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2021年07月15日

【起業】『起業は意志が10割』守屋実


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起業は意志が10割


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本30%ポイント還元キャンペーン」でも人気の高い1冊。

「新規事業への辞令が20年連続で発令された」という、きわめてまれな経歴の持ち主である守屋実さんが、起業のコツを指南してくださいます。

アマゾンの内容紹介から。
JAXA、JR東日本、博報堂、ラクスルなど全部で52連続!
新規事業立ち上げの達人が教える、同時多発進化時代の「起業・新規事業」成功法。
未来のユニコーン起業家は、この本から誕生する!

まだ5月に出たばかりとあって、中古価格が定価を上回っていますから、このKindle版が600円弱お得な計算です!





Risk City. Global Entrepreneur Week. / Brad Montgomery


【ポイント】

■1.新型コロナで商機と勝機が大量発生
 新型コロナウイルス感染症の蔓延で、全世界全世代同時多発的に「不」が起きた。「不」というのは、不便であり不足であり、不利益であり……すべてにおけるマイナスの圧力のことを意味する。こんな事態は、そうあることではない。今の時代に生まれ、「なんて運が悪いんだ!」と嘆く人もいるかもしれないが、僕はそうは思わない。
 僕はむしろ、今、商機と勝機が大量発生する時代が到来したと考えている。そして、ウィズ・コロナの時代においては、誰もが商機と勝機の波に乗る可能性を持っている。(中略)
 語弊を恐れずにいうならば、むしろ今は「チャンスの時代」だといえるのだ。
 では、具体的に見えやすい「不」を抱えた業界には、どういったところがあるだろう。
 たとえば、外食産業の窮地は続いている。一斉休業の時期よりはマシな状態になったかもしれないが、気軽に外で食事をする人は明らかに減った。飲食業界の中には、いつ晴れるかわからない暗い状況に苦しい思いをしている方々が少なくない。
 しかし、そこで思考停止してはいけない。
「不」が生まれたということは、必ずそこに商機と勝機が発生する。つまり、新規事業が求められるようになるのだ。


■2.起業は意志が10割
 起業や新規事業は、あなたが手掛ける以上、「あなたの意志」がなければ何も動かない。逆にいえば、意志がないのに事業を始めてはならない。起点は常に、「挑戦したい」というあなたの「熱量」なのである。
 起業でも新規事業でも、思った通りになることはほとんどない。想定通りに物事が進むことなど、まったくないといっても過言ではない。「いいね」といってくれていた顧客はあっけなく買ってくれなくなる、「手伝うよ」といってくれた友達が手伝えなくなる、必死に考えたプランがろくに理解もされずに否定される……など、あまたのつまずきがあるのだ。揺るぎない自らの意志なしには、とても乗り越えることはできない。世間の流行りごとに乗っただけで骨のない脆弱な意志や、自分事として捉えられていない借り物の意志では弱すぎるのだ。
 粗削りであってもいいし、正解がわかっていなくてもいい。そんなことよりも、自らから沸き起こる想いがあれば、それが着手の号砲となる。


■3.顧客から考える
 あなた自身が「(事業を) やる!」と決めた時に、どのような事業をするのか、なぜやるのか、何を善とし、何を悪とするのか。この時のもっとも重要な決め手となるのが、「顧客視点」だ。つまりは、顧客の立場に立って、顧客の問題を見るということである。
 これは、当たり前のことで、世の中でも言い尽くされている。だから、今さら「顧客視点なしにビジネスを考える人なんていないだろう」と思うかもしれない。しかしながら、最初の動機は顧客視点だったのに、いつの間にか自社都合にすり替わっていることはよくあることだ。現実的な問題やさまざまな制約条件での事業展開となるため、いつの間にか顧客視点がこぼれ落ちる。
 特に、大企業の新規事業のビジネスモデルを見ると、顧客視点が皆無の事業計画となっていることが多々ある。多様な決裁者を経る中で、いつの間にか自社都合だけが残ったビジネスになってしまうのだ。


