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2021年09月27日

【独学術】『ムダな努力を一切しない最速独学術』三木雄信


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ムダな努力を一切しない最速独学術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事では一番人気だった勉強本。

「孫正義さん本」で知られる三木雄信さんが、今流行りの独学法について論じた1冊です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
★英語、資格、ITスキル……大人の学びは「学習デザイン」が9割!
★誰もが最短最速で目標を達成できる「科学的・学習デザイン術」!
★6,000人がわずか1年で英語をマスターした、すごい学び方!

中古価格が定価を大きく上回りますから、「23%OFF」のKindle版が非常にお買い得です!







Hackers Office English Study Book / TheBetterDay


【ポイント】

■1.「必要学習時間」と「学習可能時間」に注目する
 日本では、「勉強ができるか、できないか」は本人の理解力や根気強さで決まると考えられています。また教師の指導の質も、本人の理解度や成績を左右すると認識されています。
 もちろんこれらの要素も、学習達成度に影響を与えないわけではありません。
 ただし、それだけでは重大なことを見落としてしまいます。
 それは「ゴールを達成するために必要な学習時間はどれくらいで、実際に学習に使える時間はどれくらいなのか」です。(中略)
 仕事や家庭の状況によって、学習に使える時間は人それぞれです。また半年後の合格を目指すのか、1年後の合格を目指すのかによっても学習計画は変わってきます。
 特に忙しい大人が最短最速で結果を出したいなら、まずは「必要学習時間」を把握し、どうすれば自分のスケジュールの中で100%の「学習可能時間」を配分できるかをプランニングすることが必須です。


■2.ゴールを明らかにする「学習目標のABCDモデル」
(1)Audience(プログラムを受ける人):誰がその行動をするのか?
(2)Behavior(行動):学習者は何ができるようになるべきか? その行動とは何か?
(3)Condition(条件):どのような条件なら学習者がその行動を実行できるか?
(4)Degree(程度):その行動はどの程度できなければならないか? 習熟度はどの程度か?
 例えば独学で英語を勉強する場合なら、このモデルによって次のように学習目標を明確化します。
・プログラムを受ける人:自分自身
・行動:英語でプレゼンする
・条件:スライドを見ながら行う
・程度:1分につき120ワードの速さで話す
 こうしてABCDをそれぞれ定義することで、ゴールがクリアになります。
「英語を話せるようになる」といったふわっとしたレベルではなく、これくらい具体的に設定しなければ、学習目標とは言えません。


■3.タイプ別「適した学習スタイル」
●視覚型
・机に向かい、テキストや教材を読む
・紙に書いて覚える
・テキストをスマホで撮影し、移動中や隙間時間に見る
・スマホの学習アプリで単語や専門用語を覚える
●聴覚型
・音声教材を聞く
・テキストの内容を声に出して読む
・自分で読んだ声をスマホで録音し、移動中や隙間時間に聞く
●体感覚型

・実際に使う場面を想定して練習する
・学んだことを人前で発表する
・勉強仲間を作って、学んだことを教え合う
・グループレッスンで他の人とコミュニケーションしながら学ぶ
(詳細は本書を)


■4.教材選びに役立つ「ARCSモデル」
・Attention(注意)
・Relevance(関連性)
・Confidence(自信)
・Satisfaction(満足感)
 このうち教材を選ぶときに重視したいのが「注意」「関連性」です。(中略)
●・Attention(注意)
 学習者の興味・関心を引き出し、モチベーションを維持するには、まず注意を引くことが大事です。
 要するに、本人が「楽しそう!」「面白そう!」と思えなければ勉強は続かないということです。
 例えば予備校の人気講師は、まず勉強とは関係のない面白い雑談から入って、生徒たちの興味を 惹きつけます。
●Relevance(関連性)
 学習目標や自分の仕事と関連性が高い教材を選ぶことも重要です。
 つまり「この教材を使うことが、自分にとってどう役立つか」を納得できるもの であるべきだということです。
 皆さんも、自分の仕事でよく使う専門用語や業界用語であれば、聞いたことのない英単語でも一瞬で覚えられるはずです。


■5.スケジュールの運用で挫折しない「5つのコツ」(抜粋)
●1日の達成度は「7割」でいい
 毎日の学習で完璧を目指してはいけません。完璧主義は挫折のもとです。
 1日の達成度は、7割で良しとしましょう。その日の学習範囲について、「7割くらい覚えられた」「7割くらい理解できた」と思えたらOKです。
●「起きたらすぐ学習」の準備をして寝る
 就寝前に復習したら、そのテキストや教材は机の上にそのまま開いておきましょう。
 いったん片付けて、起きてからまたテキストや教材を出して……というのは、結構面倒なもの。ささいなようでいて、意外と大きな摩擦係数になります。
 起きてすぐ机に向かえば、昨夜復習したページや箇所が目に入る。これくらいスムーズに朝の学習を始められるようにするのがコツです。
●教材の中に閉じこもらない
 どうしても理解できないのに、一人で教材と向き合ってウンウン 唸っているのは時間の無駄です。  必要に応じて他の媒体やコンテンツにも当たりながら、できるだけ効率的に学習スケジュールを実行していきましょう。


