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2020年08月24日

【生産性】『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』村山太一


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なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、個人的に読んでみたかった仕事術本。

はてブ200超のnote「目黒の星付きイタリアンのオーナーシェフは、サイゼリヤでバイトしながら2億年先の地球を思う。」をご覧になかった方なら、要チェックな1冊です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
コロナでも黒字を達成し、「飲食業界の奇跡」とまで言われた星付きイタリアンのオーナーシェフ、初のビジネス書が発売。
伝説の三ツ星レストランで副料理長にまで上りつめた著者が次に求めたのは、サイゼリヤの「すごい生産性」だった。
経営するレストランの生産性は、なんと3.7倍に! 
成長したければ、MBAを取るよりアルバイトをしよう。

なお、272ページあるのに、単行本もKindle版も1000円しない、お買い得ぶりです!






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【ポイント】

■1.思考停止のワナ
 例えば、パスタはアルデンテが一番おいしく食べられます。
 そこで、先輩から「アルデンテの一歩手前でお客様に出して」と指示されて、何も考えずに言われたとおりにするのならウェイト&ストップ思考に陥っています。
「なぜ?」を考えてお客様を観察すれば、おしゃべりしながらゆっくり食べているのがわかるかもしれません。パスタはゆで上げた瞬間から、ソースの水分を吸い続けています。
 だからアルデンテの一歩手前で出すのが一番おいしく食べられるのだと理由がわかり、納得したらその作業に自主性が生まれます。(中略)
 上司に報告書を出すように求められたなら、そもそもなぜ報告書を出さなきゃいけないのかを考えてみる。「上司は全ての部下に目を配れないから、文書で読みたいんだ」と気づいたら、長文をタラタラ書くのは時間のムダだとわかります。簡潔にまとめれば作成する時間もかからないので、すぐに作業を終えられます。
 そうやって走りながら「なぜ?」を考え続けるんです。日ごろから考えるクセをつけておけば、盲目的に従う思考から抜け出せます。


■2.上場企業の「勝ち残る仕組み」を学ぶ
 今勤めている会社が上場企業であったとしても、他の上場企業でバイトしてみるのをオススメします。
 上場企業は会社ごとに仕組みやルールをきちっとつくっているところが多いと思います。ユニクロなら、ユニクロなりのレジや接客のルールがあるはず。そういうのを知れば、上場企業はなぜ上場できるのかがわかります。
 すでに効果が証明されている「勝ち残る仕組み」を身をもって体験することは、ものすごい学びになります。あなたの仕事に応用できれば、今までの何倍も活躍できるようになるかもしれません。僕がサイゼリヤで学び、レストランを改革できたのと、同じように。
 正社員になりたい人は、無印良品もオススメです。店舗のバイトを数年続ければ、社員になるための試験を受けられます。正社員になるところまで考えてなくても、ファンなら実際にお店で働いて無印ワールドを体感してみるのも面白そうです。


■3.マニュアルで生産性を向上させる
 僕はマニュアルを作成するのをスタッフに任せて、使い方もスタッフに任せました。(中略)
 例えば、「ディナー後の掃除と片付けから帰るまで」というマニュアルでは、「最後のお客様が帰ったら即、30分のタイマーをかけ、声をかける」と決めました。
 それから、「トイレの電源を切る」「ホールの電気、エアコン、音楽を切り、外の看板をクローズにする」「最後のテーブルの下げものをする」という感じで作業を細かく分けて、誰が担当するかも決めました。
 さらに、スタッフは掃除の仕方を細かく写真に撮って、共有できるようにしました。それを見れば、トイレ掃除は洗面所の周りも布で拭く、といった作業が一目でわかります。
 すると、みるみる作業効率が上がっていき、もはやタイマーをかける意味はなくなってしまいました。「タイマーをかけて集中して仕事する」というのは、当時としては最善手でしたので、これもマニュアルを超えて生産性が上がった好例かもしれません。


■4.読書の基本2点
(1)いろんな分野の本を読む――広げる読書
 料理人なら料理本だけを読んで料理の腕を上げていくのは基本パターン。少し気の利いた人は芸術や美術、茶道を習う人もいます。でも、それだとまだまだ足りません。
 自分の仕事と全く違うジャンルの本を読めば、知識も視野もグングン広がります。
(2)トップの人の本を読む――深める読書
 バイトや弟子入りでその分野でトップクラスの人や会社に学ぶのが超速で成長する秘訣のように、本もその分野でトップの人の本を読むのが基本です。
 ウォーレン・バフェットは「時代によって変わる原理原則はない」と語っています。
 これは真理だと思います。
 世の中の変化によって変わるものがあれば、それは原理原則ではないということです。
 だから、原理原則を語っていない人の本を読んでも、あまり意味はないかもしれません。


■5.人のためにやるのが一番楽しい
正垣 人のためにやるのが一番楽しいんだよな?
村山 自分のためにやっちゃうと誰とも共感できなくて楽しくないです。
正垣 そうそう、自分のためにやると楽しくない。そこには真理があって、人間っていうのはみんなつながっているから、困っている人がわかるの。つなっている人を引き上げるわけだよ。みんな手がつながっているから。だから、あなたの料理人としての目的は困っている人を助けるためなんだよ、多分。サイゼリヤはそう思っているんだよ。(中略)
 ビジネスの目的って何かって言ったら「人のために、何か役に立つために自分が生きる」ってことを教えることなんですよ。その道具として料理があるだけ。
村山 まさにそうです。たまたま料理の道に入っただけなので。
正垣 だから必ず成功しますよ。人のためにやろうとすればね。


