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2020年08月14日

【オススメ!】『世界で一番やさしい 資料作りの教科書』榊巻 亮


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世界で一番やさしい 資料作りの教科書


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「Kindle本 夏のセール」の日経BP分の記事でも人気だった資料作成本。

現時点で62個のアマゾンレビューの平均が「4.6」という、中々の高評価作です。

アマゾンの内容紹介から。
あの鈴川葵が帰ってきた。入社4年目になった彼女は、今度はプレゼンに悩んでいる。職場のコミュニケーションを、資料作りを通して変えていく。コンサルタントの父が授けた「資料作りの7つのStep」「コミュニケーションの3つのお作法」などを実践し、相手に自分の主張を伝える極意を身に付けていく―。一枚ものの資料は3stepで完成。キーメッセージが全ての軸になる…プレゼンが伝わる、手戻り・修正なし。誰にも教わらなかった“伝え方”の鉄則がわかる!若手女子の成長物語から学ぶシリーズ第2弾!!

中古がそれほど値下がりしていませんから、送料を踏まえるとこのKindle版が600円以上お買い得です!







【ポイント】

■1.キーメッセージを確認する3つの質問
Q1.これは「××」さんに見せる資料ですよね?
Q2.結局、この資料で「××」ってことが伝えたいんですよね?
Q3.その結果、相手に「××」と言ってもらえればいいんですよね?
「最初の質問で、この資料を見るのは誰かを確認する」
「誰が見るかか。言われてみれば当たり前だけど、確かに確認していないな。これは課長に聞きやすいかな」
「そうだな。次に『結局、伝えたいことってこれですよね?』という感じで、質問をすればいい」(中略)
「最後に三つの目の質問で、相手にどういうリアクションをしてほしいのかを聞くんだ。『その結果、そんなにおいしいの? じゃあ、1つ食べてみようかな、と言ってもらえればいいんですよね?』って感じかな」


■2.良い依頼の条件:目的と背景が明確
「これには目的だけでなく、背景も含まれる。父さんは『目的と背景が明確』であるという言い方をしている」。父のノートに書き込みが増える。
「目的と背景か」
「さっきノートに書き出した良い例と悪い例を見てみると、例えばこれ。『資料に誤字脱字がないか、確認してくれないか』はすべきことが明確なので悪くない」
「そうね」
「でも、『実はさ、前回お客様に漢字の変換ミスを指摘されちゃったんだ。ミスが続くと信頼されなくなるから、誤字脱字のチェックをしてくれないか?』といった感じで目的と背景まで合わせて伝えてもらえたら、受ける側もやりやすくなるし、しっかりやろうと思うだろ?」
「むむっ! 確かに。しっかりやらなきゃって、自分のことのように感じるかも」
「実に素直だな」。父がニヤニヤしながら言った。


■3.コミュニケーションの3つのお作法
1.発言に見出しをつける
「ウチのコンサルタントが必ず上司に言われるのが『発言に見出しをつけなさい』ってこと。発言に見出しがつくと、話の明瞭さがグッと上がるのよ」。
2.質問にストレートに答える
「ストレートに答えるって、どんなイメージですか?」。葵が首をかしげる。
「質問されたときに、いきなりダラダラと話を始めるのではなく、まず聞かれたことに対してストレートに一言で答える。詳しい説明はその後。(中略)」
3.最後まで言い切る
「これまでの2つは、話し始めをハッキリさせるためのお作法だったでしょ。3つ目は言い終わり。つまり、語尾をハッキリさせるお作法」。矢口は料理をかき分けながら、器用にパソコンを動かす。
「ズバリ言うと、 最後までハッキリと言い切れってことね。(中略)」


■4.伝わる資料を組み立てる7つのStep
Step1 発散:自分が話したいことを、思いつくままに書き出す
Step2 主張と要望:言いたいこと+相手にしてほしいことを一言で表現する
Step3 相手の状態:コミュニケーションの相手と、その人の状態・状況を明確にする
Step4 シナリオ:Step1で出した情報をスライドごとに内容を分割し、構成を決める
Step5 ラフスケッチ:パワーポイントに落とし込んだときのラフスケッチを描く
Step6 電子化:Step5までの情報を基に、パワーポイントのスライドを作る
Step7 レビュー:一晩寝かせ、聞き手の気持ちで読み返して修正する

(詳細は本書を)


■5.最初に「聞き手の態勢」を作る
「まずプレゼンを始める前に、今から何の話をするのか、何のために話すのか、その結果、聞き手にどうなってほしいのかを念入りに伝えるといい」
「始める前に?」
「そうだ。プレゼンは最初がとても大事なんだ。相手の聞く態勢が整っていないと、何を話しても伝わらない。父さんは相手の聞く態勢ができたと確認できるまでは、プレゼンを始めないことにしている」(中略)
 父がうれしそうにしている。「そういうこと。発言の前に見出しをつける、プレゼンの前にも見出しをつける。そして新しいスライドを話し始める前にも、口頭で見出しをつけるといいぞ
「あ! そこも一緒か」
「うん。スライドごとに『ここでは××を伝えたいです』と一言言ってから説明に入ると、より伝わりやすくなる」


