2020年08月26日
【モテ】『夫のトリセツ』黒川伊保子
夫のトリセツ (講談社+α新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、明日で終了となる「『+α新書』 創刊20周年記念フェア」からの男女の性差本。本書はテーマ的に「女性向け」かと思ったのですが、男性の私が読んでも得るところが非常に多かったです。
アマゾンの内容紹介から。
話が通じない、思いやりがない、わかってくれない、とにかく気が利かない…それでも、夫をあきらめない。夫婦70年時代のバイブル!40万部突破の『妻のトリセツ』、待望の第2弾!
送料を加味した中古よりは、このKindle版の方がお買い得となっています!
woodwork couple / strollers
【ポイント】
■1.女性脳の罠夫婦の危機はまだまだ続く。
やがて、子どもが自分の足で歩くようになると、脳は、「次の生殖相手」を探す気満々になる。生物の生きる目的の第一義は「繁殖」だからだ。よりよい遺伝子を求めて、脳はあくなき人生の旅をしている。
直近の繁殖相手よりいい遺伝子を、脳は求めてしまう。より免疫力の高い個体を。なぜなら、それこそがシステム論上、最も有効な繁殖手段だからだ。
厄介なのは、女性脳の場合、それが浮気心として表出しないこと。とにかく「直近の生殖相手」に腹が立って、イラついて仕方ない事態を経て、それを起爆剤にして、次の相手へのスイッチを入れようとすることだ。このため、女性は「悪いのはこの人。私じゃない」と思い込む。
■2.男は沈黙でストレスを解消する
男性脳は、おしゃべりが苦手である。
たとえ、楽しい会話でも、脳は緊張していく。男性脳の緊張を解くためには、安寧な沈黙が必要不可欠だ。
おしゃべりで緊張を解く女性脳からしてみたら、ここがなかなかわからない。
脳は、生存可能性が下がると緊張し(ストレスを感じ)、生存可能性が上がると緊張を解く(ストレスから解放される)。
女は、おしゃべりと共感で生存可能性が上がるので、おしゃべりをすればするほど、ストレスから解放される。
男は、沈黙と問題解決で生存可能性が上がるので、安寧な沈黙でぼうっとしたとき、ストレスから解放される。
ひたすらしゃべる妻と、ぼうっとして話を聞いていない夫。これは、ある意味、最善の方法なのである。互いに、脳の緊張を解いている状態だからだ。妻が、話を聞いていない夫に、腹を立てさえしなければ。そして、夫が、妻の話を聞かなきゃ、と、努力さえしなければ。
■3.夫のことばは裏読みしない
夫のことばには、多くの場合、裏がない。
「おかず、これだけ?」と聞くのは、「この鮭一切れで、ご飯2杯を食べればいいんだね?」という確認である。
それを、「1日家にいて、これだけしか作れないのか」に解釈するのは、酷というものだ。
仮に、意地悪な夫が皮肉で言ったとしても、気にせず「そうよ。足りなかったら、ふりかけあるよ。それとも、生たまごかける?」と言って、 爽やかにやり過ごせばいい。皮肉は、相手が反応するから意味があるのだ。皮肉を言っても甲斐がない妻は、やがて、皮肉を言われないようになる。
「今日は、帰るの、遅いんだ〜」も単なる確認である。「前から言ってたでしょ!」なんて、尖った声を出す必要もない。「そうよ」と明るく返せばいい。
■4.朝からやったことを列挙して泣く
「朝からやったことを列挙する」は、けっこう効く。第2章にも述べたが、男性は、女性の所作を認知していないので、妻がどんなに身を粉にしているか、わかっていないのである。
新婚のある日、私は、お皿を洗いながら、「なんで、私ばっかり」と悲しくなってしまったことがある。朝から、ご飯作って、2人のお弁当を作って、一緒に会社に行って、一緒に働いて、帰ってきたら、私だけが座る暇もなく、洗濯、料理と走り回る。夫はのほほんとテレビを観ているだけ。
そこで、私は、しゃがんで泣いた。朝からしたことを列挙して、「本当は、全部やってあげたいの。なのに、疲れてお皿が洗えない。悲しい」と泣いたら、「皿洗いくらい、僕がやるよ」と言ってくれ、後は、「皿洗い」が彼の担当になった。その使命感は、35年経った今でも、薄れていない。
■5.デートでは男性が壁を背にしてはいけない
理由は、壁を背にして座ると、店全体を眺めることになるからだ。男性の目線は、店全体を泳ぎ、扉を開けて入ってきた女性や、テーブル間を動くウェイトレスに、けっこうしっかりと照準を合わせてしまう。
これは、「狩りをしながら進化してきた男性脳」の自然な所作なのだが、ロマンティックモードの女性脳には、「自分に集中してくれない。気のない男」に見えてしまうのである。 (中略)
──なんていう話をしたとたん、講演会場全体から「あー」というため息が漏れた。後から聞いたところによると、マッチングで、女性から断ってくる理由の第1位が「あの人は、私に集中していなかった。他の人をちらちら見てました。私じゃないんじゃないですか」だそうで、仲人ボランティアの方々は、日ごろ、男性には「目の前の女性に集中しなさい」と注意しているそうなのだ。
そんなこと言っても、とっさに潜在意識で取る行動は、顕在意識では止められない。お見合いは、男性が目をそらさないですむ環境を整えてあげなければね。
【感想】
◆正直、この手の「男女の性差本」は、当ブログでは何冊もご紹介していますし、特に黒川さんの作品だけでも、3冊(性差本以外でもう1冊)レビュー済み。それでも本書を取り上げたのは、知らなかった論点がいくつか含まれていたからです。
その1つが、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目。
男性が繁殖を目的として他の異性に発情する、という現象は「クーリッジ効果」として知られていますが、女性の方でも「よりいい遺伝子」を求めているのだとは!?
