2020年09月24日
【生産性向上】『無駄な仕事が全部消える超効率ハック――最小限の力で最大の成果を生み出す57のスイッチ』羽田康祐 k_bird
無駄な仕事が全部消える超効率ハック――最小限の力で最大の成果を生み出す57のスイッチ
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」でも大人気だった仕事術本。著者の羽田康祐さんは、以前当ブログでも前作に当たる『問題解決力を高める「推論」の技術』が非常に好評でしたし、本書も充実した内容でした!
アマゾンの内容紹介から一部引用。
著者はこれまで、外資系コンサルティングファームと広告代理店のハイブリッドキャリアを積んできました。前者からは合理的に物事を進める方法を、後者からはプランナーやクリエイターなど、多様な人材とプロジェクトを進める方法を学んできました。
その中から、無駄な仕事を極限まで消し、成果を最大限にする「超効率ハック」を、【時間・段取り・コミュニケーション・資料作成・会議・学び・思考・発想】という8つのカテゴリに分けて57個解説します。
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【ポイント】
■1.「判断の正しさ」より「判断の早さ」そもそも、その時々の局面で絶対確実な情報が100%入手できることなどありえません。どのような判断も、結局は「やってみなければわからない」のですから、必要最低限の情報が収集できたら早めに判断・行動するクセをつけることが重要です。
すると、たとえその判断が間違っていたとしても、早い段階で「この方法ではうまくいかない」「その原因は〇〇」という学びも得ることができます。
つまり、方針転換の判断も早めにできるようになるので、結果的に段取り全体の生産性を高めることができます。
■2.情報を引き出す質問をする(抜粋)
●「というと?」このように「適切な質問」をうまく使えば、自分が主導しながら相手の発言の真意を浮き彫りにし、より誤解のないコミュニケーションができるようになるのでおすすめです。話の背景や意図を引き出すことができる●「具体的には?」漠然とした発言内容を明確化できる●「なぜ?」相手の発言の真の目的や根拠、理由を引き出すことができる●「他には?」相手の思考を「それ以外」に向けることで「伝え忘れ」を防ぐことができる
■3.使える情報の有無を確認する
一通りの情報が集まったらすべての情報を読み込む前に、使える情報の有無を確認するのが大切です。「使える情報」とは「仮説」の裏付けに役立つ情報のことを指します。
たとえば関連するレポートを読むときに、生産性が低い人は冒頭から読み始めてしまいます。しかし、もしそのレポートに使える情報が掲載されていなかった場合、それに気づくのはレポートを全部読み込んだ後になってしまい、たいへんな時間のロスになっってしまいます。
したがって、まずはレポートの目次を見て、使える情報が掲載されていそうなページのみを確認するのが鉄則です。
■4.目に見える「現象」から「法則」を読み取る
世の中には飲み込みが早く「一を聞いて十を知る人」が存在します。「一を聞いて十を知る人」は、どんな些細な事実からも「法則」を見抜き、それらをさまざまな分野に応用する習慣を持っています。
かれらは「遊ぶことで仕事のヒントが得られる」「遊んでいるときに新しいビジネスの発想を思いつく」などと語ることが多いものです。これは遊びから得た「法則」を、仕事という異なる分野に当てはめて応用できる、という意味です。
多くの経営者が好んで「戦国武将の本」や「スポーツ監督の本」を読むのも、異なる分野から得た「法則」を自社のビジネスに応用して活かしたいと考えているからです。
このように、成長に貪欲な人は、あらゆる物事から「法則」を得て、異なる分野、現象に応用する習慣を身につけています。したがって、1つの経験から得られる学びの量が数倍多いのが特徴です。
■5.「数字」ではなく「目的」を重視する
あなたが営業担当者だったとしましょう。上司から「新規顧客へのテレアポ電話を、1日100件から200件に増やせ」と言われたら、頭を抱えることでしょう。朝早く出社し、深夜まで電話をかけ続けるブラック労働にもなりかねません。
しかし、「1日200件電話する」という数字に目を奪われるのではなく、数字の先にある「目的」に目を向けてみてください。このケースの場合、真の目的は「売上を上げること」ですから、その手段は必ずしも「1日200件電話すること」でなくてもいいかもしれません。
実はこの話、筆者が社会人1年目に経験した実話です。
