2021年01月06日
【文章術】『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』藤吉 豊,小川真理子
【Amazon.co.jp 限定】「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。(特典:「誰でも1時間で「記事・ブログ」が書ける魔法のテンプレート」データ配信)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは一昨日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった文章術本。何とこの本、そのタイトル通り、過去の文章術本100冊を読破した上でエッセンスを抽出し、そのポイントを頻度順にランク付けしたというものです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
この1冊で、100冊分の重要スキルが身につく
「文章の書き方・大事な順」ランキング、ベスト40! !
1位~7位のルールで、「文章力の向上」を実感できる。
20位まで身につければ、「文章がうまい人」になれる。
40位まで身につければ、「プロ級の書く力」が手に入る。
なお、単行本は1月8日発売なのですが、私はいち早く入手できるKindle版で読みました!
diary writing / freddie boy
【ポイント】
■1.1文の長さは「60文字」以内文章のプロは、例外なく「1文を短くする」ことの大切さを説いています。では、「短く」とは、具体的に「何文字」を示すのでしょうか。
53冊の中には、「文字数の目安」を提示しているものもありました。その一部を紹介します。・『「分かりやすい文章」の技術』(藤沢晃治)……平均40文字以下精査した結果、1文の長さは「60文字以内」が好ましいことがわかりました。また、「80文字だと長すぎる」ことも、多くの書籍に共通する意見でした。
・『ちびまる子ちゃんの作文教室』(貝田桃子)……40〜60文字
・『仕事の「5力」』(白潟敏朗)……50文字
・『文章の書き方』(辰濃和男)……30〜35文字
・『最新版 大学生のためのレポート・論文術』(小笠原喜康)……30文字以内(長くても40文字前後)
・『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(ひきたよしあき)……40文字
■2.推敲の10のチェック項目
(1)書かれている内容に間違いがないか、論理が破綻していないか点検する
(2)文字を削って、1文を短くする(1位)
(3)改行や空白行で余白をつくる(3位)
(4)誤字・脱字をなくす(とくに固有名詞には注意)
(5)句読点を適切に打つ(13位)
(6)漢字、ひらがなの比率を適正にする(3位)
(7)表記と用語を統一する
(8)不快感をともなう表現、差別用語を避ける
(9)主語と述語の関係を見直す(11位)
(10)重複表現を避ける(26位)
(詳細は本書を)
■3.すぐに使える書き出し6パターン(抜粋)
・会話や音から始める(1)「昨日いただいたリンゴ、おいしかった」・動きのある状況(シーン) から始める
(2)カリカリカリッ。飼い猫のキラが「開けて!」とドアをひっかいた。国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。(『雪国』川端康成)・疑問を投げかける健康診断を受けるのは、体に良いのだろうか。・短文で言い切る吾輩 は猫である。名前はまだ無い。(『吾輩は猫である』夏目漱石)
■4.大勢に向けた文章でも、ある特定の個人に向けて書く
どの程度詳しくターゲットを設定すればよいのでしょうか? 100冊の中には、「たったひとりにする」という意見が複数ありました。
理由は、「大勢の人に何かを伝えようとすると、話す相手の顔が見えなくなってしまうため、話す中身もぼんやりとしたものになってしまう」(梅田悟司『「言葉にできる」は武器になる。』/日本経済新聞出版) からです。(中略)
フリーランスライターで多数のベストセラーを手掛けている古賀史健さんも、身近なひとりを想定しています。
もし、それがかなわない場合は、架空のキャラクターを設定しています。
「『東京の/中堅医療機器メーカーに勤める/営業職の男性/27歳/年収400万円/地方の私大出身で/地下鉄通勤のひとり暮らし/彼女あり』」といった具合だ」(『20歳の自分に受けさせたい文章講義』/星海社)
