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2020年06月20日

【恋愛?】『女と男 なぜわかりあえないのか』橘 玲


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女と男 なぜわかりあえないのか (文春新書 1265)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の編集後記にて取り上げていた、橘玲さんの新作。

タイトルを見て、普通の「男女の性差本」かと思っていましたが、実は同じ橘さんの大ヒット作である、『言ってはいけない』の進化心理学版といった感じでした。

アマゾンの内容紹介から。
単純な男性脳では、複雑すぎる女性脳は理解できない! 「週刊文春」の人気連載「臆病者のための楽しい人生100年計画」を新書化。

まだ中古が値崩れしていませんから、Kindle版で読むのもアリかと!





Man&Woman / dmagarityjr


【ポイント】

■1.若い女性は、性的な価値ゆえ幸福?
 周知のように、社会的な性差を示すジェンダーギャップ指数で日本は121位と世界最底辺に低迷している。しかしそれにもかかわらず、さまざまな調査で若い女性の幸福度は同世代の男性よりずっと高い。とりわけ大卒の若い女性は、日本社会の主流派を形成する「おっさん(壮年大卒男性)」を抑えて、現代日本でもっとも幸福度(ポジティブ感情) が高い集団だ。
 これを保守派は、「男が外で働き、女は家で子育てに専念する」性役割分業が日本女性を幸福にしているのだと解釈するだろうが、これには証拠がない。共働きが当たり前の北欧でも、女性の幸福度が下がっているわけではないからだ。
 このパラドクスも、若い女性がとてつもなく大きなエロティック・キャピタルを持っていることで説明できるだろう。大きな金融資本(ゆたかさ)が幸福な人生につながるように、大きなエロス資本によって注目(あるいは金銭的な報酬)を得られることが幸福度を上げるのだ(たぶん)。


■2.「恋の嵐」が終わるワケ
 恋愛によってドーパミンが大量に産生される状態は、6カ月から8カ月程度しかつづかない。その後は、オキシトシンやバソプレッシンによる愛情や信頼関係に移っていく。
 なぜこのようになっているかも進化論で説明できる。
 人類の歴史の大半で避妊法などなかったから、恋におちた男女はすぐにセ●クスして、1年もすれば子どもが生まれただろう。そのときになっても「狂おしい恋の嵐」に翻弄されていたら、子育てなどできるはずはない。恋の情熱は半年程度で冷めるように「設計」されているのだ。
 避妊がきわめてかんたんになった現在では、女性は妊娠の心配をすることなく何度でも恋におちることができる。「恋多き女」の恋愛依存症が、ドラッグやアルコールへの依存とよく似ているのは偶然ではない。


■3.男性は「競争」し、女性は「選択」する
 進化論的には、男は「競争する性」、女は「選択する性」として「設計」された。
 少年マンガでスポーツが好んで描かれるのは、「競争」が男性読者を夢中にさせるからだ。それに対して少女マンガで描かれるのは、ヒロインの「選択」だ。
 ロマンスとは、アルファの男にヒロインが「選ばれる」ことではない。複数の魅力的な男たちのなかから、ヒロインが主体的にアルファの男を「選ぶ」のだ。
 アルファの男は、ときにヒロインにつれなくしたり、他の女と性的関係を持ったりする。だがこれも「男性優位」ではなく、あらゆるファンタジーと同様に、ほんとうに貴重なものはかんたんに手に入ってはならない。困難が大きいほど、「アルファ」を手に入れたときのよろこびも大きくなる。芸能界の女性が遊び人風のベンチャー起業家(成功者) に魅かれるという昨今の風潮も、ここから説明できるのではないか。