確かに、それでも女性は安易に浮気をしないがゆえに、パートナーに腹を立てる、ということであれば、旦那さんを邪魔もの扱いする奥さんがいても不思議ではありません。
また、「問題解決を急ぐ」がために、「大丈夫?」「わかるよ」と言う前に、「君も、ここが悪い。直しなさい」と言ってくるのが男性脳の仕様です。
信頼している相手だからこそ、共感してほしい女性脳からしたら、これは裏切りに見えてしまう。なるほどね、そうだったのか!
◆もう1点、目からウロコだったのが、まさに上記ポイントの3番目にある「裏読み」のお話。
我が家の場合、平日は家族の食事が終わってから、私が帰宅して夕飯を食べるのが普通でして、その際たまにヨメがおかずを多めに作って、翌日のムスコのお弁当にすることがあります。
明らかに私一人用としては多かったり、逆にぴったり位ならばいいのですが、微妙に多いときに「これ余ったら、お弁当に持って行くの?」と聞くと、「これじゃ全部食べなきゃ足りない」という風にヨメに取られてヨメの機嫌が悪くなることが多々。
どうも彼女にしてみたら、まず私が好きな量を食べて、余ったら持って行くし、余らなかったらあきらめるみたいなのですが、やっかいなのが、他のおかずとの兼ね合いで弁当にするつもりもないのに、妙に量が多いパターンがあること。
そんなの最初から「全部食べて可」とか「余ったら弁当にする」と言ってくれればいいのですが、分からなくて私が問うと、カチンと来てしまうんですよね……。
他にも、彼女が「やる」といってやってなかった家事を私が「やっていいか?」と聞くと、それが「何でやらないの?」という風に取られたりとか、逆に聞かずに勝手に始めたら「あてつけ」と取られたりとか(涙目)。
私はてっきり、ヨメがそういう性格なのかと思っていたのですが、どうやら女性全般の傾向らしいので、ちょっと安心しましたw
◆さらに「夫婦対立」を避けるのに使えそうなのが、上記ポイントの4番目のTIPS。
これ、普通だったら、奥さんの方が「何で私ばかりこんなにやらなきゃいけない」とキレてしかるべきパターンです。
ところが旦那さんにしてみたら、その手の家事は「アサインされていない仕事」にすぎません。
そこであえて奥さん方から、「本当はしたいのだけど、できない(仕事は押しつけていない)」と訴える次第。
男性脳の「問題解決」志向からすれば、「ならば自分がやる」という結論に至るのはごく自然のことでしょう。
しかも特に触れられていませんが、男性は女性の涙に弱いのもポイントかと。
まぁ、実際には泣かないにしても、「自分はやりたいけどできない」と、暗に「どうしたらいい?」という風に持って行くのが、対男性脳の戦略としては正解だと私も思います。
◆一方、上記ポイントの5番目は、著者の黒川さんが、婚活事業の仲人役を担っているボランティア相手に行った講座からのもの。
私は昔から女性を壁際に座らせていたのですが、それは単に相手をもてなしたり、壁際の方が荷物が置きやすいからでした。
それが結果的にキョロキョロせず、ヒンシュクを買わずに済んだ模様。
それより逆に驚いたのは、その視線の動きで「自分に気がない」と思ってしまう女性の考え方です。
ただ、思い返してみても、サシで会っている目の前の女性が、自分以外のモノに視線を走らせていた記憶もないので、女性にしてみたら違和感があるのかな、と。
この「動いているものにフォーカスしてしまう」のは、男性のサガなので、女性の方にはご理解いただくともに、モテテクとして気を付けていただきたいところです。
パートナーがいる男女どちらにも役立つ1冊!
夫のトリセツ (講談社+α新書)
第1章 神は、夫婦を別れさせようとしている
第2章 使えない夫を「気の利く夫」に変える方法
第3章 ひどい夫を「優しい夫」に変える方法
第4章 脳とは、かくも厄介なものである
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【編集後記】
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