2020年06月15日
【Word&Excel】『スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい ~8割の社会人が見落とす資料作成のキホン』四禮静子
スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい ~8割の社会人が見落とす資料作成のキホン
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて、一番人気だった作品。著者の四禮さんは、パソコンスクールの運営歴20年であり、講座企画からテキスト作成まで行われるというプロフェッショナルな方です。
アマゾンの内容紹介から。
「資料は“内容"さえよければいい」
「Wordくらい、なんとなく使えているから問題ない! 」
そう言っておきながら……、
体裁が整っておらず「読みにくい」と言われてませんか?
限られた時間の中で作成できず、家に持ち帰ったりしていませんか?
ほかの人が修正しようとすると、レイアウトが崩れて使いものにならなかったりしないでしょうか?
社会人として恥ずかしくない資料を作るために必要な「美しさ」「スピード」「共有性」。この3つを高めて効率よく仕事を進めるWord/Excelの実践テクニックを、2000人以上の受講生に指導してきたベテラン著者がお教えします!
なお、中古が定価の倍値ほどになっていますから、若干お得なKindle版がオススメです!
Word, Excel, PowerPoint, Mail, Project Boxshot / Microsoft Sweden
【ポイント】
■1.Wordでは、文章の「。」以外で「Enter」を押してはいけない「見本の文書と同じ見栄えにしたいから」といって、文章が続いているのに【Enter】で改行してしまうと、段落が分割されてレイアウトが崩れる原因になってしまいます。
たとえば、箇条書きで1つの項目を2行に分けたいのに、勝手に番号が振られたり行間が開いたりしてしまう。これは箇条書きマークなどの段落記号が「段落に対する設定」だからです。【Enter】で改行すると、新たな段落を作成したことになり、箇条書きマークがついてしまうのです。
……じゃあどうしたらいいの? というときは「段落内改行( 【Shift】 +【Enter】)」を使用しましょう。段落内改行を使うことで箇条書きマークは設定されず、文字位置も自動的にそろいます。また、行間などの調整も段落ごとにまとめて設定できるのです。
■2.Excelで作成した表をWordで使用するときの貼り付け方
●データを修正する、スタイルなどを変更する通常どおり、貼り付け(【Ctrl】+【V】)ましょう。貼り付けた表は、Wordの表として編集できますし、もちろんデータの書き換えもできます。●計算式そのものが変わる「Microsoft Excel ワークシートオブジェクト」として貼り付けます。この方法で貼り付けると、シートの切り替え、計算式の挿入、書式の設定など自由に再編集できます。●決定稿で、表の再編集の必要がない
このように貼り付けるためには、[ホーム]タブ→「クリップボード]グループから「貼り付け▽」メニューの「形式を選択して貼り付け」をクリックします。図(拡張メタファイル)として貼り付けます(先ほどと同様「形式を選択して貼り付け」から)。まちがってデータを消したり改ざんされたりすることがありません。写真やイラストと同じように、図として編集できます。
■3.項目が多いExcelのリストは、「2段階」にする
通常のリストでは、入力時にすべての選択肢が表示されてしまいます。たとえば、都道府県リストから「愛媛県」を選択しようとすると、選択肢が多くリストをスクロールして下まで移動する手間がかかりますね。
そこで、「地域」と「県」で2段階リストを作成すると、地域「四国」を選択すれば「県」のリストでは四国の県しか表示されず、選択がラクになります。もちろんリストに表示されない県名は入力できません。地域ごとの集計や、県ごとの集計ができるようになります。
選択した地域にあわせて、県のリスト内容が絞りこまれた状態で表示されれば、選択肢も少なく選びやすいうえ、地域をまちがえて県を入力することはなくなりますね。このような2段階リストを作成すれば、入力ミスを防ぐだけでなく、データの整合性もとることができるのです。
