2021年05月17日
【話し方】『話し方だけであなたの人生が変わる』渋谷昌三

話し方だけであなたの人生が変わる (ディスカヴァーebook選書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本キャンペーン」でも人気の「話し方本」。話の「中身」はもちろんですが、その「話し方」次第で良くも悪くもなることが分かる1冊でした。
アマゾンの内容紹介から。
「感じのいい人」と思われる話し方、自分の話をする時は成功談より失敗談、冗談には冗談で返すのが上手な話し方、「困る」「ダメだ」には人は反発する、穏やかな「話し方」で温かさが伝わる―あなたの話をさらに生かす「いい話し方」。
中古が値崩れしていますが、送料を踏まえると、このKindle版に軍配が上がります。

Talking / pedrosimoes7
【ポイント】
■1.「状況説明」+「私の気持ち」+「要請」でお互い納得できる職場の人間関係では、
「状況説明」+「要請」=「感情的なすれ違い」
という公式が成り立ちやすく、人間関係のトラブルも多発しがちです。
これを回避するには、ここに「私メッセージ」を取り入れて、
「状況説明」+「私の気持ち」+「要請」=「お互いの納得」
という公式が成り立つようにすれば、人間関係もだいぶスムーズになります。(中略)×「仕事が遅れている」+「今日も残業してくれ」
部下も、残業しなければならない状況はわかっているはずです。この話し方では、「いちいちいわれなくても、わかっている」と、部下の反感を招きます。
〇「仕事が遅れている」+「ここのところ残業続きで、私としても申し訳なく思うが」+「今日も残業してくれ」
「私としても申し訳なく〜」の、ひとことで部下の心は落ち着きます。「自分の仕事はたいへんだけど、上司は上司でたいへんなんだろう」という共感が芽生えます。
■2.「叱り口調」の励ましが反感を買う
職場でたくさんの部下を叱りつける話し方、あるいはアドバイスする話し方が当たり前と思っていた人は、定年退職した後もその癖が抜けません。
地域活動やボランティアに参加するのはいいとしても、周りの人の動き方がまどろっこしく感じて仕方ありません。つい「それじゃあ、ダメですよ。もっと効率的に物事を進めるには〜」と、部下に対するような口調でその場を仕切ろうとします。周りの人たちは、「新参者が何だ、あの偉そうな口調は」となります。
冷たい視線が注がれるようになり、その場に居づらくなり、せっかく参加した地域活動やボランティアをやめて、家でゴロゴロしている……そういうパターンになりがちです。
「叱り癖」あるいは「アドバイス口調」になる人は要注意です。
■3.「つらいのはあなただけじゃない」は逆効果
「苦労しているのは、あなただけじゃないのよ」
「もっとつらい思いをしている人が、他にもたくさんいる」
……などのなぐさめや励ましは、落ち込んでいる人には逆効果です。
「昨日も残業、今日も残業、もううんざりだ」という思いでふとオフィスの窓から外を見ると、遠くのビルでも明かりが煌々と輝いている。「ああ、こんな時間になってもまだ残業している人が向こうの会社にもいるんだな。つらいのは自分だけじゃない」と、自分で自分にいい聞かせるのは励みになります。
しかし夜遅く帰宅して、「今日も残業だよ。もう嫌になった」とボヤいたら、奥さんから「何いってんのよ。苦労しているのは、あなただけじゃないんだから」といわれたら腹が立ちます。(中略)
「自分だけじゃない」は納得できるが、「あなただけじゃない」には納得できないのが、人の心です。
■4.面接のときは自慢話を、雑談では失敗談を
面接や商談の場では、堂々と自慢話ができてこそ評価が高まります。
「これまで私は、こんなすごいことをしてきました」と答えてこそ、「どうして、そんなアイデアが生まれたのですか?」「挫折しそうになったこともあったのではないですか」といった質問が矢継ぎ早に飛んできて、話がどんどん進んでいくでしょう。
これが仲間うちの雑談の場となると、堂々たる自慢話は、「感じの悪さ」につながります。
雑談では、「私って、こんなドジなんです」という失敗談のほうがウケます。失敗談は相手を安心させ、親密度がより強まります。
このように、自慢話か失敗談かは、場面によって使い分けなければなりません。
■5.いったんは相手の話を受け入れる
相手から会話のボールを受け取って、自分の話を始めるときに大切なのは、「相手の話を肯定してから、自分の話を始める」ということです。(中略)
相手の話を「でも」「しかし」で否定してから自分の話をするよりも、こちらのほうがずっと印象がいいと思います。
「おっしゃる通り」「なるほど」「納得です」という言葉で、相手の言葉をやわらかく肯定的に受け止めてから、自分の意見をいうのです。
結果的には相手の話を否定するような自分の考えを述べるにしても、いったん相手の言葉を受け入れてから話すのがコツです。