ただし、たったひとりを想定して書いたあとで、そのほかの多くの人にもわかりやすく伝わる表現か、客観的にチェックする必要があります。
■5.過去形と現在形を交ぜる2つの効果
(1)文章にリズムができる過去形と現在形をうまく交ぜることで、文章にとって大切なリズムをつくることができます。(2)ライブ感が生まれる
作家の三島由紀夫も「私はまた途中で文章を読みかえして、過去形の多いところをいくつか現在形になおすことがあります。これは日本語の特権で、現在形のテンスを過去形の連続の間にいきなりはめることで、文章のリズムが自由に変えられるのであります」(『文章読本』/中央公論新社) と述べています。過去形で書くと終わった出来事に感じますが、現在形を使うと今そこで行なわれている印象になります。
朝日新聞のベテラン校閲者の前田安正さんも「過去形の話のなかにうまく現在形を使うと、ライブ感が出てくる」(『マジ文章書けないんだけど』/大和書房)と書いています。
【感想】
◆なかなか意欲的な作品でした。冒頭でも触れたように、まず文章術本を100冊(巻末にリスト有り)集め、著者のお2人が読み込んだ上で共通のノウハウを洗い出し、ランキング化するというもの。
ただし、通常のランキングとは違い、いきなり1位から発表されているので、ネタバレを防ぐには順番をランダムにすべきか迷っていたら、普通にアマゾンのページに1位から40位まで列挙されていましたw
たとえば上記ポイントの1番目は、第1位の「文章はシンプルに」からのもの。
引用内にある「53冊」というのは、100冊中に言及していた作品数であり、要は半分以上の作品で言われていたワケです。
1文の文字数については、色々と言われていましたが、このように横断して眺めると、なるほど「60文字」というのも妥当だな、と(引用部分からだともっと少なめな気がしますが)。
◆また上記ポイントの「推敲」のチェック項目は、第4位の「文章は必ず『推敲』する」から抜き出しました。
ちなみに項目の最後にカッコ書きで順位が記されているのは、今回のランキングに対応するもの。
実際(2)のお話は、今触れたばかりの「1文を短くする」ですから、お分かりいただけると思います。
なお、このチェック項目とは別に、推敲の4つのポイントなるものも掲げられており、それらは以下の通り。
・時間を置く本書ではこの4つについてはそれぞれ解説されていますから、一応お目通しください。
・プリントアウトする
・声に出す(音読)
・他者の目を入れる
◆さて、これらの順位のうち「Part1」に属する1位から7位までは、大事と言えば大事なのですが、ある意味定番過ぎて新鮮味はあまりないかもしれません。
そこで続く「Part2」の8位から20位までは、それよりはややバラエティに富んでおり、むしろ「Part2」の方がハイライトの数は多かったかも。
たとえば上記ポイントの3番目の書き出しのお話は、第17位の「『書き出し』にとことんこだわる」から引用しました。
まさにこういうポイントこそ、数多くの作品をチェックする本書のような作品の独壇場ではないか、と。
ほかにも、ジャーナリスト近藤勝重さんによる「作家のエッセイの書き出し」である、「自分を振り返るパターン/疑問投げかけパターン/意見、考えパターン/状況、現状パターン」という4パターンも参考になりました。
さらに、上記ポイントの4番目にある「ある特定の個人に向けて書く」というのは、セールスコピー本ではよく言われているもの。
これは第18位の「『読み手』を強く意識する」からのものであり、「てにをは」や「接続詞」うんぬんのレベルの文章術より、ワンランク上の内容と言えるでしょう。
◆そして最後の「Part3」は、順位は21位から40位までと、下半分ではあるのですが、その分、各著者の「色」が出ていると言えそうです。
そんな中、うまく使いこなせると「文章が達者に見える」と私が考えているのが、上記ポイントの5番目にある現在形と過去形の併用のテクニック。
これは順位で言うと最後の40位なので、言及している作品は少ないのでしょうけど、個人的にはマスターしたいものの1つです。
ちなみに上記では例文を抜き出すとボリューミーになるので割愛したのですが、それぞれ本書ではこのような文が挙げられていました。
たとえば(1)のリズムの例がこちら。
昨日まで新潟の魚沼地方に いた。友人と会い、毎日コシヒカリの新米を 食べる。新米は うまい。1粒の梅干しと焼き鮭で、2膳 おかわりをする。来年も新米の時期に 訪れたい。全部過去形の文と比べたら、手慣れた印象を受けますよね!