■4.Wordで段落ごとのメリハリをつける「インデント機能」
改行して次の行から書きはじめる際、内容の転換を表現するために行頭を「1文字分、字下げ」して新たな段落とします。このとき【Space】を使用して1文字分の字下げをしている方も多いでしょう。しかし、【Space】を押して入力した空白1文字は、フォントの種類・文字間隔の設定などですべて同じ幅にならないことがあるのです。
フォントの事情に惑わされることなく、正確に段落から1文字分を字下げするには「1行目のインデント」で選択した段落のそれぞれ1行目のみを「1文字分字下げ」します。
箇条書きの「段落記号」や「段落番号」を使用した段落が複数行になると、次の行は記号や番号の真下からはじまるのではなく、1行目の文字開始位置からはじまるように自動改行されます。(中略)
その際「ぶら下げインデント」を使用すれば、段落の1行目はそのままで「2行目以降」が指定した位置で自動改行になります。「ぶら下げインデント」は「1行目のインデント」の逆で、1行目は字下げにせず、2行目以降を字下げでそろえたい場合に使用する、と覚えましょう。
■5.Wordで資料を推敲するときは、変更履歴を残す
作成した資料を自分で見直して書き換えた、あるいはほかの人が再編集したあとに、
「○○さん、どこをどんなふうに修正したんだろう?」
「やっぱり変更前の内容に戻したい。けれど、いちいち書き直すのはめんどう!」
と悩むことはありませんか? たしかに変更した箇所は上書きしてしまうと、確認したり元に戻したりできなくなってしまいます。
そうならないためには、あらかじめデータ上で「どこをどう変更したのか」わかるように「変更した履歴」を残して修正を入れましょう。「変更履歴」機能をつけて修正すると、だれが、いつ、どこをどう修正したのかがひと目でわかるようになります。
変更履歴のつけ方は、[校閲]タブ→[変更履歴]グループから「変更履歴の記録」ボタンをクリックします。ボタンをクリックした後の作業は、変更履歴として記録されます。変更履歴の記録を中止する場合は、再度「変更履歴の記録」ボタンをクリックしてOFFにします。
【感想】
◆そもそも私が本書の存在を意識したのは、こちらのツイートによってでした。今年に入って 三本の指に入る すごい本が届いた pic.twitter.com/8BhANPB7Nq
— 佐藤嘉浩(Excelの魔法使い・スピルのひと)@仙台 (@yosatonet) June 6, 2020
そもそも、この堅い本のツイートに、「いいね」が10万超付くという異常事態。
ただ、これだけだと何がどうすごいのかよく分からないので、このツイート主によって作成されたスレッドを見ていったところ、こんなツイートがありました。
1行1行がほんと為になる。
— 佐藤嘉浩(Excelの魔法使い・スピルのひと)@仙台 (@yosatonet) June 6, 2020
「なんで古い使い方いつまでしてんのさ、もったいない」って、紙面から言われてる気になってくるよ。
熟読というか一言一句見逃せないよ。
僕にとっては10万円以上の価値を持つ本だよ。
同業者(?)さんに「10万円以上の価値を持つ本」と言われてしまっては、読まざるを得ません罠。
◆ただし、同じスレッドでは懸念点にも触れられていて、その1つが、「ワードとエクセルのことが交互に書いてあるので パソコン初心者は混乱するかもしれない」というもの。
確かにこれは結構珍しいパターンで、そもそもWordとExcelが同じ本に書かれていても、たいていは章が分かれていたりと、かなり明確に分かれているものですが、本書は違います。
一応本書内では、項目ごとの小見出しの先頭に、「W」マーク(Word)か「X」マーク(Excel)が書かれているので、どちらであるかが判断ようにはなっていますが、初心者だとごっちゃになってしまうかもしれません。
ただ、通読して思ったのは、この本の想定読者は初心者ではなく、ある程度WordやExcelを使っているものの、その使い方が自己流で非効率的な人でしょう。
それと、やはり上記ツイート主も指摘しているのですが、Wordで作るべき(作った方が早い)文書を、Excelで作っている人。
こういう人は本書を読んで、正しくWordとExcelを使い分け、かつ、汎用性の高い文書を作成していくべきかと(含む私w)。
