2021年05月01日
【会議術】『ゼロから学べる! ファシリテーション超技術』園部浩司
ゼロから学べる! ファシリテーション超技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「GWキャンペーン」の中でも人気の1冊。生産性の高い会議には必須である、「ファシリテーションスキル」について指南してくれる作品です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
この本では、問題解決の仕方、メンバーの意見の引き出し方、合意形成の仕方、上手なオンライン会議の進め方など、生産的な会議のやり方をプロファシリテーターが教えます。いきなり今日、ファシリテーターを任され“はじめて学ぶ方”、また、これまでにファシリを経験したが挫折した、“あらためて学びたい方”に向け、図とわかりやすい文章でお伝えします。実際の現場もわかる実況中継も掲載! ファシリテーションがこれからのビジネスパーソンにとって必須のスキルだと、この1冊で理解できます!
中古価格が定価を大幅に上回っていますから、このKindle版が900円弱、お買い得です!
UX methods workshop / visualpun.ch
【ポイント】
■1.ファシリテーターに求められる3つのこと(1)会議をデザイン(設計)できるかファシリテーターは、単に会議を進行する人ではありません。(2)会議をリードできるか
会議の必要性や目的を明確にし、その達成のために「議論の順番を組み立てる」ことが必要です。
具体的には、会議前に、テーマについてアジェンダ(会議の進行表)を作ります。ファシリテーターは、会議当日は、事前に作っておいたアジェンダに沿って進行していきます。(3)"場づくり"をできるか
どのような順番で誰に発言してもらうか、どのように意見を整理するか、どのように時間管理をするかを考えながら、アジェンダで決めた内容を確実に進めるのがファシリテーターの役割になります。これは極端な例ですが、上司と部下が会議に同席しているとポジションパワーは出やすいのです。上司の中には、部下に対して「一人前じゃないから、意見なんて聞いてもしょうがない」と内心思っていて、それが知らず知らずに態度に出ている人もいます。
こんなときも、ファシリテーターの役割の人がいれば平等に行うことができます。
■2.問題解決の流れ
●問題発見「問題」を解決するには、まず問題をしっかり捉えることが何より大切です。「問題」は「あるべき姿−現状」だと、先ほどお話ししました。現状を把握し、あるべき姿を描き、そのギャップからどこに問題があるのか捉えていきます。●原因分析ここで肝心なのは、「問題」が見つかったら、一足飛びに「解決」しようと急がないことです。すぐさま解決しようと話し合いたくなる気持ちはわかりますが、その前にやるべきことが「原因分析」です。●解決策の選定
「問題」には、必ず「原因」があります。原因は、重要な原因、軽微な原因など様々ですが、1つの問題に対して複数あり、絡み合っていることがよくあります。問題を発見し、主な原因を特定したら、その原因の「解決策の選定」に進みます。ポイントは、1〜2個に特定した主な原因のみを取り扱うことです。何度も言いますが、「問題」を解決するときは、「問題」に対する解決策を考えるのではなく、「原因」に対する解決策を考えます。
■3.メンバーの意見を最大限に引き出す7つのポイント(抜粋)
●「答えやすい」質問をする何を聞いているのかがすぐに理解できないような小難しい質問はNGです。小学生でも理解できるわかりやすい言葉で質問しましょう。●「一言ずつ」というフレーズを入れるすべての参加者から意見をもらいたいので、「一言ずつ」という言葉をつけ加えると、テンポ良く進みます。●笑顔で問いかける笑顔が嫌いな人はいません。●参加者の回答は絶対否定しない。100%受け入れる参加者が出してくれた意見は、絶対に否定しない。
これは、ファシリテーターとして会議を進めるうえで非常に大切な姿勢です。
■4.意見を「KJ法」で整理する
参加者は、問題だと思うことを付箋1枚につき1つ書きます。問題が3つあると思う人は3枚の付箋に、6つあると思う人は6枚の付箋に書きます。
この間、約3分!
