【健康】『疲れない体を脳からつくるボディハック』鈴木孝佳:マインドマップ的読書感想文

2020年08月16日

【健康】『疲れない体を脳からつくるボディハック』鈴木孝佳

疲れない体を脳からつくるボディハック

【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも人気だった、健康本。

下記でご紹介している「寄り目だけで体が柔らかくなるテスト」で効果があった方は、必ずや一読の価値がある1冊です！

アマゾンの内容紹介から。

脳科学や解剖学、生理学などに基づいた世界最先端のトレーニングメソッドで、脳から体の使い方を変え、不調を取り除く。それが、本書でご紹介する「ボディハック・トレーニング」です。

中古がやや値下がりしていますから、1割引きのKindle版がオススメです！

Glenn Otis Brown stretches / skyfaller

【ポイント】

■1.口は呼吸するための器官ではない

　口呼吸は、疲労感・アレルギー・肌荒れ・老け顔・虫歯につながります。こうしたトラブルが起こるのは、口は本来、呼吸器官ではないから。唇は口に入れた食物がこぼれないようにし、言葉を発し、表情をつくるためにあります。舌や歯も、口に入れた食物を識別し、消化しやすく噛み砕くためにあります。口は消化器官であって呼吸器官ではないのです。
　本来の呼吸器官は、鼻・喉・肺。鼻呼吸を前提に人間の体はできているので、口呼吸が慢性化すると脳にバグが発生し、体にはトラブルが出てしまいます。

■2.ちょっとした刺激で脳は目覚める

　じつは、「寄り目だけで体が柔らかくなるテスト」は、この脳と体の仕組みを応用したものです。〝寄り目〟をするときには、脳が眼球を動かす筋肉に「動け」と信号を出します。その信号を出しているのが「滑車神経」と呼ばれる脳神経です。そして、滑車神経の本部がある中脳の役割の1つが〝体を丸めやすくする〟というもの。スマホやパソコンばかり眺めている生活だと、目は決まった方向にしか使われず、場合によっては中脳の機能は低下しています。そこで普段はしないような目の使い方をすれば、新たな刺激を与えることができます。その結果、中脳の機能が改善されたことで、体を丸めやすくなったわけです。テストで変化がなかった方は、日頃から滑車神経を適切に刺激できているのかもしれません。

■3.ボディチェック・テスト：指鼻タッチ

●概要
　これは目を閉じて鼻に触ることで「ボディマップがしっかりしているか」、そして「小脳の機能がきちんと働いているか」をチェックするテストです。ボディマップがしっかりしていれば、どの指でも正確に鼻先をタッチすることができます。(中略)
●チェックポイント
〇7本以上：ボディマップと小脳がしっかり働いている可能性が高い
△4～6本：ボディマップがぼやけ、小脳が少し弱っている
×3本以下：ボディマップがかなりぼやけ、小脳が弱っている
●手順
(1)リラックスした姿勢で立ち、両手を前に伸ばして目を閉じる
(2)右手の人指し指の先端を鼻先につけ、元の場所に戻す
　※指先が鼻に向くように手首の角度に気をつけ、スピードを落とさない
(3)同じように中指、薬指、小指の先端を順に鼻先につける
(4)右手の4本ができたら、左手も同様に繰り返す

■4.全人類にオススメ：セラタススクワット

●概要
　これは、脇の筋肉「前鋸筋（Serratus anterior muscle）」を鍛え、呼吸と姿勢だけでなく、筋肉・関節の動きも改善するエクササイズです。肋骨と肩甲骨の位置を正し、猫背や反り腰を矯正することができます。さらに、足のボディマップが刺激されて、立つ姿勢や歩く姿勢も自然と正されます。肋骨と骨盤を結ぶ筋肉も動かすことで、腰痛の改善にもつながります。
　ボディチェック・テストですべてに○がついても、これだけはずっと続ける価値があるエクササイズです。
　肘は壁から離さず、お尻が突き出ないよう腰を内側に丸め、顔は前を向き続けてください。脇腹と肩甲骨のあたり、スネがきつく感じれば、正しい姿勢です。(中略)
●手順
(1)壁に向かって立ち、肩幅で腕を壁につける
(2)膝を壁に近づけてしゃがむ
(3)壁から離れるように背中を丸める
(4)口から5秒間ゆっくりと息を吐き、5秒間息を止める
(5)鼻から5秒間、背中に空気を送り込むイメージでゆっくりと息を吸う
(6)これを5回行う

■5.階段を上れば理想のスクワットが身につく

　階段を上るときに意識すべき筋肉は「ハムストリングス」（お尻と太腿のうしろにある筋肉）と「殿筋群」（お尻の筋肉）です。膝が伸びていると階段を上ることはできないので、不可避的にこの筋肉を使います。
　足を鍛えるトレーニングとしてはスクワットが代表的ですが、じつはスクワットは意外にもフォームが難しいのです。立ち上がる際には、膝は内に入れず、爪先より前に出してはダメ。また、股関節より先に膝が先に伸びてしまうと太ももの前の筋肉が過剰に使われ、膝にも大きな負担がかかります。理想の立ち上がりは「お尻を前の壁へ押し出す」イメージ。
　このように、自分ひとりで正しいフォームでスクワットを行うのは意外と難しいのですが、階段を上るときには誰でも自然と正しいフォームでトレーニングを行うことができるのです。

