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2021年05月28日

【生存戦略?】『ウエストがくびれた女は、男心をお見通し』竹内久美子


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ウエストがくびれた女は、男心をお見通し (WAC BUNKO)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった1冊。

京大理学部卒である竹内久美子さんの「生存戦略本」(?)です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
・夫のマスかきは子づくりに効果バツグン
・女は閉経しても価値があるから婆と呼ぶな
・デスクワークばかりだと精子の質が低下
・浮気を見破るには重い荷物を運ばせよう
・仲の良い夫婦が顔まで似ている理由
・美男美女は健康で長生きするとう醜い現実
・結婚するとヤル気が失せ、浮気の時に精子が張り切るのはなぜ?

中古が定価の倍以上しますから、「11%OFF」のKindle版がオススメです!






a couple of barn swallows / Arend Vermazeren


【ポイント】

■1.浮気を見破るには重い荷物を運ばせてみる
 まず、自身がどれくらい浮気をしたことを悔いているかについて1から7までの7段階の評価をさせる。1がほとんど悔いていない、7が最も悔いていることを意味する。
 そのうえで肉体的努力を要する仕事をさせるグループと、そうではない仕事をさせるグループに分ける。各々20人ずつである。(中略)
 すると、後者の肉体的努力を要さない仕事については、浮気をどれほど悔いているかと、仕事へのやる気がどれほどあるかとの間に相関はなかった。しかし、前者の肉体的努力を要する仕事については、自身の浮気を悔いていればいるほど、その仕事をすることを億劫に感じたのだ。心の重荷が大きいと、大きなエネルギーを必要とする仕事をなかなかやる気にならないのである。
 ということは、だ。
 パートナーが最近、浮気をしたかどうかについては、重い荷物を運ばせるなどの仕事をさせてみるとよい。もし、いつもよりも億劫な表情を見せるとか、いやいやながらするなどしたら、かなり高い確率で浮気確定。ただし、それは本人が浮気を大いに悔いているときのみに現れる現象だ。


■2.仲の良い夫婦が顔まで似ている理由
 異性の顔に、自身の顔の要素がそれぞれ11%、22%、33%入っている顔をつくる。いったいどのくらい自分の要素が入っている顔を魅力的かと問うと、22%が突出して魅力的だという答えが返ってきた。11%では要素が足りず、33%では要素が入りすぎで、どちらも低評価だったのだ。
 このようにある程度自分に似ていることは重要だが、さりとて似すぎはだめという現象の裏にあるものは何だろう。後者については近親交配を防ぐという意味があるだろう。そして前者の「ある程度似ている」というのは、すでに個々の個体が持っている戦略を子孫に確実に受け継がせるという意味だ。(中略)
 あまりにも傾向が違う者同士がつがうと、両者の良い面を備えた素晴らしい子も生まれるが、両者の悪い面を備えた子も生まれる。しかし美人は美男と、知的な男は知的な女と、というつがい方をすると両親の良い面、というか戦略を受け継いだ子が生まれやすい。  似たものがひかれ合うという、アソータティヴ・メイティングは、自分たちの戦略を確実に受け継いだ子を得るための性質なのだ。


■3.ツバメにみるオスとメスの浮気の違い
 オスは自分の尾羽の長さに関係なく、皆、浮気に意欲を燃やす。ところがメスは、ダンナがどういうオスであるかによって浮気に対する態度が違う。
 長い尾羽のオスをダンナにしているメスは、どんな尾羽の長さのオスがやってきても浮気に応じない。中くらいの尾羽のオスをダンナにしているメスは、尾羽の長いオスがやってきたとき限定で、数回に1回くらい浮気する。ところが尾羽の短いオスをダンナにしているメスは、尾羽が長いオスがやってきたらチャンスを逃さず、必ず浮気した。
 尾羽の長いオスをダンナにしているメスは、もうそれで十分。わざわざ浮気というリスクを冒してまで尾羽の長いオスの持つ、優れた遺伝子を取り入れる必要はない。浮気には、バレた場合につがいの関係にヒビが入るなどのリスクがあるのだ。
 しかしダンナの尾羽が長くなく、魅力に欠ける場合には浮気のリスクを冒してでも尾羽の長いオスが持つ、優れた遺伝子を取り入れるべきなのだ。


■4.メスは閉経しても価値がある
 シャチは2歳くらいで離乳し、最長寿命はオスで50歳、メスで90歳くらいだ。そしてメスは40歳くらいで閉経する。つまりメスは閉経したのちも、最長で50年生きるわけである。フランクスらは、子どもが5歳のとき、15歳のとき、20歳のときに、それぞれ母方祖母が生きている場合、閉経していなくて自身がまだ繁殖を続けている母方祖母が最近死んだ場合、閉経している母方祖母が最近死んだ場合、の3パターンについて、子どもの生存率がどう違ってくるのかを調べた。
 当然というべきか、5歳というまだ幼いときに一番差が現れた。そして、これまた当然というべきだが、母方祖母が生きている場合が最も生存率が高い。母方祖母が最近死んだケースでは、まだ繁殖し続けている祖母の場合が子の生存率が次に高く、閉経した母方祖母の場合が最も生存率が下がる(半分くらいが死んでしまう)。つまり、閉経した母方祖母が子の生存のために最も大きく貢献していたからこそ、彼女が死ぬと最も大きな影響が現れるというわけなのだ。


