2021年04月20日
【運気?】『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得〜危機を好機に変える力とは〜』田坂広志

運気を引き寄せるリーダー 七つの心得 危機を好機に変える力とは (光文社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先週発売された田坂広志さんの最新作。「運気」というある意味曖昧なモノに、ロジカルにアプローチした1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
もし、あなたが、「従来の運気論」に関する書物を読まれて、次のような疑問を抱かれているのであれば、その答えを、本書の中に見出されるだろう。
「運気」というものに、科学的根拠は無いのだろうか。
色々な本で語られている「潜在意識」や「無意識」のさらに奥には、何があるのか。
心に「ポジティブな想念」を持とう思っても、なぜ、なかなか、それができないのか。
人生に対して「前向きな発想」を持とうと思っても、なぜ、それが、難しいのか。
心を静めるために「瞑想」を行っても、なぜ、なかなか心が静まらないのか。
本書のタイトルには「運気を引き寄せるリーダー」とあるが、本書は、決して、経営者やリーダーだけに、読者を限定したものではない。
なぜなら、我々は、誰もが、自分の人生を導く「リーダー」なのだから。
中古価格が定価を上回っていますから、Kindle版もご検討ください!

Unclear Fortune / pjan vandaele
【ポイント】
■1.人生における「3つの真実」に正対するでは、この経営者のように、「腹を据える」ためには、どうすれば良いのか。
この経営者とは違う世代の我々、戦争での「生死の体験」を持たない世代の我々が、「腹を据える」ためには、どうすれば良いのか。
「死」を直視することである。
誰もが目を背けたくなる「死」を、直視することである。
そのためには、人生における次の「3つの真実」に正対し、深く見つめることである。「人は、必ず死ぬ」特に、第三の真実、「人は、いつ死ぬか分からない」という人生の冷厳な真実を、直視し、覚悟するならば、「いま、こうして生きているだけ有り難い」という「死生観」が定まり、「所詮、命取られるわけじゃない!」と、腹が据わるだろう。
「人生は、一度しかない」
「人は、いつ死ぬか分からない」(中略)
■2.危機や逆境のときこそ、「使命感」や「志」を語る
すなわち、危機や逆境のときこそ、経営者やリーダーは、社員やメンバーに対して、思いを込め、信念を込め、「使命感」や「志」を語るべきである。
ここで、「使命感」や「志」とは、
「この仕事を通じて、世の中に光を届けよう。この仕事を通じて、社会に貢献しよう。この仕事を通じて、良き社会を実現しよう」
という思いである。
そして、もし、経営者やリーダーが、この「使命感」や「志」を本気で語るならば、社員やメンバーの心は、必ずポジティブになっていく。(中略)
すなわち、自らの仕事において「使命感」や「志」を持つということは、「自分の人生は、いかなる危機や逆境のなかにあっても、世の中に光を届けるという素晴らしい目標に向かって歩んでいる」と信じられるということである。そして、そのことを本当に信じるならば、その社員やメンバーの心は、必ず、ポジティブになる。
なぜなら、その思いは、すでに自分の人生を「全肯定」しているからである。
■3.「幸運」は「不運」の姿をしてやってくる
だから、筆者は、あなたに、敢えて、次の言葉を贈りたい。
「幸運」は、「不運」の姿をしてやってくる。
なぜなら、「大いなる何か」が我々を導くときは、そして、「大いなる何か」が我々を成長させようとするときは、「不運に見える出来事」や「不運に見える出会い」を与えるからである。それらの出来事や出会いを通じて、我々を導き、成長させようとするからである。
その深い意味を見つめるならば、「幸運は、不運の姿をしてやってくる」という言葉の意味が分かるだろう。
