2020年11月20日
【成毛流?】『アフターコロナの生存戦略 不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト』成毛 眞
アフターコロナの生存戦略 不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、おなじみ成毛眞さんの最新刊。前回の未読本記事のチェックで漏れてしまったのは、タイトルに「コロナ」と入っていたからかもしれません(当ブログでの不人気ワードゆえ)が、正直コロナ関係ない(?)、いつもの「成毛節」が全開でしたw
アマゾンの内容紹介から。
2020年に一変した世界。そこで自由に遊び存分に稼いでサバイバルするために必要な視点を成毛氏が一挙公開。
世界情勢、マネーの動き、ビジネストレンドや人々の価値観の変化、延びる寿命と生き方について、趣味と仕事の関係、タダでは築けない人脈の作り方まで。
世界と社会を正しく読めればいい人生を送れる。超情報社会を勝ち抜くために、GAFA研究や英語学習よりも必要なものとは?
「転職相談は50-60代にしろ」「趣味を始めるならニッチを狙え」「京都に住むなら中京以外」等々、個人の生き方にも豊富なオリジナルアドバイス!
昨日までは定価だったのですが、今見たらKindle版が「10%OFF」とお得になっていました!
Thank you essential workers! / spurekar
【ポイント】
■1.コロナで沈むアパレルとファッション飲食業も厳しいだろうが、人間は何かを食べなければ生きていけない。人類が急に倍の量を食べるようになったり、逆に半分しか食べなくなったりはしない。外食していた分の大部分が自宅で食べるようになるというのであれば、流通を変えれば農家だって生き残れる。裾野は消えないのだ。
一方のアパレルは外に出て着飾る意味がないとなった瞬間に本当に終わる。(中略)
ただ、アパレルは国家に関係ない。オンワードが潰れようが、レナウンが潰れようが、三陽商会が潰れようが、残念ながら守られないだろう。もし、最悪の事態になったら、いまや世界の縫製工場であるバングラデシュなどの裾野も全滅する可能性すらある。
ファッションという意味では、化粧品業界も危ない。マスク着用がデフォルトになると、口紅ではなくリップクリームで済ませるようになる。マスクで口元が隠れているので、誰も気がつかないのだ。
■2.東京が止まれば世界も止まる
富士山がどーんと噴火し、3カ月くらい噴火しつづけて、都内で5センチとか10センチの火山灰が積もったとしよう。そのタイミングで雨でも降ろうものなら、大変なことになる。火山灰は水に触れるとセメントのように固まり、東京は化石化する。スコップや重機を使わないと撤去できない。
さらに、流された火山灰が下水道で固まって、下水も止まる。通信障害や交通網の乱れも相まって、日本経済は終わる。世界経済すらも、一時的に壊滅状態に陥ることだろう。さらに、同時に台風でも来ようものなら、世界のGDPは2割は落ちるのではないか。
なぜなら、東京に集中している銀行などの本社機能が停止し、電気も通信も人の動きも遮断されるような状態では経済活動はおろか、食料を運ぶのにも難儀するだろうからだ。東京の機能をそのまま打ち捨てて首都移転しようかという議論が起こる可能性すらある。
■3.転職は軽い気持ちでやった方が成功する
若いビジネスパーソンだけでなく、役員・社長クラスの人間からも転職の相談を受けることがある。そのときにアドバイスするのは、「軽い気持ちで転職したほうがいい」ということだ。(中略)
これは無責任でそうしているわけでは決してない。私の経験上、転職というのは、気軽な気持ちでやったほうが成功するからだ。逆に慎重の上にも慎重を重ねて転職すると、たいてい失敗する。
理由は簡単で、転職先への期待ばかりが膨らみ、「転職すれば、こんな生活が待っている」「今より格段によい環境で働ける」とかありもしないことを想像してしまうのだ。人間は大きな決断をする際、損をしたくない、自分を納得させたいと思うあまり、過大な期待、過剰な願望を転職先に託してしまうわけだ。相手のいいところばかりを探した結果、幻滅してしまう恋愛と似ているかもしれない。
だから、背中を押すときは、「大して変わらないと思うよ」「失敗するかもしれないけど、辞めずに10年残っても、どうせ終わっているから転職したほうがいいよ」という話を毎回している。
■4.おもしろい人がいたら突撃せよ
私が普段していることといえば、雑誌やネットの記事を読んで、「おもしろい人がいるな」と思ったなら、Facebookで探して、ダイレクトメッセージを送るという作業だ。たとえば、前出の小児心臓外科の医師などが好例で、「見たことがないので、見学に行ってもよいでしょうか」と自分でメッセージをして、アポイントをとって、病院を案内してもらったのだ。
医者や学者というのは、よほど怪しい人間でない限りは、会ってくれる。こちらが有名人であるとかそうでないとかはほとんど関係ない。(中略)
彼らが口を揃えるのは、とりわけ高校生などから「研究室を見学したい」といわれたら、絶対に応じるということだ。彼らは研究者であると同時に教育者であるわけで、普通の人が思っているよりも彼らの門戸というのはずっと開かれているのである。
■5.日本人がAmazonに倣うべきもの
さて、Amazonがすごいというと、Amazonに学びたいという発想になりがちだが、その姿勢には意味がない。Amazonの本を出した理由は、Amazonの経営は日本の高度経済成長期と同じで、儲けを出さないで先行投資しているだけであり、ゆえに日本でもやれるし、やるべきだと伝えるためだった。同じことをトヨタもソニーもやればいいのだ。(中略)
