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2021年01月07日

【記憶術】『頭がいい人の脳の使い方』小田全宏


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頭がいい人の脳の使い方―――記憶力を高める8つのメソッド


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも人気の記憶術本。

表紙やタイトルから、てっきり「脳ネタ本」の類だと思っていたら、思っていた以上にテクニカルな記憶術のお話が出て来て、タジタジになりました。

アマゾンの内容紹介から。
記憶力、集中力、情動コントロールで、何歳からでも頭がいい人になる。脳を正しく使うコツ46。

中古は値崩れしていますが、このKindle版が400円以上お買い得です!






Memorize on a Strawberry EeePC / Sean's Sugar photos


【ポイント】

■1.「楽に学ぶ」より「楽しく学ぶ」
 「楽」と「楽しい」は同じ漢字を書きますが、脳の動きのベクトルとしては真逆になります。
「楽に憶えたい」「楽をしたい」と思っている時、脳は「早く終わりたい」と考え、そのことで頭がいっぱいになっていきます。そのため、目の前のことにあまり集中できていなかったりします。
 一方、「楽しい」と思っている時、脳はワクワクしてやる気を起こし、「もっとやりたい!」と考えます。脳は楽しいことが大好きだからです。そのため、目の前のことに集中し、さらなる魅力を見つけ出したりします。
 たとえば、10個の公式を憶えなくてはならなかったとします。
「楽に憶えたい」という人は、4つの公式を理解し、記憶できたとしても「あと6個もある」「あとどれくらいやらなきゃいけないのか」という意識になり、だんだん義務感で取り組むようになります。(中略)
「学ぶことは楽しい」という意識で取り組むと、時間のことを忘れて取り組むので、苦痛とは無縁の時間になります。


■2.聞きなれない単語でも記憶できる「分解法」
 この「分解法」を駆使すると、聞き慣れないカタカナや漢字あるいは英単語なども、スムーズに頭に入れることができます。(中略)
 ちなみに、聞いたことがないものをどう憶えるかというと、こんな感じです。
 たとえば、リベリアというアフリカの国の首都は「モンロビア」というのですが、この場合は、「リベンジするぞ!」と言いながらマリリン・モンローがビアを飲んでいる映像を思い浮かべます。そうすると、リベリアと聞いた瞬間に、マリリン・モンローとビアが思い浮かび、「モンロビア!」と答えられるわけです。
 この方法を応用し慣れてくると、地名、人名はもとより薬の名前などの医学用語や法律用語、あるいは何百もあるワインの名前、またIT関係の用語、化学式など、とにかくどのようなものでもたちどころに頭に入ってきます。
 中でも英単語を憶えるのには非常に役立ちます。1日の間に100個、200個の単位で単語を記憶することができます。


■3.「時間重視」と「結果重視」の取り組み方
「時間重視」で時間を区切って何かに取り組む場合は、とにかくその時間内は、集中して取り組みます。そして、時間が来たら、どんな結果であったとしても、「これでよし」と、自分の頑張りをそのまま認めます。同時に「次は、ここからやるぞ」と、次回の自分の頑張りに期待し、そのことを脳に刻んでから作業を終えます。
「結果重視」の場合は、それに取り組んでいる間中、仕上がった時の「うれしさ」を心の中でイメージしながら取り組んでいくことがコツです。
 内容によっては、時間を定めて取り組むことが難しいものもあるでしょう。
 しかし、最初から時間設定をしなければ、意識がボヤけて集中状態が作れません。
「結果重視」の案件であったとしても、「一定の時間が経ったら途中であっても、必ず休憩を取る」と決めて取り組むことです。


■4.不安のマネジメント法
(1)「不安はあって当たり前」と認める
「今、自分には不安があるのだな」と、その存在をあるがままに観る
(2)心の中に湧き出てくる複数の不安をすべて書き出す
 不安がすべて現実になったとしてもたいしたことはない、最悪の場合でもたいしたことではないという諦観を持ち、不安の正体を、書き出して見つめ直す
(3)フォーカシングで不安を物体としてとらえる
 不安を物体としてとらえ、どんどん小さくなり消滅する様を頭の中でイメージする
(4)「不安は考えない」とあえて口に出して言う
「これからどうなるのだろうか?」という視点ではなく「どうしたら問題が解決するのか?」という行動を促す視点にシフトチェンジをしたうえで不安について考える
(5)瞑想で精神状態を整える
 瞑想をすることによって、呼吸そのものに意識を向けてあげると、不安という脳のざわめきレベルが下がり、落ち着きを取り戻す


■5.試験勉強がうまくいくための脳の使い方
 試験勉強に取り組むうえで、もっともしてはいけないこと、それは、「とりあえず」取り組むことです。
「とりあえず、これからの時代は、○○の資格くらい持っていたほうがいいかな」
「とりあえず、頑張ろう」という意識です。
 この「とりあえず」の意識があると、脳はまったくスイッチを入れません。
「とりあえず」始めると、途中で困難な場面に遭遇した時、脳がすぐにあきらめてしまうからです。
 そして、もう1つ。
 会社や学校などから資格取得が義務づけられたからと、仕方なく取り組むことです。
 会社からの指示であっても、それが自分にとって目的や夢、もしくは「得になる」「喜びにつながる」といった感覚があれば問題ないのですが、「指示だから仕方ない」「無理やりやらされた」といった気持ち(受動的動機)だけでは、脳にスイッチが入りません。心の底では、「やりたくない」と思っているため、脳にエネルギーが供給されないのです。


