2020年10月31日
【独立?】『50歳からの幸せな独立戦略 会社で30年培った経験値を「働きがい」と「稼ぎ」に変える!』前川孝雄

50歳からの幸せな独立戦略 会社で30年培った経験値を「働きがい」と「稼ぎ」に変える! (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった、起業・独立系の働き方本。本書の前作にあたる『50歳からの逆転キャリア戦略』は、当ブログでも結構な人気でしたが、本書も負けじと濃厚です。
アマゾンの内容紹介から。
「70歳まで働く時代」と言われるが、今さら転職は難しいし、定年後は今の会社で雇用延長しかない…そんなミドルが多いはず。しかし著者は「会社で長年培ってきた経験値を活かし、初期投資を極力抑える『FA独立』こそがベストな選択」と言う。「FA独立」とは?売りものとなる「自分の強み」は?顧客開拓は?値決めは?自身の失敗経験も交えながら、会社に勤めているうちから始める独立ノウハウを指南。
中古に送料を足すと定価を超えますから、お得なKindle版がオススメです!

Entrepreneur - You Need To Start Young / jonlclark
【ポイント】
■1.一番のハードルは「リスク回避思考」では、なぜ今、多くのサラリーマンにとって独立が「高すぎるハードル」になってしまっているのでしょうか。これは外的要因や能力などの問題というよりはマインドの問題です。
大きな組織が大きな投資をするにあたっては、リスクを下げることがことさら重視されます。そのため組織自体が「リスク回避」志向になりがちです。何度も稟議を重ね、十分な根回しをしてからでなければ新しい企画や意見は通らない。それでも、もし失敗すればその責任を負わされた社員は出世コースから外れてしまう。誰もが「失敗だけはしたくない」と考えるようになってしまいます。
このようなカルチャーで生きてきた社員には、「リスク回避思考」が身に染みついてしまっているのです。
■2.事業計画なんてなくてもいい!
また、完璧な事業計画にこだわることにも意味はありません。中長期の経営計画をベースとする大企業で生きてきた人ほど、起業となると「何より計画が大切だ」とばかりに事業計画を練り上げることに時間と労力を割きすぎる傾向があります。しかし、実際のビジネスはいくら計画を立てたところでその通りにいくものではありません。
極論を言えば、事業計画などなくてもいいのです。自分がやりたいこと、できることが明確になっていれば、スモールビジネスなのですから、まずは行動したほうが早い。具体的に何をしたらいいか、どのように事業を展開していけばいいかは、動き出してからお客様がヒントを与えてくれます。自分の軸をしっかりと持ち、それに合致する範囲でお客様のニーズに応えていく中で、自然と進むべき道は見えてきます。
■3.本書のイチオシ「FA独立」
FA独立(フリーエージェント独立)とは、これからの「ひとり社長」のあり方を私なりに表現した造語です。要はプロ野球のフリーエージェントのイメージですね。プロ野球のフリーエージェントは、もともと所属していた球団との契約から解放され、これまでの経験や現状のスキルを幅広くいろいろな球団に評価してもらい、自分を買ってくれる球団と契約するというもの。トレードと違って契約先を自分で選べるところもポイントです。
プロ野球の場合は、その後、1つの球団と契約することになりますが、ビジネスパーソンのFA独立の場合は、この契約先が一つとは限りません。そこが大きな違いではありますが、経験・スキルを活かせて、リスクが少ないという部分では共通点が多いのではないかと思います。 前掲 のマップでは右上に位置づけられ、私が本書でイチオシする独立スタイルです。
■4.社員が個人事業主として独立する
まず紹介しておきたいのが、「今の会社で同じ仕事を続けつつ、契約形態を正社員から業務委託に変更する」というパターンです。(中略)
「そんなことができるのか?」と思った人も多いと思います。もちろん会社の制度次第という面はあるのですが、業界・職種によっては、キャリアを重ねたミドルがいったん退職し、業務委託で働き続けることが可能な会社はすでにあります。
序章でも触れたように、高年齢者雇用安定法が改正され、「高年齢者が希望するときは、 70 歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」が、2021年の4月から企業の努力義務に加わります。国もサラリーマンの雇用延長のみではなく、この業務委託による独立を支援するように政策転換しているのです。
■5.セルフブランディング戦略を成功させる3つの方程式
(1)自前のホームページやSNS(プライベートメディア戦略)より、認知度の高い新聞・雑誌・Webメディアや本(パブリックメディア戦略)で発信することぜひ、あなたも、限られた自分の資本を投入するなら、ダメな3つのPである「プライベートメディア×プロモーション×プッシュ戦略」ではなく、良い3つのPである「パブリックメディア×パブリシティ×プル戦略」をどう創れるかに工夫を凝らしてください。
(2)広く知ってもらうためには、広告宣伝する(プロモーション戦略)より、記事に載る(パブリシティ戦略)工夫をすること
(3)顧客候補の企業や人との接点作りは、こちらから送りつけること(プッシュ戦略)より、相手が調べてたどりついてくれること(プル戦略)
【感想】
◆本書は、現在会社勤めをされている、すべてのビジネスパーソンに、ご一読いただきたい内容の作品だと思いました。そもそも昨今のコロナ禍の状況においては、1つの会社に自分の命運を託すのが、以前に比べるとリスキーであるのは言うまでもありません。
実際に倒産をしないまでも、「早期・希望退職者募集」を実施した上場企業も、2年前に比べると6倍になっているとのこと。
それでも諸外国に比べて、日本において独立の流れになりにくい理由は、序章から抜き出した上記ポイントの1番目にあるとおりです。
しかし、独立に求められるのは、あれこれ考えすぎずに、とにかくまずやってみる「リスクテイク思考」です。何をどう頑張ったってリスクをゼロにすることなどできないのですから、思い切って行動するマインドがなければ、何も始めることはできません。私自身は、父が立ち上げていた事務所を継ぐ形だったので、比較的スムーズに決心できましたが、ゼロからだったら果たして中途で退職できたのかどうか……。
◆まず第1章では、「独立」に踏み切れない理由を6つ列挙しています。
具体的には本書をご覧いただくとして、上記ポイントの2番目は、この理由の中の「『経営』は非常に難しいことだ」からのもの。
要はハードルを高く設定しすぎて、「自分にはまだ無理」と尻込みしているケースです。
本書で推奨しているようなスタイルの「独立」ならば、「事業計画」以上に行動あるのみ。
本書の著者の前川さんも、独立当初は事業計画書を必死になって作成したものの、実際に動き出してみたら、何の役にも立たなかったそうです。
◆では「独立」に「どのようなスタイルがあるか」について述べられているのが本書の第2章。
「FA独立(フリーエージェント独立)」、「雇用延長」、「リファラル転職」、「公募転職」、「自分の店独立」、「ベンチャー起業」等々色々ある中、前川さんがオススメなのが上記ポイントの3番目の「FA独立」です。
ちなみにこれらを図解したものがアマゾンのページにあったので、そちらを掲載(クリックしても拡大せず、アマゾンのページに飛んでしまうので要注意!)しておきますが。