つまり、Amazonがやったことは、高度経済成長期の日本と同じだったのだ。利益をずっと出さないで怒られたのは日本もAmazonも同じだったが、日本人だけが四半期ごとに利益を出さないといけないと思い込んだ。
もし、日本の経営陣が総退陣して、30、40代に経営を任せ、20年間利益を出さなくていいからがんばれといったら、Amazonのようなものは簡単につくれるはずだ。分野も関係ない。自転車だろうが、シェーバーだろうがなんでもいい。利益を出さずに全部先行投資して、シェアをとるだけだ。
【感想】
◆今回も「安定の『成毛節』全開」といった感じでした。冒頭の内容紹介を読んでも、多種多様なテーマであることはお分かりいただけると思いますが、そのなかのいくつかは、過去の成毛さんの著作と被っていたりします。
ただしモノによっては、それが時間の経過によって、過去と変わっていたり、最近の傾向が付されていたりしていますから、最近の成毛さんの傾向を知れる、という意味での本書の価値は大きいかと。
特に今回は、「コロナ」というゲームチェンジャーの登場により、大きく変わらざるを得ない部分もありました。
つまり、テーマの選び方としては基本的に「コロナ関係ない」ものの、それについて触れざるを得ない、ということで『アフターコロナの生存戦略』というタイトルには偽りはありません。
◆中でもコロナをテーマに据えた第1章は、本書の特徴がよく出た部分かと。
ここではまさに、成毛さんの考える「アフターコロナのビジネス未来図」が描かれています。
たとえば上記ポイントの1番目では、アパレルやファッションが苦境に陥る必然性に触れてますし、同様にインバウンドをあてにした業界も、当分は苦しいでしょう。
本書では執筆のタイミング的にも言及されてはいませんが、せっかくGoTo絡みでの需要が戻ってきたところで、昨今の第三波が過去最大規模になりそうなので、東京を中心にどうなることか……。
一方、その東京についてのリスクは、第2章から抜き出した上記ポイントの2番目でも挙げられているとおりです。
そもそも日本の場合、コロナ以前に「天災」というリスクがあり、今後何年後かは分かりませんが(数十年〜数百年のスパンでは必ず)大地震が起きますし、それに連動して、富士山の噴火も起こりかねません。
この章では、成毛さんオススメの「移住候補地」も述べられていますから、テレワークが可能になれば、検討されても良いかも。
また、日本のみならず、世界におけるリスクや問題点も、最近の情勢が盛り込まれていますから、ぜひご覧になってください。
◆続く第3章は、成毛さんの定番ネタとも言える「働き方」についてのアドバイスが登場。
たとえば上記ポイントの3番目では、「転職」に関して「軽い気持ちで」することを勧めていますが、自著でこんなことを言うのは、おそらく成毛さんくらいでしょうw
また、冒頭の内容紹介であった「転職相談は50-60代にしろ」という理由も、この章にて明らかに!?
他にもこの章では
「入社3年は働くべきだが、4年目のタイミングで5割の人は辞めるべき」なんて気になるお話が収録されていますから、当ブログの読者さんなら、ぜひ目を通しておいてください。
「動くなら転社ではなんく、転職をせよ」
「稼ぎたいなら外資へ行け」
「卒業大学よりも『最初に入った会社』が重要」
◆なお、上記ポイントの4番目は、いかにも成毛さんらしいTIPSですけど、こちらは人脈がテーマである本書の第4章からのもの。
またこの章では、成毛さんが最近はブログではなく、Facebookで発信している理由も明らかにされています。
実際、下記の成毛さんのFacebookは「いかにも成毛さんらしい」投稿ばかりですから、ファンの方ならおなじみでしょう。
成毛 眞 | Facebook
私自身は、むしろFacebookをまったく活用できていない(当ブログのエントリーをポストするのみ)ので、耳イタイところ。
ちなみに、一時期コロナに関して、成毛さんはFacebookでも熱心に投稿されていたのですが、今回この第4章で自説(仮説ですが)を掲載されています。
もちろん成毛さんはお医者さんではないものの、Facebookによるお医者さん方とのつながりで叡智を得られたようで、こちらも一読の価値ある内容でした(ネタバレ自重)。
◆さらに第5章では、成毛さんお約束の(?)「遊びネタ」が展開されています。
もっとも、プラモデルやジャズレコードのお話は、過去の著作でも触れられていますし、「SF推し」の件についても同様なので割愛。
ただし、飲み方食べ方のお話で出てきた、「潰してはいけないところに行って、しっかりとお金を使う」という教えは、まさにコロナ禍の今だからこそ実践しておきたいところです。
そして上記ポイントの5番目のAmazonネタは、最後の終章から引用しました。
成毛さんはGAFAの中でも、「Amazonが圧倒的に優位」とお考えで、その「利益の先送り」具合から、テスラも同様に評価されています。
いずれにせよ、起業を志す方は、この終章が要チェックなことは間違いないかと。
「成毛ファン」なら読んで当然の1冊!
アフターコロナの生存戦略 不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト
第1章 アフターコロナのビジネス未来図――今後を見通す「ピンポイント視点」とは
第2章 日本と世界のリスクを見渡す――天災、戦争、人口、経済
第3章 これからの働き方――稼ぐのは大事だが、おもしろくなければ意味がない
第4章 情報社会で生き残る条件――いい人脈はタダでは手に入らない
第5章 これからの遊び方、お金の使い方――「遊べる大人」は強い
終 章 日本の活路――GAFA研究や英語学習よりも大切なこと
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