2020年12月31日
【金言】『難局に打ち勝った100人に学ぶ 乗り越えた人の言葉』桑原晃弥

難局に打ち勝った100人に学ぶ 乗り越えた人の言葉
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA ビジネス実用書 年末年始フェア」でも注目を集めていた1冊。企業本や著名人本の著作が多い桑原晃弥さんが、「100人の言葉」を集めた作品です。
アマゾンの内容紹介から。
生い立ち/落ちこぼれ/スランプ/ケガ/破れた夢/不況/経営難/破産…アスリート、漫画家、経営者、ノーベル賞受賞者、大統領まで。「逆境の乗り越え方」「モチベーションの保ち方」「夢の叶え方」がわかる!
中古が値崩れ気味ですが、送料を合わせるとKindle版が400円以上お買い得です!

Struggle / ShutterMoth
【ポイント】
■1.才能は「思い込み」から:スガシカオ(ミュージシャン)絵に描いたような貧乏ミュージシャンです。(中略) そんな状況でしたが、当時の僕は、音楽に対してはなぜか絶対的な自信があったんです。(中略)「音楽業界がこの俺を放っておくわけがない!」と本気で思っていました。
NHK「トップランナー」の言葉―仕事が面白くなる! (知的生きかた文庫―BUSINESS (え13-1))
■2.苦しい時期の猛烈な努力:齋藤孝(明治大学教授)
20代では、転職どころか最初の職にも就けませんでした(笑)。これは本当に苦しかった。でも、(中略) 僕はこんなものじゃないという意識が強かった。そう言えるだけの勉強もしていました。(中略) 日本でこれ以上勉強しているヤツはいないだろう、くらいの勉強をしました。
プロ論。
■3.ライバルに自社の弱みを聞きに行く:樋口廣太郎(アサヒビール社長)
社長として開発の決断を迫られた私は「前例がないからやりたい」という若い社員の気持ちを裏切るわけにはいかなかったのです。
前例がない。だからやる! (講談社プラスアルファ文庫)
■4.変えられることだけに集中:松井秀喜(プロ野球選手)
僕は困難に直面したとき、「今、自分にできることは何か」と自問します。(中略) 最悪の状況でも、できることはあるはずです。
不動心(新潮新書)
■5.今日1日を積み重ねる:鳥羽博道(ドトールコーヒー創業者)
潰れる、潰れると思うから心が萎縮して何もできないのだ。明日潰れてもいい、今日一日、体の続くかぎり全力で働こう。
ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記 (日経ビジネス人文庫)
■6.3950億円の損失を一気に処理する:丹羽宇一郎(伊藤忠商事社長・会長)
十回以上、やるべきかやらざるべきか逡巡しました。(中略) いずれにしても、私はいつも最後には開き直ります。別に死にはしない。こう考えるんです。(中略) それで「やろう」と決断しました。
人は仕事で磨かれる (文春文庫)
■7.食い下がるべき時がある:山田洋次(映画監督)
作って損をしたら私が責任をとる。しかし、反対して作らなかったために損をしたら、いったい誰が責任をとってくれるのか。
若き実力者たち
【感想】
◆当ブログでは今まで何冊か「偉人の名言集」的な作品をご紹介してきましたが、それらとはやや趣がことなる1冊でした。一般的な名言集の場合、まず「名言」が小見出し的な扱いで最初にあって、それに続いて解説が述べられるのがデフォルトかと。
一方本書では、小見出し的な部分には、上記各ポイントの冒頭にあるような、「まとめフレーズ(?)」がまずあって、それに続いて簡単な人物紹介と解説が続き、一番最後に「名言」が付されています。
さらに特徴的なのが、上記でもお分かりのように出典となる書籍(一部雑誌もアリ)が挙げられていること。
さすがにガイドブックではないので書影まではないものの、著者名と出版社名も記載されているので、作品を探すのは容易でした。
ただ、それら書籍からの「引用」という形態ゆえ、「(中略)」だらけになってしまっている(私が略したのではなく、本書自体で略されています)のが、痛しかゆしなのですが……。
◆また、タイトルにもあるように、本書で選ばれた「金言」はいずれも、「難局におけるもの」に限られています。
本書の表現を借りると以下のとおり。
本書では、額縁に入れて飾るような偉人の名言ではなく、彼らが難局で何を考えたかがわかる言葉を紹介しています。たとえば上記ポイントの1番目のスガシカオさんの言葉は、メジャーデビューする前の極貧時代のもの。
これは第1章の「叶えなければならない夢がある」から抜き出したもので、この章ではこうした「成功する前」の偉人たちが何人も登場しています。
A・シュワルツネッガー、J・K・ローリング、本田圭佑といった面々に「夜明け前」があることは知っていましたが、ヘンリー・フォードがフォード・モーターの前に2社立ち上げて、いずれも失敗していたとは知りませんでしたよ。
◆続く第2章は、「辛い時間、悔しい時間に手に入る強さ」ということで、一定期間苦労された方が選ばれています。
たとえば上記ポイントの2番目の齋藤先生は、デビュー前が長かったことはご存知の方も多いことかと。
また、ポイントの3番目の樋口廣太郎さんのお言葉は、あの「スーパードライ」が生まれる前のもので、実はその試作品は役員会で何度も却下されていたのだそうです。
樋口さんは議論よりも「ものをつくる」ことを提案、試作品を多くのお客さまに試飲してもらったところ好評で、開発へと踏み切りました。ちなみにポイントの「ライバルに自社の弱みを聞きに行く」というのは、本書の小見出しをそのまま持ってきたのですが、樋口さんは社長就任当初、キリンやサッポロのトップを訪ねて、自社のどこが悪いのか尋ねたのだそうです(スゲー)。
「スーパードライ」は大ヒット、アサヒビールの業績も一気に伸び、やがて巨人キリンビールと肩を並べる存在となったのです。
一方、第3章のテーマは「壁に当たれば目先を変える」ということで、各偉人達の対処法を紹介。
中でも上記ポイントの4番目の松井選手の「自分がコントロールできるもの」と「できないもの」に分けて考えて、「できるもの」にだけ注力する、というのは自己啓発の王道ですから、改めてご留意いただきたく。
◆さらに「真正面から向き合うことで生まれる強さ」がテーマの第4章からは、上記ポイントの5番目にあるドトールコーヒーの鳥羽博道さんの言葉を選んでみました。
今でこそ大手のドトールですが、立ち上げ当初は毎日「倒産」の恐怖に怯えていたのだそうです。
そこで上記ポイントにもあるように「今日一日」に全力を尽くすことで商売が軌道に乗ったとのこと。
また、上記ポイントの6番目の丹羽さんの損失処理のエピソードは、上記でも紹介されているこの本にも詳しいです。