有り難いことに、筆者は、人生の様々な体験を通じて、そのことが分かるようになってきた。
そのため、最近では、「逆境」がやってくるたびに、「これは、何の導きだろうか」と考えることが、自然な心の習慣になっている。
「これは、何を学べということか」
「これは、どう成長せよということか」
■4.「エゴ」を静かに見つめる
このように、我々の心の中の「エゴ」は、実に厄介な性質を持っているが、では、この「エゴ」に処するには、どうすれば良いのか。
それには、唯一の方法しかない。「エゴ」の動きを、否定も、肯定もせず、ただ静かに見つめる。こう述べると、あなたは、驚かれるかもしれないが、実は、我々の心の中の「エゴ」に処する、最善の方法、唯一の方法は、この技法なのである。
すなわち、先ほどの例であれば、怒りを感じている「エゴ」に対して「怒ってはならない」と働きかけるのではなく、そうした否定をせず、また肯定もせず、「ああ、自分の心は、いま、この相手に、怒りを感じている」と、ただ静かに見つめることである。
■5.「全託の祈り」を行う
従って、この「全託の祈り」は、言葉にすれば、極めて簡潔、極めて短いものである。
それは、次の一言。「導きたまえ」それだけの簡潔な祈り、短い祈りである。
しかし、一方、この祈りは、最強の祈りでもある。
なぜなら、この祈りの前提には、「自分の人生は『大いなる何か』に導かれている」との強い「信」があり、「祈りの結果、与えられるものは、すべて『大いなる何か』の導きである」との深い「覚悟」があるからである。
言葉を換えれば、この「導きたまえ」との祈りは、そうした「信」と「覚悟」を強め、深めていく祈りであり、心の中から様々な懸念や心配、不安や恐怖を 払拭 していく祈りでもある。
そのため、我々の心は、確実に、「ポジティブな想念」で満たされ、「絶対肯定の想念」に向かっていく。
【感想】
◆なかなか興味深い内容の作品でした。「運気」という、科学的な事象とは異なる題材がテーマなだけに、ところどころスピリチュアル風味なのも致し方ないと言いますか。
内容的にも下記目次にもあるように、30話(序話と終話も入れたら32話)ものボリュームで語られているわけです。
そこで上記ポイントも、数多く引かれたハイライトから抜粋したものであり、たとえば1番目は第8話の「なぜ、『死』を直視した人間が、『強運』になるのか」からのもの。
冒頭で「この経営者」とあるように、実際に本書では、「死」を直視したおかげで「腹が据わった」経営者のお話が、この前段で登場しています。
なるほど戦場で九死に一生を得て、その結果「命取られるわけじゃない!」「生きているだけ有り難い!」という境地に至っていると、会社のトラブルぐらいでは動じないのだな、と。
◆一方、上記ポイントの2番目は、結構飛んだ第19話「なぜ、『使命感』や『志』を語るリーダーは、強運なのか」からのもの。
そして実は、この2番目のタイトルこそが、第五の心得になります。
ここにあるように「使命感」や「志」を語ることができるリーダーは、「危機」や「逆境」ですら、自分を育てようとしていると考える次第。
このようなリーダーと彼に従う集団が、さらに強い運気を引き寄せることは、言うまでもありません。
また、これに関連するのが第21話から抜き出した、上記ポイントの3番目です。
なるほど、「『幸運』が『不運』の姿をしてやってくる」と考えることができれば、ここで引用したように「逆境」ですら肯定的に捉えられるんですね。
ここまでくれば、まさに「悟り」を開いたと言えるかと。
◆さらに上記ポイントの4番目は、第24話の「『大いなる何か』の声に耳を傾ける『賢明なもう一人の自分』」からのもの。
ここにある「大いなる何か」とは、本書によると「自分の心の奥深くにある『真我』」なのだそうです。
また、章題にもある「賢明なもう一人の自分」を自分の心の中に現れさせるには、「日々の仕事や生活の中で、ときおり、意識的に、自分の感情の動きや心の衝動を静かに見つめるという修行をする」のだとか。
その修行を続けていると、この「賢明なもう一人の自分」、すなわち「賢我」は、必要なとき、自然に、心の中に現れてくるようになるだろう。嫉妬等の「エゴ」に捕らわれやすい方はご留意ください。
