2020年09月25日
【英語学習】『日本人の英文法 完全治療クリニック』T・D・ミルトン
日本人の英文法 完全治療クリニック アルク・ライブラリーシリーズ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、今月の「Kindle月替わりセール」の中でも、個人的に気になっていた1冊。すでに英語が苦手になりつつあるムスコのためにもと、この年になって改めて英文法の本を読んでいる次第です。
アマゾンの内容紹介から。
多くの日本人に共通するミスをミントン先生が徹底的に診断。55件の「実例」を紹介。対象レベル:中級~。(英検準2級/TOEIC L&Rテスト470~)
なるほど、私自身知らなかった話が多くて、ハイライトを引きまくりました!
Young child holding an english grammar book. / shixart1985
【ポイント】
■1.「存在しないもの」に所有格は使えない「発信音の後にメッセージを残してください。」
△Please leave your message after the tone.<診断>実のところ、この文は、日本人が頻繁にやってしまう間違いを説明するのにちょうどいいのです。それは、「存在しないものに対して所有格を用いてしまう」というミスです。中級以上の英語学習者ならほとんどの方が、I want to buy my car. のような文が間違いだと気付くはずです。I(私) がそれを買うまでは “my car”(私の車) にはならないからです。
「まだ録音していない」メッセージに所有格yourを用いてyour message(あなたのメッセージ)と言うのはNG。
■2.do A after Bでは、AとBのどちらが重要?
「電気を消してから退室してください。」
△Leave the room after switching the lights off.<診断>英語では、do A after (you do/doing) B(B の後に A をする)と言うと、話の焦点あるいは主眼は自動的にAに置かれることになり、Bは重要な意味を持っているにしても A ほどではないことになってしまいます。I'll call you after lunch.(ランチの後で電話します) のような簡単な文でも、最も重要なのは、相手に「電話する」という約束であり、ランチを食べるつもりだということではありません。
do A after Bでは、Aに主眼が置かれる。つまり、上の英文は「(電気を消して)とにかく退室せよ」というニュアンスになってしまう。
■3."Bill is shorter than I"はもう古い!?
「ビルは僕より背が低い。」
△Bill is shorter than I.<診断>大多数の学生は、than の後に代名詞が続く場合、その代名詞は主格(I、he、she など)でなければならない、と教わったでしょう。しかし実際には、現代の口語英語では、 than の後に代名詞が単独で現れる場合、そこにはほとんど常に対格(直接目的格)の代名詞( me、 him、 her など)が来ます。(中略)
このパターンは、参考書などでは「正しい英文法」として載っているが、実は現代の口語英語ではほとんど使われない!
『ロングマン新英語文法』によれば、thanの後に主格が現れるのは、会話におけるこの種の用例の2.5%以下です。すなわち、ネイティブスピーカーのほぼ100%が直接目的格を使うものと解釈できます。
■4.未来の「予定」にwillは使えない
「いつ日本を発つご予定ですか? 」
×When will you leave Japan?<診断>相手の個人的な予定なら現在進行形、相手がすでに決めたことなら be going to を使うのが妥当な選択です。当然、個人的な予定はその人がすでに決めた事柄から成るわけですから、未来について語る際の現在進行形と be going to には、かなり重なる部分があります。
「未来のことを言うときはwillを使えばよい」というのは間違った思い込み。上の英文のように、相手の予定を聞くのにwillを使うのは極めて不自然。
■5.decideの誤用が「傲慢」な印象を与える
「私は医者になる決心をしています。」
△I have decided to become a doctor.<診断>要するに、本人が確実にそれをできるのでなければ、つまり、それが確実に開かれた選択肢の一つでなければ、 decide to do something とは言えないのです。
decideは「決定する」の意味。つまり、上の英文では「私は医者になることに決めました」となり、簡単に医者になれるかのようなニュアンスが出てしまう。
したがって、I've decided to go to the moon.(私は月に行くことにした) ということも、原則的には言えません。なぜなら、月に行くというのは明らかに(少なくとも現時点では)、誰にとっても開かれた選択肢ではないからです。注意してほしいのは、decide は日本語の「決心する」とはまったく違うということです。つまり、 decide は単純に「 決定する」 ことを意味している にもかかわらず、日本では「決意する」ことと混同されているのです。
【感想】
◆最初に申し上げておきますが、ムスコは中学生になったばかりで、英語はまだ初心者(一応小学校の授業では何かしらやったみたいですが)。そんなムスコには、本書は思いっきりハードルが高すぎましたし、当分読ませることは出来なさそうです。
たとえば、上記ポイントの1番目の「leave your message」なんて、留守電で普通によく聞く(目にする)フレーズではないでしょうか?
