2020年07月27日
【お金?】『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』アンドリュー・O・スミス
アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書 FINANCIAL LITERACY FOR MILLENNIALS
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「夏の読書フェア」からの1冊。発売当時に土井英司さんがメルマがで取り上げていますから、すでにお読みの方も多いと思います。
アマゾンの内容紹介から。
全米の学生が学んできた大ロングセラーの教科書!これからの世界を生きる上で必ず役に立つ一生モノのお金の基礎知識!
中古に送料を足すと定価を上回りますから、Kindle版が800円以上お買い得です!
Monopoly / John-Morgan
【ポイント】
■1.お金の専門家との付き合い方お金の専門家の仕事は、お金に関するアドバイスをすることだ。資格が必要な場合もあれば、そうでない場合もある。いずれにせよ、資格があるからといって、その人の言うことが全面的に信用できるというわけではない。
まず覚えておかなければならないのは、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーを名乗る人の多くは、特定の金融機関や保険会社からお金をもらって契約しているということだ。だから、自分が契約している金融機関の金融商品や、保険会社の保険をあなたに売ろうとする。
もちろん、金融商品を買うこと自体に問題があるわけではなく、保険が必要になることもあるだろう。しかし、特定の会社とつながっている専門家のアドバイスを鵜呑みにすると、自分にとって本当に必要なものが選べないという事態になってしまうのだ。
■2.「人的資本」を高める働き方
職業をベースにしたキャリアを歩んでいる人は、人的資本がしっかりしていれば、勤め先が変わっても立派に通用するので、キャリアアップのための転職を望むことができる。また、業界をベースにしたキャリアであっても、人的資本がしっかりしていれば、同じ業界内でステップアップしていくことができる。ただし、違う業界に転職した場合、前の業界で身につけたことが役に立たなくなるかもしれない。
おすすめできないキャリアの選択は、「職業と業界の両方を変える転職」だ。たとえば、小売店の店員から、メーカーの購買部、教育機関のテクニカルサポートというような転職がそれにあたる。こういうキャリアの道を歩む人は、収入がなかなか増えずに苦労することになるだろう。それぞれの仕事で身につけた知識、経験、人脈、スキル、すなわち人的資本が、次の仕事でほとんど生かされないからだ。
■3.家電の延長保証は不要
家電などを買うと、お店に保証をつけることをすすめられる。しかし、家電や製品の保証はまったく必要ないというのが、専門家の間で一致した意見だ。
たいていの製品は、1年のメーカー保証がついている。それに小売店の多くも、不具合があれば返品を受け付けている。たいていの製品、特に電子機器で問題が起こるのは、初期不良か、使ってすぐに壊れるかのどちらかだ。それをすぎればほぼ問題なく使うことができる。つまり、小売店への返品とメーカー保証ですべての問題をカバーできるということだ。
店頭でつける延長保証は、店にとっては簡単に儲かる「商品」なのだ。そして、店にとって簡単に儲かるものは、たいてい消費者にとって損である。
■4.若い人のほとんどは生命保険が不要
ここで強調しておきたいのは、若い人のほとんどは生命保険は必要ないということだ。最初にも説明したように、生命保険とは、一家の大黒柱が死亡したときに備えるための保険だ。あなたがまだ独身なら、あなたの収入に頼って生活している人はいないので、生命保険は必要ない。たとえ結婚していても、配偶者にも十分に暮らしていけるだけの収入があるなら、生命保険は必要ない。
しかし子どもができると、事情は大きく変わる。子どもは生活のすべてを親に頼っているので、親のどちらかでも亡くなれば、残された家族は経済的にかなり困窮するだろう。つまり生命保険の正解は、「子どもができたら定期保険に加入する」ということになる。
■5.最初の仕事のヒント(項目のみ)
1、第一印象をよくする
2、時間厳守。時間より早く着くのが望ましい
3、どんなにつまらない仕事でも喜んでする
4、細部に気を配る
5、自分で考えて動く
6、質問をする
7、仕事をくださいと言う
8、話す量よりも聞く量を多くする
9、仕事の優先順位を決めるのは上司の仕事である
10、時間管理
11、上司を管理する
12、会社は政治である
(詳細は本書を)
【感想】
◆類書とかぶる部分はありましたが、とにかくハイライトを引きまくりました。何せ本書は、タイトルに「お金の教科書」とあるゆえ、てっきりお金ネタ中心かと思いきや、下記目次をご覧いただければお分かりのように、人生全般についてカバーしているという。
たとえば第2章の「お金とキャリア設計の基本」から抜き出した上記ポイントの2番目は、完全にライフプランのお話ですし、巻末の付録「この本で学んだ大切なこと」から抜き出した上記ポイントの5番目は、まさに「仕事術」と言っていいものです。
もちろん、第1章や第2章には、章題に「お金」というフレーズが入っていますし、今回は割愛したものの、第9章は「投資」がテーマですから、基本的には「お金本」と言っても良いでしょう。
それよりも第7章の「破産」や第9章の「金融詐欺」のお話を高校生が学ぶとは、「アメリカは恐ろしいな」と思った次第です。
◆一方、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目では、いきなり「お金の専門家」にイエローカードが!?