■5.人間につられてあくびする犬の習性
 まずは人間に一番近いチンパンジーで実験してみた。チンパンジーがあくびをするビデオをチンパンジーに見せるのだ。すると3歳以下ではうつらない。自己の認識ができていないのだ。人間の5歳以下といい勝負だ。
 そして大人(自己の認識はできている) では33%であくびがうつった。人間の45〜60%と、これまたかなりいい勝負。さすがはチンパンジーである。(中略)
 ところが、驚くべき結果が現れたのはイヌである。
 と言っても、イヌがあくびしているビデオを見たイヌがあくびをするわけではない。飼い主ではない人間が、イヌと目が合ったときに声を出してあくびをしてみせると、29頭のうち21頭がつられてあくびしたというのである。あくびがうつる率、72%であり、人間同士のそれをも凌いでしまう。ビデオではなく、目の前であくびするという強力な刺激のゆえかもしれないが、それにしても驚きの値だ。
 結局、イヌと人間とは数万年にわたる共存の歴史があり、そのために互いの心、特にイヌが人間の心を読む能力が、他のどんな動物よりも高まってきたのだろう。


【感想】

◆著者の竹内さんの肩書は、Wikipediaによると「動物行動学研究家」というもの。

なるほど本書では、動物を用いた実験をベースにして導き出された「理論」が数多く登場します。

特に「生殖」に関するものは、基本的にどの動物も自分自身の遺伝子を増やすよう行動しますから、いずれも納得できるものばかり。

もちろん、倫理的に問題なければ、上記ポイントの1番目のように人間で実験していますから、そのまま私たちに当てはまります。

なお、このポイントの1番目は本書の第2章から抜き出したのですが、この章はある意味「セッ●ス」がテーマであり、伏字にせねばならないお話が多々。

以前この本でも伏せ字で軽く紹介した、人間のペ●スの形状の理由についても、詳しく述べられています。

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言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

参考記事:【R指定?】『言ってはいけない 残酷すぎる真実』橘 玲(2016年04月17日)

また本書のタイトルにもある「ウエストがくびれた女は、男心をお見通し」な理由も、この章で解説されていますので、気になる方はぜひご確認ください(ネタバレ自重)。


◆続く第3章もテーマが「浮気」とあって、セクシャルなお話が数多く登場します。

なかなかショッキングだったのが、浮気のときの射●の方が、パートナーとのHのときの●精よりも、精●の質も量も良いということ。

……引用しようとしたら、こんな感じで伏字だらけになってしまったので、上記ポイントの2番目のような比較的無難なネタを選んだ次第です。

なお、ここにある「アソータティヴ・メイティング」とは、似たもの同士がひかれ合う現象のこと(同類交配)。

たとえば私は意識したことはなかったのですが、キムタクと工藤静香さんは、竹内さんによると「笑い方がビックリするほど似ている」のだそうです。

同じくポイントの3番目も第3章からであり、まさにツバメとはいえ「浮気」の本質を表したもの。

ちなみにツバメの尾羽は、長ければ長いほど免疫力が強いそうで、要は優れたオスとつがいになったメスは、浮気しないワケです。

さすがに人間だとストレートには表出しませんが、本書ではイギリスの高収入家庭と低収入家庭を比較して、「血液型的に夫の子でない子が紛れ込んでいる率」から、同様の傾向があった研究が紹介されていました(5.9%対20〜30%)。


◆第4章と第5章もあれこれハイライトは引いたのですが、色々と紹介しにくいお話(サルの子殺しやらDVやら)なので、本エントリーでは割愛せざるを得ず。

「種の保存」は誤りで「自分の遺伝子の保存」が正しい、というのは理解できるのですが……。

そこで代わりに、上記ポイントの4番目を第6章の「メス(女)は閉経しても価値がある」から引用しました。

まさに章題どおりのお話で、これは人間についても同様です。
 人間のおばあさんにとって、直接自分が繁殖するよりも孫の面倒を見るほうが自分の遺伝子がよく残る。だから、あえて閉経するようになったのだ。この件は「おばあさん仮説」として説明されてきたが、最近では「おばあさん効果」と呼ばれるようになっている。
なるほど私の母も、私のムスメがまだ小さい頃、公文の送り迎えを手伝ってくれました。

ちなみに、シャチも人間も、祖父にはほとんど存在価値がないそうで、私もいずれそういう扱いになるのだな、と(遠い目)。


◆また、最後のポイントの5番目は、最終章から抜き出したもの。

飼い主が落ち込んでいると、イヌは寄り添ってなぐさめてくれるとはよく言いますが、あくびまでうつるとは知りませんでした。

なお、この章は「新常識」と銘打っているだけあって、初めて知ったお話が他にもいくつかありましたから、こちらもぜひご確認ください。

……自分が着飾る代わりに家を豪華にして求愛する「マダラニワシドリ」なんて鳥、知りませんでしたよ。

さて、ここまで本書の注目すべき点をあれこれ挙げてきましたが、本書は著者ご本人の意向なのか、版元の意向なのか、政治的な偏向が散見されました。

たとえば第4章の「わが国に迫るもう1つの危機」というのも、サブタイトルが「皇室問題の国民的議論を」だったりします(本書のテーマと関係ないような?)。

そう言われてから本書のアマゾンのページを見ると、なぜか森元首相の発言の話があったり、そもそも櫻井よしこさんが推薦していたり……(察し)。

こういうのはダメな方はダメだと思うので、あらかじめご了承ください(純粋に動物のお話は面白かったんですけどね)。


人間の生存戦略が理解できる1冊!

4898318428
ウエストがくびれた女は、男心をお見通し (WAC BUNKO)
第1章 コロナ恐怖で交尾排卵が活発化?
第2章 誘い誘われオトコとオンナ
第3章 カップルの不都合な真実
第4章 わが国に迫るもう1つの危機
第5章 誤解だらけの遺伝と人間社会
第6章 メス(女)は閉経しても価値がある
第7章 生き物社会オドロキの新常識


【関連記事】

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【モテ?ネタ?】「この方法で生きのびろ!―恋愛サバイバル篇」(2010年02月22日)


【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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