そんな包容力のある話し方が、「感じがいい」という印象になり、ひとつのコミュニケーション・スキルになります。
【感想】
◆本書は「何を言うか」の「What」マターではなく、「どう言うか」の「How」マターを掘り下げた作品でした。もちろん、「What」が正解でないと、どう言おうと「アウト」な部分はあるのですが、もったいないのが「What」が正しいのに「How」で失敗する場合です。
「言い方」なんてどうでもいいじゃん、というのは理詰めで考える人にありがちなのですが、そこは「ヒト」は感情で動くもの。
「思わぬ失敗」の原因が「How」だった、というのはあまりにも切ないです。
例えば第1章からの上記ポイントの1番目の「私の気持ち」というのは、状況説明にも要請にも関係ありません。
ところがあるのとないのとでは、言われた方の気持ちに大きな違いがあるという……。
◆その「相手の気持ちに寄り添う」必要性がもっとも如実に表されているのが、本書の第2章です。
たとえば上記ポイントの2番目の励ましやアドバイスは、言う方は「相手を思えばこそ」かもしれませんが、言われた方はたまったものではありません。
……これ、高齢の男性に多いパターンな気がするので、私自身も気を付けなくては。
また、ポイントの3番目の「つらいのはあなただけじゃない」は、自分自身で言うならまだしも、他人には言われたくない言葉No.1でしょう。
これはどうも、日本特有の「みんなつらいんだから我慢しろ」という、いわゆる同調圧力のような気がするのですが……。
さらに同じ第2章にあった「思っていたより元気そう」というフレーズも、相手の本当の状況が分からなければ、普通に「無神経な言葉」だと思います。
◆一方、上記ポイントの4番目の自慢話と失敗談の使い分けは、本書の第4章からのもの。
考えてみたら私は、どこでも失敗談を話していた気がします(だから面接で(ry)。
ただ、中高年の男性が、はるかに年下の後輩たちに「自慢話+説教」のコンボなんぞしようものならシャレになりませんから、自慢癖のある方はご留意を。
お酒好きの方だと、上記ポイントの2番目の「叱り口調のアドバイス」とのコンボが、アフター5で炸裂しそうで心配なのですが。
もちろん、年下からバカにされたくない気持ちはよく分かります。
ただ、本書曰く
どんなに偉い人だろうと、立派な人だろうと、「気持ちが通わない人は、尊敬の対象とはなりにくい」そうですから、武勇伝はほどほどに……。
◆また本書の第5章から抜き出した、上記ポイントの5番目は、類書でもおなじみのTIPSだと思います。
ここにあるように、たとえ意見が異なるとしても、いったんは「おっしゃる通り」「なるほど」と受け入れるのが得策なのは言うまでもありません。
最終的には反論するにせよ、いったん受け入れることによって、相手の「感情面」は満たされるわけですね。
なお、最後の第6章は、さまざまな話し方の「癖」や「特徴」が、どういうシチュエーションなら活かせて、どういうシチュエーションのときには注意すべきかが列挙されています。
癖の方はたとえば「抑揚のない話し方」「『すみません』が口癖」「組んだ足を組み替える癖」等々。
それらに対するシチュエーションの方は、「抑揚のない話し方」なら、NGなのが「人を慰めたり、はげます、もしくは説得する」状況で、OKなのが「ネガティブ情報をたんたんと伝える」状況といった感じです。
仕草や表情等は、さすがに「話し方」とはちょっと違いますが、これら全部の情報を踏まえて相手が判断することを思えば、やはり押さえておいていただけたら、と。
コミュニケーションスキルを高めるために読むべし!

話し方だけであなたの人生が変わる (ディスカヴァーebook選書)
第1章 人が動く話し方、反発される話し方
第2章 「なぐさめる」つもりが、逆に追いつめてしまう話し方
第3章 「熱心な人」と「しつこい人」、話し方はどう違う?
第4章 会話をふくらませたいのに、なぜか途切れてしまう話し方
第5章 うなずきながらも、知らず知らず拒んでいる話し方
第6章 感じのいい話し方、イラッとさせる話し方
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【編集後記】
◆一昨日の「Kindle本キャンペーン」のディスカヴァー分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした。
話し方だけであなたの人生が変わる (ディスカヴァーebook選書)

理想の自分をつくる セルフトーク・マネジメント入門

最高の脳で働く方法 Your Brain at Work

やる気が上がる8つのスイッチ
参考記事:【科学的自己啓発書】『やる気が上がる8つのスイッチ』ハイディ・グラント・ハルバーソン(2020年08月22日)
よろしければ、ご参考まで!

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