2020年10月12日
【KPI?】『最高の結果を出すKPI実践ノート』中尾隆一郎
最高の結果を出すKPI実践ノート
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「プレミアムデーセール」でも人気のビジネススキル本。前作にあたる『最高の結果を出すKPIマネジメント』(こちらもセール対象でお得です)をお読みの方は、その実践編としてお読みいただきたい1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「これまでにないわかりやすさ」と高評価を浴びたベストセラー『最高の結果を出すKPIマネジメント』の実践編が誕生しました。
前作をきっかけにさまざまな業種、業態からKPI支援の依頼を受けるなかで「つまずきやすいポイント」「どこを深く説明してシャープにすれば、より伝わりやすいか」など、現場に即したニーズが浮かびがってきました。
本書『最高の結果を出すKPI実践ノート』では、そうしたディスカッションを通じて深まったKPIマネジメントの実際を、今からKPIマネジメントをスタートする、あるいは改善したい企業、個人の両方に対して、より実践的な内容に仕上げることができました。
なお、中古があまり値下がりしていないため、送料を加味するとこのKindle版が1000円弱、お買い得となります!
Business KPI / christophe.benoit74
【ポイント】
■1.KPIマネジメントの3つのステップ(1)現状把握=見立てる現状把握とは、対象事業のビジネスプロセスの中で最も弱い箇所≒強化すべき箇所を特定することです。これはMC4の「CSF=Critical Success Factor」を特定する作業です。つまり、現状把握とは、単に現状を把握するのではなく、CSFを見つけるための重要なステップなのです。(2)解釈=仕立てる(1)で見つけたCSFを「どうやって」「どれくらい強化」するのかというのが解釈です。この「どれくらい」がまさに「KPI=Key Performance Indicator」にあたります。(3)介入=動かす介入とは現場に動いてもらうことです。「介入」という言葉を使っているのは、現場からの視点を持つためです。 現場は現場最適で日々活動をしています。それに対して、何らかの新しいことをしてもらうわけですから、現場からしたら「介入される」ような感覚だと理解したほうがいいのです。
■2.組み立てラインの「制約条件」はどこか
組立ラインの左側から部品を組立機械A→B→Cと順番に通します。すると右側に完成品ができます。組立機械の生産能力は、それぞれ1時間当たりA:50台、B:20台、C:40台とします。(中略)
「この条件下で、この組立ラインは1時間当たり何台の完成品を作ることができるでしょうか?」
回答は、「1時間当たり20台の完成品ができる」です。
いかに組立機械AとCが1時間当たりにそれぞれ50台、40台の生産能力があったとしても、組立機械Bの生産能力が1時間当たり20台なので、結果として製品は20台しか製造できません。
組立機械Bが「制約条件」になり、全体の生産性を決定します。つまり、この組立機械Bが、プロセスの中で一番弱い箇所であり、CSF(Critical Success Factor) にあたります。
■3.「穴の空いたバケツモデル」の手の打ち方
繰り返しになりますが──(1)退会率を改善する=バケツの底から出ていく水の量を減らすこの順番が重要なのです。なぜでしょう?
(2)入会率を改善する=入る水の量を増やす
(3)集客を強化する=バケツの上部から入れる水の量を増やす
(3)の「集客を強化する」は、一般的には集客費の投資が必要です。ところが、集客をしても入会につながらない。あるいは、入会しても次々に退会していくといったことが起こると、2つの問題が生じます。
1つは集客効率が悪いので大きな集客投資が必要になり、利益を圧迫することになります。
もう1つは、働いている人たちのモチベーション(やる気) を悪化させるのです。それはそうですよね。自分たちのサービスを会員が評価していないのです。それでは頑張れません。
このような事態を起こさないためにも、まずは(1)退会率を改善する。そして、(2)入会率を改善する。これらが実現した後に、(3)集客を強化する。
これがサブスクビジネス強化の王道です。
■4.KPIマネジメントシートの7つのステップ
次の表は今回特別に考案したシートです。具体的なKPI設定をサポートするためのツールです。ステップは以下の7つになります。(1)Goalの確認実際に活用する場合のそれぞれのステップでのポイントについて、サンプルを通して説明します。
(2)KGIの確認
(3)目標、現状のビジネスプロセスの確認とステップごとの数値の確認
(4)目標、現状の定量数値のギャップが大きなビジネスプロセスとギャップ数値の確認
(5)ギャップを埋めるための活動=CSF候補の洗い出し
(6)最も効果的な活動(CSF) の確定
(7)KGI達成に必要な定量目標(KPI)
(詳細は本書を)
■5.KPIを変えていいのか?