【感想】

◆非常に腑に落ちまくった「資料作成本」でした。

ただ、あとがきによると、本書は内容的には「コミュニケーションの教科書」ないしは「伝え方の教科書」が相応しいとのこと。

実際、上記ポイントの3番目は「コミュニケーション」に関することですし、上記ポイントの1番目も「確認するための質問」のお話ですから、「資料作成以前」になります。

さらに、本書の第6章では、作成した資料を使った「プレゼンテーション」がテーマですから、本記事のカテゴリーを選ぶのにも迷いました。

そういう意味では、あとがきで著者の榊巻さんが
最終的に「資料作りの教科書」というタイトルに落ち着いたのは、ビジネスパーソンなら誰もが悩む資料作りをきっかけにして、「伝える」ことの本質に切り込んでいくことを狙ったからだ。
と言われているのも、うなずけるところです。

ちなみに、よく普通の資料作成本にある、色使いやフォントの話は一切ありませんからご留意を。


◆さて、上記引用部分は、その大半を本書の「物語部分」から抜き出したので、分かりにくかったかもしれません。

一応本書のストーリーの概略をお伝えしておくと、前作『世界で一番やさしい会議の教科書』で活躍した、入社4年目の主人公「鈴川 葵」が、本作では新しいプロジェクトの資料を作成し、それを関係者に対してプレゼンを行うというもの。

ところが、上司からの指示は曖昧だし、後輩は的を射ないし、他部門のプロジェクトメンバーからのメールはグダグダと、八方ふさがりに陥ります。

そこで助け舟を出すのが、「業界では名の通ったコンサルタント」である葵の父。

基本的に本書のTIPSは、すべてこのお父さんの発言になります(上記ポイントの3番目だけ、葵の父の会社の女性コンサルタントである矢口のもの)。

さらには、葵と同じ会社で米国勤務の片澤(葵の彼氏でもあります)が、米国では当たり前のコミュニケーション作法を身につけており、葵をサポートする仕様。

父親、矢口、片澤の3人と食事をした際には、葵自身、かなりスキルアップした印象を受けました。


◆一方、上記の各ポイントを見ていくと、まず1番目の「キーメッセージを確認する3つの質問」は、「一枚ものの資料作り」からのもの。

そもそも資料には、キーメッセージがなければなりません。

そこで、たとえ資料作成時に曖昧な指示を受けたとしても、このように確認すれば間違いのない次第。

また、上記ポイントの2番目にある「目的と背景が明確」というのは、第3章の「仕事を受ける/依頼する」にある「良い依頼の3つの条件」の中の1つです。

もちろん、目的と背景がなくとも、指示としては問題ないでしょうが、これらが加わることで、「考える余地が増える」というのは確かにそうかも。
「これもそう。『A4の 2in1 で、両面印刷。白黒で左肩をホチキス留め。全部で3部、お願い』という話」
「これもすべきことは具体的よね。これに期限を加えて伝えてくれたら完璧に思えるけどな」
「そう、これに目的と背景を加えてみよう。例えば…」
「『お客様に提案に行くんだけど、そのときに資料として提出したいんだ』と言われたら、少し意識が変わらないか?」
「ああ。そうかも。クリアファイルに入れておこうかなとか、少しいい紙に印刷しようかな、なんて考えちゃうかも」。葵は目を丸くしている。
今後指示を出す際には、ぜひ「目的と背景」を意識してみてください。


◆また、上記ポイントの3番目の「コミュニケーションの3つのお作法」は、第4章から抜き出しました。

これは上記で触れた、父親、矢口、片澤の3人と葵が食事をした際に、矢口からレクチャーされたTIPS。

実はこの時は、片澤が一時帰国しており、葵の父親の会社で葵の会社の社員と一緒に勉強会を開いたのですが、そこで明らかになったのが、葵の会社の社員たちは、この「3つのお作法」が全然守れてないということでした。

ボリュームの関係で、上記ポイントでは具体例をすべて割愛していますから、「何がどうダメなのか」をぜひ本書にてご確認ください。

さらに第5章では、いよいよプレゼン資料を作るのですが、これがなんと、葵の父の会社の「資料作成トレーニング」に、葵たちが参加することで行われます。

ここでは、Step1からStep4まで、念入りに解説されていますから、まさに本書のタイトルにある「資料作り」が目的の方は、ぜひ熟読してください。

ちなみにトレーニング自体が、このStep4までであり、残りは第2章で解説された「一枚ものの資料作り」と同じとのことで、ホントに本書には、色使い等のお話はでてきませんでしたw


◆そして最後の第6章の「伝わるプレゼンテーション」から引用したのが、上記ポイントの5番目。

この章では他にも、作成した資料を用いたプレゼンテーションのTIPSが満載ですから、第5章と合わせてご確認ください。

ちなみに個人的にちょっとショックだったのが、「TEDを見てもプレゼンはうまくならない」というお話。

詳しくは本書にてご確認いただきたいのですが、要は「プレゼンのコツとして紹介されていることの大半は、伝えたいことが洗練されていて腹落ちしていれば、『自然とそうなる』という類のものばかり」なのだそうです。

そういう意味でも、本書を読んで、まずは「資料作成」に万全を期していただきたいな、と。

実際、物語形式だと「理解しやすい」と改めて感じた次第です。


コミュニケーション全般に強くなること必至の1冊!

B082F8V923
世界で一番やさしい 資料作りの教科書
第1章 伝わらないグタグダな資料
第2章 一枚ものの資料作り
第3章 仕事を受ける/依頼する
第4章 会話をかみ合わせる
第5章 プレゼン資料を作る
第6章 伝わるプレゼンテーション


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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