2021年01月29日
【アイデア】『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』藤原麻里菜
考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」でも何故か(失礼w)大人気だった1冊。著者の藤原さんは、そのユニークな発明の数々で、海外からも注目されているクリエイターです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書の著者は「無駄づくり」というコンテンツをネットを中心に展開しており、これまでに何百もの「無駄作品」を発表、その人気は海外にも波及し、台湾での個展では25,000人もの観客が殺到した、話題の発明家だ。(中略)
その発明は「目覚ましを止めてくれるマシーン」「イヤホンをからませるマシーン」「カップルが別れましたとツイートすると光るライト」など、「どこからそんなことが思いつくのか?」と思わされるものばかりで、その発想の「ユニークさ」「スピード」「量」はすさまじいものがある。
著者は、そうした発明を何年も継続してきた中でつかんだ「考えるテクニック」をあますところなく、本書に詰め込んだ。
考えることが苦手で、真っ白な企画書を前にしていつもうんうんとうなっている人、斬新なことを考えたくても、どうしても人と同じになってしまう人など、「考える」ことに悩むすべての人の福音となる1冊だ。
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【ポイント】
■1.「アウトプットの言葉」を組み合わせるわたしは「無駄づくり」でマシーンをつくっているので、「マシーン」や「デバイス」という言葉を付け加えると、なんでもアイディアのとっかかりになる。たとえば、「炭酸水マシーン」「ティッシュマシーン」という言葉をつくると、とたんにイメージしやすくなる。「アウトプットの言葉」の例企画会議などでポンポンとアイディアを出す人は、こういったアウトプットの言葉をたくさん持っていることが多い。ぼんやりしたアイディアでも、こうした言葉を付けるだけで、かたちがイメージできてアイディアらしくなるのだ。
本……「大全」「全集」「ハンドブック」
IT系……「アプリ」「AR」「VR」「ウェブサービス」(中略)
アウトプットの言葉を増やすには、日ごろからの言葉への意識が大切だ。ふだんから街や店、本やテレビ、ネットなどで商品やサービスの名前を気にしていると、知らず知らずのうちにストックがたまっていく。
■2.「伝統文化」をアップデートする
茶道を例にとると、たくさんの決まった工程を経てお茶を点てるという行為は面倒といえば面倒だ。わたしも中学生のときに茶道を習っていたのだが、工程を覚えることがなかなか難しく、電気ケトルでジャーッてお湯を入れてマグカップで出してみんなでワイワイ話せばいいじゃん、と考えたりしていた。
工程の多さも茶道の本質ではあるものの、やっぱり現代の視点で見ると、面倒で敷居が高く感じる。(中略)
わたしはここから、「オンライン茶会」というアイディアを考えた。現代の象徴といえば、インターネットである。オンライン飲み会が流行ったように、オンライン茶会も工夫をすれば成り立ちそうだ。ビデオチャットで各々の好きな場所でお茶を飲むことができたら楽で敷居が下がり、利便性もありそうだ。
■3.「巨大な欲望」から考える
わたしがやってみたいのは、「札束風呂」である。
こんなことを現実的にできるお金はない。というか、現に金持ちでもこんなことをやる人はいないだろう。
現実的にはできない理想をどうにか叶える方法を考えてみたい。
「札束風呂」には大量のお札が必要だけれど、残念ながらわたしの全財産をもってしてもちょっとした水たまりくらいにしかならない。「札束水たまり」だと、めちゃくちゃ悲しい気持ちになる。ちゃんとお風呂レベルの水位までお札があるのを感じたい。
そこで、プロジェクションマッピングを使ったらどうかと考えた。プロジェクターで水面にお札の画像を投影するのだ。水がお札に見えて、ただのお湯なのに札束風呂に入っている気分になれる。
■4.「感情のタネ」に気づく
わたし自身は、ネガティブな感情にとても敏感だ。 嫉妬とか悲しさを人より敏感に感じている。街でカップルが仲良くしているのを見ていると、嫉妬に狂いそうになる。というか、狂った。
そして「カップルが別れたときにお知らせしてくれるマシーンをつくろう」と思いたち、「カップルが『別れました』とつぶやくと光るライト」を制作した。ツイッターで「別れました」というツイートがされるたびに、わたしの卓上にあるライトが淡く光るのだ。これで、「ああ、いまカップルが別れたんだなあ」と思うことができる。(中略)
陰湿すぎて自分でもちょっと引くくらいだけれど、このように感情に突き動かされるままアイディアを発想することは楽しく、また、その感情から自分自身を救い出せるような効果もある。