実際、著者のミルトン先生も「ネイティブスピーカーが使っている留守番電話でも、上記のような案内をよく聞きます」と認めています。
しかし、私はこれを「標準的英語」とは見なしません。そして、きっと多くのネイティブスピーカーがこれに同意するでしょう。その理由は、ここにもあるように「存在しないもの」に所有格は使えないから。
ちなみに、こういった「誤った」用法の犯人は「広告」なのだそうです。
Get your monster bunny while stocks still last.なるほど、心理ネタの本でも、こういった用法は目にしたことがありましたね。
(在庫があるうちに、君のモンスター・バニーを手に入れよう)
◆同じく私が知らなかったのが、上記ポイントの2番目の「do A after B」における、ABの重要度の問題です。
私が英訳したら、まさに引用内にあるような文章にせざるを得ず。
ここで考えられるのは、afterの代わりにbeforeを使って、2つの文の前後を逆にすることでしょう。
そうすれば、Bの方に重点を置くことができます。
しかしそうすると、今度は「部屋を出る前に電気を消したら、ドアの取っ手が見えなくなってしまう」と言われかねません。
そこで本書では「処方箋」として、「when」を用いて問題を解決しているのですが、一応詳細は「ネタバレ自重」ということで。
なお、本書においては、すべての例文に対して、「処方箋」という正解文が付されていますが、今回はすべて同様に割愛させていただきます。
◆一方、ある一定以上の年代の方だと「え?」となりそうなのが、上記ポイントの3番目。
私も学校では「〜than I」と習いましたが、その後何かの英文法本で、今は「〜than me」である旨知った次第です。
ちなみに、どうしても「〜than me」と言うのに抵抗がある場合は、「〜than I am」と言えば良いとのこと。
また、同じような考えは、比較級の「(not)as 〜 as の as にも当てはまる」のだそうです。
これも「ほぼ100%のネイティブ」が「I」ではなく「me」を選ぶのだとか。
◆さらに、少々取り扱いが難しいのが、上記ポイントの4番目の「will」です。
実は「will」を用いて未来の話をするのは、以下の4つの限定された状況なのだそう。
(1)話している瞬間に何かを決断しているとき具体例とその和訳は、本書にてご確認いただくとして、この場合の正解は、上記にあるように、現在進行形か「be going to」のどちらかを使います。
(2)予測・予想をするとき
(3)約束をするとき
(4)申し出をするとき
ちなみに両者の違いは
現在進行形は「すでに決まった個人的な予定」、be going to doは「自分がすでに決めたこと、そうするつもりである」というニュアンスなのだとか。
◆そして上記ポイントの5番目の「decide」は、私も濫用していました。
今回の例文の場合ですと、修正案としてまず考えられるのが、「become」の前に「try to」を付けるやり方。
もう1つが形容詞の「determined(決心している)」を使う方法です。
ただしこういう場合に、動詞の「determine」を使ってはいけないそうで、これまた詳細は本書にてお読みいただきたく。
なお、本書はアマゾンレビューで指摘されているように、この本の焼き直し的な作品らしいです。
日本人の英文法 完全治療クリニック
ただし、今回のセール中であれば、この本の中古よりもお買い得ですし、そもそもKindle版で読むならば、本書しかありませんので、あまり関係ないですが。
ワンランク上の英文法を学ぶために読むべし!
日本人の英文法 完全治療クリニック アルク・ライブラリーシリーズ
Part1 広告・告知文の間違い
Part2 学生の間違い
Part3 教科書・テストの間違い
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。外資系コンサルのプレゼンテーション術―課題解決のための考え方&伝え方
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ご声援ありがとうございました!
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