【英語学習】『三日坊主でも英語は伸びる』清涼院流水:マインドマップ的読書感想文

2021年01月31日

【英語学習】『三日坊主でも英語は伸びる』清涼院流水

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「電本フェス前夜祭」の中でも、個人的に読んでみたかった1冊。

TOEIC満点を連発している作家、清涼院流水さんが「意志が弱め」な方でも実践できる英語学習法を指南してくれています。

アマゾンの内容紹介から。

三日坊主の英語学習者は、だれかが決めた"正しい勉強法"に囚われず、YouTubeでも海外ドラマでも、とにかく英語に触れて好きなことだけやればいい。ノルマを課さず、完璧は目ざさない。それで続かなくても楽しければ何度でもやり直せるし、挫折の数だけ経験は蓄積される。いつしか自分に合った勉強法にたどりつき、飛躍的に成果が出ていることに気づくはず。無類の三日坊主を自認するも、ズブの初心者から趣味で英語を始め今では英訳者としても活躍する著者が保証する、ストレスフリーの英語学習メソッド。

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【ポイント】

■1.常識よりも自分の気持ちを優先させる

　大切なのは「常識」ではなく、あなたの内なる声が「これなら、できるかも。やってみたい」と囁いているかどうかです。これは今からスタートされる初級者だけでなく、中級者や上級者も含めて、全レベル共通で、限りなく重要です。この点だけは妥協せずに、ご自分に問いかけ続けていただきたいです。あなたが検討している英語学習法を、あなたは本当に、「これなら、できるかも。やってみたい」と思っているかどうか、です。
　あなたがそう思えているのであれば、たとえ他人がなにを言おうが気にすることはなく、まずは、その方法にトライすべきです。逆に、あなたが検討している学習法が、そのふたつの感情（「できるかも」と「やってみたい」）を満たせていないのであれば、それは、少なくとも〝今の〟あなたには理想とは言えない方法である可能性が高くなります。

■2.気が向いた時にだけする

　たしかに、最短距離で最大限の学習効果を出すためには、毎日継続したほうが良いことは間違いありません。それに、「◯日連続学習」という自分史上最高記録を更新し続けることは、本当に素晴らしいことです。だとしても、常に、「できない時は、無理をしない」という三日坊主メソッドで気楽に構えておいたほうが良いのは、ショートカットを急ぐあまり、挫折してしまうのでは元も子もないからです。
　三日坊主の学習においては、「何度やり直してもいい」と「できない時は、無理をしない」というふたつの心構えが非常に重要です。これらの基本ルールさえ忘れなければ、たとえ数週間とか数か月、学習がストップしても、〝やめた〟ことにはなりません。ただ〝休んでいる〟だけです。単なる言葉のトリックでも、人生が変わるほどの差を生みます。

■3.コストがかからないNHKの番組

　筆者自身としては、こんにちの自分があるのは、NHKの英語番組のおかげですので、純粋に感謝しています。筆者は、学生時代にもNHKの英語番組を何回か観たことはありますが、それこそ3日も継続できずに毎回挫折していました。ですが後年、30歳を過ぎて、英語学習に興味が湧き始めていた頃、たまたまテレビでNHKの英語番組を観たことが、「大人のやり直し英語学習」を本格的に始める最大のきっかけとなりました。
　それは2005年の冬のことで、観ていた民放の番組がCMのため中断され、手持ち無沙汰で、なにげなくテレビをザッピングしている時に、NHK教育テレビで再放送されていた大西泰斗先生の『ハートで感じる英文法』という番組にチャンネルが合いました。教育テレビにチャンネルを合わせる習慣さえなかったので、まさに偶然でしたが、引き込まれるように魅了されて、英語学習への興味を強めることになりました。あの時、あの番組を偶然にも観ていなければ、おそらく今の自分はない──と断言できるほどです。

■4.音読と書き写しで英文を前から理解できるように

　初級者はもちろん、上級者の中にも音読や書き写しをしない（したことがない）学習者は多いのですが、あなたがご自分の英語力の成長が鈍化していると感じられたら、音読や書き写しを導入することで、英文処理の精度と速度を高められます。これも三日坊主メソッドの一環ですので毎日継続される必要はなく、思い立たれたら、ということです。(中略)
　きちんと意味を理解している英文を音読すると、英文を前から読むと同時に理解する英文読解に必須の思考回路が築かれます。同様に、既に理解している英文を書き写すことでも、同じような効果があります。なぜなら、英文を音読する際も、書き写す時も、前から単語ひとつずつ順番に進んでいくしかないので、英文を前から順番に理解する癖をつけられるのです。もっとも、初見の英文でそれをしても意味不明なだけなので、意味を理解している英文を音読、あるいは書き写しすることが理想、というわけです。