■4.義理の親が子殺しをしやすい理由
 なぜこんなことになるかは、霊長類の子殺しから説明できる。
 チンパンジーは弱小の群れに遭遇すると、オスと乳児を皆殺しにして(その肉を食べ)、メスを自分たちの群れに迎え入れる。
 なぜ乳児を殺すかというと、授乳中のメスは妊娠できないからだ。乳をやる赤ん坊がいなくなると、メスはふたたび女性器を腫らして発情するようになる。
 同様に「利己的な遺伝子」は、自己の複製を最大化するように狆茲衒(ヴィークル)瓩任△襯劵箸髻崟澤廖廚靴拭7譴里弔覆らない(遺伝子を共有していない) 子どもに貴重な資源を分け与えるのは、きわめてコストが高い。だとすれば男は、そのコスト源を「処分」したうえで、新たに自分の子どもをつくるよう進化したはずだ──という話になる。
 これは進化心理学のなかでももっとも評判の悪い理論のひとつだが、不愉快だからといって間違っているということにはならない。実親と義理の親で子殺しや虐待の危険性がこれほどちがう理由は、(いまのところ) これ以外に説明できないのだ。


■5.マンガの女性キャラの目が縦長なワケ
 この現象を指摘したのは進化心理学者の蔵琢也氏で、目がありえないほど縦長になるのは瞳孔の大きさを強調するためだという。
 同じ女性の写真を瞳孔の大きさだけ変えて男性被験者に見せると、瞳の大きな女性は「やさしい」「女性的」「かわいい」と評価され、瞳の小さな女性は「きつい」「利己的」「冷たい」と否定的に評価された。
 これは、性的に興奮すると瞳孔が開くからだ。男はこのサインを無意識に感知して、瞳孔の大きな(瞳がきらきらしている) 女性に引き寄せられる。
 この効果を利用したのがサークルレンズで、カラコン(カラーコンタクトレンズ) の一種だが、虹彩を縁取るように円を印刷して瞳孔を大きく見せている。
 日本人の虹彩の直径は11〜12ミリだが、サークルレンズは14ミリ超で、なかには15ミリのものもある。キャバクラで若い女の子に見つめられてどきどきした経験があるかもしれないが、これはキャバ嬢がサークルレンズを使っているからで、あなたに気があるわけではない。


【感想】

◆相変わらずの(?)「橘節」といいますか、「身も蓋もない」お話の連続でした。

冒頭で挙げた「男女の性差本」というのは、たとえば、この方面で売れっ子になられた黒川伊保子さんの、このような本を私はイメージしていたワケでして。

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キレる女懲りない男―男と女の脳科学 (ちくま新書)

参考記事:【モテ】スゴすぐる「女性脳のトリセツ」7選(2012年12月12日)

黒川先生も、本来「脳」の専門家ですから、人間の生理学に近いお話もあったのですが、橘さんの場合、大ヒットとなった『言ってはいけない』同様、過去の文献等をベースにした「進化心理学」の内容を、本書では紹介されています。

進化心理学 - Wikipedia

そして回数的に、もっとも本書内で登場していたのが、当ブログでは未紹介の(スイマセン)この『利己的な遺伝子』でした。

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利己的な遺伝子 40周年記念版

……600ページ近くあるので、なかなか手が出せない自分。


◆もちろん、それ以外にも「男女」の「身も蓋もない」お話は多々登場します。

たとえば上記ポイントの1番目の「若い女性が異性から人気がある」というのも、印象だけでなく、こちらの本にて「出会い系における実態」も紹介。

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ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実―――ネットの密かな行動から、私たちの何がわかってしまったのか?

参考記事:【出会い系?】『ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実』クリスチャン・ラダー(2016年08月08日)
男性から見て女性が最も魅力的なのは20代前半。その一言に尽きる。45歳を除いたすべての年齢の男性は、最も魅力的だと思う女性の年齢が20歳、21歳、22歳、23歳の4年間に集中している。
……それは「若い女性の幸福度は同世代の男性よりずっと高い」のも当然です罠(個人差はありますが)。