◆なお、私の場合は職業柄、数字を多用することと、見栄えにはそれほどこだわらない(プレゼン等はない)こともあってか、ほぼ100%Excelで文書作成しています。
挙句の果てには、Faxの送り状も計算式が不要なのに、Excelで作っているという……。
いえ、今どきFaxなんてどこに送っているかとお思いでしょうが、税務署とのやりとりにはメールが使えず、未だFax(もしくは郵送)なんですよねー。
……「電子申告を普及させる」と言ってる割には、完全にダブスタだと思うんですが、どういう理由なのか(涙目)。
それはさておき、表を使ったり、計算式がある場合には、Excelを使う方は多いと思うのですが、ある程度のデータ量でしたらWordでも表は作成できますし、場合によっては上記ポイントの2番目のように、Wordに「貼り付け」することもできます。
◆ただし、Wordの鬼門となるのが、頭揃えや均等割り付けといった、位置調整のやり方。
この場合に活用すべきが、インデント機能であり、上記ポイントの4番目でも軽く触れてみました。
もっとも、こういった「位置」の話は、それこそ画像で見ないと分かりにくいものであり、当然本書自体にはズレた位置の文書や綺麗に整った文書等の画像が、多数収録されています。
……ホント、これだけ図表が多数載っていて、よくリフロー形式でKindle版を出してくれたものだと、私なんぞは感謝しているのですが、やはりブログで記事にするには、本のテーマ的に無理があるんですよね。
その点、上記ツイート主が書かれた下記記事では、これらWordの使い方が図解されており、分かりやすいことこの上ありません(他力本願)。
Wordの本来の使い方。見た目の良い文書の作成 | Officeの魔法使い
ツイート主本人も、「この記事でびっくりした人とか、共感した人にはめっちゃいい本」と言われていますので、特にWordの使い方でひと皮むけたい方なら、一読の価値があると思います。
もちろん、上記ポイントの3番目にあるような、Excelの便利ワザも登場しますし、Excelメインの方でも要チェックで。
1粒で2度おいしい1冊です!
スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい ~8割の社会人が見落とす資料作成のキホン
第1章 「WordもExcelも、なんとなく使えてるよ」をやめなさい ~最大の味方「資料作成ソフト」を攻略する
第2章 「キーボードを打つ速さだけに頼る」のをやめなさい ~作成速度を飛躍的に向上させる
第3章「ちょっとくらい文字や図がズレてもいい」をやめなさい ~ビジネスにふさわしい整然とした見栄えにする
第4章 「自分だけが扱えればいい」をやめなさい ~だれでもどんな場面でも利用しやすい資料に仕上げる
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【資料作成】『外資系コンサルが実践する 資料作成の基本 パワーポイント、ワード、エクセルを使い分けて「伝える」→「動かす」王道70』吉澤準特(2014年08月20日)
【数字力】『数字力×EXCELで最強のビジネスマンになる本』田中耕比古(2016年02月02日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。ひとり空間の都市論 (ちくま新書)
今だからこそ読みたい「ひとり空間」をテーマにした新書。
値引率が「57%OFF」と高めなこともあり、Kindle版が300円強お得となります。
【編集後記2】
◆一昨日の「教育・学参関連本キャンペーン」の記事で人気を博したのは、この辺の作品でした(順不同)。池上彰の「経済学」講義 歴史編・ニュース編【2冊 合本版】 (角川書店単行本)
9割は伸ばせる できる人の教え方 (中経の文庫)
参考記事:【五者たれ!】「できる人の教え方」安河内哲也(2007年07月24日)
日本人が知らない ネイティブがよく使う英会話フレーズ400 (中経の文庫)
留学しないで「英語の頭」をつくる方法 (中経出版)
宜しければご参考まで!
ご声援ありがとうございました!
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