2021年01月21日
【時間術】『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』尾石晴
やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」でも人気の高かった時間術本。著者の尾石さんは、さすが外資系で働かれていただけあって、ロジカルに「時間術」を考え抜かれているのが印象的でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、普通の会社員である私が仕事と育児を両立しつつ、何度も何度も「時間がない」ことに悩んで試行錯誤した末に編み出した「時間術」を紹介していきます。
この本は「ただ時間がうまく使えない」という人のための本ではありません。家事や育児、介護、そして仕事といった色んな条件があるために、自分の好きなように時間を使うことができない人、何かを「やめる」ということに躊躇している人のための本です。そんなあなたのための「時間の使い方」です。
特に値引はありませんでしたが、私はKindle版で読了しました!
Time Management / RLHyde
【ポイント】
■1.スマホの「スクリーンタイム」を活用する使途不明時間が多い人は、スマホのスクリーンタイムを見てください(図4)。毎日何分、スマホを開いてどのアプリを見ているのか一瞬でわかります。
タイムログと、このスマホのスクリーンタイムを見比べてみると、自分が無意識のうちにどれだけスマホを見てしまっているかが見える化されます。
スクリーンタイムはウソをつきません。PCやタブレットをよく触る人は、これらのスクリーンタイムも合わせて見てみましょう(Mac=スクリーンタイム、Windows=ManicTimeなどPC用にもソフトがあります)。見ている時間、時間帯、内容がひと目でわかります。「何となくスマホを見ている時間が長いから改善しよう」と思っても、実際にこうして数字で見ないと危機感はなかなか生まれません。
タイムログに記載していないスマホ使用時間があるなら、タイムログに追加してこれも追加して書いておきます。使途不明時間が多い人は、意外とこのスマホ時間が抜け落ちています。ぜひ使途不明時間を突き止めて書いてみてください。
■2.ルーチン時間こそエフォートレスにする
エフォートレスというのは「努力を必要としない、無理のない」という意味です。(中略)
もちろん洋服が趣味だという人は楽しめばいいと思いますが、毎日やることほど、エフォートレスな状態を作っておくのは、タイムパフォーマンスのために重要です。
私は息子たちの保育園の服は、上下合わせて5着までと決めています。ワンシーズンで使い切りです。子どもは成長するので、翌年にはサイズアウトする、下の子用にお下がりを取っておいても、保育園の匂いや黄ばみが来年も残る可能性が高く、収納を1年間用意して管理するほうが大変です。
そのため季節の終わりには服を処分するのと入れ違いに、セールで翌年のサイズを見込んで格安の服を確保しておきます。大人の服もハンガーにかけて見える量しか置いていませんし「1つ買ったら1つ捨てる」のルールを設けています。
さらに、我が家は衣替えをしません。リビング横の小さな部屋をクローゼットにして、そこに家族全員の服をハンガーやクリアボックスで保存しています。
■3.コントロールできないものに思考の時間を割かない
「会社が近かったらなあ」と言いながら、毎日往復2時間かけて通勤している人がいますが、会社の場所を自分で移動させることはできません。自分でコントロールできないことを嘆いても意味がないのです。
自分でできるのは「自宅の場所の選定」や「会社を変える」ことだけです。わかっているはずなのにコントロールできないことにこだわっているのは、はっきり言って時間のムダです。
もちろん、自宅を他に移せない理由は、挙げればキリがありません。それなら、通勤時間は自分ではコントロールできない=引けない時間と割り切って、自分にとって有用な時間へ転換する必要があります。
また、職場で長時間かけて行った仕事に対して、いい評価が得られなかったとします。「評価」は他人がするものなので、コントロール不可能です。
これはもう仕方がないことなので、今回は仕方ない。次はどうするか? と考えて割り切るしかありません。
■4.「やったらいいこと」は全部やめる
「急速に引き算」をするために何をすべきか? 私の答えはシンプルで、「やったらいいことは全部やめる」と決め、時間を増やしていったのです。
私の場合、仕事においては8割くらいまでの完成度であれば、だいたい業務時間内に到達します。ではどこから、業務時間を圧迫していくかと考えたら、完成度を80%から100%へ持って行く作業の部分です。
そして、その作業の中には、「やったらいいこと」が多いのです。補足のデータを入れておこう、パワーポイントの見栄えをよくしよう、想定質問集をつけてあげよう……など皆さんも「あるある、それが優秀さの証だったりするからやめられないんだよね」と思ったのではないでしょうか。私はこのような「やったらいいこと」を無視して、100%に仕上げる仕事を全部やめました。
■5.デジタルツールと手帳の使い分け
私はデジタルツールで現在の時間を管理していて、手帳は未来の時間を管理することに使っています。
デジタルツール(Googleカレンダーなど) に予定を入れると、スマートウォッチと連動でき、予定の15分前にアラームを鳴らしてくれます。私は忘れっぽいので、ゴミの収集日から息子の学校の書類提出日など、日々の予定を全てデジタルカレンダーに入れて、リマインダーをかけています。こうすることで、次の予定なんだったっけ? ゴミの回収日いつだったっけ?(特に資源ごみなど月1回しかない予定は重宝) と、無意識に使っている脳のメモリを解放できます。すると、思考力が維持でき、他の使うべき時間のタイムパフォーマンスが上がるので、現在の時間(予定がはっきり決まっている時間) は主にデジタルで管理しています。(中略)
では手帳は何に使っているのか? これは「未来の自分のために」使っています。時間の見える化をした時に「理想の1日のスケジュール」を書きました。そこから、引き算をして足し算をします。この足し算、引き算予定や、試行錯誤している内容を手帳には記しています。
【感想】
◆なかなか意欲的な時間術本でした。表紙のイラストがほんわかしているのとは裏腹に(?)、むしろかなりアグレッシブな感じ。
たとえば第1章では、現状の時間の使い方を徹底的に洗い出しています。
そのためにまずバーチカルタイプのスケジュール表を用意し、寝ている時間や食事の時間、さらには仕事時間等を記入。
すると残るのが「何をしていたのかよくわからない」使途不明時間です。
これらに関しては、上記ポイントの1番目で触れている「スクリーンタイプ」を用いて明らかにすべし!
