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2021年01月28日

【英語学習】『留学しないで「英語の頭」をつくる方法』齋藤兼司


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留学しないで「英語の頭」をつくる方法 (中経出版)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「自宅で学ぼう!外国語学習本フェア」からの1冊。

そこそこ古い本なのですが、「ガチ」で英語を学びたい方にはうってつけの作品でした。

アマゾンの内容紹介から。
「訳さず」読める。「そのまま」聞ける。日本の公立小中学校に通っている長男(中2)、長女(小6)、次女(小3)をバイリンガルに育てた著者が教える!英語を「訳さない」学習メソッド。

絶版で中古が2000円以上しますから、このKindle版が1600円以上お得な計算です!






Reading is fun / John-Morgan


【ポイント】

■1.単語を「イメージ化」するトレーニング
 まず、単語のレベルから「英語の頭」をつくっていきますが、そのために大活躍するのが子ども用英英辞書です。
 その中に載っている単語は非常にやさしく、長らく学校で英語を学んできた日本人にとっては、わからない単語はほとんどありません。中には、「へえ〜、これがネイティブの子どもが使う辞書の単語なのか!」と感心するような単語もありますが、基本的には見たことのあるものばかりです。(中略)
 そこで必要になるのは、英単語から「日本語」を切り離し、英単語の「音」に「イメージ」を結びつけ直すこと。
 そうすることで、英語の音を聞いた瞬間、その英単語のイメージが浮かぶようになっていきます。
 単語レベルで「英語の頭」をつくるのは、比較的簡単にできます。練習をしっかり行えば、1カ月もかからないことでしょう。新しい単語は、「英語の頭」ができてからじっくり覚えていきますので、まずはやさしい英単語をイメージで理解できるよう、練習をしてみてください。


■2.「ナチュラルスピード」で音を大量に浴びる
 あくまで目安なのですが、英語の音が耳に残るようになるまでには、通常200時間のリスニングが必要とも言われています。音が拾えるようになった後もやめることなく、そのまま800〜1300時間英語を聞き続けていけば、ほとんどの方がネイティブの会話を問題なく聞けるようになります。
 リスニングをはじめる前に、この事実を知ることはとても重要です。なぜなら、この事実を知らないと、「リスニングの絶対量」が足りないことに気づかず、「自分は英語のセンスがない」と思って、リスニングの練習を途中でやめてしまうことがあるからです。
 1000〜1500時間というと、大変な量に感じますが、それでも赤ちゃんが母語を聞く量に比べると、9分の1〜6分の1の量です。それでネイティブの英語が問題なく聞き取れるようになれば、赤ちゃんよりもはるかに効率的に言語を習得できることになるのです。


■3.「英語の頭」で読むときの7つの原則
ルール(1) 日本語に訳さずイメージで理解する
ルール(2) 戻り読みをしない
ルール(3) 読みながら辞書を引かない
ルール(4) 内容を推測しながら読む
ルール(5) 声に出して読まない
ルール(6) できるかぎり速いスピードで読む
ルール(7) 英語音声を聞いている感覚で読む

(詳細は本書を)


■4.「セルフ・トーキング」で「脳内留学」する
「イメージから直接音を出す」という言語本来の感覚を取り戻したら、後は、子どもに倣って「独り言」の練習に入っていきましょう。この練習をセルフ・トーキングと言います。
 料理がうまくなりたければ、何度失敗しても料理をつくり続け、自転車に乗りたければ、何度転んでも乗り続ける必要があります。英語も同様に、話せるようになりたいのであれば、あまりうまく出てこなくても話し続けなければなりません。
 英語がどれだけ話せるかは、「英語を話した量」で決まるからです。しかし、大抵「話す相手がいないから」「英語がうまく出てこないから」などと理由をつけて、話そうとしません。
 もう一度子どもの独り言を思い出してください。子どもは 「相手がいてもいなくても関係なく」話し続けます。


■5.「Why - Because」で成り立つロジック
「察してくれない言語」である英語は、「Why」に対する「Because」をしっかり伝えなければなりません。このWhy−Becauseロジック(論理)と言います。英語を話したり、書いたりするときには、ロジックを意識しないと、うまく通じません。
 たとえば、日本人に「何の映画が好きですか?」と尋ねると、「ハリー・ポッターです」と題名だけが返ってきます。しかし英語で“What is your favorite movie?”と尋ねられて“Harry Potter.”とだけ答えると、相手は物足りなそうな顔をする可能性が高い。
 それは、好きな映画の題名を言った後、“because...”と理由が続くのを期待しているからです。
 日本人は、特に理由もなく、「好きだから好き」という人もいるため、特に聞き返したりしませんが、英語では「それが好き。なぜなら〜」というように理由が続くのが一般的なのです。英語を使う際には、このWhy-Becauseを意識するだけで、コミュニケーション力がぐっと上がります。


