、うなずけるものばかりでした。
たとえば上記ポイントの1番目の採用の悩みなどは、本当、他人ごとではありません。
とはいえ、本書の著者である奥ノ谷さんのように、社長自らがSNSで発信している会社だと、「社長に惹かれて」応募もあるでしょうから、私の顧問先とは違うのでしょうが。
◆また、採用はできたものの、上記ポイントの2番目のように「思ったように育たない」というのも、よく聞くお話です。
ただし、この件に関して奥ノ谷さんは、「経営者に責任がある」とバッサリ。
他にも「社員のモチベーションが低い」「採用してもすぐやめる」「新しいやり方が浸透しない」といったお悩みでも、経営者の責任ややり方に言及されており、全体的に経営層にとっては「耳イタイ」内容になっています。
……私の顧問先でも、かつて毎期決算のたびに担当者が変わってしまう(異動ではなく退職で)会社があったのですが、そこの経営者に読ませたかった(遠い目)。
もっとも、このポイントの2番目にある「失敗してもいいからやってみて」というのがNGなのは知りませんでした。
◆なお、上記ポイントの3番目に「田:」とあるのは、当ブログでも著作をご紹介している、OWNDAYSの田中修治さんのご発言だから。

大きな嘘の木の下で 〜僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜 (NewsPicks Book)
参考記事:【自己啓発?】『大きな嘘の木の下で 〜僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜』田中修治(2020年05月31日)
実は第1章の後に、奥ノ谷さんと田中さんの対談「コロナ時代の経営者論」なるパートがあり、この部分はそこから抜き出しています。
なんでも初対面で田中さんは奥ノ谷さんを見て、開口一番「パンツ短すぎ! めっちゃ怪しい!」と言われたとのことで、奥ノ谷さんは「初対面でこんなにハッキリと言う人いるんだって思った」って書いてますけど、実際短すぎますからw
この対談パートは、この他にもなかなか読み応えがあるお話が続きますから、お見逃しなく。
◆さて、残りの2章を見ていくと、まず第2章が「モノ」編。
といっても、物体のお話ではなく、システムや制度、サービスのお話が中心になります。
上記ポイントの4番目も、この第2章からであり、「お客さんは甘やかさず、対等な関係であることが大切」というのは、経営者のみならずとも意識しておきたいところ。
また、最後のポイントのノルマの件は第3章の「カネ」編からなのですが、ここでは「歩合制導入の是非」等、他にもデリケートなテーマが取り扱われています。
個人的には、「フリーランスの仕事の単価」のお悩みが身に沁みると言いますか、不況下での値下げにどう応じるかの参考になりました。
ユニークな経営者の真面目な回答をご覧アレ!

ヒト モノ カネ すべてうまくいく会社をつくる 短パン社長のお悩み相談室
1章 ヒト 編
2章 モノ 編
3章 カネ 編
【関連記事】
【自己啓発?】『大きな嘘の木の下で 〜僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。〜』田中修治(2020年05月31日)【フルスイング!?】『振り切る勇気 メガネを変えるJINSの挑戦』田中 仁(2014年05月18日)
【濃厚!】『鴻上尚史のますますほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』鴻上尚史(2021年04月28日)
【オススメ】『オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より』岡田斗司夫 FREEex(2012年10月01日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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参考記事:【運気?】『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得〜危機を好機に変える力とは〜』田坂広志(2021年04月20日)

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