■5.三日坊主ほど「スムーズ暗唱」に向いている

　暗唱が苦手な方の場合、何度も途切れながらでも、とにかく1文ぜんぶ暗唱できたら、「できた」と満足することもあります。ですが、1文を途切れずにスムーズに暗唱できるまで何度もくり返し練習して仕上げることが理想です。その目標をいつも忘れないようにするために、筆者は、「不完全な暗唱」と「スムーズな暗唱」を区別し、後者を目ざすトレーニングを「スムーズ暗唱」と名づけました。要するにそれは、スムーズに言えることがゴールとなる、暗唱トレーニングです。
　さまざまな試行錯誤の末に、筆者がスムーズ暗唱こそ最高の英語勉強法だと確信したのは、2013年でした。それ以後、今も常に思いつく限りの英語勉強法を試し続けていますが、スムーズ暗唱の効果を超えられる方法は、いまだに見つかっていません。

【感想】

◆今まで読んできた英語学習法の真逆を行くような（？）作品でした。

まず、タイトルにもあるように、何かしらの学習法なりテキストを始めたとしても「3日坊主」でOK！

もちろん、理想を言えば続けられた方がいいものの、嫌になったらその時点で止めても良い、というスタンスです。

その代わり、テキストを処分する等の完全離脱ではなく、続かなかったものはすべて「途中」で放置しておき、いつの日か再開したくなったらしても良い、というカタチにしておくという。

結果的に、さまざまなテキスト等を試してみることが可能であり、本当に自分に合ったものを選ぶことができる次第です。

その際、第1章のタイトルでもある、上記ポイントの1番目のように「自分の気持ち」を優先させることが大事なのでご留意を。

◆しかも、いざ始めた勉強法についても「ゆるめ」なのが本書の特徴です。

第2章を覗いてみると、まず、上記ポイントの2番目のように「気が向いた時にだけする」。

上記のように「何度やり直してもいい」のと同時に、「できない時は、無理をしない」のが、この学習法のキモとのこと。

この章では他にも「英語関連のものを部屋に飾るだけでも意味はある」「英単語と英文法は、やりたくなければ気にしない」「スペリングをおぼえられなくても問題ない」等々、「本当に大丈夫？」と思うような小見出しが並んでいます。

ただ、最終的には、必要な時がきたら、自然と学べる（大意）ようになるので、一応ご安心を。

その代わり、それなりに時間はかかりそうですけど……。

◆一方第3章からは、具体的な学習法が登場。

「3日坊主」を標榜する本書においては、いきなり英会話スクール等に通うのは危険ですから、上記ポイントの3番目のようにNHKの番組が推奨されています。

ここでは大西泰斗先生のこの作品が紹介されていますが、時期的に考えると、既に絶版になっているこちらかな、と。

NHK3か月トピック英会話ハートで感じる英文法 (語学シリーズ)

その後、このような「決定版」も出されていますね。

ハートで感じる英文法決定版

大西先生はその後何度もNHKの番組の講師を務めてらっしゃるとのことで、清涼院さんの英語学習仲間でも、大西先生の番組で「英語学習に目覚めた」という方が何人もいらっしゃるそうですから、気になる方はチェックしてみてください。

ググったら、今はこちらの番組の講師をされているようですが。

ラジオ英会話 | おうちで英語学習 | NHKゴガク

他にもこの章では、YouTubeやTOEICの活用法もアドバイスされていますから、そちらもぜひご確認を。

◆また第4章は、章題からして「さらに英語力を高めたくなったら」と、今までよりやや気合が入っています。

そこから抜き出したのが、上記ポイントの4番目の「音読」と「書き写し」。

初心者にありがちな「返り読み（戻り読み）」を避けるためには、この2つが有用なそうです。

　難しいと感じる英文を、いったん意味を理解した上で音読する、あるいは書き写すトレーニングは、スピーキングとライティングの練習にもなります。１度でも音読や書き写しでアウトプットした英文は、スピーキングやライティングの際、あたまに浮かびやすいのです。また、自分で話せる英文は聴き取れますし、自分で書ける英文は読むと瞬時に意味を理解できますので、リスニングとリーディングのトレーニングにもなります。

……なるほど、これは試してみる価値はありそうですね。

さらにはディクテーションや、リピーティング、シャドーイングといった、類書でもおなじみの学習法にも触れられてはいるものの、あくまで「三日坊主」のスタンスで「たまに、思い出した時に、久しぶりのトレーニングをする」ことをうたわれていますので、ご安心ください。

◆そして最後の第5章では、清涼院先生が「最高の英語勉強法」と称するものが2つ紹介されています。

そのうちの1つが、上記ポイントの5番目の「スムーズ暗唱」。

具体的なやり方は、結構ボリューミーなので割愛してしまいましたが（すいません）、初心者は「カンニング」しながらでもいいそうです（詳細は本書を）。

さらにもう1つの学習法もこの章の後半で明らかにされていますから、こちらもぜひお読みいただきたいところなのですが、正直私には難しそうでした（涙目）。

いずれにせよ、初心者から上級者まで、本書で得られるTIPSはかなりありますし、巻末にそのすべてが箇条書きでまとめられている点も、使い勝手が良いと思います。

今度こそ英語をあきらめないために読むべし！