2020年12月30日
【起業】『「自分で稼ぐ力」を身につける本』伊藤健太

「自分で稼ぐ力」を身につける本 (日本経済新聞出版)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中の「Kindle本 年末年始キャンペーン」でも人気の起業本。タイトルも装丁も目立ったものはなかったのですが、かなりグサグサと痛いところを突いてくる良書でした。
アマゾンの内容紹介から。
「好きを仕事に」は間違い!?副業で失敗と成長をしよう。優れているビジネスをマネする。技術よりコミュ力が大事。結果を出す人ほどブログを書く。10,000人を支援したプロが教える副業・独立で大失敗しないやり方とは?
中古は値下がりしていますが、送料を加味するとこのKindle版が400円弱お買い得です!

STARTUP CTO / ceonyc
【ポイント】
■1.成長にはハングリーさとリスクテイクが必要僕のセミナーに定年前のシニアの方が来ていました。まだ企業にお勤めで、独立をしたい、もう一花咲かせたいということでした。
セミナー終了後に言われたことがとても残念で印象的でした。ただ、シニアの方のマインドとしてとても多いのです。
「伊藤さん、本日のセミナーは本当に勉強になりました。他の人と異なりお金も少しあるし、時間も全然急いでいないので、ゆっくり自分のペースでやっていきます」と。
この「自分のペースで」という人は、多くが失敗します。事業は趣味とは異なり、お客様、競合がいる世界です。言いたいことはわかるのですが、そんなに甘いものではありません。シニア起業をして年間売上が数万円という人はたくさんいます。
お金があるのでお金のためでなく社会とのつながりがほしい、ボランティア的な形でもよいので自分の経験を生かして役に立ちたい、そう思っている人はよいのですが、事業としては成立せず持続しないので注意が必要です。
■2.連携相手のチェックリスト
●コミュニケーションに違和感がないか何かがかみ合わない、返信のスピードが遅い、夜間ばかり返信がある(返信が合理的な理由を除いて特定時間に固まっている)、会ったときテンションがおかしい、などは要注意です。●メール以外のツールは使えるか今の時代はSNSのメッセンジャー機能などでコミュニケーションがとれますから、コミュニケーションツールがメールだけ、などという人は付き合うことを少し遠慮したほうがいいと思います。●小さい約束でも守れるか遅刻するとか、送付することになっていたファイルを寄越さないとか、些細なことを守れない人とは絶対に付き合わないことです。●実績を盛っていないか特にIT系の方に過去の実績を尋ねると、所属していた会社でのプロジェクトの成功などをアピールする人が多いです。その人の担当していたパート、その人が今でも再現性高くできることは何かをしっかりと聞きましょう。プロフィールや実績、できることを「盛っている」人はたくさんいます。事実を厳しく見るべきです。
■3.感想なのか、事実なのか?
相談の際に僕がよく聞くのは、「それは本当ですか?」ということです。これは、主観的な感想なのか客観的な事実なのかを聞いています。
質問してきた方が、「絶対に私の商品やサービスはよいので、お客様に知ってもらえさえすれば売れるんです」ということを言います。そこで、僕は「それは本当ですか?」と聞くわけです。これは疑っているわけではなく、誰がそう言っているのか、思っているのかがとても大切なわけです。自分が主観的にそう思っているだけなのか、客観的にお客様候補50人にそのように言われているのかでは、状況は全く違います。
■4.プロでない人のコメントは感想にすぎない
独立・起業を考える人というのは、独立・起業にあたって、誰に相談をしていると思いますか?
中小企業白書によると、「家族」という回答が1位にありました。僕はこの結果を見たときに絶望的な気持ちになりました。
どのような分野でもそうですが、何かをしようと思った場合に「やったことのない人」に相談することは無駄だと思っています。
たとえば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)に行ったことのない人に、USJってどうですかね? どのアトラクションが面白いですかね? などと聞いても何の意味もありませんよね。でも、独立・起業を考えている人の多くが、独立・起業をしていない人、したことがない人に相談をしています。
相談相手がプロや経験者でない場合には、その相手が言うことは、ただの主観的な感想だと思ったほうがいいでしょう。それをどこまで参考にするかは注意が必要です。一般論や、一ユーザーとしての感想という受け取り方もよいと思います。
■5.撤退の基準を決める
実際に事業を始めると、業績にかかわらず退くに退けない状態になってしまいます。当事者としては事業をやめたくないですし、根拠はないのですが何とかなると思っている人がほとんどです。冷静な判断がしにくいわけです。
そのため独立・起業の前に、撤退の基準というものを設けておくと、もし失敗しても深手を負わずに済みます。それを絶対の基準としておくことで、家族もまた安心できるということがあると思います。主観的なものでは意味がありません。数字や〇×で判断できるような基準にしておくべきです。
金融機関から借りることができるお金は、一般的に自己資金と同等か、それの2倍程度と言われています。事業において資金が必要なものとそうでないものがありますが、「自己資金と金融機関から調達した資金の全てがなくなったら確実に撤退する」ということは1つの基準としておきましょう。
【感想】
◆著者の伊藤さんは、起業・副業のプロだけあって、非常に有益なお言葉が満載の1冊でした。中には非常に辛辣な表現もあるのですが、それも1万人を支援する上で感じたことですから、致し方ないかと。
たとえば上記ポイントにある「非常に残念」「絶望的な気持ち」といったフレーズに、思い当たるフシのある方は「グサグサ」ときたのではないでしょうか。
他にも、名刺によくある「独立・起業準備中」という肩書に、「この前提やマインドがそもそも『ズレている』」と斬り捨てたり、フリーランスがクライアントとのトラブルをSNSで愚痴っていることを「真偽がどうあれSNSに悪口を投稿したことが稚拙」と断言されたりしてますから、該当する方の心中や如何に。
……アマゾンで低評価付ける人って、こういう指摘を「良薬口に苦し」と受け止められないんじゃないか、と。