それぞれについては、本書の第2章に詳しいので、そちらをご覧いただきたく。
さらに第3章では、この「FA独立」の「7つのパターン」を解説しています。
上記ポイントの4番目は、その中の1つである「今の会社で正社員から業務委託に切り替える」からのもの。
そこにもあるように、法的にもこの「業務委託による独立」を支援するようになってきていますから、今後我が国においても、徐々に増えていくのだと思います。
◆なお、上記ポイントの5番目は、1つ飛んだ第5章の「営業せずとも仕事が舞い込む『認知度』アップ大作戦」から抜き出しました。
そこにある「ダメな3つのP」は、ひと昔前には結構もてはやされていた気がします。
ちなみにここでは、前川さんの出版にこぎつけるまでの秘話が収録されているのですが、自分の知名度を上げたり、仕事に結びつけるために本を出したい、とお考えの方は、ぜひご一読を。
ほかにも、「コンサルタント、顧問等のマッチングサイト例」や「セミナー集客ポータルサイト例」等のお役立ち情報もありますから、こちらもお見逃しなく。
そして最後の第6章では「実践! 会社にいる今から始めるFA独立準備」と題して、自分に問う10の質問が収録されています。
個人的に「確かに」と思ったのが、「脱サラした先輩に話を聞いていますか?」というもので、独立したいときに、自分の会社の先輩や上司等の「独立経験のない人」に聞いても意味がないんですよね。
また、すでに独立してからも自分に問うべき質問があって、私自身も心を新たにした次第。
会社勤めの方なら、早めに読むべき1冊!

50歳からの幸せな独立戦略 会社で30年培った経験値を「働きがい」と「稼ぎ」に変える! (PHPビジネス新書)
序章 コロナショックの今、なぜ独立準備を始めるべきなのか?
第1章 独立なんて自分には無理!?
第2章 職業人生後半戦の選択肢、どれがベスト?
第3章 あなたが目指すのは、どの独立スタイル?
第4章 「自分の専門性」を「稼ぎのタネ」に変える!
第5章 営業せずとも仕事が舞い込む「認知度」アップ大作戦
第6章 実践! 会社にいる今から始めるFA独立準備
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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