たった3分で、会議に参加した全員の意見をもらうことができるのです。口頭で話し合っていたら、3分で全員の意見を拾うということはほぼ不可能でしょう。
私は、KJ法を使った会議は、“話さない会議”だと思っています。
話さないけれど、全員の意見が短時間で出てくる。話さなくても、ファシリテーターが的確に問いを立て、それに対して参加者全員が付箋に自分の意見を書いてくれたら、それだけで、「全員の意見を集める」ことに成功します。参加者自身は、書くことで意見を提出しているので、「自分の意見が言えた」感覚があります。
ファシリテーターは、参加者が付箋に書いてくれた意見を、模造紙を使って分類・整理していきます。
■5.「全会一致×リーダーによる決定」がベスト
運用ルールは以下です。「運用ルール」この方法を実施すると、参加者は、何回も意見を述べる機会があるため、「意見をしっかり聞いてもらえる」安心感があるので一定の納得度を得ることができます。
・時間を区切り、その時間内は全会一致を目指す
・リーダーは、時間内は可能な限り参加者の意見に耳を傾ける(全員に、順番に何周もして意見を求める)
・終了時間が来ても全会一致できなかった場合、リーダーが決める
・会議が始まる前に、このルールを参加者に伝えて合意を得ておく
現時点で、私が考える 合意形成方法で一番スムーズなのは、この「全会一致」×「リーダーによる決定(一任)」の合わせ技です。
【感想】
◆ちょっと引用部分が多くなってしまい恐縮ですが、「ファシリテーション」という作業について、詳しく学べる作品でした。実は、「ファシリテーション」「ファシリテーター」という言葉自体は、当ブログでは何度も出てきているものの、その専門書となると、本書がまだ2冊目。
4年弱前にご紹介したこの本以来ということになります。
「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本 【イチから身につく本】
参考記事:【会議術】『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本 【イチから身につく本】』釘山健一(2017年07月03日)
……この本も「GWキャンペーン」の対象なのか(?)、セール価格となっていますね。
こちらも分かりやすかった記憶がありますが、今回の作品の大きな特徴は、下記目次にあるように、巻末に「ファシリテーション実況中継」が収録されていること。
それまでの内容を踏まえて読むと理解が深まりますし、かつ、ファシリテーターの発言部分には、どのような意図でそう言っているかの説明もあり、至れり尽くせりとなっている次第です。
◆さて、最初に戻って第1章からは、上記ポイントの1番目を抜き出してみました。
(1)の設計、(2)のリードはさておき、(3)の「場づくり」というのは、あまり考えたことがなかった自分。
なるほど、自由に発言できる雰囲気を醸し出すのも、ファシリテーターの大事な仕事でしょう。
なお、この「場づくり」に関しては、第7章にて詳しく解説されていました。
続く第2章はおなじみ「アジェンダ」についてなのですが、掲載された画像無しで言及するのは、今回避けました。
ちなみに、このアジェンダは読者特典としてダウンロードできますから、必要に応じてお使いください。
◆一方、第3章は「議論の進め方と問題解決のステップ」という会議のコアな部分がテーマです。
そしてその流れを解説したのが、上記ポイントの2番目。
ただ、できればさらなる詳細や出席者の具体的な発言も、本書にてご確認いただきたいところです。
また第4章からは、出席者の発言をうながすTIPSである、上記ポイントの3番目を抜き出してみました。
なお、ポイントでは触れていませんが、ここでの「発言」というのは、希望者がするのではなく、ひとり1人順番にさせるもの。
日本の場合、「何か意見はありませんか?」で発言させると、おうおうにして「意見がでない」「声の大きい人だけする」というようになりがちですから、まずはそこから注意してください。
◆さらにその「意見」を整理するために用いるのが、第5章のテーマである付箋を活用した「KJ法」です。
上記ポイントの4番目でまとめたように、実際に発言させるよりも、はるかに生産性が高くなることうけあい。
ちなみに本書では、付箋のはがし方から、書き方、まとめ方について、詳細に解説されていますから、ここはぜひお目通しください。
そしてこの結果を踏まえて、意見の合意形成を行うのが本書の第6章。
決め方については、「全会一致」「多数決」「リーダーによる決定(一任)」がある中、本書では上記ポイントの5番目にあるように、「全会一致×リーダーによる決定」を推奨しています。
私は体験したことはないのですが、なるほど満足度は高そうな。
さらに第8章では「オンライン会議でのファシリテーション術」にも触れられているのですが、単なるオンライン会議をするだけでもハードルが高いので、今回は割愛しました。
ただ、実際にオンライン会議をなさっている方なら、ぜひこちらもお読みください。
ファシリテーションについて深く理解できる1冊!
ゼロから学べる! ファシリテーション超技術
第1章 会議にはファシリテーターが不可欠
第2章 ファシリテーターに重要なアジェンダの作り方
第3章 ファシリテーターが知っておくべき議論の進め方と問題解決のステップ
第4章 会議中メンバーの意見を引き出すためには
第5章 メンバーの意見を引き出しさらに整理する
第6章 合意形成の仕方
第7章 会議中の雰囲気づくりとファシリテーターの心構え
第8章 オンライン会議でのファシリテーション術
● Q&A よくある質問に最強ファシリテーター園部が答えます!
● 実際に参加してみよう! ファシリテーション実況中継
【関連記事】
【会議術】『「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本 【イチから身につく本】』釘山健一(2017年07月03日)【ロジカルシンキング】『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』寺澤伸洋(2020年11月15日)
【会議術】『amazonのすごい会議―ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』佐藤 将之(2020年11月09日)
【生産性向上?】『チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策』沢渡あまね(2017年07月20日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。Z世代〜若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?〜 (光文社新書)
まさに私がもう理解できない先端層である「Z世代」の分析本は、Kindle版が400円強お買い得。
自己肯定感を上げる OUTPUT読書術
なかなかレビュー平均も高い読書術本は、Kindle版が900円以上お得な計算です!
【編集後記2】
◆一昨日の「GWキャンペーン」の日経分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか
参考記事:【スゴ本】『ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか』酒井大輔(2020年07月22日)
さよならオフィス (日経プレミアシリーズ)
NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX (日本経済新聞出版)
成功する練習の法則 最高の成果を引き出す42のルール
参考記事:これは凄い! 『成功する練習の法則』を便利にする8つのツール(2013年07月22日)
よろしければご参考まで!
ご声援ありがとうございました!
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