【感想】

◆想像以上に「ハードコア」なスタイルの作品でした。

まず本書は最初の3つの章で、「英語の頭」と呼ぶ「日本語を介さないで理解する」英語勉強法の有用性が解説されています。

もちろんそこでもハイライトは引きまくったのですが、具体的にどう勉強するかが述べられている第4章以降を上記ポイントではセレクト。

たとえば上記ポイントの1番目は、第4章の「まずはこれだけ! 英語を『訳さず』理解する方法」からのものなのですが、ここで言われている「子ども用英英辞書」として、具体的に挙げられていたのがこちらになります。

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Longman Children's Picture Dictionary with CDs: With Songs and Chants
この辞書は、800もの単語が分野ごと、シーンごとに掲載されていて、関連した単語としてまとめて覚えられます。ネイティブスピーカーの音声CDが付属していて、すべての単語の音を確認できます。写真やかわいらしいイラストが描かれているので、英単語をイメージで覚えるには最適です。
なお、実際にこの辞書を使って「単語をイメージでとらえるトレーニング法」が、ステップごとに解説されていますので、詳細は本書にてご覧ください。


◆続く第5章からは、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4つの技能について、それぞれ指南されています。

上記ポイントの2番目は、その第5章からのもの。

ただし「200時間+800〜1300時間」ということで、「1000〜1500時間」という時間を見て、途方にくれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それもスローではなく、あくまで「ナチュラルスピードで」とのこと。

とはいえ、テレビなどでも活躍されている同時通訳者の 小熊弥生さんは、20代で英語力を飛躍させた際、ナチュラルスピードで話されている映画「プリティーウーマン」を聞き続けたのだそうです。

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プリティ・ウーマン 特別版 [AmazonDVDコレクション]

そして、リスニング上達のコツは、英語教材のCDなどではなく、「ナチュラルスピードの英語を聞いていくこと」だそうですから、ここはつらくとも頑張っていただきたく……。


◆一方第6章では「読む」がテーマ。

ここでは上記ポイントの3番目にある「『英語の頭』で読むときの7つの原則」が、ほぼ章全体を通して解説されています。

中でも重要だと思われるのが、ルール(2) の「戻り読みをしない」でしょう。
文章を読みながら、わからないところで思考を中断し、前の文に戻る癖をつけてしまうと、リスニングのときにも同じことをしてしまいます。つまり、英語を聞いているときにわからない文に出くわすと、その部分を理解しようと思考を停止させてしまうのです。
これはリーディングなら可能であっても、リスニングではできないことです。
ですから、英語を理解する速度を上げ、相手の話についていくために、多少わからない部分があっても、スピードを緩めたり、立ち止まって文を解釈しようとせず、読み進めていってください。
……言うのは簡単ですけど、かなり大変そうな(涙目)。

なお、読む題材は、最初は子ども向けの「絵本」で、8割理解できるようなら、徐々にレベルを上げていくのだそうです。


◆また、第7章から抜き出した上記ポイントの4番目の「セルフ・トーキング」は、私も語学留学中に延々とやっていました。

とにかく自分の頭の中で物事を考えるのに、英語のみを使うワケですから、最初の頃は正直「幼稚園生レベル」だな、と思っていましたが、それが自分の英語の実力なんですから、しょうがありません。

具体的な「セルフ・トーキング」の例が収録されていたので挙げてみると、たとえばお腹が空いて、昼食のメニューを考えているという設定で……。
Oh, I’m so hungry. What do I want to eat for lunch today? I ate ramen yesterday. I don’t want to eat it two days in a row. Let’s eat spaghetti, then. Do I know any good restaurant? Last week, I found a nice Italian restaurant near the post office. Do I have enough money? Yes, I do. All right. Let’s go.
いやもう、私もこんな感じでしたよ。

本書では「セルフ・トーキング 7つのポイント」なるアドバイスも収録されていますから、そちらもぜひご確認を。


◆そして最後の第8章では「書く」ことがテーマです。

ここでは「自分の言いたいこと」「書きたいこと」を表現できるようにするために、「日記(ジャーナル)」をつけていくことが推奨されていました。

ただし、その前段として、留意したいのが上記ポイントの5番目にある「Why - Because」というロジック。

とにかく何か聞かれたら、理由も付すのが英語流。

もっともこれは、別に日本語であっても言えることで、いちいち理由を付けるクセがつくと、思考自体がロジカルになりますから、説得力が増します(土井英司さんなんかはそうですよね)。

いずれにせよ、この4技能を本書で求められるレベルでレッスンするのは、かなりハードだと思いますので、心してお読みいただければ、と。


「英語の頭」をつくるために読むべし!

B00J4KD2EI
留学しないで「英語の頭」をつくる方法 (中経出版)
chapter1 大人になっても「英語の頭」はつくれる!
chapter2 あなたの頭の中に「英語の頭」が完成しない理由
chapter3 あなたにもできる! 「英語の頭」を3カ月でつくる方法
chapter4 まずはこれだけ! 英語を「訳さず」理解する方法
chapter5 「英語の頭」で英語を訳さず「聞く」方法
chapter6 「英語の頭」で英語を訳さず「読む」方法
chapter7 「英語の頭」で英語を訳さず「話す」方法
chapter8 「英語の頭」で英語を訳さず「書く」方法


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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