◆なお、第27話の「瞬時に『絶対肯定の想念』を生み出す『祈りの技法』」から引用したのが、上記ポイントの5番目。
「導きたまえ」という考え方自体、ここまでで挙げてきた内容と関連していると、私自身も感じました。
ただし、この「導きたまえ」という「全託の祈り」を捧げるときには、その大前提として「自分自身が物事に最善を尽くす」ということは、押さえておきたいところ。
また、「祈り」という意味では、第30話にある「有り難うございます」という感謝の祈りも、田坂さんは実行されているのだそうです。
実際この「有り難うございます」という祈りは、人間関係にも有効であり、
誰かとの間で、摩擦や葛藤、反目や衝突が生じたとき、そして、そのことによって、自分の心の中に、不快や不安、嫌悪や憎悪などの「ネガティブな感情」が生まれ、それが苦しみの原因になっているとき、 ただ、心の中で、その相手の姿を思い浮かべ、「○○さん、有り難うございます」と祈るだけで、不思議なほど、自分の心が静まっていく。とのこと。
この技法を田坂さんは、講演で聴衆の方々に勧められており、「心が楽になった」「相手への嫌悪感が薄れていった」等の声が寄せられているのだとか。
運気を引き寄せたい方は、要チェックです!

運気を引き寄せるリーダー 七つの心得 危機を好機に変える力とは (光文社新書)
序 話 二一世紀の「新たな運気論」その五つの特長
第1話 危機や逆境において、リーダーに求められる「究極の力」
第2話 「運も実力のうち」という無条件の覚悟が、運気を引き寄せる
第3話 「強運」のリーダーは、メンバーやチームにも「強運」を呼び込む
第4話 人生において「良い運気」を引き寄せる、古今東西、唯一の方法
第5話 なぜ、その唯一の方法を実行しても、運気が向上しないのか
第6話 「肯定的な想念」を持つのではなく、「絶対肯定の想念」を持つ
第7話 「多重人格のマネジメント」が、良い運気を引き寄せる
第8話 なぜ、「死」を直視した人間が、「強運」になるのか
第9話 「強運」のリーダーを育てる、三つの「生死の体験」
第10話 「明日、死ぬ」という修行で開花する「秘められた力」
第11話 いかなる危機も逆境も肯定できる「絶対の信」とは何か
第12話 歴史を変えたリーダーの誰もが、無条件に信じていたもの
第13話 最先端の量子科学が解き明かす「大いなる何か」の神秘
第14話 「大いなる何か」の正体は、量子真空の「ゼロ・ポイント・フィールド」
第15話 我々の人生を導いているのは、実は、我々の心の奥深くの「真我」
第16話 どうすれば、メンバーやチームに「強運」を呼び込めるのか
第17話 「強運」のリーダーは、「言葉以外」でメンバーに語りかける
第18話 リーダーとメンバーは、「無意識の世界」で対話をしている
第19話 なぜ、「使命感」や「志」を語るリーダーは、強運なのか
第20話 「大いなる何か」は、「逆境」を通じて我々の人生を導く
第21話 人生の「幸運」は、「不運」の姿をしてやってくる
第22話 なぜ、人生の転機は、「不思議な偶然」によって導かれるのか
第23話 強運の人間は、「大いなる何か」が囁く「小さな声」に気づく
第24話 「大いなる何か」の声に耳を傾ける「賢明なもう一人の自分」
第25話 心を浄化し、「絶対肯定の想念」を生み出す「三つの技法」
第26話 最も短く、最も効果的な「心の陽転技法」とは何か
第27話 瞬時に「絶対肯定の想念」を生み出す「祈りの技法」
第28話 いかにして「全託の祈り」を、日々、実行するか
第29話 「祈り」によって開花する、秘められた「七つの力」
第30話 なぜ、「感謝の祈り」が、不思議な運気を引き寄せるのか
終 話 二一世紀の「新たな運気論」では、「運気」という言葉が消えていく
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【編集後記】
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