2021年01月09日
【成毛流?】『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』成毛 眞
バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる (SB新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた、成毛眞さんの新作。いわゆる文法的に優れた文章を書くための文章術ではなく、「いいね」されたり、紹介した商品を買ってもらったり等の、「人を動かす」文章術について論じた1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
副業としてブログやアフィリエイトを行う人が増えている昨今では、「文字で自分の思いを伝える」重要性は日に日に高まっています。
しかし、「書くこと」が日常的になった半面、「ネットで多くの人に読まれ、拡散されていく」=「バズる」文章の書き方、情報発信の方法については、教わる機会がない。
いったい何を、どう書けば「バズる」のか?
本書では、HONZ代表の成毛眞が教える、共感を呼び、最速で拡散させる最強のSNS文章術!
中古がやや値下がりしていますから、「10%OFF」のKindle版がお買い得です!
Buzz / christophe.benoit74
【ポイント】
■1.スマホ仕様の見栄えにするSNSの最大の特徴は、スマホで読まれる確率が高いことだ。ということは、広く読まれる文章の第一条件として「スマホで読みやすい見た目」でなくてはいけない。
たとえば漢字が多すぎる、改行や1行空きなどの余白が少なすぎる、逆に空白が多すぎて延々とスクロールしなくてはいけないなどの文章は、いくら内容がよくても、スマホで読むとなるとうんざりしてしまう。(中略)
それなりの文字数の文章を書くとなると、PCのほうが便利だ。
しかし、たとえPCで書いてPCから投稿するとしても、投稿する前に必ずスマホで見栄えをチェックすることをおすすめする。
画面の大きさが違うPCとスマホとでは、画面に表示される1行の長さも違う。
だからスマホで見直してみると、PCの画面では気にならなかったこと、たとえば改行や1行空きが少なすぎて文面が真っ黒に見えるなど、見た目のあらに気づくことがあるはずだ。
■2.書くネタを思いつく必要はない
おそらく多くの人が、SNSで自分の友達以外の人をフォローしていると思う。
ユニークな人をフォローしていれば、ユニークなテーマが山ほど目に飛び込んでくる。
ユニークな人というのは、たとえば特殊分野の学者や、珍しい職業の人、一風変わった視点で発信し続けている人などだ。
仮にそういう面白い人を50人フォローしたとして、1人あたりから1週間に1つずつネタをもらったとしたら単純計算で週に50個、1年後には50個×約52週で約2600ものネタが手に入ることになる。(中略)
日本だけで考えても約1億3千万人もの人間が生きており、性別や年齢もさまざまなら、ちょっとした味の好みや洋服のセンス、政治的信条まで、じつに多様だ。
見方を変えれば、発信する人の数だけバリエーション豊かな情報源があるということだ。いろいろな年代、性別の人をフォローするというのはいわば、日本のミニチュア版を自分のSNS内に再現することともいえる。
■3.文章のリズムは「接続詞」と「一文の長さ」
文章のリズムをテクニックに落とし込むとしたら、意識すべきは「接続詞」と「一文の長さ」だ。
接続詞とは読んで字の如く「文章と文章を接続する詞」である。「だから」「しかし」「だが」「ただし」「したがって」「しかも」「そもそも」などには、もちろん語意がある。
しかし私は、そうした意味的な機能と同時に、文章の拍子をよくするために接続詞を使うことが多い。
「むしろ」「たしかに」「もちろん」「なにしろ」「さすがに」「ほんと(に)」といった副詞も、よく同様の目的で使っている。
また「一文の長さ」を意識するというのは、短文・中文・長文を織り交ぜて文章のテンポに強弱をつけるということだ。
音楽では、強拍と弱拍を織り交ぜてリズムの強弱を作ることを「シンコペーション」という。文章でも短文・中文・長文を織り交ぜると、音楽的なシンコペーションが生まれるのである。
■4.批判文はポジティブに〆る
SNSではポジティブな投稿を心がけるべきだが、時には自分の意見として何かを批判したくなることもあるだろう。
特定の個人や人種などを貶めるのはもちろんダメだ。そういうヘイト的なものでない限りは、たまにピリッとした批判があってもいい。
だが、それにもコツがある。ネガティブな文章をネガティブなまま終わらせると、読んだ人の読後感もネガティブになる。そのときのネガティブな印象が、そのままあなた自身に対する印象になってはたまらない。
これを避けるのは簡単だ。何かについて批判したり苦言を呈したりするときでも、必ず何かしらポジティブな話を入れればいいのである。
たとえば、あることを批判したら、それを改善するポジティブな提案を入れる。
投稿の最後に、自分に「テヘペロ的なツッコミ」を入れたり、ちょっとしたジョークを書くなど、少しおちゃらけて見せて「w」で締めくくるのもいいだろう。
■5.エッセイの極意は「起承転結・転」
前にも述べたように、SNSでの発信は論文でも記事でもなくエッセイだ。そして「起承転結」という教科書どおりの構成に従わなくてもいいというのも、エッセイ特有の自由さである。教科書の枠から外れて思うまま「遊ぶ」ことこそ、エッセイの極意なのだ。
単に「遊べ」といわれても難しいだろうから、1つ考え方を示しておこう。
エッセイは「起承転結・転」と考えるといい。
