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2020年08月12日

【科学的自己啓発書】『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』堀田秀吾


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最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも、当ブログ向きと思われる「科学的自己啓発書」。

著者の堀田秀吾さんは、以前当ブログでも『科学的に元気になる方法集めました』が人気だった、エビデンスベースで執筆される方です。

アマゾンの内容紹介から。
迷いが行動に変わる方程式。世界の一流機関が科学的に証明した、行動最適化マネジメント45。成功確率はコイン投げで決めても一緒。

中古が若干値下がりしていますから、1割引きのKindle版がオススメです!





donut worry... {lawn fawn inspiration week} / mom2sofia


【ポイント】

■1.心配事の9割は起こらない
 そう。人は多くの場合、起きた問題自体に対して悩んでいるのではありません。
 もしもこうなったらどうしたらいいのか? ……でも、こんなことが起きたら? もしもうまくいかなかったら? と、まだ起きていない未来について考え続けているのです。
 これに関連して、ペンシルバニア大学のボルコヴェックらはこんな研究結果を発表しています。
 それは、「心配事の79%は実際には起こらず、16%の出来事は事前に準備を起こしていれば対処可能」ということです。
 心配事が現実化する確率は5%ということですね。この5%の確率で起きることは、たとえば未曽有の天災など自分ではどうしようもないようなことになります。ほとんどのことは、「適切に準備をしていれば、いざそうなっても大丈夫」なことなのです。


■2.ものごとは「ざっくり」覚えるほうが判断が早くなる
 トロント大学のリチャーズらによると、ものごとの記憶はすべてを詳細に覚えるのではなく、ディテールは忘れてざっくり記憶したほうが意思決定が早くなると報告しています。
 というのも、脳のキャパシティーには制限があります。
 より重要なことを判断するためには、このキャパシティーは空けておいたほうがよいのですが、細かいことを記憶するとキャパシティーがいっぱいになり、柔軟な思考ができなくなるというわけです。(中略)
 脳はよくできていますから、詳細は覚えていなくとも「あのときって、こういう感じだったよね」とざっくりと記憶しており、その経験を抽象化することができます。
 つまり、似たような出来事を積み重ねていくことでパターン化したり、法則化したりして、ものごとの優先順位を自然につけてくれるのです。
 勉強もそうかもしれませんが、すべて丸暗記ではなく、大事なこととそうでないことをグラデーションで分けて、「ポイント」で記憶していくのが考えすぎないコツの一つと言えそうです。


■3.感情を書きだすことで不安は軽減される
 お伝えしているように、ネガティブな感情は脳の大脳辺縁系という部分でわき起こります。この感情をおさえるのが、「考える脳」の大脳新皮質です。感情をコントロールするには、この大脳新皮質をいかに働かせるかがポイントになってきます。
 その点、不安な感情や考えを書き出すというのは「思考を働かせて分析する」作業です。分析しているときには、大脳新皮質(その中でも特に前頭葉)がよく働きます。つまり、不安を書き出したグループは、思考を分析する作業によって前頭葉を働かせ、冷静さを取り戻すことができたのです。(中略)
 書き出すときのポイントとしては、「洞察語」を使うことです。
 洞察語とは、「思う・感じる・わかる」などの思考や理解に関する言葉のことで、これらを多く使った人ほどネガティブな感情が軽減されることがわかっています。
 テスト前の不安を書き出すことと同じで、要するに自分の考えや感情をより深く掘り下げて書くことが重要なようです。


■4.笑うことは生命力も高める
 ロマリンダ大学のバークらの研究で、この実験では1時間ほどのおもしろい映像を参加者たちに見てもらいます。その前後と12時間後の血液をとり、笑うことと身体にどんな関係があるかを調べるというものです。
 この結果、おもしろい映像を見ると、血液中のさまざまな成分がポジティブな反応を示すことがわかりました。つまり、「免疫力がアップした」のです。
 興味深いのは、 視聴から12時間後でも免疫力が上がっている、という結果になったことです。笑いの効果は持続性があるようなのです。(中略)
 まじめに何かに取り組むのも大事なことかもしれませんが、バカバカしいことで笑うのも必要なことなのです。ぜひ、すべてを忘れて、大笑いしてガス抜きをして、さらにパフォーマンスを高めてみてください。


■5.コーヒーを飲むより、階段をのぼる
 この作業中、参加者たちにはそれぞれ
(1)「カフェインを摂取する」
(2)「プラセボ(カフェインと言って出すが、本当は違うもの=「偽薬」)を摂取する」
(3)「10分間階段を上り下りする」
という3パターンの行動をしてもらいました(日を空けて、それぞれ別々の日に実施)。どれがもっとも効果があるかという実験です。
 この結果、もっとも作業効率やモチベーションが高まったのは(3)の「10分間階段を上り下りすること」だったのです。
 コーヒー1杯にはおおよそ50ミリグラムのカフェインが含まれますが、このカフェインの効果よりも、運動のほうが効果的だとわかりました。さらに、 コーヒーによるカフェイン摂取の効果は、プラセボ(偽薬)を摂取したときと大差ない という結果になったのです。