■4.起業で重要な「道徳」「国語」「算数」
 道徳は、あなたの意志や信念、ミッションなどを指す。事業に込めた想いであり、この事業で社会の課題をどう解決したいと思っているのか。他人事ではなく、自分事にして、あなた自身が強く成し遂げたいと思っていることが大事だ。その肚落ち、ブレない心が必須である。それがなければ、起業は始まらない。(中略)
 次に、国語だ。国語は、自分の意志を伝えるコミュニケーション能力や事業の詳細を説明する言語力のことである。自分の頭の中を他者にアウトプットする力だともいえる。なぜこの力が必要なのか。それは、自分だけでできることは多くないからだ。(中略)
 そして、最後に算数。これは、起業家が持っているべき数字感覚のことだ。代表的に大事な数字は、「おカネ」という数字だ。当たり前だが、事業である限り、儲かるように仕組み化しなければ続かない。


■5.事業を失敗へと導く可能性のある「7つの大罪」(抜粋)
●第3の大罪 顧客なき事業
 大企業での新規事業の場合には、顧客不在の外注丸投げ事業や社内政治事業に注意してほしい。あなたの仕事は、顧客に価値を生むことだ。業務を管理することや、上司に評価してもらうために努力をすることではない。
●第5の大罪 挑戦なき失敗
 たとえば、とあるメーカーでは、「間違っても間違わない」という100%の安全基準が徹底されていた。巨大な本業での製造現場では、それは正しい。しかしながら、それを新規事業に当てはめてしまっては、事業を進められない。
●第7の大罪 自問なき他答
 本書で僕は、自分の 30 年の起業経験の集大成としてまとめた経験値を、あなたの今後の取り組みに活かしてほしいと願っている。しかし、僕があなたでない以上、あなたにとって本書はあくまでも参考にしかならない。大事なことは、「他人の答えに頼らずに、自ら問い、自ら答え、自らおこなってほしい」ということだ。
(詳細は本書を)


【感想】

◆いずれ起業を志す方にとっては、非常に有意義な作品だと思いました。

そもそも冒頭の内容紹介にあるように、52社も連続で起業に携わった方など、日本国内にはほぼいないのではないか、という。

ちなみにその内訳は、企業内起業が17社、独立起業が21社、週末起業が14社とのことで、著者の守屋さんは、まさに「起業のプロ」と呼ぶにふさわしい経歴と言えるでしょう。

さて、そんな守屋さんに言わせると、昨今のコロナ禍はむしろ起業する方にとっては「追い風」のよう。

上記ポイントの1番目は、本書のプロローグから抜き出したのですが、確かにコロナ禍によって、世の中は「不」だらけになっています。

それによって生まれた「巣ごもり需要」はもちろんのこと、現在ある製品のほとんどは、ビフォーコロナ時代の産物ですから、現状にマッチしていない事も多々。

本書で指摘されていたものの1つがマイク付きイヤホンで、「いい音で音楽を聴くには適しているが、雑音をカットして打ち合わせするには不向き」です。
これはそもそも、今ほど盛んにオンラインミーティングがおこなわれていなかった時代に作られた商品だからだ。
なるほど確かに!


◆そこで本書の第1章では、「起業に大事な9つのポイント」と題して、いきなり重要事項が伝授されます。

ぶっちゃけここだけで記事が書けるくらい濃厚なのですが、その中からまず選んだのが、上記ポイントの2番目にある「起業は意志が10割」。

これはもちろん、本書のタイトルにもなっているくらい大事なポイントであり、本書の中でも繰り返し指摘されています。

実際、守屋さんいわく「起業を目指す人からよくされる質問」というのが、「オススメの事業はありますか?」「狙い目の業界はどこですか?」というものなのだそう。
「何をなし得たいのか」「どのような課題を解決したいのか」という「自らの意志」よりも先に、「何かいいネタはないか?」と尋ねてしまう。
 繰り返しになるが、それではうまくいかない。
何がなんでもとりあえず起業したい、という方は心しておかれたく……。