【感想】

◆そもそも本書の著者である小田全宏さんのことを全然存じ上げなかったワタクシ。

改めて肩書を確認すると、どうも脳力開発を目的とした「アクティブメソッド」なるプログラムを開発し、講演等されている方のようです。

実際、この「アクティブメソッド」を用いて、志望校や資格試験に合格された方も多々いる模様。

中でも注目すべきは、当ブログでも何冊も著作をご紹介している、「記憶力日本選手権6連覇」「日本人初の世界記憶力選手権大会・グランドマスター」である池田義博さんも、その受講生であったことです。

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脳にまかせる勉強法

参考記事:【集中力】『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』池田義博(2018年01月05日)

もちろん池田さんご自身の才能や努力等があったことはもちろんですが、見事花開かせたのが、この「アクティブメソッド」だったということかと。


◆さっそく本書を見ていくと、まず第1章では、従来の「脳の常識」(「脳力は遺伝で決まる」「年を取ると物覚えが悪くなる」等)が訂正されています。

ただ、この辺はいわゆる「脳ネタ本」をお読みの方なら、ご存知のお話が多いので割愛。

第2章以降からの、小田さん流の「記憶法」について見ていきたいと思います。

たとえば上記ポイントの1番目は、さっそくその第2章からのもの。

この「楽しく学ぶ」というスタンスは、本書を通じて言われていることなので、押えておいてください。

また同じ第2章では、ボリュームの関係で割愛したものの「記憶力が飛躍する6つの考え方」も要チェックで!


◆続く第3章は「記憶力を高める8つのメソッド」と題して、具体的な記憶術について解説がされています。

言葉を映像にしていく「イメージ化」や、覚える対象を順番に物語に落とし込む「ストーリー法」、身体の一部や知っている場所に、覚える対象を貼り付ける「場所法」等々、記憶術での定番どころが登場。

そんな中、あまり記憶にないのが、上記ポイントの2番目で抜き出した「分解法」なるものです。

ちなみに小田さんは、パックン・マックンのパックンさんともお知り合いで、ある時パックンさんに提示された「アフリカの知らない首都30個」を1回聞いただけで、この「分解法」で覚えてみせたら、大層驚かれたのだそう。

もっともある種の「ダジャレ」的に、対象に近いイメージを当てはめていく方法は、記憶術ではよく出てきますから、「分解法」はその亜流と言えなくもないのですが。

ただ、覚える対象が、そのままだと映像化できないケースはいくらでもあるので、積極的に活用していきたいところです。


◆一方第4章は、「記憶力」と深いかかわりのある「集中力」がテーマ。

いくら記憶術を身につけて覚えることができたとしても、集中できなかったらそのチカラを発揮することができませんから、こちらもぜひご確認ください。

……とはいえ、当ブログでは「集中力」に関する作品も数多くご紹介してきましたから、ほぼほぼ過去の類書でカバーしていると言えなくもなく。

たとえば「主体的動機」(自分から率先して取り組む)に基づいて始めることや、TODOリストでおなじみの「アイビー・リー・メソッド」等は、ご存知の方も多いと思います。

ただ、上記ポイントの3番目で挙げた「時間重視」と「結果重視」の取り組み方の違いは、私は初めて知ったので、取り上げてみた次第。

私はどちらも意識したことがなかったので、今後は意識していきたいと思います。


◆さらに興味深かったのが、第6章の「情動マネジメント」。

ここでは感情のコントロールがテーマであり、「劣等感」「後悔」「不満」「怒り」といった「感情」のマネジメント法が紹介されています。

上記ポイントの4番目の「不安」もその中の1つであり、特に試験やプレゼンのような「一発勝負」の大敵でもあるので、ご留意いただきたく。

また、第6章では「試験勉強」「英語習得」「ダイエット」「スピーチ」といった「シチュエーション別の脳の使い方」がテーマでした。

ここでは上記ポイントの5番目の「試験勉強」が、当ブログ向きだと思い抜き出しましたが、その次の「英語習得」も見逃せません。

……ちなみに小田さんは、当初TOIEC400点だったのが、3か月のトレーニング後には900点をクリアしたのだそうです(スゲーw)。


より良い脳の活用法を身につけるために読むべし!

B0855VDVZF
頭がいい人の脳の使い方―――記憶力を高める8つのメソッド
第1章 誤解されている「脳」の常識
第2章 「脳力」の基本は質のよい記憶
第3章 記憶力を高める8つのメソッド
第4章 「脳力」の効果は集中で変わる 
第5章 「脳」と心を活性化させる情動マネジメント
第6章 シチュエーション別脳の使い方


【関連記事】

【集中力】『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』池田義博(2018年01月05日)

【記憶術】『世界一の記憶術』に学ぶ達人のワザ7選(2012年02月26日)

【記憶術】『記憶力世界チャンピオンカールステン博士の頭がよくなる勉強法』グンター・カールステン(2010年10月05日)

【集中力】『机に向かってすぐに集中する技術』森健次朗(2016年02月27日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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ぷしゅ よなよなエールがお世話になります―くだらないけど面白い戦略で社員もファンもチームになった話

過去何度かセールで見たことはありましたが、おそらく今回の「69%OFF」というのが最安値かと。

中古は値崩れしていますが、送料を踏まえるとKindle版に軍配が上がります!


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