私は予想どおり、ほとんどスマホ見てなかったのですが、むしろLINEばかりしているムスコのスマホの現状を把握しようかと。
◆さて、第1章で時間の「量」を見たのに続いて、第2章では「質」を検討していきます。
具体的には「コストパフォーマンス」ならぬ「タイムパフォーマンス」を上げるために、「6つのコツ」を指南。
その中の1つが、上記ポイントの2番目にある「ルーチン時間こそエフォートレスに」です。
ここでは毎日行う「洋服を着る」ことのエフォートを検討しているのですが、ちょっとしたミニマリストのような?
なぜ「洋服」に関してここまでやっているかというと、毎日の洗濯、収納、買い物、季節ごとの洋服の管理など「着替え」というのは、ルーチン時間の中でも努力を必要とする時間が多いからです。タイムパフォーマンスを上げようと思ったら、できるだけ「毎日長く時間を使っているルーチン時間や、関わるものが多いルーチン時間」ほどエフォートレスにすると効果が高いのです。なるほど……。
また、迷う時間を減らすために、即断できるもの(ランチメニューの選択等)は「5秒で決める」というコツも、ジョブズの服装等でおなじみかと。
実際、何でも即断していったら、時間の「質」だけでなく「量」にも貢献できると思います。
◆一方、第3章のテーマは時間の「引き算」。
ここでは可視化された自分の時間を「投資」「消費」「浪費」に分け、「浪費」の削減を目指します。
その際、上記ポイントの3番目にあるように、「コントロールできないものに思考の時間を割かない」ことにも留意すべき。
本書では、例として「掃除」について検討し、家事代行を頼んだプロセスが明らかにされていますので、参考になさってください。
また、こうした「引き算」の作業は、一気にやらずにスモールステップで進めるのも大事なようです。
さらに第4章では、その「時間の引き算」の応用編が登場。
上記ポイントの4番目にある「『やったらいいこと』は全部やめる」というのは、応用テクニックの1つである「リスクを取る」からのものです。
もちろん、人それぞれ、仕事に求められるものや、クリアできる基準が違いますから、各々ご検討いただく必要はありますが、ハナから「無理」と諦めないようにしたいところ。
◆なお、本書はその巻末に「時間にまつわるQ&A」なるものを収録しています。
具体的には、本書の内容を実践するにあたって、ありがちないしは想定される質問と、それに対する回答を掲載。
たとえば上記ポイントの5番目は
デジタルツールと手帳で時間を管理しているとはるさんは言われていますが、使い分けの方法を教えてください。いろんなツールがあって、入力することに振り回されています。時間をうまく使えるように、ツールを使いこなしたいです。という質問に対するものです。
私はGoogleカレンダーですべて済ませていますが、確かに「未来」に関してはあくまで「確定した予定」しか書き込めません。
また、漠然とした予定もやはり記入しにくいですから、なるほど紙と併用するのが良さげかも。
他にも、旦那さんとの時間の考え方のズレに悩む主婦や、いつも子どもをせかして自己嫌悪しているママ、子育てで家にいる奥さんの時間の使い方が気になる旦那さん等々の質問も登場しますから、こちらもぜひご確認を。
いつも「時間がない」とお悩みの方なら一読の価値アリ!
やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ
序章 時間がない!思考から抜け出す
第1章 全体を把握する時間の「見える化」
第2章 タイムパフォーマンス向上術
第3章 やめる時間術のカギ 時間の「引き算」
第4章 時間の引き算【応用編】
第5章 人間を豊かにする時間の「足し算」
時間にまつわるQ&A
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。「城取り」の軍事学
過去何度かセールに登場したことのある「城」本は、絶版で中古価格が高騰していることから、Kindle版が2100円強お買い得。
高校生のための経済学入門 (ちくま新書)
分かりやすそうな(とはいえ、どうせちくまさんからなら「プリマー新書」から出せばよいのにと思いつつ)経済学本は、中古が値崩れしているものの、「66%OFF」のKindle版の方がお求めやすくなっています!
ご声援ありがとうございました!
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