その時点で最も弱い箇所が制約条件、つまりCSFです。CSFをどのレベルまで強くすればよいのかという数値がKPIです。ですので、KPIを安定的に達成できる、つまり引っ張る力よりも強くなったら、CSFを変化させなければいけないのです。
ですので、冒頭の「年度の期初に設定したKPIを期中に変えてよいのか」あるいは、「どのような頻度でKPIを変化させればよいのか」への回答は、「安定的にKPIが達成できるようになったら、次の弱い箇所(CSF)を強化します」となります。
ですので、安定的に達成できるようになれば期中でも変更しなければいけません。逆に言うと達成できないのであれば、(その目標数値が妥当であるという前提ですが) 翌期も同じCSFを追いかける必要があります。
同様に、変化させる頻度は一定ではなく、安定的にKPIを達成できるようになれば、速やかに変化させなければいけないというのが回答になります。
【感想】
◆この記事をご覧の方で、本書の前作に当たる『最高の結果を出すKPIマネジメント』をお読みの方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか?最高の結果を出すKPIマネジメント
参考記事:【KPI?】『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎(2019年01月06日)
さすがに「KPI」が何の略かぐらいは、ご存知の方がほとんどだとは思うのですが、前作を読んだ私ですら、個々の単語が怪しいので、本書の「DAY0」からいくつか抜き出してみます。
KPIはKey Performance Indicatorの3つの頭文字をとったものです。そして、Key PerformanceとIndicatorの2つに分けると意味が分かりやすくなります。Key Performanceは「事業成功の鍵」。そしてIndicatorは「数値」あるいは「数値目標」です。ちなみにこの「事業成功の鍵」をCSF(Critical Success Factor)と呼ぶのですが、KFS(Key Factor for Success)やKSF(Key Success Factor)もいますが、同じ意味とのこと。
つまり、KPIは「事業成功の鍵」の「数値目標」のこと。
「事業成功の鍵」は何なのかを明確にして、それを「数値目標」として設定するのがKPIです。
さらにもうちょっと。
KPIマネジメントを実行する際、KPIとCSFに加えて、あと2つ重要な主役がいます。それはGoalとKGIです。Goalは、文字通り「事業のゴール」です。そしてKGIはKey Goal Indicatorの3つの頭文字をとったもの。つまり、「事業のゴールの数値目標」です。そしてこの4つの主役を「MC4」と呼ぶのですが、上記ポイントの1番目の(1) にサラッと出てきているので、一応解説してみた次第(長かった)。
一般的には、期末や3年後に「利益〇億円」などという目標設定がされています。この「利益」にあたる部分がGoalです。そして、「〇億円」がKGIにあたります。つまり「Goal」「KGI」と「CSF」「KPI」という2組、合計で4つの主役(Main Character)がいるのです。
◆さて、こうした導入編である「DAY0」に続いて、「DAY1」からはKPIマネジメントを体験するためのワークに入ります。
まず「DAY1」では上記の「MC4」の確認から。
この「MC4」、関係者で集まって合意を取ろうとすると、ずれてることが少なくないので要注意なのだそうです。
そして「DAY2」では、上記ポイントの1番目の「KPIマネジメントの3つのステップ」の解説が。
ちなみにその際留意すべきは、「それぞれのステップを検討している時に、次のステップを考慮しない」 ことになります。
たとえば、「現状把握」をしている時に、「解釈」をしない。「現状把握」をしながら、ついつい、「できるか」「できないか」を考えだして、CSFを探す際に、選択肢を広げきれないことがあります。この辺は「アイデア出し」と「その評価」に近い気がしますね。
◆さらに「DAY3」では、上記で出てきた「CSF」の見つけ方とその事例を紹介。
この「CSF」を見つける際に重要な考え方が、「制約条件理論(TOC:Theory Of Constraints)」です。
制約条件の理論 - Wikipedia
上記ポイントの2番目のお話は、まさにこの「制約条件」に関するもの(一般的には「ボトルネック」と呼んでいますよね)。
ちなみにこの場合において、Bの生産台数を増やすにはどうすべきでしょうか?
(1)新規採用するこたえは本書にてご確認ください(ネタバレ自重)。
(2)組立機械Bの作業員に頑張ってもらう
(3)組立機械A・組立機械Cの作業員から異動してもらう
◆続く「DAY4」では、具体的な事例を6つ見ていきます。
上記ポイントの3番目は、このうちのサブスクリプション・モデルの事例からのもの。
こういったビジネスですと、ついつい金をかけて集客に注力したくなりますが、ここでも言われているように、「退会率の改善」がまずやらねばならないことになります。
ただし、退会率が改善できても、次に着手すべきは「入会率の改善」。
実際ここが改善されないと、いくら集客をかけても入会に結びつかず、費用が余計にかかってしまうわけですから、これも当然と言えるでしょう。
◆なお、上記ポイントの4番目の「KPIマネジメントシートの7つのステップ」は、本書の付録の「KPIマネジメント実践シート」からのもの。
本書では実際のシートの画像とともに、著者の中尾さんがリクルート時代に新規事業を担当した際の事例を用いて、その使い方が解説されていますから、ぜひこちらもご一読ください。
加えて本書の巻末には、「よくある質問」と題したQ&Aコーナーも収録しています。
上記ポイントの5番目のほか、KPIマネジメントを実践する際につまづきやすい部分のアドバイスが掲載されていますから、こちらもお見逃しなく。
さらにはアマゾンのページの「出版社からのコメント」にある、「G-POPマネジメント」の触り部分が、「あとがき」で読めますので、興味のある方はQRコード経由でZOOM動画をご覧いただけたら、と。
KPIマネジメントを実践したい方は読むべし!
最高の結果を出すKPI実践ノート
DAY0 KPIマネジメントの勘どころ
DAY1 MC4確認のためのワークショップ
DAY2 KPIマネジメントのステップ
DAY3 CSFの見つけ方とその事例
DAY4 ケーススタディから学ぶKPIマネジメント事例集
DAY5 KPIマネジメントの体制と進め方
【付録】KPIマネジメント実践シート
よくある質問
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【編集後記】
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ご声援ありがとうございました!
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