人は仕事で磨かれる (文春文庫)
参考記事:【仕事術】「人は仕事で磨かれる」丹羽宇一郎(2008年07月25日)
そして最後の第5章のテーマは、「自分にしかできないことをやれ」。
そこから抜き出した上記ポイントの7番目の山田監督のお言葉は、あの「寅さん」シリーズを当初テレビドラマとしてヒットさせたのに、映画化を反対された際のものです。
山田さんはテレビの最終回で寅さんがハブにかまれて死んだことに抗議する電話が殺到したことを支えに、「作らなかったために損をしたら、誰が責任をとってくれるのか」と食い下がることで映画化を実現しています。「これが当たらなければやめる」というほどの覚悟がそこにはありました。山田さんの粘りがなかったら、あの大ヒットシリーズも存在しなかったんですね。
苦境のときこそ目を通しておきたい1冊!

難局に打ち勝った100人に学ぶ 乗り越えた人の言葉
第1章 叶えなければならない夢がある
第2章 辛い時間、悔しい時間に手に入る強さ
第3章 壁に当たれば目先を変える
第4章 真正面から向き合うことで生まれる強さ
第5章 自分にしかできないことをやれ
【関連記事】
【仕事術】「人は仕事で磨かれる」丹羽宇一郎(2008年07月25日)【転職?】「働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。」戸田智弘(2007年08月29日)
もしものときのための『成功を引き寄せる名経営者の言葉』 10選(2012年09月07日)
【金言満載!】『人を動かす最高の言葉』日経ビジネス(編集)(2020年03月30日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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