【感想】

◆勉強本にも色々なタイプがあると思うのですが、あまり類書では見ないタイプの作品でした。

まず本書のベースとなるのが、「インストラクショナル・デザイン」なるもの。
 これは「何を(What)できるようにするか」を明確にした上で、「どうやって(How)できるようにするか」を体系的に考えることにより、効果的・効率的・魅力的な学習プログラムをデザインするための方法論です。
そして、「インストラクショナル・デザイン」の特徴は、「学習目標」「学習内容」「評価」の3つの基本要素を相互補完的に組み合わせることなのだそう。
学習目標を立て、学習内容を決めて実行し、テストやアンケートなどの評価方法で学習達成度を測定する。このサイクルをぐるぐる回しながら改善していくのが基本的な構造です。
そこで登場するのが、ジョン・B・キャロルの「キャロルの時間モデル」なるものであり、その解説となるのが、上記ポイントの1番目。

ここにもあるように、まずは「必要学習時間」を把握し、どうすれば自分のスケジュールの中で100%の「学習可能時間」を配分できるかを考えねばなりません。


◆その達成するための「ゴール」を明らかにしているのが、上記ポイントの2番目。

これは本書の第2章から引用したものであり、ここでいう「学習モデルのABCDモデル」を各人ごとに設定していくことになります。

ちなみにここでは英語学習者の例を挙げましたが、本書では、「某証券会社の部長」や「某メーカーの若手社員」の英語学習のケースも収録。

なお、現状の自分の英語力を客観的に把握するテストとして、「VERSANT」が登場していますが、これは著者の三木さんのこちらの本のレビューでもご紹介したのでご存知の方も多いと思います。

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[新書版]海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる (PHPビジネス新書)

参考記事:【英語】『【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』三木雄信(2016年12月29日)


◆続く第3章では、タイプ別の「適した学習スタイル」ということで、いわゆる「VAKモデル」についての解説が。

上記ポイントの3番目にある「視覚型(Visual)」「聴覚型(Auditory)」「体感覚型(Kinesthetic)」については、類書でも何度か見かけたことがありました。

一応本書では、これらのタイプの診断テストも収録されていますので、お試しアレ(私は試すまでもなく(?)「視覚型」なのですが)。

また本書ではさらに、これらのタイプごとの弱点の補い方まで触れられていました。

たとえば、「視覚型」の人の場合、「local」という単語を見ると、どうしてもローマ字読みに引きずられて「ローカル」と発音したくなってしまいます。

そこで視覚情報に引っ張られてしまう人には、ネイティブの発音をカタカナで書いてもらうと良いのだそう。
「local」なら「ロコゥ」、「talk about」なら「トーカバゥ」というように、カタカナの仮名を振っていくと、ようやく本人も「ロコゥ」「トーカバゥ」と真似できるようになります。
なるほどw


◆一方第4章では、「学習ロードマップ」の作成がテーマです。

詳細は割愛しますが、一応このような手順を踏む次第。
手順1 学習方法を学習する
手順2 「学習ROI(投資利益率)」を理解する
手順3 「必要学習時間」と「学習可能時間」を知る
手順4 ROIを高める戦略を考える
手順5 モチベーションアップする教材を選ぶ
手順6 学習ロードマップをシートに書き込む
ちなみに上記ポイントの4番目は、手順5の「モチベーションアップする教材を選ぶ」からのもの。

それにしても「インストラクショナル・デザイン」には、教材の選び方にまで、このような理論が確立されているのがスゴイです。

また、最後のポイントの5番目の「スケジュールの運用で挫折しない『5つのコツ』」は、本書の第5章から抜き出しました。

直接的な勉強法とはまたちょっと違いますが、こちらもぜひ、本書の方で5つすべてをご確認ください。


◆さて、ひと通りザーッと見てまいりましたが、本書は英語学習のように、「絶対的評価」であるジャンルには有効ですが、「相対的評価」のジャンルについてはちと微妙かもしれません。

つまりTOEICのように、頑張れば頑張ったなりに点数が取れて、それでOKなものや、ある程度合格率が高い試験等なら、本書のやり方で通用すると思いますが、合格率が低いものについては、また別だと思います。

結局、スケジューリングとその達成だけで難関試験に通るならば、資格試験の専門学校は不要になってしまうワケですし……。

その辺のことも踏まえた上で、本書を読むのであれば何ら問題はないのですが、「どんな勉強ジャンルでもOK」というお話ではないことは、一応ご留意ください。

もちろん、「VAKモデル」のお話等、部分部分では有意義なTIPSもあることは、付け加えさせていただきたく。


独学を志す方は要チェックで!

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ムダな努力を一切しない最速独学術
序章 科学的に証明された、誰もが成功する「学び方」
第1章 STEP1 人生計画を立てる
第2章 STEP2 学習目標をクリアにする
第3章 STEP3 自分の学習スタイルを診断する
第4章 STEP4 学習ロードマップを作る
第5章 STEP5 学習スケジュールを立てて習慣化する
第6章 STEP6 フィードバック・サイクルを回す
第7章 STEP7 仕事で学びを活用する


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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