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2020年11月09日

【会議術】『amazonのすごい会議―ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法』佐藤 将之


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amazonのすごい会議―ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「東洋経済新報社125周年セール」の中でも人気の1冊。

アマゾン流の会議の秘密が明かされている興味深い作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
すぐに決まる!
アイデアが湧き出る!
プロジェクトが進む!
なぜamazonは次々に新しい事業を同時展開できるのか?
世界最強企業の成長を支える原動力である「会議の技法」を初公開!

送料を足した中古よりも、このKindle版が600円以上お得な計算です!





Meeting / tenz1225


【ポイント】

■1.アマゾンの会議で箇条書き資料はNG
 よくある会議資料として見受けられるのが、「パワーポイント」に「箇条書き」で要点を書き込んだものです。それをプロジェクターで映しながら説明を加えるというプレゼンは、説明する側も資料作成が簡便で、聞く側もよく整理された内容を聞けるということで、非常に多くの企業や団体で行われていると思います。
 しかしアマゾンでは、「パワーポイント」や「箇条書き」の会議資料を見ることはほとんどありません。なぜならアマゾンでは、会議の資料は「文章(ナレーティブ)形式で書く」というルールがあるからです。(中略)
 しかもこの資料は通常、会議前もしくは会議時に配布されるのですが、参加者は必ずしも前もって読み込んでくることは期待されていません。なぜならば「その場で読んですぐに理解できる文章を書く」ことが資料作成の必須条件となっているからです。


■2.資料のページ上限は1ページか6ページ
 アマゾンで、簡単な報告をするときに用いられる会議資料のことを「1ページャー(ワンページャー)」と言います。その名の通り、ポイントだけを1枚でまとめたものです。(中略)
 アマゾンで使用されるもう1つの会議資料が「6ページャー」です。年次予算や大きなプロジェクトは、さすがに1枚では説明しきれません。しかしそれでも枚数を無制限にしないのがアマゾン流。添付資料を除いて、6枚でまとめることが義務付けられています。
 たとえば、何か新しいプロジェクトを発案するとしましょう。そのアイデアの概要をプレゼンするときには「1ページャー」でOKです。しかし、ゴーサインが出て、実行プランを具体的に詰めていくときには、「1ページャー」では足りません。プロジェクトの概要、PL(収支計画)をはじめとする財務情報、目標とするメトリックス(KPI。CHAPTER4参照)なども明記しないといけないため、「6ページャー」を用いることになります。


■3.会議は沈黙から始める
 一般的な組織であれば、会議資料の作成者が他の出席者に議案の概要の説明を求められることと思います。
 しかしアマゾンではそうはしません。まず、目の前にある会議資料を各自で黙読するのです。事前に資料をメールで送付した場合でも、1ページャーなら5分、6ページャーなら15分間くらい、必ず読むための時間をとります。
 このときに重要なのが、沈黙を保つこと。一通り目を通してもらう間、質問は一切受け付けません。(中略)
 資料の作成者が会議の冒頭で概要を口頭で説明していくやり方では、たとえば2ページ目の話をしているときに、誰かが何かの言葉に引っかかって、「ちょっと待って」と止めて質問するということが起こりがちです。(中略)
 ベゾスはこれを非常に嫌がります。既に書いてあること、説明が予定されていることを質問するのは無駄です。読みながら、わからないところにクエスチョンマークをつけ、後のページで説明されていたらマークを消し、残ったものだけについて質問したほうが、時間的にはるかに効率がよい、と考えて、このような沈黙をルール化したのです。


■4.アマゾン流オフサイトミーティング
 オフサイト・ミーティングとは、会社から離れた場所で行う会議を指します。長時間の会議になると、電話が入ってきたり、誰かが呼びにきたり、必ず邪魔が入るものです。何らかのテーマを集中的に議論したいときに、余計なノイズを取り払うために、場所を変えようというのが、もともとの考え方となっています。(中略)
 オフサイト・ミーティングでは「オフライン」にすることも大事です。スマホやパソコンを閉じて、自分の頭で考えたり議論したりすることだけに専念するのです。
 朝の9時から5時までのミーティング中は携帯電話の電源を切るか、マナーモードにして、基本的に出ないようにします。メールチェックも休憩時間や夕食後のフリータイムのみ。そうやってノイズを無くし、日常業務から距離を置くことが最も重要なポイントです。


■5.すべて数字に落とし込む
 たとえば「顧客が満足しているかどうか」は主観的なもので、定量的に測定しにくいと思うかもしれません。しかし、アマゾンではすべて数字で表します。
 顧客が何か問題を抱えているとしましょう。その場合、メールや電話やチャットで問い合わせをするはずです。それに対してカスタマーサービス担当者が回答したにもかかわらず、同じ人から再びメールやチャットで問い合わせがきているとすれば、最初の回答で問題が解決しなかったということです。言い換えると、顧客が満足しなかったということです。そこで、「1回の回答でどれだけお客様の問題解決ができたか」をKPIに設定し、数値の変化を追いかけていく、というやり方がとれるのです。
 ここでKPIの数値が改善されなければ、必ず仕組み上の問題があるので、分析しなくてはなりません。担当者の回答の仕方が悪いのか。そもそも答えた内容が間違っているのか、というように。