◆さて、第1章では「日々重要なのはPDCAの累積回転数」「成果を出す人は最初に答えを見に行っている」等々の金言があったのですが、類書でも近いことを言っていたのでとりあえず割愛。
上記ポイントの1番目のリスクテイクのお話は、「心構え」がテーマである第2章から抜き出しました。
ちなみに、この「リスクテイク志向」は、一緒にいる人も同様であるとのこと(環境として)。
さらには、「具体的なアクションをタスク&スケジュールにして進捗報告をする」相手は、「できれば実際に一定の結果を出している現役の経営者にお願いするのがよい」のだそうです。
そんな人は私のまわりにいませんと答える人が結構いますが、いないなら何とか探して、見つけてください。それだけです。それくらいのことができないのであれば独立・起業した後の試練を乗り越えられません。……これまた手厳しい(涙目)。
また、この章では「スモールM&A」というビジネスモデルも推奨されていましたので、興味のある方はご確認ください。
◆続く第3章では「副業」がテーマなのですが、その際に連携を組む相手のチェックポイントを挙げたのが上記ポイントの2番目です。
もっともこれらは、副業だけでなくフリーランスの場合でも言えることかと。
伊藤さんいわく「人のチェックがあまりにも緩い人を多く見てきた」とのことで、たとえば「小さな約束でも守れるか」の部分では、「自分で事業をやっていて約束を守らないという人は、絶対にNGなのだそうです。
さらに本書では、「チェックした上での防御策」と題して、「契約書をしっかりと交わす」「小さい仕事から依頼」等のアドバイスも列挙されていますから、これは起業・副業だけでなく、企業にお勤めで外注に出されているような方も要チェックで!
ただし、その契約書の話で留意したいのが、契約内容を固め過ぎないこと。
たとえば「デザインを提出してからの訂正は1回までしか受け付けません、それ以上だと追加で〇〇円かかります」と設定して、数分で終わる微修正でも「それは本来はできないことで、追加のお金がかかるんですよね」ということをつい口走ってしまうと、言われた側は次回以降の仕事自体をこの人にお願いしなくなってしまいます。
もちろん結構な時間がかかる修正であれば、もらって当然ですけど、この辺は臨機応変で対応するのが良いかと。
◆一方、第4章の「事業化準備」では、大量にハイライトを引きまくりました。
実は上記ポイントの3番目以降は、すべてこの第4章からのもの。
まずポイントの3番目の「それは本当ですか?」という質問は、当初相手を疑った上での発言かと思ったのですが、確かに主観的なのか客観的なのかで天と地ほど違います。
実際、「本当ですか?」「それは誰が言っているんですか?」「事実ですか? あなたがそう思っているだけですか?」等、言われて、「自分の事業を否定されたという気持ちになって怒る方や自信をなくす方」がたまにいるのだとか。
相談者に応じて、僕もわざと厳しい言い方をしたり、質問を投げかけます。特に外部から資金調達を考えているような人の場合には、投資家から厳しい質問が浴びせられることもありますから、その練習も兼ねて僕がわざとやったりするわけです。投資家だけでなく、厳しいお客様もたくさんいます。どのような状況であっても話に引き込むことや、相手に納得してもらえるようにしておく必要があります。な、なるほど、深い……。
◆また、上記ポイントの4番目の相談相手が「家族」というのも、プロから見たら当然解せないでしょう。
ただこれは、転職の場合でも「転職したことのない上司」に相談したりしていますから、単に「密接な関係にある利害関係者」と考えたらさもありなん。
もちろん、いずれにせよ経験者に聞く方が妥当ですから、これから起業・副業を考える方はご留意ください。
そして上記ポイントの5番目の「撤退の基準の設定」は、ある意味「将来の失敗を想定」する必要がありますから、やりにくいことかもしれません。
ただしこの辺は、法人の新規事業辺りだと当然決められているでしょうけど、個人のケースだと曖昧どころか考えてない人が多そうなので、抜き出してみた次第です。
そして第5章以降は、いよいよ事業を開始してからのお話なので今回は割愛しますが、売上を立てる方策や、資金調達等々、非常に大事なテーマが目白押しですから、お目通しいただければ、と。
起業・副業をお考えの方なら必読の1冊!

「自分で稼ぐ力」を身につける本 (日本経済新聞出版)
1 「自分で稼ぐ力」を手に入れる人、逃す人【下調べ】
2 会社員から「種目」を変える【心構え】
3 空き時間でとりあえず始めてみたけれど【副業化】
4 5年後の前に今を考えよう【事業化準備】
5 売上の正体【事業開始】
6 順調なスタートダッシュへ【資金調達・手続き】
7 時間は解決してくれない【起業直後】
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【オススメ】『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』ピーター・シムズ(2012年04月05日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
NLPの原理と道具「言葉と思考の心理学手法」応用マニュアル
当ブログではおなじみである「NLP」の「解説の決定版」を銘打った作品。
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【編集後記2】
◆一昨日の「KADOKAWA ビジネス実用書 年末年始フェア」の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。
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参考記事:【勝間式】『圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100』勝間和代(2020年07月30日)

難局に打ち勝った100人に学ぶ 乗り越えた人の言葉

同業の弁護士から「どうしてそんなに仕事ができるの」 と言われる私の5つの仕事術 (中経出版)

イヤなことは死んでもやるな
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