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2020年09月11日

【藤田田流?】『藤田田から教わったお金と時間の不変のルール』ジーン・中園


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藤田田から教わったお金と時間の不変のルール


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かった仕事術本。

藤田田さんに教えを請うた1人である、孫正義さんの配下の方が出された本はちょくちょく見かけますが、藤田さんの下にいた方が書かれた本というのは、私にとっては本書が初めてでした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
偉大なる経営者・藤田田の元ブレーンとして、18年にわたって藤田田の経営哲学から導き出された、知恵と行動を体得してきた人物が本書の著者です。
著者が藤田田から教わってきた、「お金」「時間」「人間関係」「ビジネス」に関する思考法や実践法を実際の事例を交えながら、58のルールにまとめたのが本書です。

なお、上記記事の時点ではなかったKindle版も、「20%OFF」とお買い得なので、ぜひご検討ください!





Tokyo Fast Food / Danny Choo


【ポイント】

■1.成功は「視覚化」から始まる
 藤田田氏は、ビジネスの分野ではいつも3通りの方法を考えていた。
 うまくいったとき、中くらいに進展したとき、あまりうまくいかなかったときである。
 それぞれに対してどう対処するのかをいつも熟考していた。特に順調にいくときには、かなり視覚化を使っていたと推定される。マクドナルドを始める直前、米国本土のオハイオ州や太平洋上のハワイ州の店舗に入って従業員の動きや顧客の流れをつぶさに目に焼きつけていた。だから、1971年7月20日に、東京都中央区の銀座4丁目の三越銀座店のライオン像横に新たに店舗をつくったとき、次のように視覚化していたに違いない。
「眼前には長蛇の列の人びとがハンバーガーを我先に買い求め、店舗前で温かなハンバーガーをかぶりついてニコニコしている」
 そんな姿を見ていたに違いない。米国であれだけ売れているのだから、日本の銀座で売れないはずはないと視覚化していたはずだ。結果、米国本社が郊外型の店舗を推挙していたにもかかわらず、都心型の店舗で大繁盛することになった。


■2.時間は生産的に使う
例えば何もすることがないと言ってゲームをやり出す。ところが、このゲームをやったことで何か利益を得ることができるだろうか。ただ時間を無駄に過ごしているだけである。何かを生み出していないから、つまりは非生産的な時間の使い方をしていると言える。
 しかし、このゲームに挑戦するにも、自分が将来ゲームの専門家になったり、ゲームのプログラマーになったりするのだという目標があれば、そのためにゲームを自分でやって、研究しているのだということになる。それならこの行為は何かを生み出していると言える。つまり、生産的な時間の使い方をしているのだ。
 だから同じ出来事でも、時間には生産的な時間の使い方と、非生産的な時間の使い方の2通りの使い方があることを理解しておいた方がいい。それを自覚しながら時間の中にいるのと、そうでないのとでは、最終的に雲泥の差になって出現してくるからだ。


■3.時間販売業・節約業たれ
 藤田田氏は、マクドナルドの事業は食品販売業ではないという。実は「時間販売業あるいは時間節約業」だとまで断言している。(中略)
 これからは、ますます時間が僅少になっていく時代である。いくら時間があっても足りなくなる時代だ。だから時間を節約したり、時間を販売するビジネスはどんどんとニーズが出てきて、売上が上がるようになってくる。マクドナルドの創業当時は、そのメニューも13品目しかなかった。それだけメニュー品目を絞っているので、商品をすぐに出すことができた。また、藤田田氏が科学的に見つけたのは、顧客が速いなと感じるのは32秒間ということ。だから、その時間内にスピーディに出さなければならないとした。従業員である私たちはいかにその時間内で出すようにするか、知恵を絞り出して考え抜いたものである。スピードが武器になるのである。


■4.紙幣は時代遅れ、お金はただの数字でしかない
 まだクレジットカードもあまり普及していない1970年代の初頭から、フィンテックという言葉ではなかったが、このような時代がいずれ来て、「万能カード」で決済ができる、といつも口にしていた。よくよく考えてみると、藤田田氏の言う「万能カード」とは今日の「スマホ」のことである。今やこれでなんでもできる時代となった。このように、かなりの先見性を示していた。だから現金を含め、それ以外の入金方法をいつも模索していたのである。
 その一番手がギフトカードであった。大手百貨店ではずっと昔から自社内各店舗で使用できるギフトカードはあったものの、飲食業界でこの金券を出したのはマクドナルドが初めてであった。
「このカードを販売すれば、すぐさま売上にはならないが、かなりの金額の預かり金が社内に入ってくるので有効なのだ」
 と藤田田氏はいつも言っていた。
 その次に手を出したのが、プリペイドカードの「マックカード」であった。


■5.メモは偉大な力を発揮する
 藤田田氏は個人的なメモだけではなく、会社ぐるみでメモを活用していた。それが本社従業員に行う、月間3店舗の「店舗レポート」の提出であった。例えば本社・本部社員が500人在籍していたとしよう。すると、1人3回の報告なので、月間にすると、500×3=1500の報告書が出てくる。これが1年間だから、1500×12か月=1万8000の膨大なレポートの数ということになる。これを整理したら、たちどころに自社の課題、問題点が浮き彫りになるのである。
 これはもう、利用しない手はないだろう。こういった地道な積み重ねが成功への足掛かりになることを、藤田田氏は熟知していたのである。


