2021年10月06日
【文章術】『短いは正義――「60字1メッセージ」で結果が出る文章術』田口まこ
短いは正義 「60字1メッセージ」で結果が出る文章術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった文章術本。著者の田口まこさんは、「東京コピーライターズクラブ新人賞」を受賞された経験のある現役コピーライターさんであり、短く書くスキルは極めて高そうです。
アマゾンの内容紹介から。
1文60字、1メッセージですべてうまくいく! 響かないプレゼン、読まれない営業資料、通らない企画書、採用されない履歴書……。ビジネスの結果を劇的に変える「短く書く技術」を紹介。リモートワークなどで文章を書く機会が増えている今、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルです。
中古価格が定価の倍以上しますから、「10%OFF」のKindle版がお買い得です!
IMG_0028 / Iain Farrell
【ポイント】
■ていねい沼に溺れない●「いただき」文を長く、わかりづらくする最大のていねい沼が「いただき」です。●「してあげる」「してくれる」
「〜していただき」「〜させていただけますと」など、「いただき」という言葉を目にしない日はありません。(中略)
しかし、ほとんどの「いただき」は文の流れを悪くし、いたずらに文字数を増やすだけです。「あげる」「くれる」を多用する人は、それがていねいな言い方だと信じているのでしょう。しかし、まったく不要です。●「していただいてよろしいでしょうか」もし、あなたが相手に何かをお願いをするときは、「〜していただいてよろしいでしょうか?」は、「お願いします」に言い換えましょう。●「のほう」これも文章を読みづらくする要因の1つです。文章自体もあいまいな印象になります。
■クセワードの二大巨頭「という」「こと」
つい入れてしまいますが、「という」はほぼいらない言葉 なのです。
書いた文に「という」が出てきたら、試しに削ってみましょう。
それで問題なく通じるなら、その「という」は必要ありません。積極的に削ってストレートな言い回しにしましょう。(中略)
「こと」も多くの人が無意識に書いてしまうワードです。実は、私も「こと」を多用するクセがあり、いつも気をつけるようにしています。
何度も「こと」が出てくると、回りくどく煩わしい文章になります。知り合いの編集者も「こと」が出てきたらその文章は必ず見直すと言っていました。
■3.数字+「ひと言」で思い通りに伝える
30%という数字だけでは、それが多いのか少ないのかはわかりません。読み手によってさまざまな解釈が生まれます。正しい数字が、正しい結果を生むとは限らないのです。
「+ひと言」で意図を明確にし、あなたの思い通りに伝えましょう。
たとえば、「少ない」と伝えたいなら、数字の前に「たった」をプラスします。新しいサービスに興味を持った人は、たった30%です。多いと伝えたいなら、数字の後ろに「にも」をつけるといいでしょう。新しいサービスに興味を持った人は、30%にもなりました。また、次のように語順を変えて、数字の後ろに「もの」をつけてもいいでしょう。新しいサービスに、30%もの人が興味を持ちました。このようにひと言を付け足すだけで、同じ数字が正反対の意味を持ちます。多いのか、少ないのか、その立ち位置が一瞬で変わるのです。
■4.漢字で「重さ」を演出する
たとえば、こちらを比べてみてください。A ダイヤモンドの きらめき
B ダイヤモンドの 煌めきA ぜいたく な味わいどちらが高級感を感じられるかは、一目瞭然です。「贅」も「煌」も、一目で豪華さを感じさせます。
B 贅沢 な味わい
私も、高額なプレステージブランドのコピーは、あえて漢字を多用した堅い文面で、スタンダードなラインと差別化しています。憧れ感を醸成するために、ワンランク上の凛とした表情を持たせるのです。「秀逸」「優雅」「卓越」「羨望」など、普段はほとんど口にしないような言葉を選びます。
実際、多くの高級ブランドのコピーも、漢字の力で高級感を演出しています。
■5.文頭「あ・い・う・え・お」で気持ちまで伝える
このまま送るとぶっきらぼうな印象になるかもしれない。
そう思ったら、文頭に「あ・い・う・え・お」をつけて、気持ちを上手に文章に乗せましょう。
たとえば、「あ、」だと次のように使います。いいですねあるとないとでは大違いです。パッと見て、AよりBのほうが気持ちを込めて「いいですね」と言っているように感じられます。「あ、」はちょうどいい相槌となり、気持ちをパッと伝える顔文字のような効果を生むのです。