ただし、本書でも触れているのですが、完全にフリーの「お金の専門家」もいるので、ご安心を。
またこの第1章では、「自分のB/S(バランスシート)」を作ることを推奨していますから、資産や借金が多い方はぜひお試しください。
続く第2章では、上記ポイントの2番目ではキャリアネタを取り上げたものの、労働と所得のお話がメインテーマです。
ちなみにここでは、「報酬と福利厚生の交渉の進め方」という節があって、これも和書ではあまり見ないお話だな、と。
◆なお、第5章の「予算と支出」のパートでは、節約本等で見かけるTIPSが散見されます。
たとえば車を買うなら「ローンではなく現金一括で」あたりは、まさにそう。
さらには、上記ポイントの3番目の「家電の延長保証が不要」というのも、前々からそうではないか、と思っていたのですが、「専門家の間で一致した意見」ですか、そうですか……。
また、続く第6章の「借金」、つまり各種ローン等のお話も、「お金本」としては避けられないテーマでしょう。
ここでは住宅ローンから、クレジットカードまで、これまた有意義な情報が多々。
これまた当然ですけど、「クレジットカードは1回払い」厳守でお願いします。
◆そして第11章では、保険のお話が。
上記ポイントの4番目の「若い人のほとんどは生命保険が不要」というのは、日本も同じです。
ただ理屈では分かっていても、女性(奥さん)にしてみれば、子どもができる前から保険には入っていて欲しいものらしいんですよね……。
一方、第12章の「税金」は、本来非常に大事ではあるのですが、日本とアメリカとで税制が違うため、今回は割愛しました。
また、上記ポイントの5番目を抜き出した巻末の「付録」では、他にも「絶対に覚えておきたいお金のヒント10」や「大学生活のヒント」(計12)、「新社会人のためのヒント」(計12)といったところを収録しています。
よくぞ1冊でここまで網羅したものだと思いますし、実際にアメリカの高校生がこんな本を読んでいるのなら、それはビジネスでも圧倒されてもしょうがないかな、と。
「お金」系の自己啓発本として秀逸な1冊!
アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書 FINANCIAL LITERACY FOR MILLENNIALS
第1章 お金の計画の基本
第2章 お金とキャリア設計の基本
第3章 就職、転職、起業の基本
第4章 貯金と銀行の基本
第5章 予算と支出の基本
第6章 信用と借金の基本
第7章 破産の基本
第8章 投資の基本
第9章 金融詐欺の基本
第10章 保険の基本
第11章 税金の基本
第12章 社会福祉の基本
第13章 法律と契約の基本
第14章 老後資産の基本
付録 この本で学んだ大切なこと
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。読書の価値 (NHK出版新書)
当ブログでもご紹介している森先生の読書術本は、中古が値崩れしているものの、Kindle版の方がお買い得。
参考記事:【読書】『読書の価値』森 博嗣(2018年04月12日)
アンダー・プロトコル 政財暴一体で600億円稼いだ男の錬金哲学
同じく当ブログでレビュー済みの猫組長の作品は、Kindle版が500円弱お得な計算です!
参考記事:【裏世界流?】『アンダー・プロトコル: 政財暴一体で600億円稼いだ男の錬金哲学』猫組長(2018年09月11日)
【編集後記2】
◆一昨日の「Kindle本ポイントキャンペーン」で人気だったのは、この辺のラインナップでした(順不同)。米国ビジョントレーナーが教える 眼を動かすだけ1分間超集中法
参考記事:【視る力?】『米国ビジョントレーナーが教える 眼を動かすだけ1分間超集中法』北出勝也(2020年07月26日)
高城式健康術55〜医師が教えてくれない家庭の医学〜 (光文社新書)
参考記事:【超健康?】『高城式健康術55 医師が教えてくれない家庭の医学』高城 剛(2020年06月22日)
段落論〜日本語の「わかりやすさ」の決め手〜 (光文社新書)
ぼくが見つけた いじめを克服する方法〜日本の空気、体質を変える〜 (光文社新書)
宜しければ、ご参考まで!
ご声援ありがとうございました!
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