【感想】

◆著者の村山さんが、どのような方で、サイゼで何を学び、いかにして自分のお店に活かしていったかが、非常によく分かる作品でした。

そもそも冒頭に挙げたこちらの記事を、未読の方はまず読んでいただきたく……。

目黒の星付きイタリアンのオーナーシェフは、サイゼリヤでバイトしながら2億年先の地球を思う。|美食倶楽部ネットワーク|note

はてブのホッテントリにも入ってきましたから、ご存知の方も多いと思いますし、私も一応バズった時点で目を通しておりました。

ただ、そちらでサラッと「イタリアの3つ星レストランで修行」なんて書かれていると、そんなに大したことではなさげに思えるものの、村山さんの場合は、最初はデザートづくりのパティシエとして1年半精進し、その後半年後にはキッチン責任者に抜擢されています。

このキッチン責任者、というのが実はメチャクチャすごいことのようで、アルマーニで働くご友人いわく「ユベントスやインテルなどのビッグクラブでキャプテンマークを着けているのと同じこと」なのだとか。

このお店では、ミシュランの星を取ってから20年以上、シェフが不在で店を開けたことはなかったのに、村山さんに任せて彼女は1週間旅行に出たことがあったのだそうですから、かなり信頼されていたようです。


◆そんな村山さんが、帰国して店を構えたのですから、成功間違いなし……と思いきや、自分が実践してきた方法論で経営するものの、うまくいかず。

そこで活路を見出そうと、バイトを始めたのが、サイゼリヤだったワケです。

上記ポイントの2番目では、このような「バイト」を勧めていますが、なるほど土日だけでもバイトを入れるというのも、学びがありそうな。

ただしその際注意すべきは、事前の準備を怠らないこと!
 僕はサイゼリヤの創業者の正垣泰彦会長の本を何冊も読んでいるし、正垣会長が影響を受けた渥美俊一先生の本は62冊読み込んでいます。
 働く前にサイゼリヤがどういう店なのかを知ったうえで入ったから、「本で書いてあったのはこういうことか!」とスルスル理解できました。
 となると、ユニクロでバイトするならば、柳井さんのご本を読み込む必要があるということですね。


◆そして村山さんは、このバイトによって、サイゼリヤの生産性の高さの秘密を掌握し、それをご自分のお店に反映させていきます。

その中の1つが、上記ポイント3番目にある「マニュアル」。

こうしたマニュアルがあることにより、お店のスタッフは自分で「自走」することができるようになりました。

また、サイゼリヤを見習って、上下関係を撤廃。

一般的な高級レストランでは、キッチンではシェフが、ホールでは支配人がすべての権限を握るところ、村山さんのお店では、大幅な権限移譲を行い、フラットな組織にしたのだそうです。

また、普通はホールとキッチンの仕事がハッキリ分かれているところ、お互いに手伝うようにした、というのは、まさにサイゼリヤが実践していることだな、と。


◆こうした実践的なお話に続いて、第5章ではビジネスパーソンを意識したかのごとく(?)、村山さんは「読書」を推奨されています。

そこで上記ポイントの4番目のお話をセレクトしてみました。

本書のタイトルでは「偏差値37のバカ」と謙遜されていますが、上記の「バイトの事前準備」の部分で「渥美俊一先生の本は62冊読み込んでいる」と言われていたように、村山さんは必要があればしっかり読まれている模様。

さらに本書の巻末の付録では、村山さんが何十回何百回と読んできた本が12冊紹介されていますので、こちらもぜひご確認ください。

もちろん、上記の事前準備で触れられている正垣会長の作品のほか、本田宗一郎氏や、松下幸之助氏の作品(松下氏は他の方が著者ですが)も登場します。

ちなみにほとんどが既知の作品だった中、この2冊は初めて目にしましたので、備忘録代わりに。

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祇園の教訓―昇る人、昇りきらずに終わる人

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だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール


◆また同じく、巻末の付録として収録されていたのが、その正垣会長と堀埜社長というサイゼコンビを迎えて行われた鼎談です。

そこから一部引用したのが、上記ポイントの5番目。

そもそも、上記のnote記事がサイゼリヤ内でも話題となって、堀埜社長がこのように村山さんのお店を訪れていました。

サイゼの社長が食べにきた|村山太一 ラッセオーナーシェフ|note

このエントリーで、堀埜社長が「正垣会長が来たら独演会になる」と言われていたように、途中まで堀埜社長も交えて3人で話していたのが、途中から上記ポイントのように、正垣会長が話しまくって、村山さんが同意する展開になっております(でも面白いのでぜひご一読を!)。

なお、ここで興味深かったのが、サイゼリヤ1号店の裏話。

「八百屋が入口を塞いでいる」というのは、正垣会長の本でもありましたが。

サイゼリヤ 1号店 教育記念館|本店の旅 - 飲食チェーン店本店と発祥の1号店

こういう環境ゆえ、八百屋のものでトップの商品を作ろうと思い、サラダに力を入れたのだとか。

……正垣会長、いちいちロジカルですわw


サイゼリヤの生産性を見習いたい方なら必読!

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なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法
第1章 超速で行動するサバンナ思考
第2章 超速で成長するマヨネーズ理論
第3章 MBAより成長する休日バイト
第4章 幸せでフラットなチームが最強
第5章 読書は最強のサバイバルツール
第6章 いつの時代も夢をかなえるのはバカ
付録 サイゼリヤ会長&社長座談会
付録 村山太一のベスト本リスト


【関連記事】

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【サイゼファン歓喜!?】『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』稲田俊輔(2019年11月08日)

【スゴ本】『トマトが切れれば、メシ屋はできる 栓が抜ければ、飲み屋ができる』宇野隆史(2011年05月12日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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参考記事:【自己肯定感】『敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』根本裕幸(2017年12月19日)


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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