⇒あ、いいですね
実はあ行の言葉には、すべて同じような顔文字効果があります。そうなのですね「えっ、」があることで、相手の話に興味を持っていることが伝わります。言葉の共感性が高くなるのです。
⇒えっ、そうなのですね
【感想】
◆タイトルやサブタイトルだと、文の短縮化だけの作品のようですが、さすがにそれだけには留まらない内容でした。とはいえ、まず第1章は「短く」ですから、まさに短文化のお話が。
形式的には「本文『一文60字』以内」「タイトル・見出し『20字以内』」がうたわれています。
そのための方策がいくつか挙げられており、その1つが上記ポイントの1番目の「ていねい沼」の回避。
ただでさえ長いので割愛しましたが、実際には各沼(?)ごとに、「before & after」が収録されており、なるほどこれらは無くても問題ないと理解できました。
ちなみに、最後の「のほう」は例文がないと分かりにくい思いますが、これは「お弁当のほう温めますか?」等のいわゆる「バイト敬語」のこと。
確かになくても問題はないでしょう。
◆また、上記ポイントの2番目の「という」「こと」も、「いらない言葉」の典型例です。
実は今回の記事を書くにあたって、自分自身注意しており、「という」は出てきた時点で数回書き直して削除しました。
一方、「こと」の方はすぐ上で使ってしまいましたが、これは書き直しようがなかったかと(ただ削除するよりあった方が良いと判断)。
むしろ、著者の田口さんの方が、上記ポイントの引用文でも何度か使われているくらいですから、見直した上で必然性があれば使用して構わないのだと思います。
なお、書き換え方ですが、単純に削除するだけでなく、
日程が変わったことを知りませんでした。のような換え方は、今回初めて知って勉強になりました。
⇒日程の変更を知りませんでした。
◆続く第2章のテーマは「わかりやすく」で、数字による表現の仕方が数多く登場。
ただし、あいまいな表現を単に数字に置き換えるだけなら、類書でも良く見るお話です。
そこで抜き出したのが、上記ポイントの3番目の「ひと言」付け加えるTIPS。
これは「数字の『見せ方』3つのコツ」の中の1つなのですが、数字は同じでも、「ひと言」何を付け加えるかによって、確かに印象がまったく違います。
もちろん、やり過ぎると反感を買いそうなので、その辺はほどほどに。
また、残りの2つについては本書にてご確認ください。
◆最後の第3章テーマは、字面のお話が中心の「強く」なるもの。
上記ポイントの4番目は、漢字とひらがなを書き分けるお話なのですが、類書ではむしろ「ひらく」(ひらがなにする)ことを推奨していました。
それをあえて、「漢字で『重さ』を演出する」というのは、目からウロコ。
上記では割愛した高級ブランドのコピーも
「より鋭く、より優雅に」(トヨタ レクサス)と、なるほど小難しい漢字を使った方が、重々しさが表現されていますね。
「Cを極めたC」(メルセデスベンツ)
「歴史をも凌駕する新世代ムーブメント」(グランドセイコー)
また、逆に「形容詞をひらがなにする」と、読みやすく、柔らかい印象になるので、文章によっては使い分けると良さそうです。
◆なお、上記ポイントの5番目は「字面」とは少々違いますが、こちらも本書で初めて知ったTIPSでした。
ガチガチのビジネス文書だと、さすがに難しいとは思うものの、この「あ・い・う・え・お」を文頭に使うことで、感情は込められます。
実は本書では利用シーンが示されているのですが、これらはビジネスチャット(SlackやLINEグループ等)で威力を発揮する模様。
特にクライアントや目上の方とやりとりする場合は、顔文字やスタンプが使いにくい分、活用すると良さそうです。
さらに本章の最後に収録された「タイトル、見出しを強くする10のテクニック」なるものも、本来ならご紹介したかったのですが、長くなりそうなので割愛した次第(ぜひご確認を)。
自分の文章をブラッシュアップするために読むべし!
短いは正義 「60字1メッセージ」で結果が出る文章術
プロローグ ── 「短い」は正義。
第1章 短く ── 60字1メッセージで、たるんだ文を引き締める
第2章 わかりやすく ── 「数字」の力で、脱・あやふや長文
第3章 強く ── 「字面」で、文を強く、好印象に
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【編集後記】
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ご声援ありがとうございました!
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