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2020年09月07日

【アクティブリスニング?】『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』赤羽雄二


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自己満足ではない「徹底的に聞く」技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも一番人気だったコミュニケーション本。

著者の赤羽雄二さんの『ゼロ秒思考』は、当ブログでも多くの方にお読みいただいております。

アマゾンの内容紹介から。
「徹底的に聞く」技術とは、相手に深い関心を持ち、真剣に、徹底的に話を聞きながら、躊躇せずに質問をすることで深く理解すること。理解するだけではなく、問題の本質の把握、解決策の立案にまで迫ることができる。マッキンゼーで14年活躍した著者独自の『ゼロ秒思考』と並ぶメソッド。ポジティブフィードバック(どんなときも肯定的に話す、感謝する等)、A4メモ書き、アイデアメモ、ロールプレイングなども含め、効果をさらに高めるノウハウを伝える。

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Listening / cogdogblog


【ポイント】

■1.アクティブリスニングと他との違い
 アクティブリスニングとは、「真剣に、徹底的に相手の話を聞き、質問もしながら理解を深めること」です。相づちを打ちながら、相手の目を見ながら、心から関心を持って、真剣に、徹底的に話を聞きます。他のことを考えていたり、早く終わらないかな、などと思っていたりせず、ていねいに聞きます。本当は聞いていないのに聞いたつもりになるのは、自己満足に過ぎません。十分理解できないどころか、誤解が生じたり関係が悪くなったりすることもあります。
 話を聞きながら、疑問があればあまり遠慮せず質問します。ただし、丁寧さが重要です。
「ただ聞くこと」との違いは、「真剣に、徹底的に相手の話を聞く」「質問もしながら理解を深める」の2点です。頭の集中度も、理解しようとする本気度も、熱心さも、好奇心の強さも、全部違います。
「傾聴すること」との違いは、「躊躇なく質問しながら、理解を深める」点です。これは重要な点で、「かしこまってご高説をうけたまわる」ニュアンスが強い「傾聴」とはかなり異なります。


■2.問題の本質が見えると、どうすべきか浮かんでくる
 アクティブリスニングは、あくまで「聞くスキル」「少しだけ丁寧な聞き方」と思っておられるかも知れません。私も最初はそう思っていました。
 ところが、自分でアクティブリスニングを繰り返すうちに、決してそうではないことに気づきました。問題の本質が見えるだけではなく、どうすべきかが自然に浮かぶようになったからです。
 話を聞き、次々に質問し、答えていただく中で問題の本質が浮かんできますが、それとほぼ同時に、「そうか、なるほど。そういうことだったのか。それだったらこうすればいいのでは?」と一瞬のうちに見えるようになります。
 問題の本質を見抜けると、何が問題でどのように悪さをしているかが手にとるようにわかります。「あるべきものがない」「すべきことが邪魔されている」などがわかるので、「であれば、こうすれば解決できるのではないか」と見えてくる、という状況です。


■3.アクティブリスニングの具体的なやり方
●「ひたすら聞く」
 ひたすらとは、どの程度ひたすら聞くとよいのでしょうか。
 すべての言葉に集中し、できる限りそのまま理解します。「うわの空」ではなく、一言一句理解していきます。余計なことを考えず、相手の言葉そのものの理解に努めます。
●相づちを打つ
 ご存じかと思いますが、聞く側が無反応だとものすごく話しづらいものです。過度な反応は不要ですしお勧めできませんが、適度で自然な相づちは話し手の気持ちを高め、もっと話してくれるようになります。
●疑問があったら躊躇なく聞く
 この一言には3つの要素があります。まず「適切な疑問を持つこと」と、それから「躊躇なく質問すること」、そして「的確な質問をすること」の3つです。(詳細は本書を)


■4.仲間を作って注意しあう
 例えば、職場の場合は、近くの課長数人でアクティブリスニングの実施を合意し、お互いに注意し合うと効果的です。近くの島で上司が部下に過剰に注意しているとか、アクティブリスニングをやっているつもりで全く間を空けていないとか、よく見えるので、フィードバックに事欠きません。
 そういう同列の仲間がいない場合も、アクティブリスニングをぜひとも実行したいと思えば、親しい同僚、あるいは友人、家族などに頼んで
・相手の話を100%聞いているか
・相手が話し始めるまで20〜30秒でも待っているか
・その間にプレッシャーをかけていないか
 のフィードバックをしてもらえばいいです。


■5.毎日20回、ポジティブフィードバックをする
 ポジティブフィードバックはきわめて効果的ですが、あまりやらない方がほとんどです。特に仕事のできる人、人並みはずれた努力をしてきた人、自分に厳しい生真面目な人などは、「何でやらないんだ」「何でそんな顔をしてここに来れるんだ」と思いがちですね。
 必然的に、自分よりはるかに経験が短くスキルも低い部下に対してポジティブフィードバックをすることは決して容易ではありません。心理的な抵抗感が強いようです。「やっているつもりなんだけど」という発言もよく聞きます。
 いろいろな方法を試した結果、確実に実施し習慣化していただくために「ポジティブフィードバック毎日20回」と決め、毎日実施していただき、夜メールで報告していただく形が効果的だとわかりました。