筆者は当時「1日200件の電話はさすがに無理だ」と思ったので、自分でつくった企画書を200件に郵送することにしました。いわゆるダイレクトメールです。その結果、筆者の業務量は「郵送した後、問い合わせの電話を待っているだけ」なので激減し、売上はテレアポのときよりもはるか上がりました。当時の上司が大変喜んだのを覚えています。
【感想】
◆タイトルにもあるように、「仕事の効率」を求める方にはピッタリの内容でした。それもいわゆる「戦術」というよりは、「戦略」に近いと言えばいいでしょうか。
実際、本書の「まえがき」では、本書の特徴の1つとして「『思考法』や『発想法』を紹介」していることを挙げています。
つまり、生産性を上げるやり方として、入力を速くするために「辞書登録をする」というのは王道テクの1つですが、本書はむしろ「そもそもその仕事する必要あるの?」から考える感じ。
たとえば、第1章は『「時間」の生産性を上げる』というテーマなのですが、その1つとして「仕事の上手な断り方」をTIPSとして紹介しています。
同じく第1章から抜き出した上記ポイントの1番目では、「悩む」より「とっとと決める」ことのメリットを強調。
間違った判断を恐れるがため、先延ばしをしていたら、生産性は大きく落ちてしまいますから、意識しておきたいところです。
◆また、上記ポイントの2番目は、第3章の『「コミュニケーション」の生産性を上げる』からのもの。
実は良いコミュニケーションを取るには、聞く側の「質問力」が問題となりますから、ここで挙げたようなフレーズを適切に用いて、情報を引き出すようにすべきでしょう。
ここで列挙した以外では「もし〇〇の場合は?」という質問で、相手の許容範囲やストライクゾーンが絞り込めるとのこと。
私の場合、これ以外では「それって、ひと言で言うと?」と問うて、抽象化してもらうことがありますが。
◆さらに続く第4章では「『資料作成』の生産性を上げる」という、仕事術でも鉄板のテーマについて言及しています。
それこそ「どういう目的で使う資料なのか」を確認するのがお約束なのですが、この辺は類書でも触れられているので割愛。
そこで上記ポイントの3番目のような、ちょっと変化球的なTIPSを抜き出してみました。
いや実際、私自身なまじ速く読む自信があるので、最初から目を通しがちなのですが、そもそもレポートの目次をチェックした上で、「使える情報が掲載されていそうなページのみを確認する」べきですよね……(反省)。
◆第5章の「会議」は、それこそ専門の作品が多々出ていますから、実際にはハイライトを結構引いたものの丸ごと割愛(スイマセン)。
反対に生産性をテーマにした書籍では、あまり触れられていないのが、第6章以降でしょう。
たとえば第6章では「学び」の生産性向上方法が挙げられているのですが、上記ポイントの4番目はここからのもの。
異なる分野から、必要な学びを得る、というのは、いわゆるデキる人の特徴と言えるでしょう。
結局これも、「事象の抽象化」と考えらえますから、興味のある方は、細谷功さんの一連の作品をお読みいただけたら、と。
◆そして第7章では「『思考』の生産性を上げる」ということで、よりレイヤーは上がっていきます。
上記ポイントの5番目では、著者の羽田さんの実体験が紹介されていますが、まさに「数字」よりも「目的」というお話。
ただ、日本の多くの企業が、ここにあるような「電話を1日100件から200件に増やす」ような働き方をしているから、生産性が上がらないんですよね……。
これからは労働人口も減っていきますし、割けるリソースも少なくなりますから、そもそも「その仕事の目的は何なのか」を意識しなくては。
いずれにせよ本書は、「生産性向上」を主たるテーマにして、幅広い分野のTIPSをカバーしていますから、多くのビジネスパーソンにとって非常に有益だと思います。
「無駄な仕事」を消しさりたい方なら読むべし!
無駄な仕事が全部消える超効率ハック――最小限の力で最大の成果を生み出す57のスイッチ
第1章 「時間」の生産性を上げる
第2章 「段取り」の生産性を上げる
第3章 「コミュニケーション」の生産性を上げる
第4章 「資料作成」の生産性を上げる
第5章 「会議」の生産性を上げる
第6章 「学び」の生産性を上げる
第7章 「思考」の生産性を上げる
第8章 「発想」の生産性を上げる
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【編集後記】
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