【感想】

◆期待したとおりの「科学的自己啓発書」でした。

各TIPSごとに、それぞれ元となる文献があって、それらはすべて巻末の「参考文献」にダーッと掲載されている仕様。

そういう意味では、キチンとしたエビデンスに基づいて書かれている、と考えてよいでしょう。

さっそく中身を見ていくと、まず第1章は「考えすぎる理由・考えすぎない方法」ということで、本のタイトルとも関連が深いもの。

上記ポイントの1番目はこの章からなのですが、ここにあるペンシルバニア大学のボルコヴェックの研究は、初めて目にしました。

確かに、あれこれ悩んでいる(≠考えている)状態が、「一番無駄」だとよく言いますから、こういう比率を知っておくと、悩まずに済みそうです。

また、この章では過去何度かご紹介している「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」についても触れられていますから、興味のある方はご確認を。


◆続く第2章のテーマは「行動の最適化」。

冒頭の内容紹介にあった「成功確率はコイン投げで決めても一緒」というお話も、この章で解説されていました。

ただ、その元ネタは、当ブログでご紹介済みであるこちらの本で、著者のS・レヴィットが行ったものらしいので、一応今回は割愛。

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0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる

参考記事:【『ヤバ経』再び!】『0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる』スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー(2015年02月15日)

代わりに「意思決定」に関するTIPSとして挙げたのが、上記ポイントの2番目です。

なるほど、「大事なこととそうでないことをグラデーションで分ける」というのは、勉強法でも言えることかと。


◆また、本書の第3章から抜き出した、上記ポイントの3番目の「不安があったら書き出す」というTIPSは、類書でもおなじみのもの。

ただし、その仕組みについては、私自身よく分かっていませんでしたが、脳の別の部分を働かせるから、不安が軽減するのだとは!

さらにはその際に「『洞察語』を使う」というのは、まったくの初耳でした。

ちなみに、この章ではほかにも「衝動に駆られたときには30秒の「タッピング」が効く」というTIPSが非常に興味深かったので、ぜひお目通しください。

……タッピングの代わりに、スマホで「テトリス」をプレイするのもいいそうなのですが、その「テトリス」がやめられなくなったらどうするのか疑問w


◆一方、上記ポイントの4番目は、本書の第5章からのもの。

テーマが「ポジティブ」ということで、この章のTIPSは、類書でも目にしたものが他にもいくつかありました。

「笑顔がストレスに効果的」だったり、「ネガティブな態度が周囲に伝染する」等々は、自己啓発書ファンならおなじみだと思います。

とはいえ、それらのすべてについて、エビデンスを明らかにしているのが本書のキモですから、私自身、改めて納得できた次第。

また、この章で割愛した中では、「ネガティブなときに、自分を三人称に置き換えて『ああ、彼は今ネガティブだな〜』と客観視する」というTIPSは、今度試してみたいと思います。


◆なお、本書の第6章から引用した、上記ポイントの5番目のTIPSは、運動苦手な私には「耳イタイ」もの。

なるほど、コーヒー飲むくらいなら、階段の上り下りをしろ、ということですな。

……って階段で10分も上り下りしてたら、リフレッシュ以前に疲弊しそうなんですが、その辺のツッコミはなかったのか!?

いずれにせよ、コーヒーを飲みすぎるよりは、軽い運動の方が身体にも良さそうですから、冷房の効いたビルの階段でお試しください。

他のTIPSとしては、「カラオケがストレスにいい」そうなのですが、これまた今のご時世だと活用しにくいかも!?

ただ、これもホルモンの関係によるものとのことで、エビデンスがちゃんとあるとは意外でした。


理詰めで納得したい方なら、一読の価値アリ!

4801400787
最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方
第1章 考えすぎる理由・考えすぎない方法
第2章 行動を最適化する
第3章 不安から「冷静」へ
第4章 最高に集中する
第5章 態度だけはポジティブであるべき理由
第6章 脳、体、心のつながり
第7章 リセット&GO!


【関連記事】

【科学的?】『科学的に元気になる方法集めました』堀田秀吾(2017年02月17日)

【『ヤバ経』再び!】『0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる』スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー(2015年02月15日)

【科学的自己啓発書】『実践 幸福学: 科学はいかに「幸せ」を証明するか』友原章典(2020年01月12日)

【科学的成功本】『ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」』アルバート=ラズロ・バラバシ(2019年07月01日)

【スゴ本!】『ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』鈴木 祐(2019年09月21日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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当ブログでも下記のようにレビュー済みで、故・瀧本哲史さんが序文を書かれたピーター・ティールの人気作は、Kindle版が700円以上お得な計算です!

参考記事:【スゴ本!】『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ(2014年09月26日)


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