【感想】

◆昨日の作品に続いて、本書もハイライトを引きまくりました。

というのも、上記ポイントで挙げた部分を中心として、類書と異なる点がかなり多かったから。

たとえば第1章では会議資料がテーマなのですが、これがもう「目がテン」になるお話ばかりです。

具体的挙げていくと、まずは上記ポイントの1番目の「箇条書きNG」。

ここを読んで私は、「パッと見分かりにくいだろうに」と感じたのですが、それ以上にベゾスは「人による解釈の違い」が生じるのを避けたようです。

もちろん、通常箇条書きで書いたものは、会議では口頭で補足をするとはいえ、それだって皆がキチンとメモとして書き込まなければ、後になって全員が同じ理解でいるとは限りません。

なお、そのように会議資料を文章で資料を仕上げるのには文章力が必要ゆえ、アマゾンに入社する際にはエッセイを書かせて文章力をチェックするのだそうです。


◆また、上記ポイントの2番目の「1ページか6ページ」というページ数の指定もユニークでした。

なんで5ページではなくて6ページなのかは知りませんが、この2種類のページ数の会議資料しかアマゾンには存在しないのだとか。

もちろんこれには添付資料を含まず、逆に添付資料は何枚でも良いそうなので、1ページないしは6ページというのは、本当に「明確に伝えたいメッセージ」だけ書かれた資料ということになります。

特に「6ページャー」の方は、日本語であれ英語であれ時間がかかるそうで、通常でも2日ほど、長いときは1週間以上かけて何度も推敲するとのこと。

本書では実際の「1ページャー」と「6ページャー」の具体例が掲載されていますので、気になる方はそちらでご確認ください。

またこの第1章では、他にも「提案型資料はシンキングバックワーズで考える」とか「新サービスの説明資料は『プレスリリース形式』で書く」といった興味深いTIPSがあったのですが、ボリュームの関係で割愛しております(残念)。


◆なお、アマゾンでは通常3種類の会議が行われており(厳密には4種類あるものの『情報伝達会議』は基本的にやるべきではないので省略)、第2章ではその中の1つである「意思決定会議」について言及。

ここもハイライトの嵐だったのですが、やはり意表をつかれたのが、上記ポイントの3番目の「沈黙から始める」でした。

何でも著者の佐藤さんによると「アマゾンで考えられる最高の会議は、沈黙のままに終わる会議」だそう。
1ページャーの資料であれば、1枚読んで「疑問点はありますか?」と参加者に尋ね、なければ承認。6ページャーでも、1枚ごとに参加者に尋ね、6枚とも疑問や懸念が無ければ、沈黙のまま会議は「これで行きましょう」ということで終わりです。
後で出てくる「アイデア出し会議」は別として、意思決定を目的とした会議では、何も疑問が出ない資料が提出されれば、究極、参加者は議論をせずに、すべて承認してその会議を終えるのが、アマゾンでいうところの「最高の会議」になるとのことです。

……もしそれで良いなら、メールでも済ませられそうなものですけど、万が一疑問点等が出てくることを考えたら、会議という場は必要なんでしょうね。

ちなみにこの第2章では、会議を活性化させるための「リフレーズ」「パーキングロット」「バルコニー」といったテクニックも紹介されていますので、こちらもお見逃しなく。


◆そして第3章は上記でも触れた「アイデア出し会議」がテーマなのですが、これはいわゆる「ブレスト会議」であり、結構類書で目にするやり方に近い感じ。

そこで抜き出したのが、上記ポイントの4番目の「オフサイトミーティング」です。

確かに普段とは違う場所で集まれば、斬新なアイデアが浮かぶ可能性も高くなりそうな。

ただし、この「オフサイトミーティング」の開催にあたっては、留意すべき点もいくつかあるので、そちらは本書にてご確認ください。

一方第4章で扱っているのが「進捗管理会議」。

こちらはいわゆる「KPI」をガチガチに見ていくということで、上記ポイントの5番目にあるように「なんでも数字に落とし込む」のだそうです。

この辺はいかにもベゾスらしいといったところでしょうか。


◆なお、1つ飛んだ第6章では、どの会社でも活用できる「会議をスリム化するヒント」について述べられています。

具体的には「開催回数を減らす」「出席者を減らす」「時間を減らす」「出席頻度を減らす」といった項目ごとに、アドバイスが掲載されていますので、こちらもぜひご参考にしていただけたら、と。

ただ、上司が開こうとした会議に対して、必要性が疑問だからと言って「ちなみに、今回のこの会議の目的を教えてください」と聞けるかというと、なかなか難しいかも。

佐藤さんはこう聞いた上で
何をアウトプットとしたいのかを説明してもらい、それで関係ないと思うときには「そこは私の仕事に絡まないので欠席してもいいですか」と断りを入れる
ようにしていたそうですが、この辺は外資系のアマゾンだからな気がしないでもありません。

いずれにせよ、ご自身のところで活用できるテクニックがあれば、ぜひお使いくださいませ。


アマゾン流の会議術を学べる1冊!

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amazonのすごい会議―ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法
はじめに――なぜ「アマゾン」の会議に学ぶのか?
CHAPTER0 アマゾンが「減らしたい会議」「増やしたい会議」
CHAPTER1 アマゾン流 資料作成のルール
CHAPTER2 アマゾン流 意思決定会議
CHAPTER3 アマゾン流 アイデア出し会議
CHAPTER4 アマゾン流 進捗管理会議
CHAPTER5 アマゾンのOLP
CHAPTER6 会議をスリム化するヒント
おわりに


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記2】

◆一昨日の「東洋経済新報社125周年セール」の新規追加分の記事で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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