2021年09月10日
【仕事術】『リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール』松本淳
リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 ビジネス書キャンペーン」でも人気の仕事術本。まさに王道を行く内容で、ハイライトを引きまくりました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、若くして起業し、リスクと向き合いながら会社を成長した経験を持ち、現在も、シリアルアントレプレナーとして、また、国内外の起業家、経営者のビジネスメンターとして活躍する松本淳さんが、VUCA時代のビジネスパーソンが身につけておくべき、仕事に対する「向き合い方」と「取り組み方」、そして「仕事力を圧倒的に高める」ための思考法をあますところなく解説しています。
「仕事力を高めて人間的に成長したい」と考えている、すべてのビジネスパーソンは必読の1冊です。
中古に送料を加算すると定価を上回りますから、「60%OFF」のKindle版が1000円弱、お買い得となります!
How to run an effective meeting / Nguyen Vu Hung (vuhung)
【ポイント】
■1.「知っている」と「やってみた」との差は無限大読んだり勉強しただけのことと、実際にやってみることに大きなギャップが生じるのはなぜだろうか? 大きな理由の1つは、「文章や書籍としてまとめられた情報は、現場での細かい苦労、そして改善の努力や工夫が削ぎ落とされてしまっている」ということにある。(中略)
だからこそ、ある分野のことを実際に詳しく知る必要がある場合は、なんらかの形で「自分も実際にやってみる」ことが大切だ。やってみると、文章には残されていなかった想定外のことに大量にぶちあたる。そして実際はその多くが、一見本質とはあまり関係のなさそうな些末なことや細かい手続き上の困難だ。
しかしながら、それら現場の細かい課題や対処法こそが、実際にやったことのある人だけが知る貴重なノウハウや知見だ。それらのことは、本や文章に残すには些末すぎることが多い。読んでも面白くないし、文章にする価値もあまりないように見える。だからこそ、まとめられた情報として共有されることは少ない。しかし、それらを知っていることこそが、現場を知る者の最大の強みといえるのだ。
■2.結果ではなく、プロセスにも価値はあるか?
これに関する正しい答えは、「意味のあるプロセスには価値があるが、意味のないプロセスにはまったく価値がない」だと個人的には思っている。意味があるかどうかは、プロセスや努力が、きちんと考えられたものであったかどうかということ。「プロセスを評価してほしい」と自分で申告してくるような人は、経験上、最大限まで工夫をしてないケースが多い。プロセスのためのプロセス、努力のための努力だけに終始したから、結果が出なかったのだともいえる。
逆に、「結果が出ませんでした」と心底悔しがる人のほうが、工夫された、良いプロセスを重ねている場合が多い。そういう人は、そう遠くない将来、素晴らしい結果を出すことになるだろう。結果にこだわったからこそ、途中のプロセスが磨かれているのだ。そしてそのプロセスが成功の再現性を生み、「いつも成果を出す人」になる。正しい努力を続けているからこそ、本当の意味での「実力」が着実に備わりつつあるのだ。
■3.プラス思考とマイナス思考をうまく使う
自分がかつて、ある人から聞いた言葉。それは、「優秀な人とは、長期では楽観的、短期では悲観的にものごとを考えられる人のこと」。これはまさに、プラス思考だけではなく、マイナス思考も重要であることを、端的に表した言葉だと思う。(中略)
いつも100パーセントプラス思考、もしくは100パーセントマイナス思考という人はいないと思う。それぞれ個性はあるものの、誰しも、ある一定のプラス思考とマイナス思考の間でものごとを考える。大事なのは、意識して、プラス思考とマイナス思考をうまく出し入れして使うという発想だ。大胆に行くべき局面であればプラス思考が有効だろうし、慎重に行くべきタイミングだと思ったら、マイナス思考に寄ってみればいい。それは、自分の行動に「失敗しないための仕組み」を取り入れることだともいえる。
■4.誰かから聞いた悪口を広めない
人の悪口を言わないほうがいいことは、多くの人が理解している。だから、たとえひどい目にあって悪口を言いたくなっても、「ガマンしておこう」となる。しかし問題は、自分が体験した「一次情報」ではなく、人から聞いた話などの「二次情報」の場合だ。
「あの人は○○らしいよ」という、誰かから聞いた悪口を、無責任に広めてしまったことはないだろうか? 二次情報は、自分起点の悪口よりも、広めることに抵抗感や罪悪感も少ない。だから、人から聞いたことは、ネタとしてつい人に話してしまいがちだ。
しかし、人から聞いたウワサ話というのは、自分ではその真偽はわからない。なのにそれを無責任に広めてしまうことは、無実かもしれない「当人の信用」を、大きく損なう行為なのかもしれないのだ。自分がウワサ話を広めていたということが、当人の耳に入ることもある。その場合、「信用を奪った人間」として、その人からはものすごく恨まれることになるだろう。特に考えなしにやってしまった行為としては、その代償は大きい。
■5.自分が動かせることだけにフォーカスする
トラブルに見舞われたとき、うまく動くことができず問題を解決できない人たちには、1つの共通点があることに気づく。それは、「自分が動かせること」と「動かせないこと」を切り分けないまま、時間をムダに使っていることだ。
自分に動かすことができないものは、どんなに思い悩んでも、努力しても、やはりどうしても動かすことができない。だからそれは脇に置いておくべきなのに、自分が動かせるか否かの切り分けができていないと、つい全部を一緒にしてしまい、貴重な時間を浪費してしまうのだ。(中略)