【感想】

◆今まで、当ブログでは、藤田さんご自身が書かれた作品としては、下記の2冊をご紹介してきました。

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勝てば官軍―成功の法則

参考記事:【スゴ本】『勝てば官軍―成功の法則』藤田 田(2011年11月25日)

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Den Fujitaの商法〈1〉頭の悪い奴は損をする (ワニの新書)

参考記事:【スゴ本】『Den Fujitaの商法〈1〉頭の悪い奴は損をする』藤田 田(2010年10月06日)

どちらも10年近く前の記事なのですが、実際にこれらの書籍が書かれたのはさらにそれより40年近く前という……。

その分、今では通用しにくいお話や、すでに陳腐化したテクニックもあったりするのですが、その点本書は「現在」という視点から洗い直しており、そういった問題ありません。

ただ、著者であるジーン・中園さんは、新卒で創業したばかりの日本マクドナルドに入社した方ですから、それなりのお年。

あの孫正義さんより、8つ上ということで、数多くの「孫さん本」を書かれている三木雄信さんより20歳以上、上の世代の方ということになります。

ビジネス書好きの中には、ご自身とあまり世代が違い過ぎると敬遠される方もいらっしゃいますので、一応ご留意ください。


◆さて、本書の第1章のテーマは「成功」ということで、上記ポイントの1番目のお話をセレクト。

これはどうも、スポーツ選手が行う「イメージトレーニング」に近いもののようです。

実際、マックの立ち上げ時には、関係者は「ハンバーガーには日本人が好む醤油味が必要」「ケチャップとマスタードで味付けしたパンなど売れるはずはない」と口を揃えて言ったのだそう。

しかし藤田さんだけは、ご自身が視覚化した「長蛇の列」を信じて(さらには米国が推した郊外型店舗ではなく、都心型店舗で)、成功されたワケです。

また、他の法則で「大ボラが現実を創る」というものがあったのですが、藤田さんはマックが18店舗しかないうちから「100店舗をつくる」と言ったり、それが実現すると「年商1000億円にする」と言ったりと「大ボラ」を掲げる傾向があった模様。

この辺は、孫正義さんも学んでらっしゃったみたいですね。


◆続く第2章は「時間」がテーマということで、選んだのが上記ポイントの2番目。

確かに同じことをやっていても、生産的になるのか否かは、本人の意識次第です。

さらに他の法則では、毎日わずかな時間でも生産的に使い続けることで、大きな成果をあげられる、と主張されていました。

この辺は、自己啓発書の王道ではありますが、改めて押さえておきたいところです。

また、上記ポイントの3番目も同じ第2章から。

マックのストロングポイントが、「時間節約」にある、と当初から意識していたのがスゴイです。

なお、同じ章の他の法則によると、藤田さんは会議の開始時間をわざと中途半端(「13時32分」「14時03分」等)にしていたらしく、これも「時間を意識」させるためのもの。

似たようなTIPSを類書で見かけたことがあったのですが、おそらく藤田さんの方が先だったでしょう。


◆一方第3章のテーマは「お金」で、各章ごとの法則の数を比較した場合に、一番多かったのがこの第3章でした。

ただ、藤田さんは大阪の方らしく、「お金」に関してややストレートというかえげつないお話もあったので、選んだのが上記ポイントの4番目。

飲食業界で最初にギフトカードを出したのがマック、というのは、個人的にはかなり意外でした(価格帯が低いので)。

さらには、ポイントの最後にもあるように、プリペイカードにも進出(おそらく最初に)!

これは当時普通に普及していたテレフォンカードを模したものだったそうですが、こうした先見の明には一目置かざるを得ません。

もちろん売上自体は、実際にマックで商品が購入された時点で計上されるのですが、先にお金が入る分、キャッシュフロー的には非常にありがたいんですよね……。


◆なお、ポイントの5番目は最後の第5章から抜き出しました。

何でも藤田さんはメモ魔だったそうで、見知らぬ人(タクシーの運転手や交通機関で隣に座った人等)との会話をも勧めていたとのこと。

もちろん、仕事上でも他人の話を聞くことは重要であり、著者の中園さんがそれを実践して書いたのが、この本なのだそうです。

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フード工場千夜一夜物語

そして巻末には、「藤田田流思考法」と題して、藤田さんの名言集をも収録。

上記でご紹介した、藤田さんご自身の作品でも登場するフレーズがありますが、こちらもぜひお見逃しなく。


「藤田田」という巨人の教えを学べる1冊!

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藤田田から教わったお金と時間の不変のルール
第1章 成功の法則
第2章 時間の法則
第3章 お金の法則
第4章 人間力の法則
第5章 ピンチとチャンスの法則


【関連記事】

【スゴ本】『勝てば官軍―成功の法則』藤田 田(2011年11月25日)

【スゴ本】『Den Fujitaの商法〈1〉頭の悪い奴は損をする』藤田 田(2010年10月06日)

【藤田田流】「今だからこそ学びたい『藤田 田』の5つの思考法」(2009年08月17日)

【全51問!】『戦略思考トレーニング3』鈴木貴博(2014年04月27日)

もしものときのための『成功を引き寄せる名経営者の言葉』 10選(2012年09月07日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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