なお、上記の本にも収録されていた「魅力的と思う異性の年齢」のグラフが、本書にも掲載されているのですが、男女のあまりの違いに驚かれると思います。

また、上記ポイントの2番目の「ドーパミン」や「オキシトシン」といったホルモン絡みのお話は、過去、当ブログでご紹介した恋愛本でも何度か登場していましたっけ。

要は、「恋は盲目」にさせる「ドーパミン」の効き目が、最大でも8カ月しか続かないということ。

それを「恋が冷めた」と捉えてしまうと、関係が継続できないワケですね。


◆一方、上記ポイントの3番目に登場する「アルファの男」とは、男女の「性愛獲得競争」において、より大きな権力を持つ男性のこと。

たとえば女性が読むロマンス小説の職業でいうと
(1)社会的・経済的な成功者(医師、ボス〈支配者〉、外科医)、(2)階級社会の上位にいる者(王子、騎士、王)、(3)男らしい仕事(カウボーイ、牧場主、ボディガード、保安官)
だそうで、なるほどハーレクイン辺りで主人公が恋に落ちそうな感じです。

ただ、この「男性は『競争』」で「女性は『選択』」というロジックから考えると、女性で男性に振り向いてもらえない、と悩む女性は、そもそも「女性なのに『競争』」している時点で、勝ち目が薄いことになります。

そういう「恋に悩む」女性向けの恋愛本って、山ほどあるんですけどね……。

同様に「選択」をしない女性、俗に言う「痴女」も「原理的には存在しない」とのこと。
そのような性向を持つ女がかつていたとしても、自分も子どもも生き延びることができず、遺伝子を次世代につなぐことはできなかっただろう。
なるほど、そういう方はAVだけと、考えた方が良さそうです。


◆そして進化心理学の中でも「悪評」かつ、「身も蓋もない」のが上記ポイントの4番目。

本書では下記の本からのグラフが紹介されているのですが、
実親は子どもをほとんど殺さないが、乳幼児が義理の親によって殺されるリスクは数十倍から100倍にもなる(虐待でも同様の結果が出ている)
のだそうです。

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人が人を殺すとき―進化でその謎をとく

日本でも義理の父親によって、幼い子どもが殺されるケースは後を絶ちませんが、こういうロジックによるものなんですね。

なお、「人間のペ●スの形状の理由」や「なぜ女性がエクスタシー時に叫ぶのか」といったお話は、橘さんの『言ってはいけない』でも触れられていたので割愛しました。

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言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

参考記事:【R指定?】『言ってはいけない 残酷すぎる真実』橘 玲(2016年04月17日)

上記記事でも、「ネタバレ自重」していますので、お知りになりたい方は本書もしくは『言ってはいけない』にてご確認ください。


◆なお、上記ポイントの5番目の「女性キャラの目が縦長」な例で、図まで挙げて紹介されていたのが、『美少女戦士セーラームーン』の「月野うさぎ」。

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美少女戦士セーラームーン新装版(1) (KCデラックス)

その絵がもはや当たり前すぎて、意識していませんでしたが、本来目は横長なところ、かなり縦長になっています。
マンガやアニメの女性キャラクターは、「顔全体に対する目の縦の長さの比率」が平均して6分の1にも達している。実際にはこの比率は25分の1程度で、目は縦幅より横幅の方がずっと長いから、極端をとおりこして「異様なデフォルメ」というほかない。
まーでも、セーラームーンは男性人気が必要なマンガではないですから、むしろ動物や赤ちゃんに寄せたものだと思いますけどね……。

ところで、本書は巻末で「科学的自己啓発書」さながらに、大量の参考文献が脚注として収録されています。

本来橘さんのご専門は、こうした分野ではないものの、このようにエビデンスベースで展開されていると、信ぴょう性も増すというもの。

内容的にも「身も蓋もない」お話が多いので、橘さんのテイストにもマッチしていると思いました。


橘玲ファンなら読むべき1冊!

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女と男 なぜわかりあえないのか (文春新書 1265)
1.男と女の欲望はなぜすれちがうのか?
2.ナンパが証明した男女の違い
3.同性愛者が教えてくれる男女の性戦略
4.「性器が反応しても興奮しない」不思議
5.男と女はちがう人生を体験している
6.男は52秒にいちど性的なことを考える 他


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【モテ】『彼と彼女の科学的「恋の法則」』はオススメ!(2008年10月07日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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