雨が降ることは人間には防げないが、カサを用意することは誰にでもできる。もしくは、屋外で行なう予定だったイベントを、リスクヘッジして屋内開催のオプションを用意することもできる。本当に優秀な人は、「自分にできること/できないこと」を明確に分離し、あいまいな願望に頼ることなく、どんな状況においてもベストな結果を出せるように用意をしておくものだ。
【感想】
◆冒頭でも触れたように、本書は仕事術本の「王道」を邁進したかのような作品でした。仕事術本では結構、「え?」という奇をてらったTIPSや、「それはちょっと……」という提言が多少なりともあったりするものですが、それもなく。
そもそも、なんでそんな「逆張り」的なコンテンツがあるかというと、やはり類書との差別化を狙っているからのような気がします。
もちろん、結論は同じであっても、各著者それぞれの経験は違いますから、事例等書かれていれば、本としては皆、別々なんですけどね……。
その点本書は、下手な小細工は一切なく、著者である松本さんのお考えが、ストレートに反映されているのだと思います。
◆まず第1章のテーマは「仕事力」ということで、それこそ仕事をする上で心掛けたいTIPSが多々。
上記ポイントの1番目のお話は、それこそおなじみではありますが、両者の違いを「現場の細かい課題や対処法」と指摘した類書はあまりなかったハズです。
確かに書籍が充当できるのは、「ゼロ」から「知っている」までの部分であり、その先の「読者の気を引かない」細々としたお話は、活字化されないのがほとんどでしょうね。
逆に言うと、いかに「知っている」レベルまでに読者を持って行くかが勝負なわけですし。
また、上記ポイントの2番目にある「プロセス」という概念は、類書ではよく「努力」と言われているかと。
つまり類書的に言うなら、「無駄な努力には価値がない」ということになります。
ただ、従来の日本ですと無駄な残業でも残業代を払っていたわけで、この辺が日本の生産性の低さにもつながっているのではないでしょうか。
◆続く第2章のテーマは「メンタル」であり、そこから抜き出したのが、上記ポイントの3番目。
よく類書では「ポジティブ思考」「ネガティブ思考」というフレーズが出てきますし、実は本書でもこれらが登場しているのですが、ここでいう「プラス思考」「マイナス思考」との使い分けは良く分かりませんでした。
ただ、以前にくらべると、最近ではネガティブ思考を評価する作品も出てきていますし、ここでの教えもその流れに沿うものかと。
要は両者を、適切に使い分けることなのだと思います。
また、割愛した中では、「しんどいときに決断をしない」というTIPSがあったのですが、これはこちらの本でも指摘されていましたっけ。
いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学 (早川書房)
参考記事:【オススメ!】『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール(2015年03月01日)
本書では特に、「人生の中でも重要な決断は避けるべし」とあって深く納得しました。
◆一方、第3章では、仕事をする上での「コミュニケーション」がテーマです。
ここでも小見出しからして「人に認められようと思って、無理に自分を作らない」とか「伝わらないのは相手のせいではなく、自分が原因だと思うこと」「違う意見を持つ人とこそ、建設的に議論しよう」等々あって、腑に落ちるお話ばかりでした。
そんな中、意表を突かれたのが、上記ポイントの4番目の「二次情報」の悪口のお話。
これ、リアルだとしごく当たり前なんですが、ネット、特にTwitterですと、普通にやっている方が多いと思いますので、ご留意ください。
また、最後の第4章では「想像力」がテーマであり、「成長」「目標」「可能性」といった自己啓発的な内容が扱われていました。
なお、上記ポイントの5番目は、この第4章からなのですが、これらに比べるとかなり具体的なお話かと。
実際、類書でも「動かせないこと」を対象にするのは「考える」ことではなく「悩み」であり、「考える」とは「動かせること」についてしかできない、と言われていますし、改めて心掛けていただきたいところです。
仕事力を圧倒的に高めるために読むべし!
リクルートに会社を売った男が教える仕事で伸びる50のルール
第1章 圧倒的な仕事力を育てるための14のルール
第2章 困難にめげないメンタルを育てるための12のルール
第3章 良質な人間関係力を育てるための13のルール
第4章 未来への想像力を育てるための11のルール
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。図解 これ1冊でぜんぶわかる! 貿易実務
少々読む人を選びそうな貿易実務本は、Kindle版が600円以上お買い得。
現代思想の教科書 ──世界を考える知の地平15章 (ちくま学芸文庫)
POPな装丁なのに、中身は「現代思想」というアンマッチ(?)な1冊は、Kindle版が600円以上お得な計算です!
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本 ビジネス書キャンペーン」の日経BP分の記事で評判だったのは、この辺の作品でした(順不同)。NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX (日本経済新聞出版)
PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則 (日本経済新聞出版)
プロジェクトマネジメント的生活のススメ
ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる
よろしければご参考まで!
ご声援ありがとうございました!
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