【感想】

◆当初、本書のタイトルにある「徹底的に聞く」というフレーズから、私は本書が「傾聴」の本だと思っていました。

そこで実際に読み始めたところ、冒頭の「はじめに」にて、上記ポイントの1番目にあるように、真っ向否定された次第。

「傾聴」が必ずしも、質問をしてはいけないとは考えておりませんでしたが、本書で提唱する「アクティブリスニング」は、より積極的に質問をするようです。

ただ、「アクティブリスニング」で検索をかけたところ、カウンセリング用語として以前からあったようでして。

アクティブリスニングとは?目的や効果、実施方法を徹底解説【初心者人事向け】 | HRマガジン
現在、IT企業をはじめとしてビジネスの場で活用される事例が増えてきていますが、本来は米国の臨床心理学者カール・ロジャースが提唱したカウンセリングにおけるコミュニケーション技法の1つです。
相手の言葉をすすんで“傾聴”する姿勢や態度、聴き方の技術を指し、日本語では「積極的傾聴」と訳されます。

私は上記のように「積極的に質問をする」ことが「アクティブ」なのかと思ったのですが、こちらはどうも「傾聴」することに「積極的」なようです。

また、本書でカール・ロジャースの名前は出てきませんから、本書でいう「アクティブリスニング」とは、著者の赤羽さん独自のTIPSと考えるべきかと。


◆さて本書では、第1章から第3章くらいまで、このアクティブリスニングの実例や、その活用シーンに言及されています。

人間関係が好転するのはもちろん、上司が使えば部下のやる気も引き出せるとのこと。

ただ、アクティブリスニングがそういったことに留まらない、ということは、上記ポイントの2番目にあるとおりです。

これは本書の第5章から抜き出したものなのですが、第4章にてアクティブリスニングで「問題の全体像を把握」できることを踏まえた上で、このように問題も解決できるのだとか!?

もちろんベースとなる知識や経験があってこそですし、有力であってもあくまで「仮説」にすぎませんから、その辺はご留意ください。


◆続く第6章では、アクティブリスニングの具体的なやり方についての解説が。

上記ポイントの3番目にあるように、アクティブリスニングの鍵は
「ひたすら聞く」×「相づちを打つ」×「疑問があったら躊躇なく聞く」
の3点にあります。

なるほど、ホイホイ質問するのではなく、まずは「ひたすら聞く」のが大事なのだな、と(本書では「拝聴」と呼んでいます)。

なお、上記ポイントでは割愛していますが、可能ならメモを取るべきなのだそう。

また、最後の「疑問があったら躊躇なく聞く」は、さらに3つの要素があり、それぞれについて解説がなされていますから、本書にてご確認ください。


◆さて、このようにアクティブリスニングの概略が理解できても、実際にできるかというと、また話は別でしょう。

そこで本書の第8章では、アクティブリスニングのマスター方法について述べられています。

そしてその1つが、上記ポイントの4番目にある「仲間を作って注意しあう」。

特に職場だと、部下は上司に「忖度」してしまうので、ここにあるように課長なら課長同士で注意しあうと良さそうです。

赤羽さんによると、
アクティブリスニングは自分一人で努力してもほとんどうまくいかず、誰かにフィードバックしてもらう ようにすると、割とすぐできる
そうなので、ぜひお試しを。


◆ちなみに上記ポイントの5番目の「ポジティブフィードバック」(どんなときも肯定的に話す、感謝する等)は、アクティブリスニングではないのですが、アクティブリスニングと並行して行うと、人間関係を劇的に改善できるのだそうです。

アクティブリスニングは、その性質上、ある程度時間を割かないとできません(サクッと聞いただけではアクティブリスニングにならない)が、このポジティブフィードバックなら、短時間でできそうな。

また、その相手は、職場の人にとどまらず、家族やコンビニの店員さんでもOKとのこと。

私はとりあえず、学校の定期試験がイマイチだったムスコを励まそうと思っています。

……どうしても、「あれやれ」「これやれ」になりがちなので、気を付けねば。

なお、本書全体を通じて言えることなのですが、本書は章のまとめだけではなく、章の中の節や小見出しレベルで、ポイントが箇条書きになっています。

これは理解しやすい反面、くどいと感じる人は気になると思いますので、一応ご留意ください。


アクティブリスニングで、人間関係改善や問題解決を目指すべし!

4534057997
自己満足ではない「徹底的に聞く」技術
1.<実例>アクティブリスニングとは
2.人間関係を好転させるアクティブリスニング
3.部下のやる気を引き出すアクティブリスニング
4.アクティブリスニングすると、問題の全体像が把握できる
5.アクティブリスニングするだけで、問題が解決できる
6.アクティブリスニングのやり方
7.状況別アクティブリスニング
8.アクティブリスニングをマスターするには?
9.ロールプレイングで、相手の立場が見えるようになる
10.アクティブリスニングを社内、クライアントで広めるには
12.リモートワークでのアクティブリスニング
13.アクティブリスニング後、きちんとフォローする


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【傾聴】『アクティブ・リッスン! 「聞く力」を武器にする』澤村直樹(2015年09月23日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記2】

◆一昨日の「秋の文芸書・ビジネス書フェア」で人気だったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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宜しかったらご参考まで!


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