文章術本の「大全本」として手許に置いておきたい1冊!
【Amazon.co.jp 限定】「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。(特典:「誰でも1時間で「記事・ブログ」が書ける魔法のテンプレート」データ配信)
Part1.100冊を集めてわかった本当に大切な「7つのルール」
Part2.100冊がすすめるスキルアップ「13のポイント」
Part3.さらに文章力を高めるための「20のコツ」
【関連記事】
◆なお、今回の作品において対象となった100冊のうち、当ブログでは20冊レビューしていました。せっかくなので、それらを書影とともにご紹介しておきます。
「言葉にできる」は武器になる。 (日本経済新聞出版)
参考記事:【言葉】『「言葉にできる」は武器になる。』梅田悟司(2018年10月08日)
書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)
参考記事:【文章術】『書くことが思いつかない人のための文章教室』近藤勝重(2011年10月02日)
調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意 (SB新書)
参考記事:【知的生産術】『調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意』佐藤優(2019年04月08日)
人を操る禁断の文章術
参考記事:【オススメ!】『人を操る禁断の文章術』メンタリストDaiGo(2015年01月28日)
メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)
参考記事:【抽象化?】『メモの魔力 -The Magic of Memos-』前田裕二(2020年09月13日)
超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術
参考記事:【箇条書き】『超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術』杉野幹人(2016年06月20日)
文章は接続詞で決まる (光文社新書)
参考記事:【文章術】『文章は接続詞で決まる』石黒 圭(2017年04月11日)
神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り
参考記事:【人を動かす】『神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り』星 渉(2020年01月15日)
わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)
参考記事:【コミュニケーション】『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』平田オリザ(2017年04月17日)
「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文
参考記事:【文章術】『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』西岡壱誠(2019年03月24日)
世界トップエリートのコミュ力の基本 ビジネスコミュニケーション能力を劇的に高める33の絶対ルール
参考記事:【知的生産術】『世界トップエリートのコミュ力の基本 ビジネスコミュニケーション能力を劇的に高める33の絶対ルール』ムーギー・キム(2020年02月29日)
広告コピーってこう書くんだ!読本
参考記事:【スゴ本!】「広告コピーってこう書くんだ!読本」谷山雅計(2008年01月15日)
20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす
参考記事:【プレゼン】『20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす』リップシャッツ信元夏代(2019年07月11日)
伝わる! 文章力が身につく本 (基礎からわかる“伝わる!"シリーズ)
参考記事:【オススメ】『伝わる!文章力が身につく本』小笠原信之(2011年06月26日)
一番伝わる説明の順番
参考記事:【思考術?】『一番伝わる説明の順番』田中耕比古(2018年06月20日)
20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)
参考記事:【スゴ本】『20歳の自分に受けさせたい文章講義』古賀史健(2012年02月07日)
文芸オタクの私が教える バズる文章教室 (サンクチュアリ出版)
参考記事:【文章術】『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』三宅香帆(2019年06月14日)
できる大人のモノの言い方大全
参考記事:【お買い得?】『できる大人のモノの言い方大全』がお手頃価格なのに中身充実している件(2012年09月30日)
すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)
参考記事:「すぐに稼げる文章術」日垣 隆(2006年12月22日)
文章のみがき方 (岩波新書)
参考記事:【文章術!】「文章のみがき方」辰濃和男(2008年02月13日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。集合論入門 Math&Science (ちくま学芸文庫)
14評価の平均が「4.7」という数学本は、中古に送料を足すと定価を超えますから、Kindle版が800円以上お得。
読む本で、人生が変わる。 なりたい自分になるための本の使い方66
おなじみ中谷彰宏さんの読書術本は、珍しく(?)中古が定価並みのお値段ですから、Kindle版が900円弱もお買い得です!
ご声援ありがとうございました!
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