◆また、同じく「9つのポイント」の中の1つが、上記ポイントの3番目の「顧客から考える」です。

スタートは「意志」であっても、視点はあくまで「顧客」側にあることは当然でしょう。

ところがここで指摘されているように、「最初の動機は顧客視点だったのに、いつの間にか自社都合にすり替わっている」というのは、特に「大企業あるある」です。

そこで守屋さんが主張されるのが、「マーケットアウト」という考え方。

今まであった、「プロダクトアウト→マーケットイン」は、どちらも思考の流れが生産者サイドから消費者サイドになるのに対して、「マーケットアウト→プロダクトイン」は、消費者サイドから生産者サイドへの流れになります。
この考え方では、まず消費者ありきで商品開発を進めていく。そして、マーケットアウトで発想した商品を、「プロダクトイン」していく。
特に、上記ポイントの1番目でいう「商機と勝機の大量発生」で、「自社の穴を『補填』するために、新規事業や新製品を始める」というスタンスではいけないワケですね。

なお、残りの「9つのポイント」もそれぞれ重要なので、本書にてぜひご確認ください。


◆続く第2章は「起業の必修3教科 新道徳・新国語・新算数」という章題です。

これはもう言葉の定義からスタートしないといけない、ということで、上記ポイントの4番目に概略を載せました。

ところがこれはあくまで大前提であり、大企業とスタートアップでそれぞれ「道徳」「国語」「算数」の中身が変わってきます。

さらには、章題ではそれぞれに「新」と付いているように、コロナ禍において「これまでの5年分に相当する『マインドの変化』」が起きたため、アップデートが必要とのこと。

その肝心の「新道徳」「新国語」「新算数」についてはこの第2章で詳しく解説されていますから、気になる方はこちらをお目通しください(他力本願)。

いや実際、以前からも技術的には「オンラインミーティング」は可能でしたが、スタートアップやグローバル企業を除けば、実践している会社は少なかったでしょう。

ところが今や、自分の子どもの方がzoomで授業を受けており、彼らにとっては「オンラインでミーティングできて当たり前」なんですよね……。

こうした「マインドの変化」がもたらしたインパクトは、非常に大きかったワケです。


◆一方、第3章の「失敗し尽くした先に学びがある」から抜き出したのが、上記ポイントの5番目にある「事業を失敗へと導く可能性のある『7つの大罪』」。

ここに挙げた3つ以外の残りの4つの「大罪」も、「なるほど!」と思わせられるものばかりで、非常に勉強になりました。

また、この章では他にも「大企業の新規事業失敗学」として「3つの切り離し、2つの機能、1人の戦士」なるお話もあって、これもまた秀逸という。

概略だけ載せても分かりにくいし、全部載せるとボリュームがすごいことになるので割愛せざるを得ないのですが、ハイライトを引きまくりました。

さらに第4章では、守屋さんが実際に携わった起業の具体例が3社紹介されています。

その初っ端に登場する「シニアベンチャーが作り上げた」という「サウンドファン」のこちらのスピーカーは、アマゾンでも販売されているという。

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テレビの音を聴こえやすい音に変換 ミライスピーカー ホーム 大音量問題を解決 手元スピーカーの進化系

複数の大企業で採用されている以上、何らかの効果があることは間違いないので、機会があったら試してみたいと思っております。


起業をお考えの方なら必読の1冊!

B093L72JP9
起業は意志が10割
序 章 ウィズ・コロナで何が変わったのか?
第1章 起業に大事な9つのポイント
第2章 起業の必修3教科 新道徳・新国語・新算数
第3章 失敗し尽くした先に学びがある
第4章 切り拓いている人の起業の物語
終 章 あなたの真の強みは何か


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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世界一使える筋トレ完全ガイド

オールジャンルの筋トレを収録した1冊は、Kindle版が900円弱お買い得。

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「教える」ということ 日本を救う、[尖った人]を増やすには (角川書店単行本)

当ブログでもご紹介済みの出口治明さんの教え方本も、Kindle版が900円弱お得な計算です!

参考記事:【指導・教育】『「教える」ということ 日本を救う、[尖った人]を増やすには』出口治明(2020年05月11日)


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本30%ポイント還元キャンペーン」の記事で人気が高かったのは、この辺の書籍でした(順不同)。

B093L72JP9
起業は意志が10割

B094J5BBSN
藤井聡太論 将棋の未来 (講談社+α新書)

B096RVFPXL
未来のドリル コロナが見せた日本の弱点 未来の年表 (講談社現代新書)

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「生命力」の行方――変わりゆく世界と分人主義

よろしければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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