まずテーマを明らかにし、次に説明し、さらに展開し、最後に結論を述べた──かと思いきや、もうひと展開して終わる。
最後の「転」では、たとえば投稿の内容と同じテーマの別トピックへの転換を匂わせる。これは、まったく無関係な話となると意味がない。あくまでも起承転結で話してきたことに 紐 づく範囲内で、トピックだけ飛躍させるのだ。
あるいは結論に対する自分ツッコミやボヤキなど、ちょっとしたことでもいい。
それだけで遊び心を感じさせる面白い投稿になる。
【感想】
◆本書では、成毛さんのまさに「バズる」文章の秘密が色々と明かされており、私もブロガーの1人として非常に参考になりました。まず第1章では、文章の体裁についての言及が。
上記ポイントの1番目のように、「スマホファースト」で考えるべきなのは私も同意です。
実際、土井さんのメルマガの1列辺りの文字数が減ったのも、スマホを意識しているのだと思われ。
ただ、私もこのブログをPCで書いていますが「投稿する前に必ずスマホで見栄えをチェックする」なんてしたことありませんでしたよ(反省)。
本書ではさらに「HONZ式」のレイアウト指南が登場しており、
・1字下げをしない等々のルールが挙げられていますから、本書にてご確認ください。
・段落を変えるときに1行あける
・140字に1つ行間を作る
◆続く第2章では、「読み手の心をつかむ書き方」が登場。
フックの効いた文章にするには、「どう書くか」もさることながら「何を書くか」も大事ですよね。
そこで成毛さんが提唱しているのは、上記ポイントの2番目にあるように、SNSで自分のフォロワーが書いたものをネタにするということ。
本書の場合、SNSと言っても、成毛さんが活用しているFacebookが前提なので、Twitterの「引用ツイート」とは違うのでしょうが、リンクを明記した上で紹介なり、意見表明をすることで、立派な投稿となります。
なお、投稿頻度に関して成毛さんは「3日に1回、複数投稿が最強」と断言。
その「複数投稿」に際しては、「別テーマで、より多くの読者をつかまえる」のと「1テーマで少数の読者を確実につかまえる」という両輪で考えている、というのも興味深かったです(詳細は本書を)。
◆一方、1つ飛んだ第4章のテーマは「『1行』で読ませる書き方」というものなのですが、ここでは1章の「体裁」を掘り下げたかのような、文章自体の書き方に言及。
特に上記ポイントの3番目の「『接続詞』と『一文の長さ』によるリズム」というのは、個人的には成毛さんの文章の「キモ」だと思っています。
以下は本書で例文として挙げられていた、成毛さんのFacebookの投稿から。
シドニーに行ったらフィッシュマーケットは外せないと思う。とにかくいろいろ美味しいのだ。フードコートだ。選んだ魚介類を好きな方法で調理してもらって、持ち寄って海の香りのする巨大なデッキでワイワイ食べるのだ。もちろん寿司も肉もある。シドニーが小さな美食の街だということがよく分かる。なるほど、短文、中文、長文織り交ぜられていることが分かりますね。
この章では他にも「読点テク」や「副詞の使い方」といったTIPSのほかにも、特にSNSにおいて重要な「補足情報」の書き方のアドバイスもありました。
要は、ただ他の人の投稿を紹介するだけでは、自分の投稿がシェアされたり「いいね」されない、ということ。
本書では成毛さんが、他の方の投稿を添削した「Before & After」が掲載されていますから、ぜひご確認ください。
◆また第5章の「どんな相手にも共感される書き方」は、炎上対策としてもかなり秀逸でした。
確かに「類は友を呼ぶ」とばかりに、「悪口ばかり発信していると、悪口を好む人たちが集まってくる」モノ。
たとえ自分が悪口を発信しなくとも、フォロワーに「悪口好き」がいたらタイムラインが汚染されてしまいます。
当然これらは排除すると同時に、自分は「ディスるよりほめる」ことを成毛さんは主張。
上記ポイントの4番目の「批判文はポジティブに〆る」というのも有効でしょう。
ただ、割愛した中にあった「賛否両論の話題は、さりげなく文中に忍ばせる」というのは、かなり高度なテクニックではないか、と。
その具体例として本書に収録された成毛さんの投稿は、私も以前目にはしていたのですが、「番組へ感想」の体で「NHKの受信料は払ってしかるべき」と主張されていたとは思いませんでした。
◆そして最後の第6章の「人を動かし、買わせる書き方」では、いよいよ「商売人(?)」成毛さんの本領発揮。
ここでも具体例として、他人の投稿を添削しているのですが、なるほどこのようにリライトすればよいのか、と納得しきりでした。
ちなみに上記ポイントの5番目の「起承転結・転」というのも、その「買わせる」テクニックの1つ。
成毛さんの投稿の最後の方に、ぶっちゃけ話(?)みたいなのがあるのは、これを意図したものだったのですね!
なお今回のエントリーも、この章の一番最後に挙げられていたTIPSである「最後のひと押し」を加えると、こうなります。
バズる文章を書きたい方なら、マストの1冊!
バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる (SB新書)
第1章 バズる文章は内容ではなく見た目が9割
第2章 読み手の心をつかむ書き方
第3章 絶対に誤解されない書き方
第4章 「1行」で読ませる書き方
第5章 どんな相手にも共感される書き方
第6章 人を動かし、買わせる書き方
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【編集後記】
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