同じものを見ても、それぞれの人がそれぞれ違った感情を抱くのだから、感情から考えていくことで、自分だけのアイディアを生み出すことができる。
■5.「短時間」で考える
大喜利を見ていると、人間のアイディアの出し方には段階があるのがよくわかる。
最初は、誰にでも思いつくようなことが出てくる。それでも次々と答えていくと、その人にしか出せないようなユニークな回答になる。しかし、さらに続けていると、やがて答えはどんどん伝わりにくいことに変化していく。
同じお題で考え続けていると、発想が1周も2周もしていって、何がおもしろいのかよくわからないような答えになっていってしまうのだ。
つまり、大喜利から学べることは2つある。
1つは、とにかくたくさんのアウトプットをすること。もう1つは、いつまでもダラダラと考えずに、時間を区切って短時間で終わらせること。
1人で考えるときも複数人で集まって考えるときも、終わりの時間を設定していなければ、必ず間延びしてしまう。大喜利と一緒で、考えが何周もして、しっくりくるアイディアが遠のいていく。
【感想】
◆天下のダイヤモンド社さんが版元とは思えないような(?)、ぶっ飛んだ内容の作品でした!?と言いますか、著者の藤原さんのYouTubeチャンネルを1つでも見ていたなら、どういう方向性なのかは予想はつくハズ。
無駄づくり / MUDAzukuri - YouTube
せっかくなので、トップにあった動画を貼っておきますが。
なるほど「無駄づくり」をうたっているだけのことはありますw
◆ただ、動画に気を取られていると、本書の鋭い切り口を見落としてしまうかも。
たとえば上記ポイントの1番目の「アウトプットの言葉」という概念は、言われてみたら、確かによく使われているものです。
上記では割愛しましたが、他にも「イベント」でしたら「フェア」「祭り」「バザール」等々。
これらは最後に名称として付けるだけでなく、まず言葉を組み合わせて、それに「意味・役割」与えることによって、アイデアを生み出すことができるワケです。
ちなみにこれは本書の第1章からのものなのですが、この章では他にも「単語を『合体』させる」「『逆』を考える」辺りも、ご覧頂きたいところ。
◆また、ちょっと飛んだ第4章の「『みんなが知っていること』から考える」からは、上記ポイントの2番目の「オンライン茶会」を選んでみました。
読んでいてなるほどね、と思ったんですが、実際にもうやってる方もいるというw
一方、第5章の「『自分のこと』から考える」からは、藤原さんの願望や欲望が全開のアイデアが目白押しでした。
上記ポイントの3番目の「札束風呂」はもちろん、「スーパーのパック寿司が高級店にいる気分で味わえる」という「VRきゅうべえ」というのも、VR技術を使って実現できそうです。
ただし、この動画の「お金をせびれるマシーン」は、「軽犯罪法に抵触する行為」らしいです(藤原さんは実際にせびってないからセーフw))。
◆さらに藤原さんらしさが表れているのが、第7章の「『感情』から考える」でしょうか。
ただ、上記ポイントの4番目の「カップルが『別れました』とつぶやくと光るライト」というのは、暗すぎます!!
テラ笑顔ww
逆に第8章の「『考え方』を考える」では、思考術本、アイデア本としても十分通用する視点が提供されていました。
たとえば上記ポイントの5番目の「『短時間』で考える」というTIPSは、これだけの動画を作成されてきた方のお言葉だけに、説得力アリ。
また、上記で動画を挙げた「オンライン飲み会脱出ボタン」も、「『だらだら』と『ちゃんと』を交互にする」という思考法から生み出されたものなのだそうです。
……よく「右脳を鍛える」とか「これからは人と違った考え方で」とか言われますが、本書はまさに「これからの時代に求められるもの」なのかも!?
ユニークなアイデアに憧れる方なら一読の価値アリ!
考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71
Chapter1 「言葉」から考える ── 光速で新しいものを生み出す術
Chapter2 「半径1メートル」から考える ── モヤモヤを有効活用する術
Chapter3 ひねくれて考える ── 視点をさくさく切り替える術
Chapter4 「みんなが知っていること」から考える ── 一人だけ違うことをする術
Chapter5 「自分のこと」から考える ── 心の叫びをかたちにする術
Chapter6 「情報」から考える ── 全然考えたことのないことを思いつく術
Chapter7 「感情」から考える ── 自分らしさを全開にする術
Chapter8 「考え方」を考える ── 思考モードに入る術
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