【感想】

◆冒頭で触れた「寄り目だけで体が柔らかくなるテスト」を楽しみにされていた方も多いと思うのですが、上記ポイントでは他との絡みでご紹介できませんでした。

そこでここにて改めて引用を。

(1)直立姿勢から足を閉じて前屈し、地面にどこまで指が近づくか確認する
(2)元の姿勢に戻り、20秒間〝寄り目〟で鼻先を見つめる
(3)再度、前屈をして確認する

いかがだったでしょうか？体は柔らかくなったでしょうか？

私も最初は

「こんなの2度目にやったら、カラダが柔らかくなって当然やん！」

と疑って、上記(2)の「寄り目」をする前に、「何もしないで2回目」の前屈をしてみました。

すると指の位置は、ほぼ変わらず。

ところが、今度は20秒間「寄り目」をしてから再度前屈をしてみると、明らかに数センチ余計にかがめてビックリの巻!?

思わず「なんでやねん！」とツッコミを入れてしまいましたよ。

◆その「寄り目」効果の理由は、上記ポイントの2番目にもあるように、「普段はしないような目の使い方」をしたから。

まさか体の固さが脳に関係しているだなんて、考えたこともありませんでした。

また、このような「脳と体」の関係は、それこそ体の固さだけにとどまらず、さまざまなつながりがある模様。

そして、この考え方に基づく、本書の第4章以降で紹介されている「ボディハック・トレーニング」は、感覚システムに適切な刺激を与え、脳と体の不調を段階的に改善していくのだそうです。

……と、ただ字面で言われただけだったら、個人的にはマユツバだったと思うのですが、上記の「寄り目だけで体が柔らかくなるテスト」のおかげで、かなり信頼しきっている自分（単純）。

ただし、やみくもにトレーニングをすればよいのではなく、その人の体の具合によって、トレーニングを選んでいかなければなりません。

◆そこで、その「体の具合」を判定するのが、第3章に収録されている、「呼吸編」「ボディスキーマ編」「小脳編」に分けられた、計11個の「ボディチェック・テスト」。

たとえば上記ポイントの3番目の「指鼻タッチ」は、その中の1つで、「ボディスキーマ編」に属するものになります。

私は一応、8本全部タッチできたので、「〇」という評価のよう（えがったｗ）。

ちなみに上記ポイントにある、テキストの説明だけでは分からなくとも、本書にはイラストも載っていますし、そもそもすべてのテストに解説動画のQRコードも載っていますからご安心ください。

……直接サイトへのリンクが張ってあれば、PC版のKindleで読んでいる私はダイレクトに飛べるんですけど、最近はQRコードのみがほとんどですよね（スマホでQRコードを読み込んで観ました）。

そして、11個全部のテストを終えたら、チェックリストに記入し、それに応じた「ボディハック・トレーニング」へと移る次第。

◆さて、その「ボディハック・トレーニング」ですが、こちらも「呼吸編」「筋肉と関節編」「前庭感覚編」に分けて、今度は17個も紹介されています。

上記ポイントの4番目の「セラタススクワット」は、上記の「呼吸編」からのもの。

本当はすべてのトレーニングにおいて、上記ポイントの4番目の「指鼻タッチ」同様、「概要」と「手順」の間に「チェックポイント」が挙げられているのですが（解説動画のQRコードもアリ）、ボリュームの関係で割愛しました。

それにしても、著者の鈴木さん激推しの「セラタススクワット」とはいかなるものなのか？

ググってみたところ、鈴木さんご自身のツイートがヒットしました。

全人類とりあえずこれだけは！
この体操だけは毎日やっておくことをオススメします！

猫背にも反り腰にも肩こりにも効きます。
私は健康体ですが毎日起きたらやります。
墓場まで持ってく価値あります。

最初は難しいですが、効果はバツグンですチャレンジしてみて下さい！

毎日1分ぜひ！ pic.twitter.com/YpFZo2aHhF
— 鈴木孝佳｜パーソナルトレーナー (@takasuzuki1123) October 28, 2019

あー、これどこかで見た記憶が、と思ったら、ブクマ400超のはてブホッテントリ。

ただ、とりあえず（？）ブクマされた方も、この動きの何が良いのか、このツイートだけでは分からないと思いますが、本書を第1章から読んでくれば、なるほど、と腑に落ちると思います。

◆一方、最期の第5章のテーマは、健康を保つための生活習慣について。

「運動編」「睡眠編」「食事編」「冒険編」とあるうち、「睡眠編」で気になったのが、上記ポイントの1番目でも触れられていた「口呼吸」でした。

睡眠中に物理的に口をふさぐために、テープ等のグッズがある中で、鈴木さんご推奨の「ベスト口テープ」がこちら。

ニチバン低刺激ばんそう膏スキナゲートメッシュ 12mm幅 7m巻き 1巻入り

ウチのムスコも口呼吸っぽいので、機会があれば試してみたいと思います。

また、「運動編」から抜き出したのが、上記ポイントの5番目の「階段上がり」。

私自身、階段を駆け上がる際には、もも裏を意識して使うようにしているのですが、スクワットよりも「正しいフォーム」で鍛えられていたとは知りませんでした。

……ほかに運動らしい運動をしていないので、これくらいは引き続き頑張らなくては。

「脳」を意識した、体作りが学べる1冊！